ローグ 60点
2021年5月19日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ミーガン・フォックス
監督:MJ・バセット
MOVIXが平日の日中限定で営業再開。溜まっている有給の消化も兼ねて、久しぶりに映画館へ向かう。座席の間隔を空ける。飲食をしない。しゃべらない。これを徹底すれば、映画館はかなり安全安心な環境であると感じた。
あらすじ
傭兵部隊のキャプテンであるサム(ミーガン・フォックス)は、テロリストに誘拐された州知事の娘を救出するため、隊員を率いてアフリカにやってきた。人質と人身売買されていた少女たちを辛くも救出するが、敵の追撃により救援のヘリを失ってしまう。そして逃亡した廃村でさらなる救援を待つサムたちだが、そこには追手が迫っているだけではなく、凶暴なライオンも潜んでおり・・・
以下、マイナーなネタバレあり
ポジティブ・サイド
ストーリーなどはあってないようなものである。密漁者がライオンを殺しそこねて、逃げられた。逆にライオンの反撃を食らってしまう冒頭のシークエンスは雑もいいところだが、製作者が描きたいのはそこではない。早く主人公たちを登場させたい。ドンパチさせたい。そして、ライオンが暴れるところを描きたい。観る側も、早くミーガン・フォックスが暴れるところを観たい。ライオンに襲われるところが観たい。作り手と観客の思いがシンクロして、序盤の救出シーンから廃墟での銃撃戦&ライオンとのバトルまで、あっという間である。1時間50分ほどの映画だが、体感では1時間30分ちょうどぐらいだった。
ストーリーがないと言ってしまったが、実はそれなりに練られたメッセージも込められている。一つにはライオン密猟の問題。もう一つに欧米列強によるアフリカの侵略と支配。さらに、イスラム過激派の侵入。こうした事情が複雑に絡み合った先に、各キャラクターの設定や物語の背景が見えてくる。
傭兵映画らしさ全開で、随所に one-liner が炸裂する。最も印象的だったのは、 クライマックスのサムの放つ”You get to decide which bitch is going to kill you.”という台詞。bitchを含む名セリフとしては『 エイリアン2 』のシガニー・ウィーバーの”Get away from her, you bitch!”に次ぐインパクトだ。
ネガティブ・サイド
人質および人身売買されていた少女たちがひたすらにうざい。有能な敵よりも無能な味方のほうが怖いと言われるが、まさにそういう存在だ。問題なのは、プロ中のプロである傭兵団のキャプテンであるサムが、いつまで経っても彼女らにルールを叩き込もうとしないこと。自分の言うことに従わなければ殴る・・・まではいかなくとも、何らかの不利益を被る。そういう躾のようなものが序盤にあってしかるべきだったと思う。そのせいか、序盤でいきなり少女の一人が退場させられた時には、心の中で「よっしゃ!」と思ってしまったほどである。
上の退場シーンとの関連で感じたのが、サムの仲間の傭兵団の一人である地元出身のアフリカン。ライオンのことに異様に詳しいのに、ワニについては何の知識もなかったのだろうか。そんなはずはないと思うが。
サムの戦闘力にはそれなりの説得力があったが、キャプテンシーの面ではどうか。序盤でガキンチョたちにルールを教え込まないのも問題だと思ったが、自分のチームの隊員が、地元アフリカ出身、元過激派の一員だったということで非常なる口激を食らうが、それに対する擁護もなし。そら何人かのチームメンバーからキャプテンとは認められんわな。何故にここまで中途半端なキャラクターにしたのか。
総評
ストーリー性やキャラクターの深堀りを求めてはいけない。派手なガンファイト、忍び寄るライオンの恐怖。それらを堪能するだけでよい。製作者側はホラーやスリラーの要素を強めに作りたかったのだろうが、『 コマンドー 』や『 プレデター 』といった面白系One-linerが目立つアクション映画である。そういった系統の作品が好きな人なら、存分に楽しめることだろう。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
bitch
いわゆる swear word である。意味はあまりにも多彩で、名詞にもなれば動詞にもなる。この語が正しく使えれば、英検マイナス2級、TOEIC L&R で1800点だと判定する。「あばずれ女」や「売女」の意味でも使うが、現代的には(本当はもっと前から) a bitch = やばい人、酷い事柄のような意味がある。1970年代にはロッド・スチュワート御大がすでに”Ain’t love a bitch”(邦題は『 あばずれ女のバラード 』)をリリースしていた。興味がある向きはググられたし。また、ボクシングやプロレスを観る人なら、ボクサーやレスラーがリベンジマッチに臨む前に、”Payback is a bitch!”と咆えるのを聞いたことがあるだろう。