『 セント・オブ・ウーマン/夢の香り 』 90点
1995年 WOWOWで視聴 以後、VHSとDVDで複数回観賞
主演:アル・パチーノ
監督:マーティン・ブレスト
日本一の学生数を誇るマンモス大学が揺れている。そのブランドが揺らいでいる。学校という組織が一学生に全てを押しつけようとしている(ように見える)構図は異様ですらある。己の良心が咎める行動を人は取るべきなのか否か。その良心を裏切る行動に駆り立てる背景にあるものは何か。そうしたことを考える時、多くの映画ファンの頭には本作がよぎったのではないか。対立の構図は異なるものの、プレッシャーを与えてくる校長と、自分の良心に最後まで従うチャーリー。どこぞのアメフト部の監督・コーチと部員のようではないか。
ハイライトシーンはいくつかあるが、やはりタンゴのシーン、アル・パチーノがチャーリーを擁護する大演説、最後の”ダフネ”のシーンだろうか。時代を超える作品(Timeles Ageless Classic)で、時々思い返して見てみたくなる傑作である。
アル・パチーノ+アメリカンフットボールでは『 エニイ・ギブン・サンデー 』も良作。勝利を目指すことは大切なことではあるが、勝利以上に大切なものがある。自分というものが存在できるのは他人というものがいるからだ。チームとして戦うことの意義を力強く語るアル・パチーノとそのことを受け止める若きジェイミー・フォックスに胸打たれる感動作だ。
フットボールを通じた差別克服と友情の傑作『 タイタンズを忘れない 』も捨てがたい。某大学の元コーチは「相手のQBと友達なのか」と尋ねたらしいが、そこには友達でなければ潰していいという論理が透けて見える。友達と友達ではない者の境界線など、実は非常にあやふやなもので、いつの間にかその線を超えている者、勇気を出して踏み越えていく者、時間をかけて踏み越えて行く者たちが描かれる本作は、アメフトをプレーする、志す者なら誰もが見るべき良作であろう。