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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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『 ANNA アナ 』 -スタイリッシュなスパイアクション映画-

Posted on 2021年4月3日 by cool-jupiter

ANNA アナ 70点
2021年3月30日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:サッシャ・ルス ルーク・エヴァンス キリアン・マーフィ ヘレン・ミレン
監督:リュック・ベッソン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210403091632j:plain
 

『 ニキータ 』の昔からスタイリッシュな女性キャラクターを描き出すことにご執心のリュック・ベッソン御大の作品。劇場公開時に見逃したこともあるが、ジェシカ・チャステイン主演の『 AVA/エヴァ 』のトレーラーを観て、同工異曲の本作が気になった。ゆえに近所のTSUTAYAでレンタル。

 

あらすじ

1990年のソ連。不遇な環境に生きるアナ(サッシャ・ルス)は、KGBのアレクセイ(ルーク・エヴァンス)からスパイとしてスカウトされる。彼女はエージェントとして頭角を現し、数々の困難なミッションを遂行していくのだが・・・

 

ポジティブ・サイド

『 レッド・スパロー 』の虚々実々の騙し合いの駆け引きと『 アトミック・ブロンド 』の肉弾バトルと銃撃アクションを見事に融合している。主演のサッシャ・ルスはまさに佳人薄命。ろくでもない恋人のせいでどん底の生活をしていたところを、アレクセイにスカウトされる。その時の台詞がしびれる。「5分前まで未来がなかったのに、今は5年後の心配か?」

 

KGBに属することになったその先で出会う女上司のオルガの存在感がまた抜群だ。『 グッドライアー 偽りのゲーム 』でも貫禄の演技を見せたヘレン・ミレンが、現場上がりの管理職の凄みを見せる。五体満足ではこの稼業はできないんだぞ、ということをアナにも観る側にも伝えてくる迫力は本物。

 

アクションもスタイリッシュかつ、血みどろの泥臭さ。レストランに乗り込んでの大立ち回りは『 悪女 AKUJO 』の冒頭のシークエンスを彷彿とさせた。カッコよくぶっ殺すのだが、返り血もしっかり浴びる。『 アトミック・ブロンド 』と同じく、敵をちぎっては投げるが、本人もゼェゼェハァハァ状態。闘う女性の美しさをフレームに収めてきたリュック・ベッソンが、血糊というメイクアップをふんだんに使ってきた。それだけサッシャ・ルスという素材が魅力的だったのだろう。実際にそうなのだ。ファッションモデルからコールガールまで違和感なく演じ、バイセクシャルでもある。単なるキリング・マシーンになっていないところがいい。ロシア人だとかKGBだとかは、何やら得体の知れない怖さがあるが、アナのヒューマンな部分がそうしたところをうまく中和してくれている。

 

KGBのアレクセイを演じるルーク・エヴァンスのロシア人っぽさが微妙に笑えるし、うさん臭さと軽佻浮薄さを漂わせながら目が笑っていないキリアン・マーフィも良い味を出している。男ならどこか彼らに自分を同一視してしまうのではないだろうか。男は美女に翻弄されてナンボなのだろう。

 

アナが終盤で見せる暗殺劇と脱出も手に汗握るガンアクションの連続。アクションができる女優というのは、魅力が200%増しに見える。実際にルーク・エヴァンスとキリアン・マーフィをある意味で手玉に取ってしまうのだから、魔性の女でもある。頭脳明晰、容姿端麗、それでいて凄腕のエージェント。けれどその中身は、何よりも自由と解放を希求する一人のか弱い乙女というギャップ。リュック・ベッソンの趣味が全部ぶちこまれたキャラクターの爆誕と言える。波長が合う人にとっては大傑作だろう。波長が合わない人にとっても佳作だと言えるはずだ。

 

ネガティブ・サイド

過去の回想シーンが結構な頻度で挿入されてくるが、それによってストーリーテリングのテンポが悪くなっている。「3年前」の後に「半年後」みたいな構成は混乱の元だろう。もちろん、そうすることで観客を驚かせたい、キャラクターの背景を深掘りしたいという意図があるのは百も承知だが、このあたりの回想をもっとコンパクトにまとめることはできなかったのか。

 

1990年のソ連崩壊前夜、またはその数年前が舞台のはずだが、ノートパソコンが普通にバンバン登場する。いや、ノートパソコンそのものは当時も存在したガジェットだが、もっと小さかったはず。まあ、ソ連の科学の粋だと思うことにしよう。だが決定的におかしいのはメールに動画メッセージを添付して送信できるところ。これにはズッコケた。そんなもん、当時の技術や通信インフラの水準で出来るわけないやろ、と。『 真・鮫島事件 』でも思ったが、動画をカジュアルにやりとりできるようになったのはたゆまぬ技術革新のおかげで、それは2000年代後半以降のこと。時代考証はしっかりとすべし。

 

総評

普通に面白い。スパイ映画に出てくる人物というのは、『 ミッション・インポッシブル 』イーサン・ハントだとか『 007 』のジェームズ・ボンドのようなキャラ以外は、基本的にダブル・エージェントであることがお約束である。つまり、スパイ映画の文法に忠実でありながら、それ以外の部分での面白さも追求できている。本邦でも『 奥様は、取り扱い注意 』なる地雷臭が漂う作品が公開間近だが、土屋太鳳や山本舞香といったアクションができる女優を使ったスパイアクション映画を作ってほしいものだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Trouble never sends a warning.

危険は決して警告を送ってこない、の意。字幕は忘れたが、このセリフは耳に残った。You can never check too many times because trouble never sends a warning.だと感じる繁忙期の今日この頃である。

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アメリカ, キリアン・マーフィ, サッシャ・ルス, フランス, ヘレン・ミレン, ルーク・エヴァンス, 監督:リュック・ベッソン, 配給会社:キノフィルムズ

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