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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: E Rank

『 ロングレッグス 』 -誇大広告に騙されることなかれ-

Posted on 2025年3月18日 by cool-jupiter

ロングレッグズ 35点
2025年3月16日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:マイカ・モンロー ニコラス・ケイジ
監督:オズグッド・パーキンス

 

『 羊たちの沈黙 』以来の傑作なる評に惹かれてチケット購入。Don’t believe the hype…

あらすじ

FBI捜査官のリー・ハーカー(マイカ・モンロー)は連続殺人事件を捜査していた。すべての事件で、父親が家族を殺害した後に自殺しており、現場には謎の暗号文が残されていて・・・

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

『 イット・フォローズ 』で主役を張ったマイカ・モンローが主人公ではないか。気弱だが、芯の強さを感じさせる。しかし、どこか壊れてしまいそうな脆さを常に漂わせるキャラクターを好演した。

 

ニコラス・ケイジもB級映画への出演が相次いでいるが、これは役としては当たりではないか。ニコラス・ケイジは(ある意味トム・クルーズのように)常にニコラス・ケイジを演じているが、今回の車の中での絶叫シーンはニコケイっぽさがなく、新鮮に感じられた。

 

ラストの余韻もなかなか。自分の〇〇と△△を☆してしまったわけで、バッドエンドを選ぶのか、それともワーストエンドを選ぶのかは、ある意味で観る側の解釈次第というわけか。それもありだろう。

 

ネガティブ・サイド

ジャンプ・スケア多過ぎ。序盤からガンガン使われて、「あれ、これはそういう映画か?」と思ったあたりから、そろそろ来るなというところでギャン!・・・白けるで、ホンマ。

 

殺人犯が潜伏している可能性のある家に、単独で「FBIだ!」と叫んで訪問するアホがいるのか?

 

あの猫はどうやって生きていた?一月ほど飲まず食わずで放置されていたのではないのか。それとも捜査の直前に自分からケージに入ったとでもいうのか。

 

暗号の解き方も呆気ないというか、こちらはそこを知りたいのに特に深い考察もなく終わってしまう。まあ、ジャンルがサスペンスやミステリではなくホラーあるいはスーパーナチュラル・スリラーなので仕方ないのだが、だったら何故に『 羊たちの沈黙 』や『 セブン 』を引き合いに出して宣伝するのだ?こういうのは公正取引委員会に訴えられないのだろうか。

 

閑話休題。

 

一番の疑問が、呪いの人形の運搬および搬入。これまでの被害者家族のだれ一人として「教会の方から来ました」と言われて、こんな人、地元の教会にいたっけ?と感じなかったのか。そもそもある程度信心深い=定期的に教会に行く人でないと、教会側も誕生日や住所を把握できないだろう。コスプレだけで住民が信用してしまうという設定を当の脚本家は何も感じなかったのだろうか。

 

またアメリカには信教の自由があるから悪魔崇拝を止められないというのも笑った。いや、信教の自由は保護されてしかるべきだが、それと殺人教唆や殺人の共謀は完全に別の話。そこを混同するFBIの面々には笑わされると同時に頭を抱えざるを得なかった。

 

とにかく珍品というのは一番しっくりくる作品である。

 

総評

人間同士の頭脳戦と見せかけてスーパーナチュラル・スリラーで、ポップな感じのエンディングが『 アイム・ノット・シリアルキラー 』を髣髴させた。同作が好きだという向きは本作も口に合うかもしれない。ニコラス・ケイジのファンにもお勧めする(出番は少ないが)。そうでなければ、わざわざチケットを購入する必要はない。配信・レンタルを待つか、それもスルーして構わない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

So they say.

彼ら彼女はそのように言う、転じて「世間ではそう言われているね」、「そうらしいね」の意。

A: Baseball is a national pastime in Japan.
    野球は日本の国民的娯楽だって。

B: So they say. 
    らしいね。


A: It takes inspiration to be an artist.
    芸術家になるにはインスピレーションが必要だよ。

B: So they say.
   そうみたいですね。

のように使う。これがパッと言えれば、英会話中級者以上だろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ゆきてかへらぬ 』
『 Flow 』
『 ミッキー17 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, アメリカ, ニコラス・ケイジ, ホラー, マイカ・モンロー, 監督:オズグッド・パーキンス, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 ロングレッグス 』 -誇大広告に騙されることなかれ-

『 メイクアガール 』 -娯楽性なし、哲学性なし-

Posted on 2025年2月27日 by cool-jupiter

メイクアガール 20点
2025年2月23日 Tジョイ梅田にて鑑賞
出演:堀江瞬 種﨑敦美
監督:安田現象

 

人工知能+ロボットものということでチケットを購入するも、こんな disastrous な作品だったとは・・・

あらすじ

天才少年科学者の水溜明(堀江瞬)は、研究者としての壁にあたって悩み苦しんでいた。ある時、彼女ができたことでバイト先でのパフォーマンスが2倍になったと友人に聞かされた明は、自分にもガールフレンドがいれば研究者として殻を破れると確信し、人造人間「0号」を生み出すが・・・

 

ポジティブ・サイド

第一人類がいわゆる普通の人類、第二人類が明のようなサイボーグ・・・という表現が適切でなければ、体の一部を機械化した人類ということになるか。そして第三人類は、いわゆるホムンクルスということなのだろう。この設定だけは気に入った。仕事で毎日のように生成系AIをぶん回している身としては機械に意識や知性が宿るとは思えない。うちの上司も「意識や知能は脳またはDNAにしか宿らない」という趣旨のことを言っていて、Jovianも概ね同意する。そうした意味で第三人類という区分だけは興味深かった。



ネガティブ・サイド

いつまでこうしたオタク作品は『 新世紀エヴァンゲリオン 』に阿り続けるのか。綾波レイ的な0号に惣流アスカ的なクラスメイト。これだけでハーっと大きなため息が出てきた。そして『 GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 』のフチコマのパクリとしか思えないソルトというガジェット。オリジナリティはないのか。影響を受けるのは結構だが、それを乗り越えようという気概が微塵も感じられないではないか。

 

また主人公の明も研究者のパフォーマンスを心得違いしている。情報科学的にAIを研究するにしろ、工学的にロボットを開発・改良するにせよ、求められるのは作業効率ではなく一種のブレイクスルーあるいはパラダイムシフトである。そこを完全にはき違えている主人公には呆れるしかなかった。

 

科学的な部分はSFエンタメなので目をつぶれるが、色々とおかしな構図もちらほら存在していた。たとえばバイト先で笑顔を上手に作れないという0号が、ようやく客のもとに給仕するシーン。客に笑顔を見せることに胸をなでおろすバイト仲間たちだが、そこから見えるのは0号の背中。どうやって表情を見たのだろう。そういった不可解な構図のシーンがいくつもあった。

 

キャラクターもぶれている。猫背でシャキシャキと歩けない明が、突如として謎の身体能力を発揮する展開には白けるしかなかった。

 

本作の最大の欠点は、明と0号の関係性の描写が完全に的外れだったところにある。第一にクラスメイトとバイト先の先輩の恋愛模様の描写あるいは説明が圧倒的に不足していた。たとえば二人でカラオケに行った、ボーリングに行った、ショッピングをした。初めて手を握った、初めてハグをした。そうした関わり方一つひとつでバイトだったり、あるいは勉強だったり部活だったりに身が入った。それを見た明が0号と一緒に疑似デートをする。しかし何かが違う。そうした違和感の積み重ねから、自分が本当に必要としていたのはガールフレンドではなく母親、あるいは母性あふれるガールフレンドだったことに気付いた明は・・・という展開なら、ストーリーにもっと説得力やリアリティが生まれていたはず。

 

作品の質とは直接に関係がないが、客層も非常に悪かった。とにかく予告編の前も予告編の最中もずっとしゃべっているオタク集団がいて、本編開始直前に別の客から「うるさいよ」と声を掛けられるまでしゃべり続けていた。彼が注意しなければJovianが注意していたことだろう(座席はだいぶ離れていたが)。さらに帰りのエレベーターでもネタバレお構いなしにしゃべり続けている。『 レディ・プレーヤー1 』の帰りでもオタク客たちがのべつ幕無しに劇場外でもしゃべり続けていたが、オタクにも最低限の社会性は必要だろうと改めて考えさせられた。

 

総評

一人で脚本やら演出やら監督やらで大変という意味では『 侍タイムスリッパ- 』や『 ごはん 』の安田淳一に通じるものがある。しかし、こちらの安田監督には人間に対する考察が少し足りないという印象を持つ。人造人間とまではいかずとも、浅いレベルでなら人間と違和感なくコミュニケーションが可能なAIが出現しているという時代に本作を送り出すというセンスは悪くない。主人公の明と同様、もう少し健全な世俗の歓楽を経験することが必要かもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You can’t make an omelette without breaking (some) eggs.

劇中でとあるキャラが「犠牲なしには成果は出せない」というようなことを言っていたが、英語にはそれにぴったりの表現がある。それが上の「卵を割らずしてオムレツは作れない」という慣用表現。someはあってもなくてもいい。無しで言う方が多いかな?チーム内に不破が生じたものの、目標としていた売り上げを達成できた、というような時に使ってみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 マルホランド・ドライブ 』
『 バンパイアハンターD 』
『 プロジェクト・サイレンス 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, E Rank, SF, アニメ, 堀江瞬, 日本, 監督:安田現象, 種﨑敦美, 配給会社:角川ANIMATIONLeave a Comment on 『 メイクアガール 』 -娯楽性なし、哲学性なし-

『 マーズ・コンタクト 』 -アイデアの検証と追求が足りない-

Posted on 2024年10月26日 by cool-jupiter

マーズ・コンタクト 20点
2024年10月25日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:アレクサンデル・クリコフ アンドレイ・スモリャコフ
監督:アレクサンデル・クリコフ ミハイル・ラスドニコフ

 

近所のTSUTAYAでパッと見て借りてきた。Sometimes, I’m in the mood for garbage.

あらすじ

ロシアの火星探査船に事故が発生。司令官のチャパエフ(アレクサンデル・クリコフ)は脱出戦を切り離してクルーを救うも、自身は火星に取り残されてしまう。チャパエフの救出を試みる地球だが、いつしか彼との交信をテレビ番組にしてしまう。一方でチャパエフは謎の音が聞こえると主張し始め・・・

 

ポジティブ・サイド

設定は『 ミッション・トゥ・マーズ 』+『 レッド・プラネット 』+『 オデッセイ 』。そこにテレビ番組要素をつけ加えたのが、変化球的でユニークだと感じた。テレビは教育的でもある一方で、衆愚の元にもなりうるということが示されていた点は評価していい。

 

ネガティブ・サイド

『 レッド・プラネット 』のようにロボットが暴走するのではないなら、そもそもロボットは不要では?

 

ロボットが大暴れしないのなら、ジョニー・デップとシャーリーズ・セロンの『 ノイズ 』的な展開か?と思わせて、え、そっちかい???という方向へ。

 

最後も、あーこれはひょっとして『 アーカイブ 』なのか?と思わせて、やっぱりそっち方面だった。どうせなら小説『 地球最後の男 』的な方向に行った方がまだインパクトは強かったかもしれない。もしくは『 アド・アストラ 』のように、救助のためにひたすらに火星を目指したものの、チャパエフは・・・という展開は選択肢になかったのか。

 

『 マーズ・ミッション2042 』と同じく、火星と地球でほぼリアルタイムで通信してしまっているが、中国もロシアもいつの間に超光速通信技術を開発してしまったのか。火星と地球の最短距離でも数分のラグが発生するわけで、そこを無視して宇宙飛行士チャパエフ

子ども向けの科学教育番組のホストをさせるのは茶番以外の何物でもない。

 

じいさんが唐突に見せる格闘アクションも不要。元スペツナズか何かなのか?

 

作り手の見せたいもの、訴えたいものがバラバラで、ストーリーのテンポもすこぶる悪い。1時間30分が2時間30分に感じられた。C級SFだとは分かっていたが、E Rank とまで予想していなかった。そうそう、本作を鑑賞しようという好事家には原語のロシア語ではなく英語音声をお勧めしておく。

 

総評

古代ローマから現代まで、火星はおそらく太陽、月に次ぐインスピレーションだった。というわけで火星に関する映画も大量に生産されてきた。本作は残念ながら粗製乱造の粗悪品の一つ。ただ、余計なものを取り除いて、光る部分に特化すれば十分に面白くなれる下地はある。ある意味、本作を通じて映画作り、広くは製品やサービスの開発について学ぶことができるのではないだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

forsake

英語タイトルは Forsaken 。ナザレのイエスの最後の言葉とされるエリ・エリ・レマ・サバクタニは英語では My God, my God, why have you forsaken me? と訳される。日本語(新共同訳)では「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」となる。forsakeという語を知っていれば、それだけで英検準1級以上だろう。ちなみにこの動詞は take と同じように、forsake – forsook – forsaken と活用する。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ぼくのお日さま 』
『 破墓 パミョ 』
『 拳と祈り -袴田巖の生涯- 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, E Rank, SF, アレクサンデル・クリコフ, アンドレイ・スモリャコフ, ロシア, 監督:アレクサンデル・クリコフ, 監督:ミハイル・ラスドニコフLeave a Comment on 『 マーズ・コンタクト 』 -アイデアの検証と追求が足りない-

『 赤ずきん 』 -童話の再解釈に失敗-

Posted on 2024年9月7日 by cool-jupiter

赤ずきん 30点
2024年9月2日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:アマンダ・セイフライド ゲイリー・オールドマン
監督:キャサリン・ハードウィック

 

近所のTSUTAYAでパッと目についたんのでレンタル。

あらすじ

ヴァレリー(アマンダ・セイフライド)は、幼馴染のピーターと密かに愛をはぐくんでいた。しかし、母親はヴァレリーのあずかり知らぬところで婚約者を決めてしまう。ピーターを駆け落ちしようとしていた矢先に、ヴァレリーの姉が変死を遂げる。それは、20年間生け贄を捧げることでおとなしくしていた狼によるもので・・・

 

ポジティブ・サイド

てっきりフェミニスト・セオリーによって再解釈された赤ずきんちゃんだと思っていたが、さにあらず。そういう視点で鑑賞すると、狼の正体には決してたどり着けない作りになっている点は良いと思う。

 

ゲイリー・オールドマンはクソ映画に出演することはあっても、彼自身がクソであることはめったにない俳優だなと再確認できた。

 

ネガティブ・サイド

赤ずきん世界の20年後はちょっと離れすぎ。その設定だと赤ずきんは30代前半にならないだろうか。10年後の20代前半で良かっただろうに。

 

赤ずきんというよりも人狼ゲーム(観たことはないが)で、ファンタジー世界と調和したプロットとは感じられなかった。そもそも20年前に狼の腹を裂いたことがあるのなら、なぜに生け贄を捧げるようになったのか。

 

中盤に出てくる狼も、2010年代とはいえ、あまりにもCGのクオリティが低い。これなら『 ネバーエンディング・ストーリー 』のグモルクの方が実在感があったし、恐怖感もあった。

 

ミステリーとしての見せ方も稚拙。「瞳」が重要なヒントになるのだが、だったら観る側にはそれ以前に伏線となるショットをそれなり提供してくれないと。観終わってから、別バージョンのエンディングを観る前に序中盤をザーッと見直したが、そんな前振りは無し。

 

別バージョンのエンディングも正直なところ、うーむ・・・ おとぎ話を伝統的に解釈するか、それとも古典的に解釈するか、というものでしかなかった。 

 

総評

『 アクアマン 』の脚本家とは思えない、かなり暗い話。かといって、ダークファンタジーとして成立しているというわけでもない。アマンダ・セイフライドの超ファンでもない限り、鑑賞する必要はない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

werewolf

ゲームなどでウェアウルフという言葉に接したことのある人もいるはず。狼男と訳されるが、別に狼人間でも問題はない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ポライト・ソサエティ 』
『 エイリアン:ロムルス 』
『 愛に乱暴 』

 

赤ずきん [Blu-ray]

赤ずきん [Blu-ray]

  • アマンダ・サイフリッド
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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, E Rank, アマンダ・セイフライド, アメリカ, ゲイリー・オールドマン, ファンタジー, 監督:キャサリン・ハードウィック, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 赤ずきん 』 -童話の再解釈に失敗-

『 ウィング・ガールズ 米海軍航空隊 』 -似非トップ・ガンの怪作-

Posted on 2024年5月26日 by cool-jupiter

ウィング・ガールズ 米海軍航空隊 25点
2024年5月17日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:スザンナ・ジェーン
監督:アシュリー・L・ギブソン

 

これはもうDVDのカバーだけで借りてしまった。こういうクソ映画確定みたいなものは、ときどき無性に観たくなってしまう。

あらすじ

女性パイロットのみで構成される米海軍所属ウィング・ガールズは、各地の航空ショーで展示飛行を行うことが任務だった。しかし、反米国家の北キヨンが先鋭化、そのミサイルの脅威が米国に迫ったことで、米国は空軍と海軍の合同作戦を立案、ウィング・ガールズを実践投入することになり・・・

 

ポジティブ・サイド

『 トップガンナー 』の超絶低レベルCGよりはマシに戦闘機を描けている。空中戦でもそれなりの戦闘機動を見せてもいる。

 

空軍のF-15と海軍のF-18が同じ空を飛ぶというのは、通常では拝めない光景。それを見れたという点は満足。また戦争のリアルというか、結構意外なキャラが次々に戦死していくのも意外性があって良かった。

 

ネガティブ・サイド

『 トップガン マーヴェリック 』の冒頭でマーヴェリックが Mach 9 の日付のところをコンコンとやるシーンがあるが、同じカレンダーの別の日付のところに実は Air Show という予定もある。おそらく本作はここから着想を得ている。だったら『 トップガン マーヴェリック 』に敬意を払った作りにすれば良いのに、まったくそうなっていない。

 

まずストーリーがめちゃくちゃ。北キヨンに南キヨンにジャフニア?『 トップガン マーヴェリック 』みたいに「ならず者国家」と言ったり、ジャフニアも「同盟国」でええやん。

 

またウィング・ガールズを率いるケイデンが、マーヴェリックのような輝かしい実績も実力も、アイスマンのような後ろ盾もないのに、やたらと命令違反を繰り返すのは何故なのか。こんなん、軍からすれば一発で不名誉除隊になりそうなものだが、

 

肝心のウィング・ガールズのパイロットとしての技量もイマイチ、というかサッパリ。ネタバレになるが、終盤にケイデン以外は次々に撃墜されていく。しかもチャフやフレアをばらまくわけでもなく、バレルロールをするわけでもない。アホかというぐらいに簡単に落とされていく。機動力や推進力では海軍のF-18よりもはるかに優る空軍のF-15相手にトンデモ戦闘機動を披露して、上官から叱責されたウィング・ガールズであるならば、北キヨンの防空識別圏でピート・”マーヴェリック”・ミッチェル大佐も驚くような変態機動でミサイルを次々に回避、しかし敵の圧倒的な物量の前についに一機また一機と落とされていく・・・というプロットでなくてはいけないと思うのだが、どうだろう。

 

最後にようやく空対地ミサイルで敵に一矢報いるが、その爆発が帯状に展開していく。どう見てもミサイルではなく、ボムレット・ディスペンサーではないか。うーむ・・・

 

続編作る気満々の終わり方だが、それをやるなら乗馬だとかソフトボールだとかの、『 トップガン 』への出来損ない的なオマージュは全部排してもらいたい。まあ、そもそも続編自体が具体化するとは思えないが。

 

総評

好事家だけが観るような作品。そのうち「あなたの知らないワゴンセールの世界」さんが取り上げそうな作品だと言えば伝わる人には伝わるだろうか。最近、質の悪い風邪を引いて更新が遅くなり、なおかつ映画も観られていない。しかし、本は何冊か読んだので、健康が回復し次第アップをしていきたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I don’t see why not.

「なぜ not なのか分からない」=「それでいいではないか」という意味。これは今の職場でも何度か聞いたことがある。はじめて聞いたのは20年ぐらい前に『 究極のビジネス英語リスニング Vol.1 』のテキストでだったかな。I agree. と言えばすむ場面で、時々 I don’t see why not. を使ってみようではないか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ミッシング 』
『 関心領域 』
『 バジーノイズ 』

 

ウィング・ガールズ 米海軍航空隊 [DVD]

ウィング・ガールズ 米海軍航空隊 [DVD]

  • スザンナ・ジェーン
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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, アクション, スザンナ・ジェーン, 監督:アシュリー・L・ギブソンLeave a Comment on 『 ウィング・ガールズ 米海軍航空隊 』 -似非トップ・ガンの怪作-

『 変な家 』 -変なストーリー-

Posted on 2024年4月25日 by cool-jupiter

変な家 20点
2024年4月21日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:間宮祥太朗 佐藤二朗 川栄李奈
監督:石川淳一

 

ポイント消費のために鑑賞決定。変な映画だった。

あらすじ

動画配信業の雨宮(間宮祥太朗)はマネージャーから購入予定の一軒家について相談される。間取りに奇妙な点があると感じた雨宮は、ミステリー愛好家の設計士・栗原(佐藤二朗)を尋ねる。雨宮と栗原は様々な仮説を立てていくが・・・

以下、ややネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

YouTuberが話題性を求めて不法侵入やら何やらをするのは、まあ分からんでもない。その話題性を家の不可思議な間取りに求めるのもそれなりに説得力がある。赤穂城や姫路城、彦根城や二条城などを訪れれば、たいていはボランティアのおっちゃんが城郭の防御の仕組みや城内の間取りの糸などを詳しく教えてくれる。城にはパッと見では意味の分からないあれやこれやに意味があるものだ。そうした個人的な経験を下敷きに鑑賞したので、最初の20分程度まではそれなりに楽しめた。

ネガティブ・サイド

原作となった動画や小説は未見だが、この映画と同じくらい ( ゚Д゚)ハァ? という展開の連続なのだろうか。

 

だいたい何故にそんな変な設計図が通るのか。そして、それを業者が素直に作るのか。いや、それもすべて本家の息のかかった設計士や施工業者だったのだと言ってしまえばそれまでだろうが、だったら何故にそんな設計図を残すのか。そして家ごと売りに出してしまうのか。秘密裏に作って秘密裏に壊せばいいだけの話だろう。

 

また佐藤二朗演じる栗原の仮説も道理がまったく通らない。謎の家の間取りを利用して殺人代行をしていたというが、何故に子どもにそんな真似をさせるのか。殺したい相手も大人だったのなら大人がやればいい。それに風呂場で凶行に及ぶというのも合点がいかない。相手が背を向けている状態で風呂の床を抜いて上がり込むというのか。そんな馬鹿な。いや、それ以前に殺人を代行するための家だというのなら、そこに殺したい人間を招く必要がある。ということは住人はターゲットの知り合いか、それ以上の関係性を持っていなければならない。つまり、ターゲットが死んだ時、あるいは行方不明になった時、高確率で警察の捜査の対象になる。そんなアホな殺人代行業が存在していいのか。

 

実はこのあたりから少しうつらうつらしてしまった・・・

 

まあ、他にも都合の良い幻覚剤だったり、他人の家を勝手に盗撮して、しかもそれをどこの馬の骨とも知れない人間にほいほい見せてしまう都合の良い隣人だったりと、デウスエクスマキナを乱用してくれる。そして行き着く先が『 犬鳴村 』的な因習村。どこまでワンパターンなのか。明治時代の呪いを昭和だか平成だかの霊媒師の助言で解こうというところが腑に落ちない。というか、まずはその妾さんを丁重に弔いなさいよ。そのうえで当主自らお供え物や供養の祈りを捧げなさいよ。そのうえで神主あるいは坊主に相談しなさい。それもせず霊媒師にアドバイスを求めるようなメンタリティで、どうやって富を蓄積できるというのか。リアリティがさっぱり感じられないし、呪いに対するアプローチがそもそも的外れだ(その意味で『 リング 』はよくできていたと感じる)。

 

公開から1か月以上経つが、劇場の入りは凄まじかった(その分、ずっと喋り続ける女子中学生ぐらいの集団、スマホをいじり続ける若い女性、いびきをかいて寝る男性など、客層も終わっていたが)。まあ、客層と映画の出来に相関があろうはずもないが、邦画の現状および未来に対して一抹の不安を抱かせる劇場体験だった。

 

総評

端的に言ってクソ映画。原作を散々レ〇プして生まれた作品だろうと感じる。ミステリならミステリ、ホラーならホラーとその特徴を打ち出すべきだが、初っ端からホラー風味→ミステリ風味→ホラー風味→ミステリ風味と行き来するものだからイマイチ物語世界に入っていけなかった。案の定というか、大学の教え子たちと少し雑談する中で「あれ、意味分からないですよね?」と言われ、然りとしか答えられなかった。中高生をビビらせるだけのチンプンカンプン物語がヒットするという邦画の現状は喜ぶべきではなく憂うべきである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Sorry, no lessons. I need to forget about this awful film ASAP.

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 貴公子 』
『 ザ・タワー 』
『 ゴジラxコング 新たなる帝国 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, E Rank, ホラー, ミステリ, 佐藤二朗, 川栄李奈, 日本, 監督:石川淳一, 配給会社:東宝, 間宮祥太朗Leave a Comment on 『 変な家 』 -変なストーリー-

『 プラネット・デューン 砂漠の惑星 』 -低予算映画の極み-

Posted on 2024年2月18日 by cool-jupiter

プラネット・デューン 砂漠の惑星 20点
2024年2月18日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:エミリー・キリアン ショーン・ヤング
監督:グレン・キャンベル タミー・クレイン

先週末はJovianがインフルエンザ、今週末はJovian妻がインフルエンザと、とても映画館に行ける状況ではなかった。近所のTSUTAYAでクーポンを使って、クソ映画と知りつつ、リハビリの意味でレンタル。

 

あらすじ

宇宙船パイロットのアストリッド(エミリー・キリアン)はロシア人宇宙飛行士を救出するが、協定外の行動をとったことにより、懲罰として砂漠の惑星で消息を絶った人員の救出を命じられる。一癖あるクルーたちと共に降り立った惑星には、謎の巨大ワームが生息しており・・・

 

ポジティブ・サイド

『 スター・ウォーズ 』やら『 エイリアン 』やら『 トレマーズ 』やら『 デューン/砂の惑星 』に対するオマージュだけは認める。

 

ネガティブ・サイド

この手の低予算映画にありがちだが、とにかくキャラがのべつ幕無しにしゃべっている。映像やBGMで物語るという頭はないらしい。

 

救出ミッションだというのに、ろくな装備もなく、よくよその惑星に降下できるなと感心する。降りた先でも酸素濃度が10%になったりするが、「高い山の上にいるぐらいだから大丈夫」みたいに言うが、そんな中でよく全力疾走できるなと呆れてしまう。また、同じ環境で酸素濃度が5%にも低下するが、それでもキャラたちは「やばい、脱出しよう」などと言ったりするが、普通に死ぬ酸素量だと思われる。仮にもSF作品なのだから、脚本家には最低限の科学知識が求められる。

 

サンドワームが血液中の鉄分を求めるって、サメかな?というか、どうやって血中のヘモグロビンを検知しているのだ?キャラの女性率が高かったが、まさか全員が都合よく生理中だったとか?んなアホな・・・

 

キャラがまったく深堀されない中で、どんどんとキャラに無理やりなドラマとアクションをくっつけていくので、まったく感情移入できないし、ストーリーにも入っていけない。主人公がとにかく嫌なアメリカ人の典型で、これを好きになれというのは無理な注文だ。90分弱とはいえ、よく sit through できたと自分を褒めたい。

 

総評

OpenAI社の Sora が話題だが、割と近い将来(4~5年後?)には、これぐらいのクオリティの映像作品は大学生たちがパソコンだけで作ってしまうのではないだろうか。その意味ではこういう低予算作品は今後お目にかかれなくなる可能性もある。クソな商業作品を鑑賞するとしたら逆に今しかないのだろうか。そんなことを、ふと考えさせられた作品。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Stay sharp

直訳すると「鋭いままでいなさい」だが、実際は「気を抜くな」「警戒を続けろ」のような感じ。戦争映画や戦争ゲームでよく聞こえてくる気がするが、別に日常生活や職場でも文脈が正しければ使っても大丈夫である。

例)

The deadline is approaching. Stay sharp, everyone.
締め切りが迫ってきている。みんな、気を抜かないように。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 熱のあとに 』
『 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 』
『 夜明けのすべて 』

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プラネット・デューン 砂漠の惑星 [DVD]

プラネット・デューン 砂漠の惑星 [DVD]

  • ショーン・ヤング
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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, E Rank, SF, アメリカ, エミリー・キリアン, ショーン・ヤング, 監督:グレン・キャンベル, 監督:タミー・クレインLeave a Comment on 『 プラネット・デューン 砂漠の惑星 』 -低予算映画の極み-

『 みなに幸あれ 』 -邦画ホラーの珍品-

Posted on 2024年2月4日 by cool-jupiter

みなに幸あれ 20点
2024年2月3日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:古川琴音
監督:下津優太

簡易レビュー。

 

あらすじ

祖父母の家を久しぶりに訪れた看護学生の孫(古川琴音)は、2階の奥の部屋に何かの存在を感じ取る。やがてその存在が姿を現して・・・

 

以下、軽微なネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

登場人物すべてに等しく名前がないというのは印象的だった。『 グレート・インディアン・キッチン 』でもそうだが、そうした設定では主題がよりいっそう抽象的かつ一般的になり、観る側の想像力を喚起する。

ホラーとしては凡百あるいはそれ以下だが、弟の痙攣シーンはなかなかに味わい深かった。

 

ネガティブ・サイド

雰囲気的に『 リゾートバイト 』そっくり。だが『 リゾートバイト 』が先行ホラーのモチーフに加えてオリジナルのアイデアを盛り込んでいたのに比較すると、本作は先行ホラーのオマージュで終わってしまったという印象。というか、ホラーですらない。

 

冒頭の回想シーンの引きは思いっきり『 アス 』の少女が暗闇で息をのむシーンのパクリ。その後も『 ヘレディタリー/継承 』や『 ミッドサマー 』を思わせるシーンに、Jホラー降霊の暗い廊下に立つ人影など、雰囲気だけは怖いけれど、その実、何も怖くないシーンが続く。監禁老人の存在はまだしも、祖父母の奇行がギャグにしか見えない。

 

自家製味噌とか、想像力を刺激して恐怖心を呼び起こすガジェットは無数にあったのに、それらをまったく有効活用できていなかった。看護師=患者の存在を前提に成り立つ職業という、主人公のアイデンティティを揺るがすような展開もなし。脚本段階で色々と破綻していたか、あるいは編集が下手くそだったか。まあ、その両方だろう。

 

総評

個人的に期待していた映画で、あらすじもトレーラーも何も目にせず臨んで大失敗。総じて大学の映画同好会レベルの作品。本作をお勧めできるのは、珍品が好きだという一部も好事家だけだと思われる。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Sorry, no lessons. I need to forget about this movie right now.

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・ガーディアン 守護者 』
『 哀れなるものたち』
『 熱のあとに 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, E Rank, ホラー, 古川琴音, 日本, 監督:下津優太, 配給会社:KADOKAWALeave a Comment on 『 みなに幸あれ 』 -邦画ホラーの珍品-

『 怪物の木こり 』 -全体的に低調なエンタメ-

Posted on 2024年1月7日 by cool-jupiter

怪物の木こり 20点
2024年1月4日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:亀梨和也
監督:三池崇史

2024年の一本目は昨年に見そびれた本作をチョイス。貯まっているポイントを使用すべきだった。

 

あらすじ

サイコパス弁護士の二宮(亀梨和也)は、怪物の木こりに扮した正体不明の連続殺人鬼に襲われる。かろうじて命拾いした二宮だったが、殺人鬼が襲ってきた人間にはある共通点があり・・・

ポジティブ・サイド

序盤に問答無用で男を殺害する亀梨、さらに噴水のごとく飛び出る血液に驚き。「いやいや、血液はそんなにビチャビチャではないやろ」と思いつつ、「でも一定時間逆さまにされ限界まで血液が上半身に集まってたらこれぐらい行くか?」と思考も軌道修正。邦画には珍しい、血みどろの物語へ期待が高まった。

サイコパスは業か否かという命題に一つの答えを提示しようという意気込みは評価したい。これは原作小説の作者に向けるべき賛辞か。原作を読んでいないので、本作がどれだけ原作に忠実なのかそうではないのかは分からない。

 

ネガティブ・サイド

まずサイコパスの描き方が残念。監修が中野信子で、この御仁は基本的に TV professor なので専門家ではあっても信用度は高くない。まあ、最終的には脚本家や演出した監督、さらには編集の責に着せられるべきなのだろうが、二宮という弁護士のサイコパシーなところが全然描写されない。無表情に人を傷つけるぐらいで、サイコパスのごく一部の側面しか見せていない。もっと弁護士としての頭脳明晰さや弁舌の上手さを見せたり、クライアントの心を掴むような描写がないと、キャラクターとしての深みが生まれない。

そもそも何故に婚約者の父親を殺す必要があるのか。普通に仕事に励んでいれば事務所を継ぐことができるはず。その理由も「サイコパスだから」というのは描写としては乱暴極まりない。

また脳チップというガジェットもつまらない。いや、つまらないというよりも説得力がない。あんな軽い衝撃で壊れる代物なら、それこそサッカーのヘディングでも壊れるだろうし、レントゲンやCTの放射線でも壊れそう。脳チップが埋め込まれているからサイコパスになるということに説得力がないし、脳チップが壊れたからサイコパスじゃなくなりました、というのも説得力がない。これではストーリーが面白くなるはずがない。

アクションシーンも細かいカットの連続で緊張感が生まれていない。襲撃シーンをもっと緊迫感あるものにするために一回ぐらいはロングのワンカットを入れるべきだった。

そもそもキャラが色々としゃべりすぎ。「猫はもう飽きたんだよね」などはその最たるもの。最後の犯人の語りも回想や目線、表情を駆使すればセリフは半分に減らせたはず。説明しないと観る側が分からないだろうと思っているのだろうか。本当ならそれなりに感動的なシーンになるのだろうが、冗長さが勝ってしまった。

最後の疑問は絵本。これは浦沢直樹の某漫画の中の絵本のパクリ・・・?

 

総評

2023年の映画なので今年のクソ映画オブ・ザ・イヤーの候補とはならないが、それでもこの低クオリティは鑑賞するのがしんどい。残念ながら『 一命 』以降の三池崇史は、それ以前の三池崇史ではない。韓国がリメイクしてくれれば(『 殺人鬼から逃げる夜 』+『 最後まで行く 』)÷2的な作品になりそう。日本はサイコサスペンスでは残念ながら韓国にはもう勝てない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

psyche

サイコパスのサイコ=psycoの名詞。哲学に造詣がある向きならプシュケーだと言えば通じるだろう。意味は精神、心理。The major earthquake left a significant impact on the Japanese psyche. =「大地震は日本人の精神に多大な影響を残した」のように使う。英検準1級以上を目指すなら知っておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 コンクリート・ユートピア 』
『 雑魚どもよ、大志を抱け! 』
『 ゴーストワールド 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, E Rank, サスペンス, スリラー, 亀梨和也, 日本, 監督:三池崇史, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 怪物の木こり 』 -全体的に低調なエンタメ-

『 INFINI インフィニ 』 -古今のSFとホラーのパッチワーク-

Posted on 2023年11月18日 by cool-jupiter

INFINI インフィニ 30点
2023年11月16日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ダニエル・マクファーソン
監督:シェーン・アベス

 

近所のTSUTAYAで、いかにもC級SFという本作を見かけて、ついつい借りてしまった。予想通り、オリジナリティの欠片もない作品だった。

あらすじ

23世紀。地球は荒廃し、人口の95%は貧困層になり、スリップストリームという瞬間移動技術によって他の惑星に趣き、過酷な環境で働くことを余儀なくされていた。ある時、辺境の惑星でウイット・カーマイケル(ダニエル・マクファーソン)を残して部隊が全滅。スリップストリームで救助に向かった部隊が目にしたのは、奇妙な死体の数々だった・・・

 

ポジティブ・サイド

特殊メイクは結構頑張っている。血と汗と油と埃にまみれた男たちの姿が印象的だった。役者が発狂するシーンが多く、まるで韓国映画のよう。これは褒めている。オーストラリア人の演技へのアプローチはハリウッドとはちょっと異なっているようで、そこが面白い。

 

オーストラリアは元々はイギリスの流刑地だったという歴史を背景に本作を鑑賞すれば、流れ着いた先がどこであれ、そこで逞しく生きていくというオーストラリア人の矜持が見て取れる。

 

ネガティブ・サイド

まるで古今東西のSFスリラーのごった煮的な作品。約2時間の作品だが、体感ではその半分近くのシーンで「ああ、これ〇〇で観たわ」と感じてしまった。本格的なSF映画ファンなら、本作の7~8割のシーンに既視感を覚えるのではないだろうか。

 

パッと思い浮かぶのは『 エイリアン 』に『 遊星からの物体X 』。体内から何かが出てきたことを思わせる遺体となると、どうしても思い起こさずにはいられない。スリップストリームのアイデアは『 スタートレック 』の転送装置そのまんま。そしてスリップストリームする際に生じる顔面ブルブルは『 マトリックス 』から借りてきた演出。終盤の映像と展開も『 アビス 』と『 スフィア 』とそっくり。他にも『 サンシャイン2057 』や『 イベント・ホライゾン 』、また数多くのゾンビ映画、ウィルス蔓延型パニック映画のタイトルがたくさん脳裏に浮かんできた。とてもオマージュでは済まされない量で、正直なところ中盤以降はかなり眠気と格闘していた。

 

総評

典型的な a rainy day DVD だろうか。配信サービスで無料だったら、手持ち無沙汰の雨の日にのんびり鑑賞するぐらいがちょうどいい。そのうちあなたの知らないワゴンセールの世界様で紹介されるのではないだろうかと予測している。つまりはそういう作品であるということである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Identify yourself.

しばしば Who are you? とセットで発話される。主に軍人さんが使うイメージ。直訳すれば「自分の身元を明らかにしろ」ということだが、これに対する反応はほとんどの場合、名前、所属部隊、階級であることが多い。映画だと他には警察が使うぐらいか。しかし、ほとんどの場合は軍人が使うと思っていい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 月 』
『 デシベル 』
『 花腐し 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, E Rank, SF, オーストラリア, シェーン・アベス, ダニエル・マクファーソン, 配給会社:カルチュア・パブリッシャーズLeave a Comment on 『 INFINI インフィニ 』 -古今のSFとホラーのパッチワーク-

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