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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 監督:テイト・テイラー

『 AVA/エヴァ 』 -続編は難しいか-

Posted on 2021年4月18日2021年4月18日 by cool-jupiter

AVA/エヴァ 40点
2021年4月16日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ジェシカ・チャステイン ジョン・マルコヴィッチ コリン・ファレル ダイアナ・シルヴァース
監督:テイト・テイラー

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『 女神の見えざる手 』のジェシカ・チャステイン主演作。定期的に制作される女性エージェントの物語だが、割と最近の『 ANNA アナ 』と比較すると、二枚は落ちるかなという印象。

 

あらすじ

暗殺者エヴァ(ジェシカ・チャステイン)は、標的を殺す前に「あなたはどんな悪いことをしたの?」と問いかけるようになっていた。ある任務で、事前に与えられた情報が誤っていたことからエヴァは組織への不信感を募らせる。そして標的に問いかけるという行動を問題視していた組織も、サイモン(コリン・ファレル)にエヴァを始末させようとして・・・

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ポジティブ・サイド

ジェシカ・チャステインというだけでチケットを購入を購入した人は多いだろう。Jovianもその一人。彼女の演技力は折り紙付きで、実際に鉄面皮の殺し屋から情緒不安定な女性的な面までを2時間足らずの間に幅広く披露した。大将という対象を暗殺した後に現場から逃走する際に、か弱い女性のふりをして兵士を騙す変わり身の早さ。ひらひらのドレスのままに格闘から銃撃戦までをこなすタフさ。複数言語を流暢に操る頭脳明晰さ。いずれにおいても説得力のある演技が堪能できる。

 

アメリカ映画でしばしば大きな柱として描かれる父親=positive male figureとの間に因縁があり、それが組織の上司であり、また父親代わりでもあるジョン・マルコビッチとの複雑な距離感につながっている。そのマルコヴィッチも年齢不相応のアクションで見せ場を作る。エヴァとサイモンの両方の師匠であることから、片方は父親の補完、もう片方は父親殺しを成し遂げるという因縁多きキャラクター。この好々爺を間に挟むことで、エヴァとサイモンの激突がよりドラマチックになっている。

 

ジェシカ・チャステインのファンならばチケットを買おう。

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ネガティブ・サイド

ジェシカ・チャステインの走りの不格好さはハリソン・フォードに通じるものがある。アクションの迫力はまあまあだが、それも細かいカットを巧みに編集したもの。ジェシカ・チャステイン本人の athleticism 自体はあまり高くなさそう。女優の運動能力という点では『 悪女 AKUJO 』や『 The Witch 魔女 』といった韓国映画に余裕で負けている。銃撃戦の方はまだしも、近接格闘戦になると、カットごとのつながりが妙にぎこちなく映る。fight choreographer の指導がイマイチというのもあるかもしれないが、ジェシカのパンチやキックのすべてに「何か違う」感がずっと付きまとっている。元軍人の現暗殺者というキャラ設定が、アクションのせいで弱くなってしまうのは本末転倒である。

 

暗殺者のプライベートな面を描くのは興味深い試みだが、そこでも『 ANNA アナ 』に負けている。あちらは一人の女性が二人の男を手玉に取ったが、こちらは一人の男を二人の女(それも姉妹!)で取り合うという修羅場展開。暗殺者のプライベートにまで闘争の種は要らんやろ・・・ しかも、その相手の男も職業がギャンブラーって何やねん。恋愛および結婚対象にしたらダメな属性ナンバーワン。8年も暗殺稼業をやっているエヴァが、この男に未練たらたらである理由がさっぱり分からなかった。

 

サイモンの最期が残念過ぎる。何故にわざわざ人気の少ない方向へと逃げるのか。組織に家族の護衛を要請するなら、同じその電話で自分に応援または足を寄こすようにと言えばいいではないか。エヴァ相手に「俺のほうが殺しのキャリアは上だ」みたいなことを言っていたが、とてもそうは思えなかった。終わり良ければ総て良しと言うが、終わりが悪ければ総て悪しとも言えてしまう。その典型例のような悪役だった。

 

『 マー サイコパスの狂気の地下室 』や『 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 』のダイアナ・シルヴァースの出番が足りない。というか、続編作る気満々の終わり方だが、それならサイモンの娘であるカミールの強さがほんの少しでもいいから伝わるシーンが必要だったが、そんなシーンも演出も無し。ダイアナ・シルヴァースの無駄使いだった。

 

総評

ジェシカ・チャステインのファンにはお勧めできるが、それ以外にはやや難しい。聞けば途中で監督が降板して、テイト・テイラーが引き継いだらしい。『 ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー 』などでも分かるが、監督が途中で代わるのはマイナスがあまりにも大きい。野球やサッカーは監督交代が奏功することがあるが、映画でそれはまずない(そういう意味では『 ボヘミアン・ラプソディ 』は例外的)。なので、物語や映像、キャラの深堀具合などではなく、ひたすらジェシカ・チャステインを鑑賞したい人のための作品であると了承してから李チケットを買うべし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

do ~ justice

~を正当に評価する、の意。作中では”Pictures don’t do you justice.” =「写真はあなたを正当に評価していない」=写真はあなたの魅力をしっかりと写し出していない、のように使われていた。昔、YouTubeでアメリカのボクシング試合を見あさっていた時に、”TV does this fight no justice!” = 「テレビではこの試合の迫力が伝わらない!」というアナウンサーの絶叫を聞いたことがある。こういう表現がさらっと使えれば英会話の上級者と言える。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アクション, アメリカ, コリン・ファレル, ジェシカ・チャステイン, ジョン・マルコヴィッチ, ダイアナ・シルヴァース, 監督:テイト・テイラー, 配給会社:クロックワークスLeave a Comment on 『 AVA/エヴァ 』 -続編は難しいか-

『 マー サイコパスの狂気の地下室 』 -邦題担当者は切腹せよ-

Posted on 2020年12月27日 by cool-jupiter

マー サイコパスの狂気の地下室 50点
2020年12月22日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:オクタビア・スペンサー ダイアナ・シルヴァーズ
監督:テイト・テイラー

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YouTubeか何かでトレイラーを観て、「たまには頭を使わずサスペンスでも観るか」とTSUTAYAでレンタル。よくよく見ればオクタビア・スペンサーだけではなく『 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 』の最後の最後でインパクトを残した同級生役のダイアナ・シルヴァーズも出演しているではないか。ホリデーシーズン向けの映画ではないが、パーティーがしづらい今だからこその映画だと割り切って鑑賞した。

 

あらすじ

マギー(ダイアナ・シルヴァーズ)は引っ越し先の学校の友だちと飲み会をすることに。高校生であるため誰か大人に酒を買ってもらおうと、通りがかった女性スー・アン(オクタヴィア・スペンサー)に依頼する。何度か彼女に酒を買ってもらっているうちに、スー・アンは自宅の地下室をパーティー用に貸してくれると言い・・

ポジティブ・サイド

オクタヴィア・スペンサーと言えば『 ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜 』、『 ドリーム 』、『 アメイジング・ジャーニー 神の小屋より 』、『 シェイプ・オブ・ウォーター 』のような優しいおばさん、強いおばさんのイメージが強かったが、『 ルース・エドガー 』や本作を通じて、キャリアの方向性を少し変えつつあるようである。人好きのするおばさんが徐々に変質していく様は非常にサスペンスフルだった。特に印象に残ったのは、ある抱擁のシーン。これはマギー視点からすれば、震え上がるしかない。オクタビア・スペンサーの円熟の演技力に磨きがかかったと言えるだろう。

 

本作はリベンジ・スリラーに分類される。スー・アンは生まれながらのサイコパスではない点に注意。というか、後天的にサイコパスになったわけでもない。学生時代にトラウマを植え付けられ、片田舎でひっそりと暮らしてきたところに、思いがけず復讐のチャンスが巡ってきたというストーリーである。田舎特有の人間関係が垣間見られ、どこか『 スリー・ビルボード 』を彷彿とさせる。限定的なコミュニティ内では人間関係も限定的になり、それゆえに濃密なものになる。問題はその濃さが人間関係のどういった要素によるものなのかだ。そうした意味で、序盤の酒盛りが警察官に見つかるシーンは、この片田舎のコミュニティの人間関係がきわめて長く、そして強く維持されてることが示唆されていた。

 

他にも最序盤の学校のシーンが終盤の伏線になっていたりと、作り自体は非常にフェアである。マーがマギー達を追い詰めていく反面で、マーも次第に追い詰められていく。Social Mediaを巧みに使い、何かあればすぐにググって対策を練るところも現代的。登場人物の心理描写を極力排して、代わりに具体的な行為を見せることでキャラクターの内面がかえってよく見える。本作には芸術映画要素はなく、徹底して商業映画である。斬新な殺し方もあるので、復讐ものが好きな方はどうぞ。

 

ネガティブ・サイド

マーのリベンジ方法の濃淡に差があるところにが不満である。Motor mouthな女子高生に「え、それやっちゃう?」というお仕置きを加える一方で、黒人少年に対してはpunishにならないpunishmentを与える。やるなら残虐に徹してほしい。

 

全編を通じて、母と娘の物語を紡ぎ出そうとしているのだろうが、そのあたりは盛大に失敗している。マギーと母親の関係性、そしてスー・アンの母性。このあたりからもっとコントラストを利かせたサブ・プロットが生み出せたはず。原題=Ma=母親というからには、子どもとの関係性をもっと追求せねばならない。同じ母親映画にしても『 母なる証明 』や『 MOTHER マザー 』と比較すれば、数段落ちる。

 

もっとスー・アンとパリピ学生以外の視点からの物語も欲しかった。ルーク・エヴァンスはもっと効果的に使えたはず。大人たちからスー・アンに抗議が行くが、当の子ども達が「スー・アンは悪くない!!」と言い張るような展開、『 ミセス・ノイズィ 』のように同じ事象を異なる視点で見つめるというシークエンスがあれば、サスペンスがもっと盛り上がったのにと思う。

 

最後にこれだけは言っておきたい。この邦題はおかしい。これは別に作品の罪ではないが、なぜにこのようなアホな副題をつけるのか。上で挙げた『 ドリーム 』も当初は『 ドリーム 私たちのアポロ計画 』という、イメージ先行かつ史実無視の酷いものだったし、効果間近の『 ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画 』も、崖っぷち~の部分は不要だ。映画の宣伝会社や配給会社はもっと日本の映画ファン、さらには日本語話者の国語力を信頼すべきだ。

 

総評

典型的な a rainy day DVDだろう。純粋な娯楽映画で、ここから何かメッセージを受け取ろうなどと思ってはダメ。観終わってから「いやあ、片田舎の人間関係って怖いね」と呟いて、一か月後にはすべて忘れてしまう。そのぐらいのスタンスで観賞すべきだろう。オクタビア・スペンサーのちょっと怖い演技を堪能して、ダイアナ・シルヴァーズで目の保養をする映画だと割り切るべし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Ma

「母」の意味。呼びかけで使う。Mama, Mommy, Momなどがあるが、Maという単純な呼びかけも結構使われる。テレビドラマ『 リゾーリ&アイルズ ヒロインたちの捜査線 』でも主人公のジェーンは自分の母親を常に“Ma”と呼んでいた。ちなみにmamaというのは、哺乳類=mammalや乳房X線撮影=mammographyと起源を一にする語である。母とは乳なのだ。

 

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