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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 監督:オリヴィア・ワイルド

『 ドント・ウォーリー・ダーリン 』 -トレイラーに(良い意味で)騙された-

Posted on 2022年11月23日2022年11月24日 by cool-jupiter

ドント・ウォーリー・ダーリン 65点
2022年11月19日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:フローレンス・ピュー ハリー・スタイルズ
監督:オリヴィア・ワイルド

『 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 』で鮮烈な青春映画を撮ったオリヴィア・ワイルドが、夫婦のサスペンス、あるいはミステリ風味の作品を送り出してきた。

 

あらすじ

夫ジャック(ハリー・スタイルズ)と幸せな結婚生活を送るアリス(フローレンス・ピュー)。夫の仕事は順調で、近隣の仲間たちとも良好な関係を築いていた。充実した日々を過ごすアリスだったが、次第に不可思議な現象に悩まされるようになり・・・



ポジティブ・サイド

これはジャンル分けが難しい。サスペンスのようでもあるし、ミステリのようでもある。おそらくスリラーに分類するのが正しいのだろが、なかなかそれを悟らせないストーリーテリングにはヤキモキさせられるものの、謎の正体が不明なため、それだけで緊張と興味が持続する。何を言っているのか分からないと思うが、本作はモヤモヤを楽しむ映画なのである。

 

幸せなカップルの女性を演じるフローレンス・ピューだが、『 ミッドサマー 』の印象は今も続いていて、「あ~、きっとトラウマ的な体験をするんだろうなあ」と思わせてくる。そう思わせて、実際にトラウマ的な体験をして、それできっちり観る側を満足させてくれるのだから大したもの。変なラブロマンスに出演するよりも、トニ・コレットの後継者路線を目指すべし。

 

どこか『 アス 』や『 アンテベラム 』を思わせる雰囲気の共同体で、夫たちが順調に仕事をしている留守を守る、夫の不在を存分に享受する妻たちの姿は美しい。にもかかわらず、徐々に流れていく不協和音。夫たちの仕事とは何か。消えた友人はどうなったのか。街そのものが何かおかしいことを訴えるアリスと、Don’t worry, darling 的な態度に終始する夫ジャックのすれ違いに、奇妙な共感をする夫婦は多いのではないか。本作の見所は、男性が「女性目線」に立ってフェミニズムを体現しようとしている様を、女性監督が「男性目線」から見えているであろうフェミニズムを体現しようという、一種の入れ子構造にある。

 

ネタバレになるので白字にするが、『 ラスト・ナイト・イン・ソーホー 』的な物語なのかな?と思わせておいて『 レミニセンス 』的な話だった。是非とも夫婦で鑑賞してほしい。これは、ある意味でとてもまっすぐな愛の物語だから。

 

ネガティブ・サイド

本作のトリックはそれなりにショッキングなものだが、フェアな伏線が張られていたとは言い難い。せいぜい中身のない卵くらいか。というか、あの飛行機は何?あれで『 アンテベラム 』を想起した人も多いと思うが、あの飛行機墜落はかなり強引な演出だった。

 

できれば全てのキャラたちの背景を語って欲しかった。カップルたちの奇妙な出会いの共通点などが語られ、街の核心に迫っていこうとするところで、そこには至らず。オリヴィア・ワイルドは監督としての職権乱用ではなかろうか。

 

ジェンマ・チャンのキャラクターも拍子抜け。「お、仁義なき女の戦いが勃発か?」というところで物語そのものがフェードアウト。ここは決着をつけてほしかった。

 

総評

非常に複雑なフェミニズム映画という印象。間違っても『 ミッドサマー 』的なノリで若者がデートで観るような映画ではない。夫婦、できれば共働き夫婦で鑑賞してほしい。特に日本は不景気でDINKSも増えている。本作が夫婦関係を見つめ直すヒントになるかもしれない。また。こうした世界が現実に到来する予感も漂っている。ユートピア=ディストピアという図式を、古い革袋に新しい酒という形で提示する意欲作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a shoulder to cry on

『 エンダーのゲーム 』でも紹介した表現。そこで泣くための肩という意味で、弱音や愚痴を聞いてくれる人の意味。もうすぐホリデーシーズンなので『 ラスト・クリスマス 』が聞こえてきたら耳を澄ましてみよう。Me? I wish I was a shoulder to cry on ♪♪♪

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・メニュー 』
『 ザリガニの鳴くところ 』
『 サイレント・ナイト 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, スリラー, ハリー・スタイルズ, フローレンス・ピュー, 監督:オリヴィア・ワイルド, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ドント・ウォーリー・ダーリン 』 -トレイラーに(良い意味で)騙された-

『 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 』 -学生、観るべし-

Posted on 2020年8月23日2021年1月22日 by cool-jupiter

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 75点
2020年8月22日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:ビーニー・フェルドスタイン ケイトリン・デバー
監督:オリヴィア・ワイルド

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200823183902j:plain
 

原題は booksmart 。通常は book smart と離して表記すると思われる。意味はwell-readと同じ、つまり「本をたくさん読んでいて賢い」ということ。しばしば、street smart = 実地に色々と経験してきた、との対比される。ちなみにボクシング業界ではたまに ring smart という表現も使われる。意味は推測の通り「リング上で経験を積んでいて巧妙」ということである。

 

あらすじ

高校の生徒会長モリー(ビーニー・フェルドスタイン)とその親友エイミー(ケイトリン・デバー)は成績優秀。モリーは名門大学への進学が決まっており、エイミーも海外に進学する。だが、同級生たちも名門への進学や大手への就職が決まっていると知ったモリーは、勉強ばかりの高校生活を後悔・卒業前日の夜に盛大に羽目をはずそうと、エイミーと共にパーティー会場を目指そうとするが・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200823183924j:plain
 

ポジティブ・サイド

プロット自体は陳腐である。どこかイケてない女子が、パーっとはじけようとするという点では『 エイス・グレード 世界いちばんクールな私へ 』に通じる。だが、あちらは中学生で、こちらは高校生。畢竟、下ネタも解禁される。というよりも、下ネタのオンパレードである(それはちょっと言い過ぎか)。パンダのリンリンへのあいさつには笑いを禁じ得なかったし、その他のシーンでも映画館のあちこちから笑い声が漏れていた。本当はこのご時世飛沫を飛ばすような行為はご法度なのだが、そんな意識すら薄れてしまうほど、本作のユーモアには容赦がない。パーティーで意中の相手といい雰囲気になった時の予習に、スマホにイヤホンをしてポルノ動画を食い入るように見つめていると、いきなりそれがBluetooth接続されて大音量で車内に響くというのも現代的だ。似たような失敗を家庭や学校、職場でやらかしたという人がいても全くおかしくない。下ネタだけではない笑いもいっぱいあるので、そこは安心してほしい。そして、セックス未遂シーンもあるので期待してほしい。

 

ニックというスクールカーストの頂点にいる男の主催するパーティーへ向かうはずが、あちらこちらと寄り道させられる、その過程も楽しい。神出鬼没のジジと実は良い奴ジャレッド、同族嫌悪的だが自分たちの写し鏡でもあるジョージとアランの演劇コンビなど、モリーとエイミーの高校の多士済々ぶりが際立つ。目的のニックの叔母宅にたどり着けない二人が、SNSの画像からあれこれと推理していくのは『 Search サーチ 』的で楽しいし、配車サービスだけではなく、図々しくもピザのデリバリー車に便乗しようとするところも微笑ましい(良い子は真似をしないように)。

 

なんとか目的地にたどり着いた二人。場慣れしていないため舞い上がってしまうが、なんとか上手く馴染めそう。それぞれが意中の相手にアプローチしていく様子には、こちらも素直に応援をしたいという気持ちにさせられる。だが好事魔多し・・・

 

主役の一人のビーニー・フェルドスタイン、どこかで観た顔だと思ったら『 レディ・バード 』のシアーシャ・ローナンの親友か。さらにリサーチをしたら(つまり英語Wikipedia記事を読んだ)、なんとジョナ・ヒルの妹。確かに顔はそっくりだ。

 

様々な高校生の青春模様をわずか一日半に凝縮してしまったのはお見事。終盤の展開をどうまとめるかという難題にも、キャラの特長とフェアな伏線と見事に対処。恋と友情は別もの。だからこそ大ゲンカもできるし仲直りもできる。世界は大きく広がるけれど、それで二人の距離まで広がってしまうわけではない。近年の青春映画としては突出した面白さを誇る快作である。

 

ネガティブ・サイド

字幕にローザ・パークスが出てこないのは何故だ?ルールを破った偉人としていの一番に言及されているのに。同性愛者同士の語らいやまぐわい、黒人美女の担任に言い寄るメキシコ系の生徒まで描写されているのに、ローザ・パークス(『 ハリエット 』のハリエット・タブマンと並んで、20ドル札の文字通りの顔となる候補者だった)が字幕に出てこないというのは翻訳担当者あるい配給会社の字幕校正・編集担当の不始末だと指摘しておきたい。

 

ポルノ大音量事件は大いに笑ったが、Bluetoothでクルマ側からスマホに接続するにはペアリングが必要なはず。劇中のようにスイッチを押した瞬間に同期完了というのはありえない。笑いの瞬間最大風速を狙ったが故の単純ミスだろう。

 

劇中でほとんど時計が出てこないのは賢明だと感じたが、いったいこの卒業前夜の夜の長さはどうなっているのか。ロサンゼルスの6月の日没は20:00頃。モリーがエイミー両親に「エイミーは私の家に泊まる」と言って連れ出した時には外はすでに真っ暗。パーティー会場入りは一体何時だったのだろうか?劇中の時間の経過を推測するに23:00過ぎ?パーティー会場入りまでがドタバタしすぎではなかったか。

 

総評

『 スウィート17モンスター 』と並んで、日本の中学高校生あたりに是非とも観てほしい作品である。エイミーとモリーは当たり前のようにスマホユーザーであるが、二人の会話は徹頭徹尾、対面の口頭である。もちろん世界的パンデミックで#StayHomeが推奨されているが、それでも本作は夏休みの内に劇場で観賞してほしいと思う。多くの児童、生徒、学生が「自分たちの学校生活って何なんだろう?」という疑問を抱いてるに違いないが、その疑問に対する一つの答え(必ずしも模範的な回答ではないが)が本作にはある。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

What’s shaking?

校長先生がエイミーとモリーに出会った瞬間にかけた言葉。“What’s up?”や“What’s going on?”と同じで、「よう」や「調子どう?」という意味である。かなりカジュアルな表現なので、友人相手だけに使うこと。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, ケイトリン・デバー, ビーニー・フェルドスタイン, 監督:オリヴィア・ワイルド, 配給会社:ロングライド, 青春Leave a Comment on 『 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 』 -学生、観るべし-

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