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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 笑福亭鶴瓶

『 あまろっく 』 -尼崎市民、観るべし-

Posted on 2024年4月16日 by cool-jupiter

あまろっく 70点
2024年4月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:江口のりこ 中条あやみ 笑福亭鶴瓶
監督:中村和宏

 

尼崎市民としては鑑賞すべきだろうということでチケット購入。

あらすじ

東京でコンサルタントとして働いていた優子(江口のりこ)だったが、理不尽なリストラにより尼崎の実家に戻ってくることになった。自堕落な生活を送っていたところ、父の竜太郎(笑福亭鶴瓶)が20歳の早希(中条あやみ)と再婚すると言う。遥かに年下の義理の母の出現に困惑する優子だったが・・・

 

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

映画の宣伝で江口のりこがあまりにも無気力だったが、実際は頑張って演技していた。中条あやみも標準語の時よりも良い演技を披露できていたように思う。

 

家族とは何か。『 焼肉ドラゴン 』(この舞台は隣町の伊丹。ちなみにこの作品での焼肉の焼き方監修をした人が尼崎で商売をしておられる。山里食品ではない、念のため)でも追究されたテーマで、家族とはそもそも壊れて、新しく生まれる、あるいは作るものだった。

 

本作は65歳の男性と20歳の女性の再婚を通じて、年下の義理の母親はありなのか?適齢期を過ぎても結婚しないパラサイトはありなのか?シングルマザーに支えは必要なのか否か?

こうした新たな問いに一定の答えを出そうというのが本作である。赤の他人の優子と早希の距離が徐々に縮まっていく過程はユーモラスであり現実的でもある。

 

尼崎市民は観ていて楽しめるだろう。Jovianの家の目と鼻の先のうどん屋だったり、散歩コースのすぐ脇の工場が近松鉄工所だったり、魚釣り公園や寺町など、まさにご当地ムービー、おらが町の映画だと感じられた(阪急沿線民には不評かもしれない)。

ネガティブ・サイド

冒頭からいきなり「尼ロックなんか誰も知らんわ!」という台詞が聞かれるが、ホンマかいな。今も昔も尼崎市内の結構な数の小学校が社会科見学で尼崎閘門に行っているはずなのだが。

 

工場でとあるアクシデントが起きるが、工都・尼崎の工場職人がこんな杜撰なことをするんかな?ちょっと無理のある脚本に思えた。

 

ブランクが何年もあるはずの優子がいきなり第一線のコンサルタント然として話し出すシーンには違和感ありあり。普段から経済ニュースや経済紙に目を通していたという描写があれば、少しは説得力も生まれるのだが。

 

2018年の台風を元ネタにしたと思しきシーンがあるが、地元民としては少し複雑。尼ロックが水害を防いだのは確かだろうが、あの時はとんでもない暴風被害が出て、杭瀬の工務店のおっちゃんが「2か月で3年分の仕事量や!」と特需を享受していた。フィクションだと思えばいいのだろうが、だったら阪神淡路大震災を持ち出すのもやめてほしかった。

 

『 ハルカの陶 』でも思ったが、地理がめちゃくちゃ。まあ、突っ込んでも意味がないんやけどね。ただJR沿線民と阪神沿線民は楽しいはず。

 

総評

実際は60点だが、地元民のよしみで10点おまけしておく。某映画サイトでやたらと高評価されているが、これは兵庫県民、特に尼崎市民が先行上映を観て星を与えていることに注意されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

complete strangers

「赤の他人」の英訳。他にも total strangers という表現もある。劇中では「あんたと私は赤の他人や!」というのがあったが、英語だと You and I are complete strangers! となるだろうか。間違っても red strangers とは言わないように。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 貴公子 』
『 ブルックリンでオペラを 』
『 ゴジラxコング 新たなる帝国 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 中条あやみ, 日本, 江口のりこ, 監督:中村和宏, 笑福亭鶴瓶, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 あまろっく 』 -尼崎市民、観るべし-

『 閉鎖病棟 それぞれの朝 』 -細部のリアリティの欠如が誠に惜しい-

Posted on 2019年11月7日2020年4月20日 by cool-jupiter

閉鎖病棟 それぞれの朝 65点
2019年11月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:笑福亭鶴瓶 綾野剛 小松菜奈
監督:平山秀幸

f:id:Jovian-Cinephile1002:20191107224733j:plain

 

平山監督と言えば『 学校の怪談 』が最も印象的である。だが、近年は『 エヴェレスト 神々の山嶺 』が、岡田准一ファンのJovianでさえ観るのがしんどい出来だったこともあり、精彩を欠いていると言わざるを得ない。本作はどうか。人間の描写は文句なしである。だが、それ以外の部分の描写に不満が残った。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20191107224757j:plain 

あらすじ

梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)は妻と間男、実母の殺害により死刑に処された。しかし、脊髄損傷を負ったものの死ねなかった。以来、放免となり六王寺病院に収容されていた。塚本(綾野剛)は幻聴のせいで精神の安定が保てず発作的に暴れてしまう。そのため、六王寺病院に任意入院していた。そこに、ひきこもりの女子高生の島崎由紀(小松菜奈)が入所してきた。入院患者たちはいつしか語らい、触れあい、堅い関係を形作っていくが・・・

 

ポジティブ・サイド

主演の三人の演技力が本作を牽引した。特に鶴瓶の陽気さは、その胸の奥底に秘めた後悔、悲しみ、懺悔の気持ちが綯い交ぜになった、非常に複雑な覚悟のようなものを醸し出していた。「わしは世間に出たらアカン人間や」と自分を戒めながら、それでも人との交流に安らぎを見出したいという、とても人間味のあるキャラクターを好演した。『 アルキメデスの大戦 』でも浪速の商売人を見事に体現したが、この芸人は役者としての修行も疎かにしていないようである。

 

綾野剛も渋い働きをした。ちょっと遅れ気味のカメラ小僧をはじめ、アクの強い六王寺病院の入所者たちと平等に交流できるのは、同病相哀れむからか。まともに見えるこの男も、おそらく統合失調症だとは思うが、幻聴に苛まされているのである。これは経験した人にしか分からないだろう。Jovianも31歳の時に鬱状態に陥ったことがあった。あれは辛いものである。人によって異なるようだが、Jovianは自分自身の声が頭の中に反響する感じがした。いくら耳をふさいでも効果はゼロだった。その声が自分の欠点や弱点を延々と責め立ててくるのだから敵わない。綾野剛はそうした幻聴が聞こえる者を、多少大げさではあったが、よく特徴を捉えて演じていた。しかし、本当に光るのはそうした「動」の演技よりも、「静」の演技であろう。メイクさんグッジョブや監督の演出意図もあったはずだが、綾野剛が演じる塚本という男の頭髪および衣服の乱れ具合と彼の精神状態をよくよく比較してみて頂きたい。精神状態の悪さがセルフ・ネグレクトにつながるということが、ここでは言葉や台詞を使うことなく巧みに表現されている。

 

だが、最も印象的なのは小松菜奈だった。『 ディストラクション・ベイビーズ 』では、クルマのドアで菅田将暉を死ぬほど痛めつける時に狂気の表情を見せたが、本作で見せる絶望の表情そして声も、観る者の心を揺さぶってくる。ファンにとってはショッキングなシーンも複数回あるので、注意をされたし。小松菜奈も綾野剛同様に、慟哭だけではなく、切々と淡々と語り、楚々とした佇まいに秘めた凛とした強さを垣間見せる「静」の演技で物語を大いに引っ張ってくれる。彼女がお辞儀をした時に見えるあるものに、Jovianはよい意味で胸が締め付けられるような気持ちになった。『 恋は雨上がりのように 』に並ぶ、小松菜奈のベストなパフォーマンスがここにある。打ちひしがれていた小松のキャラが陶芸によって少しずつ回復していく様は、非常に象徴的である。粘土というなにものにも成り切れていない一つのかたまりに投影されていたであろう心象に想いを馳せずにはいられなかった。

 

BGMも感動を誘うが、むしろ音のない場面が印象に残った。とある公園のシーンが特徴的だったが、街中には生活音が溢れているということが、その場面では特に際立つ。これにより六王寺病院という空間が、いかに隔離された場所に存在するのかが逆説的に伝わってくる。音楽ではない音を通じて、背景の奥行きを想像する。これも優れた映画の技法である。

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ネガティブ・サイド

主演を張った役者たちの熱演と裏腹に、舞台や小道具などの細部のリアリティは滅茶苦茶である。これは原作小説の発行が1997年、最初の映画化が1999年、今回の映画化において時代設定を2005~2010年ぐらいに設定しているためと思われる。

 

まず看護師のカーディガンがあり得ない。いや、たまに着用する人はいるが、それでも袖はまくっている。看護師は学生時代にそれを叩きこまれるからだ。試しに「看護師」でグーグル画像検索をしてみて頂きたい。カーディガン着用の看護師がほとんどいないことが分かるだろうし、時間や機会があれば実際に病院の病棟や外来に行ってみて頂きたい。カーディガンを羽織っている人がいても、袖はまくられているはずである。いくら閉鎖秒という、ある意味では看護師にとってはぬるい職場であっても、この描写は頂けない。それとも原作にそのような記述があり、それを忠実に映画化したのだろうか。いや、そんなはずはあるまい。

 

また、病棟の設備にも設定上の粗が目立つ。冒頭で鶴瓶がエレベーターから車イスで降りるシーンで、エレベーターの扉が閉まり始めたのを鶴瓶が手で制したが、これは撮り直しをすべきだった。病院のエレベーターというのは、それこそ昭和の昔から、閉ボタンを押さない限りは、あんなに素早く閉まり始めたりはしない。また、これも冒頭近くに看護師が外から鍵を開けて、中からまた鍵で扉を施錠するシーンがあった。閉鎖病棟の「閉鎖」を物語る重要なカットだったが、扉が軽すぎるだろうと思う。精神疾患系の患者の病棟や収容所は、今も昔もかなり重く作られている。よほど古い施設で撮影をしたのだろうか。それでも、役者の演技で扉の重さを伝えることはできるはずだ。邦画はもっともっと細部=ディテールへのこだわりを持たねばならない。

 

また、Jovianのような鵜の目鷹の目の映画ファンならずとも、六王寺病院の男性・女性看護師や精神保健福祉士(?)や介護士(?)の仕事ぶりに、プロフェッショナルなサムシングを感じることはほとんどなかったのではないか。最も特徴的だったのは、渋川清彦演じる暴力傾向の収容者だ。劇中でりそな銀行が出ていたこと、そしてそれなりの性能のデジタルカメラが使われていたことから2005年~2010年という時代設定がされているものと推測する。劇中でも「最近は、頭がアレな人でも人権がね~」と駄菓子屋さんに語らせていたが、これなどは2010年代の感覚だろう。10年前か、それ以上過去なら、今以上に身体拘束が頻繁になされていたはずだ。もしくは隔離。このような凶暴かつ有害な人間を、ほぼ野放しにしておくのは六王寺病院の重大な管理ミスであろう。また、小松菜奈を迎えに家族、なかんずく血のつながらない父親の暴力傾向を見て、退院を阻止しないのは何故か。また警察に通報すらしないのは何故なのか。いくら虐待が今よりも目に触れにくい時代設定であるとはいえ、六王寺病院のスタッフ一同はそろいもそろって無能の極みである。

 

トレイラーにもあるので言及するが、最終盤の裁判の描写もお粗末の一言である。死刑を執行されたものの生き延びた人間の裁判である。異例中の異例の裁判である。本来であれば、マスコミから傍聴人まで、多数の人間が裁判所に殺到しているはずである。そもそも新聞記事の小ささからしておかしい。一面とは言わないまでも、袴田事件並みのインパクトで報じられてしかるべきではないか。実際にそのような事例がこれまで発生していないのでリアリティもクソもないとの理屈も成立するが、それはマスコミの感度をあまりにも過小評価しすぎであろう。

 

総評

ディテールの設定や描写がしっかりとしていれば、75~80点を与えられたかもしれない。それほどに主演3名の演技は光っており、それほどに細部の描写が甘い、または弱い。ドラマ展開は非常に読みやすい、王道的なもので、人によっては凡庸と評するかもしれない。しかし、人間模様に着目するならば、2019年の邦画の中でも上位に入る。細かい部分に目をつぶって、劇場鑑賞されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Come back here.

 

トレイラーにもあった看護師さんスタッフの台詞、「戻ってらっしゃい」の英訳である。日本語としても定着しているカムバックであるが、物理的な移動で戻ってくることもあれば、病気や怪我から回復する、戦線離脱から復帰するという意味もある。単純ではあるが、深い表現である。

 

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