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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 配給会社:松竹メディア事業部

『 シライサン 』 -可もあり不可もあるホラー-

Posted on 2020年1月12日 by cool-jupiter

シライサン 50点
2020年1月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:飯能まりえ 稲葉友
監督:安達寛高

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200112003729j:plain
 

『 貞子 』が無残な駄作に堕ちてしまった2019年。2020年は、新たなジャパネスク・ホラーの勃興が期待される。そこへ本作である。結果としては、可もあり、不可もある作品であった。

 

あらすじ

瑞紀(飯豊まりえ)はレストランで食事中に、親友の眼球が破裂し、心不全を起こすというが不可解な死に方をするのを目撃してしまった。同じ大学の春男(稲葉友)の弟も、同じような死に方をしていたと知った二人は、調査に乗り出す。そこで分かったのは「シライサン」という名の女性にまつわる怪談だった・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200112003751j:plain
 

以下、マイルドなネタばれ記述あり

 

ポジティブ・サイド

日本には昔から、「だるまさんがころんだ」や、ゲーム『 スーパーマリオブラザーズ3 』以来おなじみの“テレサ”など、見ていれば近づいてこないという存在があった。しかし、それをホラー映画のネタにしようというのは斬新である。まさに、古い革袋に新しい酒である。この発想は、『 イット・フォローズ 』の、遠くからゆっくりと毎回違う姿で近づいてくる“それ”の突飛さや斬新さと並ぶと思う。

 

また、半陰半陽の貞子の後継者として、近親相姦の繰り返しの結果として誕生してきたと示唆されるシライサンの設定も悪くない。異様に大きな目というのも、遺伝子の異常で説明がつきそうだからである。またシライサンが、しゃなりとした身のこなしでチリンと鈴を鳴らすシーンはかなり怖かった。『 地獄少女 』でブレイクダンスを踊った変なハゲチャビン爺さんは、シライサンの爪の垢を煎じて飲むべきである。

 

「目をそらすな」というのは、慣れてしまえば簡単そうに思えるが、あの手この手で目をそらさせようというシライサンはなかなかに策士である。人間の心の隙や弱さというものをよく理解している。特に忍成修吾演じるライター間宮への責めは反則スレスレではないか。そして、クライマックスの春男への責めは反則ではないか。しかし、怪異というのは理不尽なものである。これで良いのである。

 

巻き込み型の怪談は、昔からの定番である。本作はイヤホン360上映のお知らせを開演前に行ってくれるが、その通知から『 シライサン 』の世界は始まっている。20世紀FOXが『 ターミネーター ニュー・フェイト 』などで見せたように、映画上映前から映画世界がスクリーンに展開されていく。単純な仕掛けであるが、このような工夫は歓迎したい。また、エンディング・クレジットも見逃してはならない。特に脚本家の名前に注目されたい。以上である。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200112003811j:plain

 

ネガティブ・サイド

様々な描写が中途半端である。シライサンが呪いの対象者を死に至らしめる過程が、特にそうである。目玉を抉りとって潰す様を全部映してしまうというスプラッタ路線で行くか、効果音や叫び声などを最小限に抑えて、観客の想像力を最大限に刺激するような心理的な細工を徹底する路線で行くか、何らかのポリシーを貫いてほしかった。死に方が怖いのではなく、シライサンの顔が不気味であるという怖さになってしまっていた。

 

またシライサンは一種のミームであると考えられるが、その呪いのルールを解明することにもっと時間を費やしてよかった。シライサンの呪いがどのように伝播するのかをもっと検証するべきだった。『 リング 』の怖さは“そのビデオを見たら一週間後に死ぬ”ということで、面白さはどんな“オマジナイ”でその死を回避できるかを探るということだった。同じく、シライサンに関しても、考察をもっと深めるべきだった。ミームとしてのシライサンをfidelity=忠実さ、fecundity=繁殖力、longevity=寿命の全て、またはいずれかの観点から分析するべきだった。例えば、シライサンの呪いの成立する為には、どの程度正確に怪談を語らなければならないのか、あるいは怪談の形式ではなくとも、話の筋さえ合っていれば良いのか、それともシライサンという怪異が存在するということだけを知ればよいのか、などの分析・考察に瑞紀と春男、そして間宮は奔走するべきだった。ホラーは、理詰めでどうにもならない部分と、理詰めでなんとかなる部分のバランスを、適切に配分することで生まれるからである。

 

そして、肝心のシライサン対策が忘れることだとは・・・ ご都合主義にもほどがある。また瑞紀の考え付くシライサン対策が、まんま『 トゥルース・オア・デア 殺人ゲーム 』 の対策と同じである。もっとオリジナルでユニークなアイデアが欲しかった。

 

最後に細かい指摘を三つだけ。

 

1.GoogleマップやGoogleアースを使え。

2.現役の大学生は「大学時代からの友人」とは言わない。

3.愛する人が死んでいいことが一つだけある話、必要か?

 

総評

貞子や伽椰子の後継者になれるかどうかは分からない。それは映画ファンは一般大衆が決めることである。だが、シライサンはジャパネスク・ホラーの歴史の一ページを刻んだことは間違いない。それなりに恐怖を感じさせるし、主演の二人も素人っぽさを醸し出す演技は、ホラーのテイストによく合っていた。ディープなホラー映画ファンには自信を持ってお勧めはできないが、カジュアルな映画ファンにはお勧めをしたい。カップルのデートムービーにも使えるだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Don’t look away.

「目をそらさないで」の私訳である。Lookときたら、atかforというのが中高の英語の定石だろう。しかし、lookには様々な語がくっついて、その意味を豊かに膨らませる。Awayもその一つで、look away=目をそらす、である。『 デッドプール 』でデットプールが、エージェントをぶちのめす前にカメラに向かって、また最終決戦前に下着を脱ぐ前にネガソニックに、“Look away.”と言っていた。

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ホラー, 日本, 監督:安達寛高, 稲葉友, 配給会社:松竹メディア事業部, 飯豊まりえLeave a Comment on 『 シライサン 』 -可もあり不可もあるホラー-

『 あした世界が終わるとしても 』 -あまり変わり映えしないJapanimation-

Posted on 2019年2月4日2019年12月21日 by cool-jupiter

あした世界が終わるとしても 45点
2019年1月31日 大阪ステーションシネマにて鑑賞
出演:梶裕貴 中島ヨシキ 内田真礼 
監督:櫻木優平

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これは『 風の谷のナウシカ 』以来の戦闘美少女の系譜の物語に、別世界(parallel universeやalternate realityと呼ばれるアレ)との対立、そして戦闘ロボットや、それでも変わらない醜い人間の政治力学などを一挙にぶち込んだ野心作である。しかし、監督やクリエイターたちのやりたいことを多すぎて、観る側にメッセージが伝わりづらくなっている。将棋指しが勝負師・芸術家・研究家の三つの顔を持つように、映画製作者も芸術家としてだけではなく、発信者や発明者のような側面にも力を入れて欲しいと願う。

 

あらすじ

何故かこの世界では人が突然死する。狭間真の母もそうして死んでしまった。以来、父は仕事に没入するあまり家のことを顧みなくなった。一人になった真に寄り添ってくれているのは幼馴染の琴莉だった。二人の仲がようやく動き出そうとする時に、突如、ジンが現れる。ジンはもう一つの世界の真だった。彼の目的は二つ。一つは真の保護、もう一つは・・・

 

ポジティブ・サイド

映像は文句なしに美麗である。ディズニーのように巨額予算が無くても、ここまで出来るというのがJapanimationの利点であろう(アニメーターの待遇の悪さ、および中国資本化によるアニメーターの待遇改善のニュースもあったが・・・)。アクションシーンでズームインとズームアウトを頻繁に行いながらも、キャラクターを猛スピードで動かすところには唸らされた。『 BLAME! 』でも用いられた手法であるが、それをもう一歩先に推し進めた印象を受けた。

 

また企業が政府に先立って動く世界というのも、この現実世界を先取りしているように思える。プーチン政権下のロシアがクリミアを力で併合したり、トランプ政権がメキシコ国境に壁を作る/作らないで大揉めしていたりしているが、歴史的な流れとして世界はどんどんとボーダーレスになっていっている。そして国境を超えることで新たな価値を帯びるのは情報と貨幣だ。特に仮想通貨の浸透とその暴落は記憶に新しい。今は振り子の針の揺り戻しが来ているが、反対方向に大きく振れるのも時間の問題だろう。

 

閑話休題。本作で最も面白いなと感じたのは、美少女ロボの言動。むしゃむしゃと食べ物を頬張り、「出るところから出るような構造になっています」と説明するのは、一部の純粋なマニアやオタクを欣喜雀躍させるか、あるいは彼ら彼女らは怒り心頭に発するのではないだろうか。好むと好まざるとに依らず、技術は進歩していく。ユダヤ・キリスト教の神がImago Deiに似せて人間を作ったように、人間もロボットをどんどんと人間に似せていく。これは間違いない。『 コズミック フロント☆NEXT 』の1月17日の回「 どこで会う!?地球外生命体 」で、ある科学者が「肉体というものは不完全で不要かもしれない、けれど、この目で美しい景色を見たり、この耳で美しい音楽を聴いたり、この口で美味しいものを食べたりすることが生き物としてのあるべき姿だと思う」という趣旨を述べていた。本作に登場するミコとリコに対して親近感を抱けるか、もしくは嫌悪感を催すかで、観る側の心根がリトマス試験紙のように測れてしまうかもしれない。

 

ネガティブ・サイド

オマージュなのか、それとも作り手の意識の中にそれだけ強く刻みこまれてしまっているのか。作品のそこここに先行テクストからの影響が色濃く現れている。これが道尾秀介の『 貘の檻 』が横溝正史の『 八つ墓村 』へのオマージュになっていたのと同様の事象なのか、それとも意識して様々な作品の要素をぶち込むことで、監督兼脚本の櫻木優平氏が悦に入っているのか。おそらく後者ではないかと思われる。現代は、しかし残念ながら、パスティーシュやオマージュではなく、オリジナリティで勝負しなければならない。まずは守破離ではないが、何か一つの要素をしっかりと追求する。そこから自分なりのスタイルを確立していくことを目指すべきだ。以下、Jovianが感じたオリジナリティの無さについて。

 

まず並行世界というもの自体が、手垢に塗れたテーマだ。その古い革袋に新しい酒を入れてくるのかと期待したら、その世界の発生のきっかけは旧日本軍の研究開発していた次元転送装置とは・・・ 旧日本軍て、アンタ・・・ 『 アイアン・スカイ 』以上に荒唐無稽だ。こちらとあちらに同じ人間が存在していて、その命がリンクしているという設定がすでに理解できない。なるほど、世界が分裂してしまった時点ではそうだろう。だが、極端な例を考えれば、こちらの世界の妊婦さんが流産をしてしまった時、あちらの世界の人は必ず妊娠しているのか?そうでなければ、例えば妊婦が死んでしまった場合は胎児も自動的に死亡すると思われるが、そもそもあちらの世界で存在しない命がこちらで消えてしまった時は?などなど、観ている瞬間から無数に疑問が湧いてきた。並行世界というのは、タイムトラベルや記憶喪失ものと並んで、非常にスリリングな導入部を構成することができるジャンルだが、それだけに細部を詰め方、および物語そのものの着地のさせ方が難しい。その意味で本作は、離陸した次の瞬間に墜落炎上したと言っていいだろう。

 

また、その並行世界の成り立ちの説明がどういうわけかナレーションで為される。どうしても言葉で説明したいというのなら、何らかのキャラクターに喋らせるべきだ。『 A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー 』における酔っ払い男のように。このナレーションは完全にノイズであった。

 

そこで生まれた世界の日本には皇女がいるという。ならば「にほんこうこく」というのは日本皇国かと思っていたら、日本公国であるという。どういう国体を護持すれば、そんな国が生まれるというのか。平安時代に並行世界が生まれたのならまだしも、昭和の中頃にこれはない。いくらアニメーション作品と言っても、歴史的な考証は最低限行わなくてはならない。映画とは、リアリティを追求してナンボなのだ。なぜなら、映画という芸術媒体が発するメッセージは往々にしてフィクションだからだ。だからこそ、それ以外の部分はリアルに仕上げなくてはならない。まあ、本作にはそもそもメッセージが無いわけだが。

 

護衛兼攻撃用ロボットが、エヴァンゲリオン、『 BLAME! 』のセーフガードなど、様々な先行作品の模倣レベルから脱していない。ボス的キャラもネットでしばしばネタにされる小林幸子を否応なく想起させてくる。そしてセカイ系で散々消費された僕と美少女戦士達の闘いが、世界そのものの命運を決めることになるという、周回遅れのストーリー。また『 ミキストリ -太陽の死神- 』と全く同じ構図がヒロインキャラに投影されていたりと、どこかで見た絵、どこかで聞いた話の寄せ集め的な物語から脱却できていない。櫻木監督の奮起と精進に期待をしたい。

 

総評

ポジティブともネガティブとも判断できなかったものに、キャラの動きが挙げられる。モーション・キャプチャをアニメの絵に適用しているのだと思うが、とにかくキャラがゆらゆらと動く。生きた人間であれば自然なのかもしれないが、アニメのキャラにこれをやられると不気味である。『 ターミネーター 』や『 ターミネーター2 』のシュワちゃんが、非常にロボットらしい動きをするのと対比できるだろう。しかし、CGアニメーションがもっと進化して、小さい頃からそのような作品に慣れ親しむ世代は、旧世代のアニメーションを見て「不気味」と感じるのかもしれない。何もかもを現時点の目で判断することは独善になってしまう恐れなしとしないだろう。この点については判断を保留すべきと感じた。冒頭10分は何となくゲームの『 インタールード 』を彷彿させた。カネと時間が余っていて、アニメーションに抵抗が無いという人なら、1800円を使ってもいいのかもしれない。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, D Rank, SF, アニメ, 中島ヨシキ, 内田真礼, 日本, 梶裕貴, 監督:櫻木優平, 配給会社:松竹メディア事業部Leave a Comment on 『 あした世界が終わるとしても 』 -あまり変わり映えしないJapanimation-

『ブラッド・スローン』 -刑務所のリアルを描くクライム・サスペンス-

Posted on 2018年8月31日2020年2月13日 by cool-jupiter

ブラッド・スローン 65点

2018年10月8日 MOVIXあまがさき 2018年8月29日 レンタルDVD観賞
出演:ニコライ・コスター=ワルドウ オマリー・ハードウィック ジョン・バーンサル エモリー・コーエン ジェフリー・ドノバン レイク・ベル
監督:リック・ローマン・ウォー

f:id:Jovian-Cinephile1002:20180831092839j:plain

エリート・ストック・ブローカーとして人も羨む生活を送っていたジェイコブ(ニコライ・コスター=ワルドウ)は、一瞬の不注意から交通事故を起こし、刑務所に入ることに。妻(レイク・ベル)とも離婚となり、同乗していた友人からも訴訟を起こされ、刑務所内の容赦ない弱肉強食の人間関係に否応なく巻き込まれていくジェイコブは、持ち前の頭脳を活かし、いつしかマネーの異名を得て、頭角を現していく。そして、刑期の85%を終えたマネーは娑婆に出る。刑務所内のボスのビーストの指示で動くために・・・

最初に劇場観賞した時は、途中でトイレに立つという痛恨のミスを犯してしまった。ようやくTSUTAYAでレンタルできたので、再観賞。人間が罪を犯すのは、往々にして一瞬の過ちからだが、人はしばしば再犯、さらには累犯にまで行きついてしまうのは何故なのか。刑務所を舞台にした映画の大傑作に『ショーシャンクの空に』があるが、そこでは釈放されたブルックスは現実の社会には馴染めず、刑務所に自分の居場所を見出すしかなく、結局自殺を選んでしまった。本作も、刑務所内の人間関係、力関係が現実の世界にも及ぶ様を生々しく映し出す。病院では、重病の者ほど偉く、刑務所では重罪の者ほど偉い、というのは冗談交じりによく言われることであるが、こうした映画を見せられると、やはり一抹の真実を含んだジョークなのかと思わざるを得ない。

本作は善良な市民であったジェイコブが、いかにして犯罪に加担する、というか主導する凶悪犯に変貌していったのかを、現在と過去の間をフラッシュバック形式で行き来することで、ジェイコブ/マネーのコントラストが、徐々に溶け合っていく様が鮮やかに活写されている。ヤクザ映画の文法とスパイ映画の文法に忠実に則り、誰が何を狙っているのかがもう一つ見えにくい構造が、サスペンスを生みだすことに成功している。

主演のニコライ・コスター=ワルドウ以外では、ジョン・バーンサルぐらいしか有名キャストは見当たらないが、本作の魅力は出演者のネーム・バリューではなく、彼ら彼女らの演技力の高さ。知名度と演技力は必ずしも一致しないということを映画ファンはよく知っているが、今作のような隠れた逸品はそのような確信をさらに強めてくれる。特に保安官のカッチャーは、顔がシェーン・モズリー似でJovian好みだ。自らの信じる正義のためならば銃弾を喰らっても怯まず、超法規的な取引さえも提案してしまうような、静かに燃える熱血漢。刑務官のロバーツは、刑務所の権力構造にいち早く気付き、囚人たちに秘密裏に協力する小市民。登場回数こそ少ないが、画面に現れるたびに映し出される瞳の奥の恐怖感が、我々がイメージする刑務所、囚人、刑務官というものがフィクションで、こちらの方がリアルなのではないかと思わせるに十分。その他、囚人役に本物のギャングや前科者や格闘技経験者を配したということで、映画という娯楽作品を作りながらも、ノンフィクション的な要素も込められている。実際に暴動シーンというのは1980年代の刑務所内の囚人暴動事件にインスパイアされたようだ。

日本語版のタイトルの『ブラッド・スローン』は明らかに『ゲーム・オブ・スローンズ』へのオマージュ。原題は”Shot caller”であるが、アメリカ人に尋ねたみたところ、あまり一般的な表現ではないらしい。元々の”call the shots”というイディオムは実際によく使われるようだが。主題はギャングの人間関係と権力構造だが、テーマは各々の信念の強さであろう。愛する女のため、金のため、家族のため。何でも良い。それこそが正義で、そのためならば相手の命を奪うことも厭わない。人間の最も凶悪で、最も素直とも言える暗部を照らし出す本作のような作品は、もっと作られ、もっと世に問われるべきであろう。

そういえば『デッドプール』のガンダルフらしき俳優もちらっと出ていたように見えたが、錯覚だったかな。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, アメリカ, クライムドラマ, ジョン・バーンサル, ニコライ・コスター=ワルドウ, 監督:リック・ローマン・ウォー, 配給会社:松竹メディア事業部Leave a Comment on 『ブラッド・スローン』 -刑務所のリアルを描くクライム・サスペンス-

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