Skip to content

英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

  • Contact
  • Privacy Policy
  • 自己紹介 / About me

『 マトリックス レボリューションズ 』 -Dawn of humanity-

Posted on 2019年9月16日 by cool-jupiter

マトリックス レボリューションズ 75点
2019年9月10日 レンタルBlu-rayにて鑑賞
出演:キアヌ・リーブス ローレンス・フィッシュバーン ヒューゴ・ウィービング
監督:アンディ・ウォシャウスキー 監督:ラリー・ウォシャウスキー

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190916111215j:plain


 

シリーズの完結作・・・だったはずだが、第4作の製作が決定したとの報が。インディ・ジョーンズになってしまうのでは、との懸念があるが、評価はこの目で確かめてから下したいと思う。

 

あらすじ

マトリックスに接続することなくマトリックスに侵入したネオ(キアヌ・リーブス)。現実世界とマトリックスの中間にあたる謎の空間に幽閉されていたが、モーフィアス(ローレンス・フィッシュバーン)らによって救出される。ザイオンにはセンティネル兵団が迫っている。状況を変えるためネオは一人、マシン・シティーを目指すが・・・

 

ポジティブ・サイド

ナイオビの船が狭い空間を滅茶苦茶な操艦技術で通り抜けていく様は爽快の一言。元ネタは『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還 』のデス・スター内部への侵入と脱出シークエンスだと思われるが、これは純粋なオマージュとして受け取ろうではないか。同じように狭いところを飛ぶというコンセプトは、ゲームの『 エースコンバット 』シリーズにも受け継がれているし、他にも継承者は探せばもっともっとあるはずだ。

 

また、マトリックスからプログラムが現実世界に位相を移してくるというアイデアも素晴らしい。小説『 クリスタルサイレンス 』でも主人公たる透明人間が同じようなことをしていたが、“ウェットウェア”というアイデアは、今後確実に中国かロシア、またはアメリカが開発を目指すことになるだろう。素晴らしい着想である。

 

マシン・シティーは全てCGではあるが、どこかH・R・ギーガー的な雰囲気を帯びていたのが印象的だ。そのフィールドを闊歩する巨大なマシンたちは、漫画および映画の『 BLAME! 』の建設者のようである。というか、やはりこれもオマージュと見て良いのだろう。そう判断させてもらう。Jovianはこういうオマージュは大好物であり、大歓迎する。

 

初見では???だったエンディングにも一定の意味を見出すことができた。スミスの言う、“The purpose of life is to end.”へのアンチテーゼなのだろう。生命の目的とは、「続く」ということ、もしくは「始まる」ということを強く示唆しているように思えてならない。悪性腫瘍の如く増殖したスミスは、実際にはウィルスに近い存在だ。他の生物の細胞分裂の機序にただ乗りすることで増えるのがウィルスであるが、ネオはそのウィルスを見事に駆逐した。生きとし生けるものは、自らの生を自らで背負わねばならない。生きていくことそのものを目的にしなければならない。エンディングはそのように観る者に語りかけているように感じられた。ウォシャウスキー兄弟は、おそらくこうしたメッセージを発したわけではないだろう。しかし、受け手が自分なりに答えを受け取ることができる映画というのは、そう多くない。

 

ネガティブ・サイド

SFアクションの世界で、バトルが全て肉弾戦というのも、それはそれでありだろう。だがいやしくもSFであるのなら、そこには武器・兵器をしっかりと使いこなしてほしい。『 スター・ウォーズ 』が唯一無二の名作なのは、SF的な世界(正しくはおとぎ話、昔話の世界)にチャンバラと持ちこんだことが大きい。もちろん、ブラスターによる撃ち合いは西部劇のアナロジーである。だが、戦闘機によるドッグファイトやデス・スターやスター・キラーといった超絶トンデモ兵器の存在によって、すべてのバランスが奇跡的に整っている。それは本作も同じで、ネオとスミスのバトルとザイオンとセンティネル兵団の戦いは、奇妙なパラレリズムを成している。問題は、やはりそのバランスだ。マトリックスという仮想現実空間でのバトルが少なすぎる。そのバトルも漫画『 ドラゴンボールZ 』の影響を受けていることがありありと分かってしまう、少々残念なもの。前作でアイデアが枯渇してしまっているのだろうか。

 

ミフネ隊長率いる部隊は、そのまんま『 エイリアン2 』のパワーローダー。シリーズを通じて様々なガジェットが過去の偉大な作品へのオマージュになっていることが伺えたが、これはあまりにも露骨だった。だが、本シリーズのセンティネルは『オール・ユー・ニード・イズ・キル 』のギタイのモデルとして採用されたようだ。インスパイアの連鎖は続いているのだから、これは減点材料ではないのかもしれない。

 

総評

マトリックスと人類の奇妙な共存および敵対関係の円環が閉じたと感じられる、完結作にふさわしい幕切れである。が、大いなる疑問も残る。救世主たるネオはどうなった?培養人間たちの今後は?プログラムやマシンの見出す目的とは?本作の本当の評価が定まるのは、まだ見ぬ続編のリリース後になるだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

This is it.

 

単純明快な表現だが、訳すとなると難しい。文脈に応じて意味が変わるからだ。This =現在の状況、またはこれから起こること、it = 話者のイメージしていること、と理解しよう。そうすれば、「これで終わりだ」、「遂に始まったぞ」など、コンテキストに応じて意味を解釈できるだろう。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 

 

Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, B Rank, SFアクション, アメリカ, キアヌ・リーブス, ヒューゴ・ウィービング, ローレンス・フィッシュバーン, 監督:アンディ・ウォシャウスキー, 監督:ラリー・ウォシャウスキー, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画

投稿ナビゲーション

Previous Post『 マトリックス リローデッド 』 -前作からはパワーダウン-
Next Post『 プライベート・ウォー 』 -ジャーナリズムの極北と個の強さ-

コメントを残す コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

最近の投稿

  • 『 サブスタンス 』 -エログロ耐性を要する秀作-
  • 『 ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング 』 -Adios, Luther-
  • 『 タイヨウのウタ 』 -アメリカ版リメイクよりも面白い-
  • 『 サンダーボルツ* 』 -ヒーローとしても人間としてもしょぼい-
  • 『 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は 』 -青春の痛々しさが爆発する-

最近のコメント

  • 『 i 』 -この世界にアイは存在するのか- に 岡潔数学体験館見守りタイ(ヒフミヨ巡礼道) より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に cool-jupiter より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に 匿名 より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に cool-jupiter より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に イワイリツコ より

アーカイブ

  • 2025年5月
  • 2025年4月
  • 2025年3月
  • 2025年2月
  • 2025年1月
  • 2024年12月
  • 2024年11月
  • 2024年10月
  • 2024年9月
  • 2024年8月
  • 2024年7月
  • 2024年6月
  • 2024年5月
  • 2024年4月
  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月

カテゴリー

  • テレビ
  • 国内
  • 国内
  • 映画
  • 書籍
  • 未分類
  • 海外
  • 英語

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
Powered by Headline WordPress Theme