プロメテウス 45点
2022年3月28日 WOWOW録画にて再鑑賞
出演:ノオミ・ラパス マイケル・ファスベンダー
監督:リドリー・スコット
土曜出勤が続きすぎて、映画館に行く力が出てこなかった。手元の円盤を適当にあさっていると本作が出てきた。劇場鑑賞してイマイチだったので、これを機に再鑑賞。
あらすじ
古代遺跡が共通して指し示す星に人類の創造主エンジニアがいる。そう確信するエリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)博士たちは、ウェイランド社の支援を受けて、宇宙船で旅立つ。無事に目的にたどり着いた一行だが、そこには謎の遺跡が待ち受けていて・・・
ポジティブ・サイド
プロダクションデザインは流石のリドリー・スコットと言える。地球およびLV-223の遺跡や壁画、宇宙船、様々なガジェットに至るまで、精巧かつ緻密に形作られている。LV-223も地球と似て非なる惑星の雰囲気がよく出ていた。
『 エイリアン 』シリーズのひとつの醍醐味であるショッキングな描写もなかなかのもの。詳しくは書けないが、この時の人間をこうするとどうなるの?というシリーズ恒例の疑問にしっかり答えてくれる。
エイリアンと人類の戦いに焦点を当てないという決断も尊重したい。人間とは何か?何故存在するようになったのか?アンドロイドとは人類にとってどのような存在なのか?人類とアンドロイドの関係は、創造主たる神と人類の関係のアナロジーたりうるのか?『 エイリアン 』シリーズは常にアクションとSFの比重を変えながら存続してきたが、今作によって非常に思弁的なSFとしての性質も手に入れた。その方向性の変化(だけ)は良い意味で評価したい。
ネガティブ・サイド
キャラクターの行動原理がとにかく意味不明の一語に尽きる。スポンサーであるウェイランド個人の希望や欲求が大きくものを言ったのは分かるが、それでも異星文明が存在すると思しき惑星を見つけたなら、まずは徹底的な観測、そして通信を試みるだろう。いくら2094年とはいえ、いきなり恒星間航行はとんでもない飛躍だと感じる。
宇宙船プロメテウスのクルーの行動もむちゃくちゃである。どこの宇宙飛行士が未知の惑星上でヘルメットをはずすのか。仮に呼吸可能な空気だとして、空気中にどんな微生物や花粉などの微笑物質が存在するか分かったものではない。これだけでも目まいがしてくるというのに、1メートル超はあろうかという蛇のような異性生物に触ろうとするか?いったいどこまでアホなのか?
見せ場の一つでもある手術用の機器も、なぜクルーに女性がいるのに男性用の手術しかできないのか。シャーリーズ・セロン演じるヴィッカーズがアンドロイドなのかと疑わせたいのだろうが、だったら船長のアイドリス・エルバとあれやこれやのトークをさせる必要はないだろうと思うし、そもそもハイバネーションからの覚醒直後にタフネスぶりを見せつける描写も必要ない。こういうのは観る側を惑わせるぐらいがちょうど良いのである。
人類誕生の秘密を創造主に尋ねようというのは、SF小説としては面白いが、ホラー要素とアクション要素の両方がてんこ盛りのSF映画シリーズのひとつとしてはどうなのだろうか。それをやるなら、『 エイリアン 』の一環ではなく、独立した作品を企画してほしかった。エンジニアと人類の遭遇にしても、エンジニアが人類を創造した動機にしても、ぼやかされた感が強い。もっとストレートに観る側をびっくりさせるようなアイデアはなかったのか。この分野にはJ・P・ホーガンの小説『 星を継ぐもの 』と『 ガニメデの優しい巨人 』という金字塔(ホラー路線ではなく純粋なハードSF)があるが、リドリー・スコットなら敢えてそうした高いハードルを超えようとする姿勢が求められるのではないか。拍子抜けとしか言えない作品である。
総評
再鑑賞しても、it didn’t grow on me. 『 エイリアン 』シリーズ(一作目と二作目)のファンなら本作は評価できないだろう。または『 エイリアン 』シリーズの超上級ファンなら、本作を高く評価するのだろうか。エイリアン関連の映画でなければ、毎年、夏にいくつか出てくるB~C級SF映画という扱いで終わりだろう。もし観ようと思うのなら、まずは『 エイリアン 』と『 エイリアン2 』この続編である『 エイリアン: コヴェナント 』は新婚旅行の行きと帰りの飛行機の中で2回字幕なしで観た。6割ぐらいしか理解できなかったと記憶しているので、そちらも近々レンタルしてこようかな。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
Poor choice of words
字幕では「失礼な言い方でした」だったが、これは意訳。直訳すれば「貧相な言葉の選択」ということ。日常会話でもたまに耳にする表現。『 ダークナイト 』のジョーカーもほとんど同じセリフを言っている。気になる人は、この動画でチェックしてみよう。