Skip to content

英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

  • Contact
  • Privacy Policy
  • 自己紹介 / About me

タグ: C Rank

『 目撃者 』 -韓流サスペンスの常道-

Posted on 2021年11月1日 by cool-jupiter

目撃者 65点
2021年10月29日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:イ・ソンミン キム・サンホ クァク・シヤン
監督:チョ・ギュジャン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211101010128j:plain

『 ビースト 』のイ・ソンミンの迫力に気圧されてしまい、もう一度彼を見てみたいと思い、近所のTSUTAYAでレンタル。終盤のプロットに納得がいかないものの、韓国人俳優たちの演技力の高さ、映画人の問題意識の高さが垣間見える一本であった。

 

あらすじ

妻と娘と共に新居のマンションへと移り住んだサラリーマンのサンフン(イ・ソンミン)は、ある夜泥酔した帰宅した。深夜2時、女性の助けを求める声を聴いたサンフンはベランダから殺人現場を目撃してしまう。そして殺人鬼は上を見上げ、サンフンの部屋に明かりがついていることを確認して・・・

 

ポジティブ・サイド

まず大前提として、日本の警察と韓国の警察は違うのだ、ということを認識しておく必要がある。いや、市民の警察に対する信頼度の違いと言うべきか。普通の感覚なら「さっさと110番通報しろ」ということになるが、韓国映画における警察とは無能の象徴である。まったく頼りにならない。そのことが分かっているかどうかで、本作の感想は大きく異なる。本項は、韓国警察=無能という前提に立てる人向けのレビューとなる。

 

まず冒頭のサンフンの仕事っぷりからして小市民である。保険会社の調査員であるが、すべてが事なかれ主義である。こうした姿に「何だこいつは!」と義憤を募らせるか、「ああ、俺も実はこんな風に仕事してるわ」と思えるかで、またもや本作のイメージはがらりと変わる。もちろん、本項は後者向けのレビューである。

 

殺人の現場を目撃してしまう。そして、自分がそれを目撃したということを相手にも知られてしまう。それによって次なるターゲットが自分になってしまう。それは恐怖である。しかし、もっと恐ろしいのは、殺人鬼のターゲットが自分の家族にまで及ぶことだ。本当ならサンフンは妻に告げるべきなのだが、そのこと自体が妻に恐怖を与えるし、また妻がそれによって用心した行動を取っていることが殺人鬼にばれてしまえば、妻や娘に対する危険度が逆に上がってしまう。ここまでのサンフンの苦悩が言葉ではなく、表情と動き、ちょっとした仕草で伝えられる。素晴らしい演技力であり、演出である。そそっかしい人なら、「なにやってんだ、このオッサン」と感じるかもしれないが、本項は visual storytelling を解する人向けである。

 

殺人鬼が神出鬼没で、犯行の動機も何もかもが不明。サンフン以外の目撃者を始末していく。またサンフンとその家族に対してもその毒牙を向けようと動いていく。そこで『 焼肉ドラゴン 』のキム・サンホが人情味あふれる刑事として事件を捜査していく。警察=無能という図式は維持しつつ、そうした組織で奮闘する個人は別。こうしたキャラに感情移入できる中年男性は多いのではないか。この刑事の機転の利いた捜査方法から事態が思わぬ方向へ発展し、無理なくアクションシーンを挿入することにも成功している。この脚本家はなかなかの手練れである。

 

『 殺人鬼から逃げる夜 』ほどではないが、本作も走る走る。また、『 ほえる犬は噛まない 』や『 はちどり 』と同じく、巨大集合住宅における人間関係の希薄化を浮き彫りにした作品である。本作と相性が良いと感じた人はぜひ鑑賞されたし。

 

ネガティブ・サイド

 

以下、ネタバレあり

 

やはり最後の最後に、サンフンが直接殺人鬼と「ケリをつける」という展開は無理がある。殺人鬼を追撃するというのは『 チェイサー 』的だが、あちらは元刑事、こちらは保険会社員。バックグラウンドが違いすぎる。散々追いかけてきた相手を積極的に追うのではなく、もっと不自然さを感じさせない方法でサンフンと殺人鬼を対峙させるプロットはなかったか。

 

マンションの自治会会長的な女性の最後の言葉もおかしい。サンフン一家が売り払って引っ越ししていくマンションを「4億ウォン以下で売らないで」と言ってくる。マンション相場の維持に躍起なのだろうが、目と鼻の先で大規模土砂災害が起きてしまうマンションが、価格を維持できるわけがない。長期的には分からないが、少なくとも短期的な値崩れはどうしようもないし、それをサンフンに転嫁しようとするこのオバちゃんの言動は不可解の一語に尽きる。

 

総評

実に韓国らしい映画。謎の殺人鬼。小市民の主人公。役立たずの警察。それでいてサスペンスは抜群で、社会的なメッセージもズバリと発してくる。Jovianもマンション住まいだが、本作の最後のシーンにはゾクリとさせられた。韓国のみならず、世界の多くの都市部に共通する人間関係の希薄化の怖さの一面を感じさせられた。イ・ソンミンのカメレオン俳優っぷりを堪能されたい向きはぜひ鑑賞を。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

witness

「目撃者」という名詞、「目撃する」という動詞、どちらにも使える。英検1級を目指す人なら、bear withness to ~ という成句を覚えておきたい。「~を証言する」「~証明する」という意味である。Many trophies bear witness to his achievements. = 多くのトロフィーが彼の実績を証明している、のように使う。 

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村   

Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, イ・ソンミン, キム・サンホ, クァク・シヤン, サスペンス, 監督:チョ・ギュジャン, 配給会社:ギャガ, 韓国Leave a Comment on 『 目撃者 』 -韓流サスペンスの常道-

『 メインストリーム 』 -その「いいね」は誰のもの?-

Posted on 2021年10月10日 by cool-jupiter

メインストリーム 60点
2021年10月9日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:アンドリュー・ガーフィールド ホーク・マヤ ナット・ウルフ
監督:ジア・コッポラ

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211010225207j:plain

『 沈黙 サイレンス 』や『 ハクソー・リッジ 』のアンドリュー・ガーフィールドが出演していて、コッポラ御大の孫娘が監督。それだけで観てみようという気になる。というわけで人混みを避けてレイトショーへ。

 

あらすじ

バーテンダーをしながらアート製作を志すフランキー(ホーク・マヤ)は、ある日、リンク(アンドリュー・ガーフィールド)という不思議なメッセージを発する青年と出会う。彼を撮った動画をYouTubeにアップしたところ、普段の自分の動画とは違い、バズることに。ライター志望でバーでの仕事仲間のジェイク(ナット・ウルフ)も誘い、フランキーはリンクと共にYouTube動画を作成し、リンクはノーワン・スペシャルとして人気を博していくが・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211010225227j:plain

ポジティブ・サイド

このフランキーという主人公の女性は、現代の典型的な鬱屈した若者像であり、なおかつジア・コッポラ監督自身の投影でもあるのだろう。映像作家を志す若い女性が「これだ!」という男性素材に出会うという点で『 サマーフィルムにのって 』にそっくりだが、フランキーが目指すのは映画ではなくYouTube動画。YouTube動画を作ることをテーマにした映画という意味で、なかなかメタでシュールな作品である。

 

多くの人間が成功を夢見ながら、諦めたり去って行ったりするのがLAという都市の常。そのことは『 ラ・ラ・ランド 』から良く分かる。また仮に売れたとしても、売れ続けられる保証はない。それも『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 』で描き出されていた。またLAという娯楽産業には裏の顔があり、裏のシステムがあるということは『 アンダー・ザ・シルバーレイク 』が寓話的に暴き出していた。本作はそうしたLAの固有性を背景にして鑑賞する必要がある。

 

一方で、フランキーがプッシュするリンクは何の代わり映えもしないセレブ系YouTuberだが、とあるインフルエンサーとのコラボ動画がバズったことでYouTuber界隈のプロデューサーと契約することになる。そこからブレイクを果たしたリンクたちだが、その過程で大問題を起こしてしまい・・・というのは、実際にありそうな事柄に思える。ペテン師メンタリストのDaiGoの「生活保護受給者は無視しろ、猫の命の方が大事だ」というメッセージおよびそれが巻き起こした動乱と、本質的には同じ流れが本作でも展開される。

 

このあたりはSNSを盛んにやる人は、自分に置き換えて考えてみても面白いだろう。あるいは最近話題になったYahooからヤフコメ民への「誹謗中傷はやめて」というお願い、あるいは自民党の高市早苗が自身の支持者に対して「総裁選の他候補への誹謗中傷はやめて」というお願いに通じるものがある。それらを受けて当事者らはどう反応したか。自分に関係のない事柄をさも自分のコンテンツであるかのように振る舞い、自分そのものがコンテンツである事柄には、さも無関係であるかのように振る舞ったのである。「高市さんも変な支持者がいて大変ですね」と言っているアカウントが、SNS上でとんでもない毒をばらまいていたりしたわけである。

 

本作でリンクが引き起こす騒動とその顛末の本質は、メインストリームというタイトルそのものに意味が込められているように思う。結局のところ、現代の、特にSNS上には、個人としての意見や主張などは存在しえないのかもしれない。あるのは、以下のメインストリームに迎合するかだけ。作家の八切止夫は「人間関係は一にかかっていかに相手を誤解させるか」と喝破した。合成あるいは編集したセルフィーをアップする。それはメインストリームに対するアピールに他ならない。本作の最後のリンクをアピールを聞いて、どう思うか。どう思ったところで、そのコンテンツを消費してしまったあなたは、もはやメインストリームの一部なのだ。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211010225243j:plain

ネガティブ・サイド

フランキーの満たされなさ、没個性さの描写が足りない。どんなアートを志向していて、どんな映像芸術をこれまでにYouTubeに公開して、どんな反響を得たのか、あるいは得られなかったのか。そのあたりの描写がわずかしかないため、リンクという素材との出会いのインパクトが弱くなっている。

 

そのリンクの思考や行動の原理の描写も弱い。フランキーとの3度目の出会いで彼女のスマホを奪い「他人から承認してもらうのが望みか」と問いかけるまで、彼の言動には思想がない。あるとすれば「スマホを持たない」ということぐらい。スマホを持たないことでスローライフを謳歌している、あるいは人間関係を非常に充実したもの、ストレスフリーなものにしているのであれば、まだ分かる。実際のところは定職を持たない変な奴である。もっとリンクを謎めいた、それでいて理知的な男には描けなかったか。

 

フランキーとリンクのロマンスにも必然性が感じられない。元々はジェイクと付き合っていたフランキーが、不意にリンクと関係を持ってしまう。その方が3人組の崩壊にもドラマ性が生まれるし、リンクというキャラが見せる落差も大きくなる。また、リンク=ノーワン・スペシャルという一種の怪物がだんだんとコントロールできなくなっていったのは、彼自身に原因があるというよりも、バックヤードでオペレーションをしているフランキーやジェイクの非であるとした方が、SNSと対比されるリアルの人間関係の生々しさがより際立ったと思う。

 

総評

普通に面白い作品。ただ、それはこの作品と鑑賞者の間にどれくらいの距離があるのかによるだろう。スマホやSNSに依存した生活を送っている若者であれば、チンプンカンプンかもしれない。逆に、彼ら彼女らの親ぐらいの世代であれば、本作の放つメッセージを読み取る(≠受け取る)ことは容易なのかもしれない。承認欲求とは、承認されたいという思い以上に、承認されることが可能なシステムへの参入の意志なのだ。10代20代よりも、40代50代が観るべき(少なくとも日本では)作品であるように思う。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

esteem-needs

「承認欲求」または「承認の欲求」と訳されることが多い。近年の日本で急激に人口に膾炙するようになった言葉だが、それだけ他者からの承認欲求に飢えているのだろう。Jovian自身はこの言葉を看護学校時代にマズロー心理学を学んだ際に知った。現代の承認欲求はヘーゲルやマズローの言う”承認”とはかなり意味がずれてきているように思えてならない。他者と承認の関係について考察を深めたいという向きには、Jovianの同級生が上梓した『 ヘーゲルの実践哲学構想 』をどうぞ。

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村   

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, アンドリュー・ガーフィールド, サスペンス, ナット・ウルフ, ホーク・マヤ, 監督:ジア・コッポラ, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 メインストリーム 』 -その「いいね」は誰のもの?-

『 死体が消えた夜 』 -もう少し演出に工夫を-

Posted on 2021年9月25日2021年9月25日 by cool-jupiter

死体が消えた夜 60点
2021年9月21日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:キム・ガンウ キム・サンギョン キム・ヒエ
監督:イ・チャンヒ

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210925191841j:plain

大学が開講したことの目まぐるしさから一時の逃避を求めてTSUTAYAへ。

あらすじ

大学教授のジンハン(キム・ガンウ)は教え子の学生と不倫、彼女は妊娠した。ジンハンは開発中の新薬で妻を殺害し、彼女は病死とされた。しかし、ジンハンの元に「遺体が消えた」との連絡が入る。誰かが妻の遺体を運び出したのか、それとも妻は死んでいなかったのか・・・

 

ポジティブ・サイド

ミステリなのか、それともオカルトなのか、ということをはっきりさせないことで、これは一体なんなのかと観る側を疑心暗鬼にさせる。なかなかに良い雰囲気。

 

妻を見事に片づけたことに安堵しているジンハンから色々と事情聴取をする刑事ジュンシクが型破りだ。署の駐車場に車を停めるのに、車の後部をぶつける事故を起こしたり、上梓である署長の携帯番号を「クソ署長」で登録していたりと、なかなかに型破り。

 

タイトルが『 死体が消えた夜 』なので、この取調室の一夜をスーパーナチュラル・スリラーっぽい要素を交えてネットリと描き出すのかと思ったら、さにあらず。ストーリーは思わぬ方向へ進み、最後にはすべてのピースがパズルのごとくピタリとはまった。韓国映画らしいエンタメ要素と社会的メッセージの両方が備わった佳作である。

 

ネガティブ・サイド

電話のシーンは不要である。こうした場合、通話先の相手の様子は見せる必要はない。ミスリードしたいのだろうが、それなら声だけでよかったのではないか。

 

色々な工夫が凝らされていはいるものの「そんなもん、どこで手に入れた?」というアイテムや、「その場しのぎにはなっても、長くは通用しないだろう」という手がバンバン使われている。急速展開と役者の演技でギリギリもたせているものの、論理的にはかなり破綻したストーリーと言わざるを得ない。

 

総評

韓国映画らしい社会の上層と下層の対比が映える。弱点も多い作品だが、長所がそれらを上回る。イ・チャンヒ監督はラブコメの『 あなたの彼女 』を2019年に公開しており、この時点では無名の監督。それでも無名監督らしい「俺はこういうストーリーを描きたいんだ」の一点突破で成立している作品である。ホラーは無理、オカルトなら何とか、ミステリやサスペンスなら全然大丈夫、という人は本作をどうぞ。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ソンセンニム

「先生」の意。先生=センセイは、確かにソンセンという音に近い。ニムの意味は『 悪人伝 』でも触れたが、韓国はとにかく目上には様をつける。先生様や社長様、会長様など、とにかく相手を敬うときには様=ニムなのである。

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村   

Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, キム・ガンウ, キム・サンギョン, キム・ヒエ, スリラー, 監督:イ・チャンヒ, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 死体が消えた夜 』 -もう少し演出に工夫を-

『 モンタナの目撃者 』 -山火事と暗殺者から逃れられるか-

Posted on 2021年9月12日 by cool-jupiter

モンタナの目撃者 65点
2021年9月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:アンジェリーナ・ジョリー フィン・リトル ジョン・バーンサル エイダン・ギレン ニコラス・ホルト
監督:テイラー・シェリダン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210912151400j:plain

テイラー・シェリダン監督の最新作。アメリカの大自然とアメリカ社会の闇の両面を描くという点で『 ウインド・リバー 』の同工異曲だが、クオリティはそこまで及んではいなかった。だからといってホームランと比べると2塁打は確かに劣るが、凡退やシングルヒットよりも全然良い。

あらすじ

森林局のパラシュート隊員であるハンナ(アンジェリーナ・ジョリー)は、過去の消防活動からトラウマを抱えていた。そんな中、小川のほとりでコナー(フィン・リトル)と出くわす。コナーの父が恐るべき陰謀に巻き込まれたことを知ったハンナはコナーを助けると決意する。しかし、そこには追手と彼らが放った火によって起きた森林火災が迫って・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210912151415j:plain

ポジティブ・サイド

アメリカの雄大な自然の森や山々が活写されると共に、それが牙を剥いてきた時の恐ろしさも真正面から捉えられている。山火事の炎は言うに及ばず、雷の恐怖もなかなかのもの。序盤に新人たちの入隊セレモニーが行われているそばで飲んだくれながら、F-words連発で下世話なトークを繰り広げるハンナとその仲間たちに「こいつらが消防隊員で本当に大丈夫か?」と思ったが、実際はこれぐらい図太さと豪胆さがなければ大自然の脅威には立ち向かえないということがよく分かった。

かといってハンナは単に口が悪い、頭のねじが外れた消防士ではない。過去のトラウマに今も苛まれている。そんな彼女がコナーと巡り合うことで、過去のトラウマに決着をつけられる機会を図らずも手に入れる。序盤、いきなり住宅が吹っ飛ばされ、それをニュースで知った男性が息子を連れて逃走するシーンは観る側を置いてけぼりにするが、それを追撃してくる暗殺者ふたりの奇妙なバディっぷりが不気味さを倍増させる。

あるサバイバルスクールで文字通りに役者が揃い、ハンナとコナー、ハンナの元恋人で地元の保安官とその妻、そして山火事の猛威の三つ巴の戦いはまさに手に汗握る展開。「殺される」と感じた瞬間からの逆転や、「勝った」と確信した瞬間からの再逆転など、とことんまでサスペンスを追求した作りに100分という上映時間をもっと短く感じた。

エイダン・ギレンとニコラス・ホルトの暗殺者二人組の容赦のない仕事ぶりと、それゆえの倒され方には納得。ジョン・バーンサルの保安官役も板についていた。子役のフィン・リトルの演技力も堂に入っている。涙を流すのではなく、父の遺志を継いで涙を必死にこらえる姿には脱帽。演出家や演技指導者の腕が良いのか、この子の訳とシーンの解釈が素晴らしいのか。最後にアンジェリーナ・ジョリーを称えないわけにはいかない。豪快さと繊細さ、力強さと優しさの両方を備えている。父子家庭で育ったと思しきコナーが父を失くしたからといって、安易に母親的な存在になろうともしない。相手を子どもではなく一人の人間として、まっすぐに目と目を合わせて話をする。ルックスでデビューして、加齢とともに消えていくどこかの国のアイドル卒の女優たちには、アンジェリーナ・ジョリーの出演作品を10回以上見せてやりたいと思う。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210912151429j:plain

ネガティブ・サイド

コナーが仔馬と交流するシーンが冒頭近くにあるが、これは何だったのだろう。てっきり終盤に森林の中で馬と出会い、動物と心通わせる力でもって、窮地を脱するのかと思ったらさにあらず。

バーンサルの上官が自身の妻からの電話応答を”Absolutely not.”といって断るシーンは必要だったか。これをやってしまうとそそっかしい人は「保安官は職務中は家族からの電話にも出ないのだな」と思ってしまう。ここは逆に電話に出て、保安官同士で使う隠語で妻に言葉をかけるぐらいが望ましかった。

不満を言わせてもらえば、落雷する平原を駆け抜ける際のハンナの指示にプロフェッショナリズムがもっとあれば良かった。いつ落雷するか分からないような超危険地帯では、雷しゃがみが鉄則。「こんな風にしゃがむのよ」的なことを言っていたが、こここそ「手を地面につかない」とか「かかとを浮かせる」といったことを復唱させる場面であると感じた。

あとは映画そのものの出来とは関係ないが、これまたトレイラーがほとんど全部のプロットを明かしてしまっている。できるだけトレイラーを見ずに臨むのが吉である。

総評

炎の熱がスクリーン越しにこちらに伝わってくるようなヒリヒリ感に満ちた作品である。自然の脅威と人間の追撃者の両方を扱った作品としては『 ローグ 』以上のサスペンスとアクションに満ちている。アンジェリーナ・ジョリーの迫真の演技とテイラー・シェリダンの描く極限的な状況がハイレベルで融合した佳作である。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

read 

「読む」の意。通常は文字を読むのに使われる表現だが、日本語動揺に実は守備範囲が非常に広い動詞である。

lipreading = 読唇術
mind reading = 読心術
palm reading = 手相見
card reading = カードの読み取り(クレジットカードからタロットカードまで)

劇中では read the wind wrong =「風を読み違えた」という表現が出てきたが、ここまでくれば wind reading = 風読みも、ゴルフをたしなむ人なら分かるだろう。もっと一般的なところでは、正月に凧を揚げる時にどこに注目するかを思い浮かべればいい。それが風読みである。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 
Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, アンジェリーナ・ジョリー, エイダン・ギレン, ジョン・バーンサル, スリラー, ニコラス・ホルト, フィン・リトル, 監督:テイラー・シェリダン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 モンタナの目撃者 』 -山火事と暗殺者から逃れられるか-

『 シャン・チー テン・リングスの伝説 』 -MCU新フェイズの幕開け-

Posted on 2021年9月11日 by cool-jupiter

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210911214330j:plain

シャンチー テン・リングスの伝説 65点
2021年9月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:シム・リウ オークワフィナ ミシェル・ヨー トニー・レオン
監督:デスティン・ダニエル・クレットン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210911214346j:plain

『 ブラック・ウィドウ 』に続く Marvel Cinematic Universe の新フェイズ。明らかに中国市場を意識した作りになっているが、諸事情あって肝腎の中国では上映されないとか。なかなかの力作だけに実にもったいないと思う。

 

あらすじ

ホテルの駐車係のショーン(シム・リウ)は親友のケイティ(オークワフィナ)との出勤途中のバスで、片腕が剣になっている男に襲われる。ショーンは自らの秘めた力で応戦するが、それは彼の父の組織「テン・リングス」との闘いの幕開けだった・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210911214403j:plain

ポジティブ・サイド

冒頭からトニー・レオンが荒ぶる。テン・リングスという、まさに仙術武具とも言うべき武器の威力を見せつける。元ネタはやはり乾坤圏なのだろうか。非常にアジア的で、MCUの新フェイズを強く印象付ける。最初から最後まで悪役なのだが、MCUにちらほら出てくる小物的な悪ではなく、カリスマ的な悪のオーラを放っている。それもこれも愛する妻のためだというのが、陳腐ながら説得力あり。

 

ショーンことシャン・チーの実力発揮までも簡潔でよろしい。オークワフィナ演じるケイティとのバディっぷりを見せながら、バスの中でのいきなり格闘戦の始まりまでに無駄がない。アクロバティックな体術ながら、確かにこれなら鍛錬を極限まで積んだ人間なら出来そうなムーブで敵モブを蹴散らすのは爽快だった。ブルース・リーやジャッキー・チェンなら実際にできただろう。シム・リウには悪いが、彼らの顔を思い浮かべながら楽しませてもらった。

 

妹シャーリンとの再会と共闘もどこか『 フェアウェル 』的で、中国を市場として大いに意識しつつも、西洋文化に回収してやろうという意識を読み取れないでもない。シャン・チーとシャーリンの叔母にミシェル・ヨーがキャスティングされているのはその表れだろうと思う。CGとスタントダブル全開ながら、そのミシェル・ヨーもアクションで魅せる。とにかく一時期のWWEかと思うほど、ストーリーの緩急の緩に差し掛かると、無理やりにバトルである。ここまで開き直った作りは嫌いではない。

 

クライマックスのシャン・チー勢力 vs 父率いるテン・リングスの激突に第三勢力の登場、そしてスペクタクル満載のフィナーレへ。深く考えてはならない。『 ゴジラ FINAL WARS 』のようなものだと思うべし。人間同士のバトルと、怪物同士のバトル。つまりは派手なお祭りである。祭りなら楽しんだ者の勝ちである。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210911214418j:plain

ネガティブ・サイド

さすがにMCU映画も作りすぎてしまったか、映像やアクション面で新境地は少しは開かれているものの、構図がどれも似たり寄ったりになっていると感じる。バス車内でのバトルは『 デッドプール 』の乗用車内でのバトルを彷彿させるし、家族内の争いがそのまま世界の命運につながってしまうというのは、まんま『 ブラック・ウィドウ 』である。建設中のビルの足場でのバトルは残念ながら『 ザ・ファブル 殺さない殺し屋 』の方が先に映像化および公開をしてしまった。

ラストのバトルも、後から思い起こすと『 千と千尋の神隠し 』+『 モンスターハンター 』+『 アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 』の足し算に見えてしまった。パッと見には真新しく見えるけれど、実は古い革袋に新しい酒ならぬ、新しい革袋に古い酒になっている。

 

未見だが、ディズニーの実写『 ムーラン 』もこんな感じなのだろうか。アジアのスーパーヒーローのMCU参戦は大歓迎だが、シャン・チーが『 ドクター・ストレンジ 』のエンシェント・ワン並みにユニークな闘い方の特徴を今後見せられるかが少し不安になってしまった。

 

総評

往年のブルース・リーの名作の数々から『 ベスト・キッド 』までの流れを汲みつつも、『 クレイジー・リッチ! 』や『 フェアウェル 』のような家族ドラマの要素も強い。アクション全開かつ満載で、何も考えなければ一気に最後までノッて行けるが、「どっかで観た構図だな、これ」とか考え出すとドツボにはまる。『 ドラゴンボール超 』のアニメ映画を観るつもりで鑑賞すべきだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

90% confident

劇中で「90%自信がある」というふうに使われていた。ここで知っておいてほしいと思うのは、【 数字+(単位)+形容詞 】という構造。最も一般的なのは I am 20 years old. や She is 155 centimeters tall. のような使い方だろう。ところがどういうわけか英会話スクール講師(日本人)の中にすら、Your student, 〇〇 san, will be late for 10 minutes. のような文章をメモやメールで使う者が多い。正しくは、〇〇 san will be 10 minutes late. である。ちなみにJovianの前の職場の日本人英会話講師は全員 late for 10 minutes を正しい英語だと判断する困った方々であった。

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村   

Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アクション, アメリカ, オークワフィナ, シム・リウ, トニー・レオン, ミシェル・ヨー, 監督:デスティン・ダニエル・クレットン, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 シャン・チー テン・リングスの伝説 』 -MCU新フェイズの幕開け-

『 オールド 』 -時間スリラーの不発作(シャマラン基準)-

Posted on 2021年8月30日 by cool-jupiter

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210830001236j:plain

オールド 60点
2021年8月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル ヴィッキー・クリープス アレックス・ウルフ トマシン・マッケンジー 
監督:M・ナイト・シャマラン

 

その名前だけでチケット購入が決定する監督は何人かいる。シャマランはその一人である

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210830001309j:plain

あらすじ

ガイ(ガエル・ガルシア・ベルナル)とプリスカ(ヴィッキー・クリープス)の夫妻は、子どもたちをバカンスに連れてきていた。リゾート・ホテルからプライベートビーチを案内された一家はもう一組の家族と共にそこへ向かう。美しいビーチで過ごす彼らは、しかし、そこで女性の水死体を発見する。さらに、自分たちの子どもたちが異様な速度で成長していることまで分かり・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210830001334j:plain

ポジティブ・サイド

冒頭でM・ナイト・シャマランから直々にオーディエンスにメッセージがある。シャマランと家ば・・・ではなく言えば、『 ヴィジット 』、そして『 ミスター・ガラス 』を作る際に、自分の家を抵当に入れて資金を捻出したことが知られている。そんな彼がコロナ禍において映画を劇場で公開できることを心から喜んでいることが伝わってくる映像だ。『 パラサイト 半地下の家族 』でもポン・ジュノが映像を冒頭に挟んでいたが、こうした試みはもっと多くの監督も採用して良いのではないだろうか。

 

アイデア一発勝負の本作であるが、そのアイデアがなかなか秀逸。特定のシチュエーションでは時間がどんどん速く過ぎていくというのは、SFでは真新しくもなんともない(例『 ナビゲイター 』など)が、それをスリラーに当てはめてしまうところを評価したい。そうすることで現実に急速な老化が自身に、あるいは家族に起こったらという想像が働く。最初から虚構の色合いの強いSFではなく、ひょっとしたら現実にあり得るかもしれないと思わせるスリラーというジャンルに本作のアイデアを持ってきたのは良かった。

 

子どもにとっての成長とは身体の変化であるし、大人にとっての成長とは老化=身体の衰えである。そのことを分かりやすく映像化できていた。特に出産シーンのサスペンスは異様だ。ようやく高速老化現象の種明かしを大人たちが始めたところでは展開の遅さに少々閉口したが、この妊娠・出産のシークエンスだけで一気に興味を取り戻した感がある。

 

ラストのドンデン返しも悪くない。おそらくコロナ禍がなければ ( ゚Д゚)ハァ? となって終わりだったと思われるが、コロナ禍およびそれに伴っての人類初の複数種類のmRNAワクチンの開発及びその実践投入という現実世界の事実により、本作の面白さと価値は間違いなくアップした。本当は55点だが、ネタのタイムリーさを考慮して5点プラスしておく。

 

以下、ややネタバレあり

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210830001356j:plain

ネガティブ・サイド

序盤の車内での家族の会話は、あまりにも露骨すぎた。時間の感覚や年齢、成長に関する言葉が短時間の中で不自然なまでに盛り込まれていて、かえって説明的すぎると感じた。

 

一方で、初日の夜のガイとプリスカの夫婦喧嘩のセリフの字幕は、さらに輪をかけて説明的。英語でそこまで言っていないのだが、物分かりが悪い観客に”忖度”して、敢えてこのような訳にしたのだろう。逆に車内での会話もこれぐらい曖昧なセリフの応酬で良かった。このあたりの説明的なセリフの有無、そのトーンのちぐはぐさ jarring だった。

 

ラッパーの男性は血友病か何かの血液凝固に問題がある病気で、現に鼻血が止まっていなかったが、だったら何故にナイフ傷がすぐに治ったのかが分からない。また普通に考えれば急速に老化する=新陳代謝が異常に亢進しているわけで、子どもであろうと大人であろうとめちゃくちゃ腹が減るはずである。そのあたりの説明を一切行わなかったのは賢明だが、それならビーチに面した岩壁が云々のような科学的な説明も不要である。どこかにサイエンスを持ち出すと、全体にサイエンスを適用しなければならなくなる。やるとすれば極限までリアリティを追求して、ごくごく一部でだけ嘘をつくべきだ。その成功例として『 シン・ゴジラ 』がある。本作はリアリティを感じさせる演出面では中途半端になってしまい失敗している。

 

プリスカの腫瘍切除の場面や出産シーンは、もっと直接的な描写を目指してほしかった。カメラがパンして返ってきたり終わり、というのは拍子抜けもいいところである。また終盤近くの osteoporosis 絡みの恐怖シーンも、もっと直接的な描写をしてほしかった。ある意味でリアル『 エクソシスト 』的なシーンにできるチャンスだったはずだ。恐怖を感じさせる演出がどれもこれも弱かったと感じられたのは残念であった。

 

総評

シャマランのクオリティを期待すると少々拍子抜けさせられる。逆に言えば、それほど期待値を上げずに臨めば、それなりに楽しめるはず。イチローでも大谷でもそうだが「こいつはヒットを打つ!」と信じてしまうと、凡退時に通常よりもガッカリさせられる。それは相手へのリスペクトの証明でもある。シャマランのファンならばチケットを買うべし。そしてガッカリしよう。そうすることでシャマランの次回作をより楽しめるようになるはずだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Ready or not, here I come.

鬼ごっこ(hide and seek)の鬼(it)が「今から探しに行くぞ」と教える時の言葉。これは実際にかつての同僚アメリカ人主催イベントで子どもたちと鬼ごっこをした時に聞いたことがある。初めてこの表現を聞いたのは中学生の頃、VHSで『 NBA スーパースターズ2 』を観たとき。Tim Hardaway と Chris Mullin のやりとりだった。ちょうどこの動画でも確認できる。

 にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, アレックス・ウルフ, ヴィッキー・クリープス, ガエル・ガルシア・ベルナル, スリラー, トマシン・マッケンジー, 監督:M・ナイト・シャマラン, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 オールド 』 -時間スリラーの不発作(シャマラン基準)-

『 ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 』 -もう一度コンセプトを見直せ-

Posted on 2021年8月20日 by cool-jupiter

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 60点
2021年8月15日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:イドリス・エルバ マーゴット・ロビー ジョン・シナ
監督:ジェームズ・ガン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210820010613j:plain

デイヴィッド・エアー版の『 スーサイド・スクワッド 』をジェームズ・ガンがリブート。エアー版より良くなっているところもあるが、やはり悪者軍団の魅力が描き切れていないのではないだろうか。

 

あらすじ

減刑10年と引き換えに集められた犯罪者たち。彼ら彼女らに与えられたミッションは、南米の小国にある施設ヨトゥンヘイムに侵入し、世界の平和をおびやかす研究を破壊すること。そのためにブラッドスポート(イドリス・エルバ)やハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)らがタスクフォースXとして現地に派遣されるが・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210820010630j:plain

ポジティブ・サイド

開始から数分で前作のキャラがドンドン退場していく。そのあまりの小気味の良さに笑ってしまう。しかも、まあまあのゴア表現もあり、なかなかよろしい。いきなり仲間内から裏切り者が出て、その裏切り者もあっさりと殺されてしまう。これでこそ悪人ぞろいのスーサイド・スクワッドという感じがした。

 

新生したザ・スーサイド・スクワッドの各メンバーも多士済済。前作では、ディアブロが強すぎ、キャプテン・ブーメランが弱すぎという、かなりアンバランスな構成で、見せ場の多くはデッド・ショットが持って行ってしまった。今作ではブラッドスポートがデッド・ショット的なポジションながら、スクワッドのメンバーがちゃんと ensemble cast になっている。このへんの匙加減が『 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 』を思わせる。

 

中盤のハーレイ・クインの大暴れが一番の見どころ。結構な殺しっぷりだが、『 ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY 』同様に、人間がカラフルな紙吹雪状になって散華していく様はやっぱり笑ってしまう。ブラッドスポートとピースメイカーの殺し合い合戦もユーモラス。「こやつら、かなりできる」と観客に思わせてからのオチにも笑った。

 

極悪隊員たちが怪獣に挑むというスペクタクルは圧巻。敵の倒し方にも説得力がある。スーパーパワーで敵を倒しては興ざめで、ちゃんとスクワッドのメンバーの固有の能力で倒してくれたのが良かった。

 

フラッグ大佐や真の悪党アマンダおばさんが続投してくれていることで、DCEUとのつながりも保たれている。またジョーカーが一切出てこないので、ストーリーの軸がぶれない。続編があるなら(そして”Pop Goes the Wiesel”な展開になるなら)、映画館で観てみようかと思う。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210820010649j:plain

ネガティブ・サイド

やはり何か違う。前作では、なぜDCの正統的なスーパーヒーロー、たとえばスーパーマンやワンダーウーマンが出張って来ないのか分からなかった。今作でもそれは同じ。言ってみれば、アメリカの暗部に直結する dirty work = 汚れ仕事をこなす汚れ役、それがスーサイド・スクワッドであり、ザ・スーサイド・スクワッドでもある。ただ、相手が宇宙生命体にして怪獣である(トレイラーに散々映っているので spoiler ではないだろう)となれば、大げさに言えば地球の危機。ならばゴジラかスーパーヒーローを呼んで来いという話になる。極悪人に、同じくらいの極悪人をぶっ殺してこいというミッションなら分かるが、これでは刑務所にいる悪党どもを集める意味がそもそもないではないか。

 

フラッグ大佐のキャラのトーンが前作と違うのも気になった。前作では「どうやってこいつらをまとめ上げればいいんだ」と苦悩する生真面目な軍人風味だったのが、今作ではどこか抜けた雰囲気の軍人になってしまった。かと思うと、アマンダの非道っぷりは変わらず。このあたりのキャラを続投させるなら、前作の性格をちゃんと引き継がせてほしかった。

 

総評

爽快感は間違いなくある。アクションは派手かつコミカルで、人間ドラマの要素もしっかりと組み込まれている。しかし、何かが違う。悪人が結局、善人になってしまっては面白くもなんともない。最終的に家族ドラマに落ち着いてしまっては、前作と同じ、かつアメリカ的な正統なイデオロギーから脱していない。つまり、スーパーヒーロー映画と根本的に同じになってしまう。「 “極”悪党、集結 」などという邦題に期待しなければ、楽しめる作品である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

suicide

「自殺」の意。形態素解析すると、それぞれラテン語で sui + cide となる。sui = self, cida = killer である。cida が英語になる際に cide と綴りが変わった。cide = killer と覚えておけば色々と応用が利く。pesticide = 小さな動物を殺すもの = 殺鼠剤、殺虫剤となるし、homicide = 人間を殺すもの = 殺人となる。英検一級を目指すなら、regicide や fratricide を知っておきたい。 

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村   

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アクション, アメリカ, イドリス・エルバ, コメディ, ジョン・シナ, マーゴット・ロビー, 監督:ジェームズ・ガン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 』 -もう一度コンセプトを見直せ-

『 キャラクター 』 -もっとグロテスクな展開を-

Posted on 2021年7月18日 by cool-jupiter

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210718122915j:plain

キャラクター 65点
2021年7月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:菅田将暉 Fukase 高畑充希 中村獅童 小栗旬
監督:永井聡

 

大学関連業務で鼻血が出そうなので簡潔に。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210718122930j:plain

あらすじ

漫画アシスタントの山城圭吾(菅田将暉)ある夜、一家殺人事件とその犯人を目撃してしまった。、警察には「犯人の顔は見ていない」と述べたが、圭吾はその殺人犯をインスピレーションに「34」という両機サスペンス漫画を描き、人気を博す。しかし、やがて漫画通りの殺人事件が現実に引き起こされ始めて・・・

 

ポジティブ・サイド

『 罪の声 』の刑事と同じく、小栗旬が良い味を出している。背景がどうであれ、共感力はどんな仕事でも必要。警察官ならなおさらだろう。いつの間にか相手の懐に入っているのは、テクニックではなく思いやりだから。『 ミュージアム 』みたいな刑事よりも、こうした刑事像の方がより小栗旬の味を引き出せるように思う。『 ゴジラvs.コング 』では白目むくだけのキャラだったが、ここで少し挽回した。

 

殺人鬼役のFukaseは歌手とのこと。今作で初めて見たが、第一印象は「棋士の佐藤天彦みらいなやつやな」というもの。演技は素人だが、それが奏功している。こうしたソシオパス兼サイコパスみたいな奴は実は市井のどこにでもいる。エヴァンゲリオンの生みの親である庵野に対して「殺す」という脅迫がなされたり、庵野の殺し方を延々と話し合うスレッドなども存在したのである。なんらかの創造物からインスピレーションを得ることは誰にでもある。問題になるのはその程度が大きすぎた時。役者としての背景がない=どんなキャラにも結び付けられることがない人間をキャスティングしたのは正解だった。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210718122948j:plain

ネガティブ・サイド

いくら漫画が売れたからといって、一年足らずで億ション(賃貸だろうが)に住めるだろうか。というか、住む気になるだろうか。厳重な警備が欲しいのは分かるが、慶敏もしくは管理人付きの物件に住むべきだろう。

 

漫画通りの殺人事件を起こすというのは着想としては面白いが、山道の一家全員殺害と自動車転落などは、一人では不可能であると思う。

 

山城の編集者が最初は真犯人なのかと思った。犯人がプロット製作段階の情報を知りえているとなれば、その情報をリークした者がいるはずだが、そこは掘り下げられず・・・ 漫画『 推しの子 』で、編集者の仕事=売れる漫画を描かせる&売れた漫画を終わらせないことだと述べられていて、なかなかに狂った商売だなと感じた。その線で考えれば、ヒットメーカーとして言及されていたこの編集者が、山城の創作に狂気や毒を交えていっても良かったのかなと思う。

 

総評

それなり凄惨なシーンがあるが、ほとんど全部事後。なのでゴア描写に極端に弱い人でなければ大丈夫だろう。『 見えない目撃者 』の真犯人が意味不明なお題目の元に殺人を行っていたのと同じく、本作の犯人の背景や動機にも疑問が残る。韓国映画界にリメイクしてほしい。そうすれば、殺しの生々しいシーンを見せつけてくれて、なおかつサイコキラーの心情をリアルに描写してくれるはず。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a family of four

四人家族の意。同じように、a group of fourなら4人のグループになる。『 ザ・ファブル 殺さない殺し屋 』で言及された4人組のバンドなら a band of fourとなる。もちろん、数字の部分は適宜にthreeやfiveに変えても良いし、必ずしも a group や a band のように a である必要もない。仕事柄、Jovianは高校生や大学生に、Make five groups of six. =6人で1グループを5つ作りなさい、などの指示をして、グループワークをさせている。

 にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 

Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, Fukase, サスペンス, スリラー, 中村獅童, 小栗旬, 日本, 監督:永井聡, 菅田将暉, 配給会社:東宝, 高畑充希Leave a Comment on 『 キャラクター 』 -もっとグロテスクな展開を-

『 1秒先の彼女 』 -台湾ロマンスの佳作-

Posted on 2021年7月14日 by cool-jupiter

1秒先の彼女 65点
2021年7月10日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:リー・ペイユー リウ・グァンティン
監督:チェン・ユーシュン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210714003913j:plain

『 あの頃、君を追いかけた 』と同じく台湾映画。変則ロマンスというのは大体ハズレがない。本作も腑に落ちない点はあれど、恋愛映画としての面白さを保っている。

 

あらすじ

郵便局職員のシャオチー(リー・ペイユー)は、仕事もプライベートも充実していない。しかしある日、公園でたまたま参加したダンスレッスンで、イケメン講師に声を掛けられ、七夕バレンタインにデートの約束をする。しかし当日、シャオチーが目を覚ますと、バレンタインデーは終わっていて、自分にはその一日の記憶がない。消えた一日の謎を探るべくシャオチーは動き出すが・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210714003933j:plain

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210714003933j:plain


ポジティブ・サイド

リー・ペイユーの魅力にいつの間にか絡めとられる。パッと見でそこまでの美人ではないのに、いつの間にかチャーミングに見えてくる不思議。『 はちどり 』のキム・セビョクの凛とした女性像とは異なり、アラサー女子に突如モテキがやってきたぜ、ひゃっほー!のような笑顔。何を浮かれてるんだ?という気持ちにならず、微笑ましくなってくるのは、それだけリー・ペイユーが共感を呼ぶ演技をしているからだ。表情、そして全身で喜びを表現すれば、それだけ本人の魅力も増す。ある意味で『 アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング 』などと同系統の作品とも言える。

 

けれど本当の主役は実はもう一人のなんでもワンテンポ遅いグアタイだった。詳しくは語れないのだが、この主人公の行動は多くの男性の共感を呼び、そして多くの女性をドン引きさせることだろう。Jovianはグアタイにシンクロし、Jovian嫁はグアタイを白眼視していたからだ。しかし、よくよく考えてほしい。こういう好きな人を遠くから見守っているだけで満たされるというキャラクターは確かに気持ち悪い。だからといって、そうした人物が突如ヒロインを口説いてきて、上手くいくだろうか。いかない。男の願望キモイと思うのは勝手であるが、プラトニックな願望をキモイと思うということはどういうことであるのか。そのように感じる人、特に女性はよくよく自分の胸に手を当てて自問してみるべきだろう。

 

分類上は時間系ファンタジー・ロマンスになるかな。『 ぼくは明日、昨日のきみとデートする 』や『 夏への扉 ーキミのいる未来へー 』を楽しめる向きならチケットを買うべし。

 

ネガティブ・サイド

あまり真面目に「時間」について考察するのは無意味だとわかっているが、やはり海がザバーンとなっているシーンは気になった。同じく、この世界の描写の方法からすると、七夕バレンタインデーを失くしているのはシャオチー以外の多くの人も当てはまるのではないか。シャオチーが「今日は何曜日?」と街中の人に尋ねて「月曜日」と返ってくるのは、その瞬間は良いが、物語が進み、真相が見えてくるにつれて、「ん?」と思わざるを得ない。ここはシャオチーがなんでもワンテンポ早いからで説明できるものではない。

 

グアタイとシャオチーの因縁というか、すれ違いの歴史をもう少し丁寧に描写してほしかったと思う。いや、十分に丁寧なのだが、どれだけのテンポのずれが積もり積もると空白の一日が生じるのかというヒントのようなものが欲しかった。

 

シャオチーが気に入っている深夜ラジオ番組のDJも、終盤にもう一度登場してよかったのにと思う。

 

総評

普通に良い話である。といのは男性目線の感想か、女性から見ると極めてキモイ話のようである。けれど、その生々しさこそが人間を描いている証ではないか。原作は少女漫画でござい、という映画が氾濫している邦画界はキャラクターは描けても人間が描けていない。人間模様が見たいという映画ファンは、チケットを買って台湾映画に投資しようではないか。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

的

中国語であるが、日本語にも取り入れられている表現。名詞にくっつけて「~な」という形容詞的用法にできたり、「~の」という所有格的な用法にもできる。Jovianの大学1年生時代に同じ寮で暮らしたオーストラリア系中国人が持っていたCDアルバムが台湾のバンド、動力火車の『 明天的明天的明天 』だった。意味を尋ねたところ、”Tomorrow’s tomorrow’s tomorrow”との答え。中国語も面白いなと感じた瞬間だった。その友人とは今でもFacebookでつながっている。

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村   

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, ファンタジー, リー・ペイユー, リウ・グァンティン, ロマンス, 台湾, 監督:チェン・ユーシュン, 配給会社:ビターズ・エンドLeave a Comment on 『 1秒先の彼女 』 -台湾ロマンスの佳作-

『 ザ・ファブル 殺さない殺し屋 』 -殺すシーンも出てくるよ-

Posted on 2021年7月2日 by cool-jupiter

ザ・ファブル 殺さない殺し屋 65点
2021年6月26日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:岡田准一 木村文乃 堤真一 平手友梨奈
監督:江口カン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210701235345j:plain

岡田准一ファンのJovianは『 Arc アーク 』よりも、こちらのチケットを購入。平日の仕事量がめちゃくちゃであったため、週末は頭を空っぽにして楽しめるアクション映画を優先。

 

あらすじ

殺し稼業を休業中のファブルは、車椅子の少女、ヒナコ(平手友梨奈)と邂逅する。それはファブルがかつて救えなかった少女だった。だが、ヒナコの背後では、かつてファブルと遺恨のある裏稼業の男、宇津帆(堤真一)が暗躍していた・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210701235404j:plain

ポジティブ・サイド

トレーラーで散々流れていたカーアクションのシーンはクライマックスではなく冒頭だった。これは嬉しい不意打ち。さらにその前には、殺しをやめたはずのファブルが次々に悪党と思しき男どもを殺していくシーンも。これが結構陰惨なシーンで、前作『 ザ・ファブル 』のオープニングは華麗な殺しのオンパレードだったが、今作は血生臭さを感じさせる始まり。期待が高まる。

 

岡田准一のハッピーな笑いに渾身のギャグシーンも微笑ましい。ひらパー兄さんとして数々のネタポスターを枚方市駅周辺で目にするが、そうした岡田のイメージを持っていれば、微妙にすべっているように見えるシーンが、楽しく感じられるようになるはず。

 

アクションシーンの大半はスタント・ダブルだろうが、それでも岡田准一はファブルという役を自分のものにしている。安藤政信との対峙シーンでは貫目の違いを見せつけた。fight choreographerを務めたと言うが、なかなかの創造性。途中で激戦を繰り広げた手練れの相手(プロ格闘家のようだ)との近接格闘戦は『 AVA/エヴァ 』とは比べ物にならない迫力と緊迫感だった。このファブル、荒唐無稽であるが是非とも『 図書館戦争 』の堂上と戦わせてみたい。

 

堤真一の悪役も堂に入っている。血の味に飢えていることとchild predatorであることを同時に見せる演出にはゾッとした。原作漫画でもこうなのか?『 砕け散るところを見せてあげる 』とはまた一味違う悪役。『 39 刑法第三十九条 』を再鑑賞してみるかな、

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210701235420j:plain

ネガティブ・サイド

『 さんかく窓の外側は夜 』でへっぽこだった平手友梨奈は今作では少しマシになった。それでも車椅子の扱い方などがまだまだ下手。2週間ぐらい、車椅子生活を実際に送ってみたりしたのだろうか。また平手その人の落ち度ではないが、足がふっくらしすぎ。骨折したことのある人ならわかると思うが、ちょっと歩かない、動かさないだけで脚の筋肉はびっくりするほど衰えていく。こういう場面こそCGで細い足に見せてしまって良い。

 

最後の「クララが立った!」的なシーンからは冗長に過ぎる。観る者を感動させたいのだろうが、その意図があまりにも透けて見えるような演出はマイナスでしかない。

 

山本美月の中途半端な見せ方にがっかり。貝沼を説得力ある形で退場させるなら、見せるべきものを見せるべきではないか。

 

佐藤二朗のキャラが前作よりもさらに暴走。『 ヲタクに恋は難しい 』の時もそうだが、この役者はちゃんと手綱を締めないと悪ふざけに走る。演技とネタの区別がつかなくなる。「ここはお任せで」ではなく、『 宮本から君へ 』のように、監督がしっかりと演技指導しなければいけない。

 

総評

アクションの派手さはアップしているが、着地で失敗した感じ。悪役は良い感じだが、ファブル側のキャラが深堀されていない。総合的には前作『 ザ・ファブル 』と同程度の面白さか。岡田准一ファンなら見逃す手はない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

picture

「イメージしろ」というセリフの私訳。意外に思われるかもしれないが、日本語で言うところの「イメージする」は imagine よりも picture という動詞の方がふさわしい。Just picture this, blood runs through your veins. または Blood runs through your veins, just picture that. のように文頭か文末に置くことが多い気がする。 

 

 にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 

Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, アクション, 堤真一, 岡田准一, 平手友梨奈, 日本, 木村文乃, 監督:江口カン, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 ザ・ファブル 殺さない殺し屋 』 -殺すシーンも出てくるよ-

投稿ナビゲーション

過去の投稿
新しい投稿

最近の投稿

  • 『 宝島 』 -エンタメ性がやや不足-
  • 『 蔵のある街 』 -ご当地映画の佳作-
  • 『 侵蝕 』 -サイコパスをいかに受容するか-
  • 『 8番出口 』 -平々凡々な脚本-
  • 『 Osaka Shion Wind Orchestra ドラゴンクエストコンサート in 伊丹 』  -DQ Ⅳ, Ⅴ, Ⅵ-

最近のコメント

  • 『 i 』 -この世界にアイは存在するのか- に 岡潔数学体験館見守りタイ(ヒフミヨ巡礼道) より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に cool-jupiter より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に 匿名 より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に cool-jupiter より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に イワイリツコ より

アーカイブ

  • 2025年9月
  • 2025年8月
  • 2025年7月
  • 2025年6月
  • 2025年5月
  • 2025年4月
  • 2025年3月
  • 2025年2月
  • 2025年1月
  • 2024年12月
  • 2024年11月
  • 2024年10月
  • 2024年9月
  • 2024年8月
  • 2024年7月
  • 2024年6月
  • 2024年5月
  • 2024年4月
  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月

カテゴリー

  • テレビ
  • 国内
  • 国内
  • 映画
  • 書籍
  • 未分類
  • 海外
  • 英語

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
Powered by Headline WordPress Theme