Skip to content

英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

  • Contact
  • Privacy Policy
  • 自己紹介 / About me

タグ: 配給会社:松竹

『虹色デイズ』 -裏のヒロインは日本版スウィート17モンスター-

Posted on 2018年7月19日2020年2月13日 by cool-jupiter

虹色デイズ 60点

2018年7月16日 MOVIXあまがさきにて観賞
出演:佐野玲於 中川大志 高杉真宙 横浜流星 吉川愛 恒松祐里 堀田真由 坂東希 山田裕貴 滝藤賢一
監督:飯塚健

f:id:Jovian-Cinephile1002:20180719003056j:plain

男子校のノリを共学に持ちこんだら、きっとこんな感じなのだろう。もしくは男子寮か。Jovianはどちらもよく知っているのでなおさらそう感じた。男は基本アホな生き物だが、恋は盲目とはよく言ったもので、片思い中の男は本当にアホになる。ここで言うアホというのは認知的不協和を起こしているということ。毎朝必死で自転車をこいで、目当ての子の乗る電車に追い付いて、何とか話をして、タオルを貸してもらえるところまで行ったのに、連絡先も訊けない。なぜなら「そんなことはしてはいけないんじゃないか。不純ではないのか」と思いこんでしまうから。何も心理学用語を使うまでもなく、思考と行動に矛盾があることは分かる。

主人公は一応、羽柴夏樹=なっちゃん(佐野玲於)ということらしい。この男が上のような行動に出て、小早川杏奈(吉川愛)といかにお近づきになるのか。それがメインの物語である。ではサブのプロットは何なのか。夏樹の親友(悪友というか悪童連というか)に松永智也=まっつん(中川大志)、直江剛=つよぽん(高杉真宙)、片倉恵一=恵ちゃん(横浜流星)は夏樹の恋を応援しながらも、高2=17歳という難しい局面にいかに対峙すべきか、自分なりに模索し始める時期を自覚していた。進学どころか進級も疑わしい者、進学するにしても地元に残るのか東京を目指すのか、女友達に囲まれてそれなりに楽しく過ごすのか、恋をするのかしないのか、エトセトラエトセトラ。

はっきり言って、どこかで観たり読んだりしたようなサブプロットのモンタージュである。メインのストーリーも少年漫画の王道と少女漫画の王道を足して2で割ったような話である。だが古い革袋に新しい酒を入れると、存外に芳醇な味わいに仕上がることもある。そしてその味わいの多くは、ヒロインである小早川杏奈(吉川愛)ではなく、その友人の筒井まり(恒松祐里)から来ている。このまりは、まさに日本版の『スウィート17モンスター』のネイディーンである。もちろん、杏奈が自分の兄と衝動的に寝てしまうという展開などは無いので安心してほしい。ただ、この兄という存在が、まりがひねくれてしまった大きな原因であると同時に、その歪みを正すべき相手に対して、まさに兄らしい言葉を投げつけるところが本作のある意味で最も重要なハイライトである。山田裕貴は良い仕事をした。まりの変化と、それを引き起こし受け止めたまっつん(中川大志)も良い仕事をした。『ちはやふる 上の句』冒頭で野村周平に啖呵を切っただけの女子高生がここまで来たかと感慨深くなる。特に本屋では、このキャラの内面と周囲との関係性を一瞬で描き切る素晴らしいシークエンスがあるので注目して見てほしい。

もう一人、滝藤賢一演じる数学教師も、ほんのわずかしか登場しないものの、強烈なインパクトを残した。実際にこういう教師はいたし、今もいることだろう。特に追試に関しては、合格者ではなく落第者を発表するというところに、アメリカ横断ウルトラクイズ的な意地の悪さを感じた。この男が進路相談で直江に投げかける言葉は案外と重い。あの一言をポジティブに受け取るかネガティブに受け取るかで、その後の直江がガールフレンドとの関係を維持できるかどうかを問われて、返す言葉に対する解釈がまるっきり異なってくるからだ。これは脚本の大いなる勝利であろう。

メインを張った佐野と吉川は大いに奮闘したものの、あの決定的なシーンにあれだけのわざとらしさ-もしくは不自然さと言い換えても良い-が残ったまま、劇場で放映されてしまったというのは、監督が妥協したか、もしくは佐野か吉川のどちらかがギブアップしたのであろう。この点は大いにプロフェッショナリズムを欠いたとしか判断できず、減点材料だ。『娼年』を10回見てこいと言いたくなる。

サブのはずの中川と恒松の物語が、メインの佐野と吉川よりも前に出てきてしまったという、オムニバス形式で作ろうとしたものが、どこかで破綻してしまったような作品で、ヒロインの吉川は漂わせる橋本愛または堀北真希のような雰囲気に辛うじて救われたという印象である。戦国武将を思わせる名字だらけのキャストのいずれかを見たいというのであれば、チケット代分の満足は得られるだろう。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 

Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, C Rank, ロマンス, 佐野玲於, 日本, 監督:飯塚健, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『虹色デイズ』 -裏のヒロインは日本版スウィート17モンスター-

『空飛ぶタイヤ』 -奇跡でもなく、ジャイアント・キリングでもなく-

Posted on 2018年6月18日2020年2月13日 by cool-jupiter

空飛ぶタイヤ 70点

2018年6月17日 MOVIXあまがさきにて観賞
出演:長瀬智也 ディーン・フジオカ 岸部一徳 笹野高史 寺脇康文
監督:本木克英

 

『 TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ 』以来の久しぶりの長瀬智也である。あの「マザァファッカァァーーーーーーッ!!!!」の長瀬智也である。我々はもっとはっちゃけた長瀬を観たいのだが、この作品で長瀬は、演技力という技術ではなく、リアリティというか存在感で大いに魅せる。それは中小企業の赤松運送の社長ながらホープ自動車という大企業を相手に一歩も引かず、最後には勧善懲悪的に勝利を収めるからではない。むしろ、長瀬の人間としての至らなさや苦悩を今作は冒頭の5分である意味描き切っている。長瀬は決して超人的な体力、知力、精神力、リーダーシップを持った人間ではなく、本当にそこかしこにいるような中小企業の社長なのだ。そこには先入観もあり、誤りもあり、逡巡もあり、後悔もある。つまり、極めて人間的なのだ。今作が描こうとしたのは、人間の強さは、弱さに飲み込まれないところにあるということでもあるはずだ。

また『 坂道のアポロン 』で何故か妙に浮いていたディーン・フジオカは本作ではスーツとネクタイの力を借り、若くして大企業の課長職を務めることで説得力ある存在感を発揮した。大企業では往々にして血も涙もないようなタイプが上に行きやすいが、観る者にあっさりと「ああ、コイツもその類か」と思わせる職場での所作は見事。芝居がかった演技も、ムロツヨシと並ぶことで中和されていた。この男は多分、スーツ以外の衣装を着こなすことはまだできない。が、ポテンシャルはまだまだ十分に秘めているし、良い脚本や監督との出会いでいくらでも上に行けるに違いない。

それにしても、これは元々の題材となった事件があまりにも有名すぎて、WOWOWでドラマ化までは出来ても、銀幕に映し出されるようになることは予想していなかった。本作で思い出すことがある。Jovian自身、とある信販会社で働いていた頃、〇菱〇そ〇の会社員から「不良品作りやがって、このヤローー!!」と電話口で怒鳴られたことがある。一瞬カチンと来たが、すぐに冷静さを取り戻し、「ああ、この人もきっと全く関係ない人にこうした言葉を浴びせかけられたのだろうな」と分析したことを覚えている。組織の中では、個の意思は時に無用の長物にさえなってしまう。その個の意思を貫こうとすることで、思いっきり冷や飯を喰らわされることもありうる。超巨大企業などは特にそうだろう。かといってそれは中小企業でもありうることだということは、佐々木蔵之介の役を見て痛切に感じさせられた。

これは中小企業と大企業の闘い、というよりもゲマインシャフトとゲゼルシャフトの闘い、と言い表すべきなのかもしれない。なぜなら長瀬演じる赤松社長は資金繰りに奔走し、カネの誘惑に溺れかけてしまうところもあるし、長年一緒に戦ってきた戦友に去られてしまう場面すらある。一方でディーン・フジオカ演じる沢田は、実は濃密な人間関係を社内に持っていて、彼らと共闘もするからだ。我々は何を軸に人間関係を構築し、何を信念に行動していくのか。問われているのは、大企業や中小企業の在り方だけではなく、個の生きる指針でもあったように思う。

今作はエンドクレジットが微妙に短く感じられたが、気のせいだったのだろうか?それにしてもつくづく凄いなと唸らされるのは、映画製作に関わる人間の数とその職種の多様さ。このキャスティングが長瀬ではなく山口だったらと思うとぞっとする。そんなことさえ思えてしまうほどの、大作であり力作である。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 

Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, B Rank, ディーン・フジオカ, ヒューマンドラマ, 日本, 監督:本木克英, 配給会社:松竹, 長瀬智也Leave a Comment on 『空飛ぶタイヤ』 -奇跡でもなく、ジャイアント・キリングでもなく-

投稿ナビゲーション

新しい投稿

最近の投稿

  • 『 禍禍女 』 -クレイジーな三角関係-
  • 『 ランニング・マン 』 -実現しそうなディストピア-
  • 『 利休にたずねよ 』 -想像の利休伝記-
  • 『 ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 30TH ANNIVERSARY 』 -I got my ticket’s worth-
  • 『 MERCY マーシー AI裁判 』 -推定無罪の原則を忘れるな-

最近のコメント

  • 『 桐島です 』 -時代遅れの逃亡者- に ヒフミヨのヒンメリの歌灯に より
  • 『 i 』 -この世界にアイは存在するのか- に 岡潔数学体験館見守りタイ(ヒフミヨ巡礼道) より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に cool-jupiter より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に 匿名 より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に cool-jupiter より

アーカイブ

  • 2026年2月
  • 2026年1月
  • 2025年12月
  • 2025年11月
  • 2025年10月
  • 2025年9月
  • 2025年8月
  • 2025年7月
  • 2025年6月
  • 2025年5月
  • 2025年4月
  • 2025年3月
  • 2025年2月
  • 2025年1月
  • 2024年12月
  • 2024年11月
  • 2024年10月
  • 2024年9月
  • 2024年8月
  • 2024年7月
  • 2024年6月
  • 2024年5月
  • 2024年4月
  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月

カテゴリー

  • テレビ
  • 国内
  • 国内
  • 映画
  • 書籍
  • 未分類
  • 海外
  • 英語

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
Powered by Headline WordPress Theme