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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ロブ・リグル

『 21ジャンプストリート 』 -にせもの高校生のダイ・ハード潜入捜査-

Posted on 2020年10月11日 by cool-jupiter

21ジャンプストリート 65点
2020年10月7日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ジョナ・ヒル チャニング・テイタム ブリー・ラーソン ロブ・リグル
監督:フィル・ロード クリストファー・ミラー

f:id:Jovian-Cinephile1002:20201011011048j:plain
 

『 mid90s ミッドナインティーズ 』がかなりビターな味わいだったので、ジョナ・ヒルの持ち味であるユーモアを堪能すべく近所のTSUTAYAでレンタル。荒唐無稽なストーリーでありながら、上質のヒューマンドラマでもあった。

 

あらすじ

日陰で高校時代を過ごしたシュミット(ジョナ・ヒル)と学校の人気者だったジェンコ(チャニング・テイタム)は、ともに警察官になっていた。二人は「見た目が若い」という理由で、新種の麻薬がはびこっていると噂される高校に、高校生として潜入し、捜査しろとのお達しを受けて・・・

 

ポジティブ・サイド

よくもまあアホな設定を思いつくものだと思うが、何と元々はテレビドラマらしい。そのドラマが出世作となった大俳優が、チョイ役で出てくるのはそういうことか。出演者も無駄に豪華で、張り切ってB級映画を作ってやるぜという俳優陣および裏方の心の声が聞こえてきそうである。

 

冴えない青春を送ったシュミットが思わぬ形で高校という生態系に受容され適応されていく様は、ベタではあるが爽快である。一方で、日なたの青春時代を過ごしたジェンコが、空気の読めないちょっとアブナイ男かつナードとして認識されるのも痛快だ。もちろん麻薬犯罪を捜査するための警察官として高校に通っているわけだが、主役二人の今と昔の光と影のコントラストが、互いをバディとして認識するようになる流れを際立たせている。フィル・ロードとクリストファー・ミラーの二人の監督はなかなかの手練れである。

 

かといってシリアスに傾きすぎるわけでもない。ひょんなことから麻薬の売人高校生にコンタクトされたのは、シュミットとジェンコの振る舞いがあまりにもアホすぎて、「こいつらが警察なわけがない」と思ってもらえたからこそ。いったい何をやったのか。それは本編をどうぞ。彼ら自身が新種の麻薬でラリってしまうシーンは結構面白い。彼らの上司がこれを見たら、きっと頭を抱えたことだろう。

 

麻薬組織との対決はスリリングである。意外性のある人物が黒幕だったり、絶体絶命の状況からの思わぬ援軍の登場だったりと、観る側を飽きさせない。そしてクライマックスのカーチェイスとオチ。笑っていいのか悪いのか分からないが、とにかく天網恢恢疎にして漏らさず、この世に悪が栄えた試しなし。『 デンジャラス・バディ 』のようなコメディ・タッチのバディものが好きな人にお勧めしたい。

 

ネガティブ・サイド

警察であることを隠し通すのが至上命題であるのに、銃を渡された瞬間に空き缶や空き瓶に次々と命中させていくのは、ギャグにしてもお粗末ではないか。「こいつらは絶対に警官じゃない」と確信してくれた売人を、わざわざ訝しがらせるような行動をとってどうする?そして、売人も感心している場合か。相手は下手したら警官、もしかすると銃の密売人またはギャングの可能性まであるというのに・・・

 

ジェンコが化学ナードたちから得た知識を使って終盤のカーチェイスと銃撃戦で活躍するが、他のクルマや通行人もいる街中であれをやるか?アクション最優先で、コメディ要素を忘れてしまっている。やるなら、もっと茶化した感じの銃撃戦するべきだった。

 

細かいところだが、ミランダ警告ができない警官などいるのか?初逮捕劇を台無しにしてしまう大失態で、面白いと言えば面白いのだが、これは警察をさすがに茶化し過ぎているように思う。やるなら韓国映画のように、とことん警察をカリカチュアライズすべきだろう。

 

総評

ジョナ・ヒルの本領は、やはりこうしたコミカルなストーリーでこそ発揮される。肉体派のチャニング・テイタムが、筋肉や運動神経よりも頭を使う展開は、意外性もあって悪くない。だが、テイタムはやはりそのathleticismで勝負すべきだ。続編も見てみよう。きっと上質のa rainy day DVDに違いない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

take a dump

ジェンコが試験を抜け出す時に“Can I go take a dump?”と言う。意味は「ウンコに行っていいですか?」である。ダンプカー(dump car)が積み荷をドサッと降ろすところを想像すれば、take a dump が何かをドサッと降ろす行為をするのだな、と感じられるだろう。take a leak = おしっこすると合わせて覚えよう。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, アメリカ, コメディ, ジョナ・ヒル, チャニング・テイタム, ブリー・ラーソン, ロブ・リグル, 監督:クリストファー・ミラー, 監督:フィル・ロードLeave a Comment on 『 21ジャンプストリート 』 -にせもの高校生のダイ・ハード潜入捜査-

『 ステータス・アップデート 』 -虚構とリアルを適切に織り交ぜた佳作-

Posted on 2018年11月30日2019年11月23日 by cool-jupiter

ステータス・アップデート 70点
2018年11月25日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:ロス・リンチ オリビア・ホルト コートニー・イートン グレッグ・サルキン ロブ・リグル ジョン・マイケル・ヒギンズ
監督:スコット・スピア

f:id:Jovian-Cinephile1002:20181130031130j:plain

『 ミッドナイト・サン タイヨウのうた 』のスコット・スピア監督の作品ということで迷わず鑑賞。やはり今後は、自分の頭の中の心象風景を、自分なりにチョイスした音楽に乗せられる監督がどんどん台頭してくるのだろうなという印象をさらに強くさせられた。かの武満徹や伊福部昭は映画音楽を手掛けることはあっても、サントラの発売には当初、かなり否定的だったと言われる。映像+音楽=映画音楽という信念の持ち主であったことと、あくまで自分たちは音楽家であって実業家ではないという信念の持ち主であったためと考えられている。しかし、今後はジャンルの混合・混淆もますます進み、音楽畑や文学畑から映像畑に進出してくる、あるいはその逆の流れも生じてくるのだろう。スピア監督は、そうした時代の潮流の象徴の一人であるように思う。

 

あらすじ

両親が別居することになったカイル(ロス・リンチ)はカリフォルニアから4800km離れたコネティカットに引っ越し、母と祖父、妹と暮らし始める。しかし、学校や地域そのものに馴染めず苦悩する。そんな中、モールのショップで「ユニバース」というアプリ入りのスマホを手に入れたカイルは、そこに投稿した内容が実現することを知る。次々に願いを叶え、望みのものを手に入れていくカイルだが・・・

 

ポジティブ・サイド

ドラえもんのひみつ道具を一つだけ手に入れることができるなら、何がいいだろうか?と夢想したことのある人は多いはずだ。タケコプターやどこでもドア、ほんやくコンニャクあたりが有力候補だろうが、Jovianは間違いなく、もしもボックスを選ぶ。本作のカイルは、そういう意味で自分と重なる。そしてその願いも、まるでのびたのそれのようなのだ。小学生でも高校生でもオッサンでも、結局願うことは同じレベルなのだと思うと気恥ずかしいやら面映ゆいやら。世界征服のようなスケールの大きな願いではなく、あくまで自分の生活世界の中で完結するような願い。カイルが叶えたいと思うのは、非常に小市民的な夢なのだ。

 

本作はアメリカのスクール・カーストの実態も活写する。『 THE DUFF/ダメ・ガールが最高の彼女になる方法 』や『 ステイ・コネクテッド つながりたい僕らの世界 』で描かれていたように、アメリカのハイスクールでカースト上位に来るのは、フットボールチームのスターとチアリーダーなのであるが、本作はその地域性もあって、アイスホッケーチームのエースが序列のトップに来る。アメリカという国の広さを物語ると共に、自分がアメリカに対して知らず先入観を抱いていたことも思い知らされた。このアイスホッケーというのがミソで、思わぬユーモアを生み出してくれる。また『 ピッチ・パーフェクト  』並みに歌唱とダンスにも力を入れているシーンがあり、ここはスコット・スピア監督の趣味と手腕が爆発した箇所であると言える。ビジュアルの力でストーリーテリングを行うのは映画の基本にして究極だが、そこに音楽や歌謡を効果的に用いることのできる、いわば新世代の監督たちも台頭してきた。トップランナーはエドガー・ライトだろうが、スコット・スピア監督も、今後はほぼ無条件で観るべき監督リストに載せておこう。

 

非常に陳腐ではあるのだが、本作はカイルという主人公を決してミヒャエル・エンデの『 はてしない物語 』のバスチアンのようには描かない。というよりも、この世界のバスチアンとファンタージェンのバスチアンを丁寧に切り取り、前者をカイルに、後者をカイルの親友、デレクに仮託したようである。どこまでも子どもの目線を貫くプロット構築は見事である。

 

そして子どもと対比されるのは大人である。具体的にはカイルの父と母である。母は息子に非常に現代的なアドバイスを送る。それはおそらく多くの子どもたち、いや、それよりも大人たちに突き刺さるメッセージである。在野の歴史家にして小説家の八切止夫は「人間関係は、いかに相手に誤解されるかにかかっている」と著書『 信長殺し、光秀ではない 』で喝破した。このメッセージは、ロブ・リグル演じる父親に実はそっくりそのまま当てはまる。それにしても、このコメディアンは一癖ある父親を演じさせれば天下一品である。『 ミッドナイト・サン タイヨウのうた 』でも強烈なインパクトを残したが、スピア監督と相性が良いのだろうか。素晴らしいケミストリーが生まれている。

 

最後に、ジョン・マイケル・ヒギンズに触れねばならない。『 ピッチ・パーフェクト 』シリーズの毒舌解説者と言えばお分かり頂けよう。単なる勘だが、この人は多分、台本半分、アドリブ半分で喋っているのではなかろうか。韓国のイム・ヒョンシクに並ぶアドリブの帝王であるような気がしてならない。これは褒め言葉である。

 

ネガティブ・サイド

祖父はこの物語に必要だったか?コミックリリーフならロブ・リグルがいるし、デレクも単独で充分に面白い。祖父の存在は完全にカットして、上映時間を数分で良いから短くするか、または編集でそぎ落とした他のシーンの増量に回してほしかった。

 

またエンディングのクレジットシーンに10秒程度のスキットが挿入されるが、これも果たして必要だったのだろうか。

 

「ユニバース」というアプリの効力の範囲や期間が不透明であったり、一度アップデートされたステータスを再びダウングレードすることは可能か?などの疑問も湧いてきてしまうが、これをちょっと不思議な青春映画と見るか、それとも現代的な本格ファンタジーと見るかで評価が分かれるかもしれない。

 

総評

これは面白い。こういった作品こそ、配給会社はもっと数多くの箱で見られるように努力してもらいたい。娯楽あり、哲学ありと面白さと深さの両方を追求している作品で、小学校の高学年から大人まで幅広い層のビューワーを楽しませることができるポテンシャルを秘めた作品である。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, ジョン・マイケル・ヒギンズ, ファンタジー, ロス・リンチ, ロブ・リグル, 監督:スコット・スピアLeave a Comment on 『 ステータス・アップデート 』 -虚構とリアルを適切に織り交ぜた佳作-

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