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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ジェイク・ジレンホール

『 スパイダーマン ファー・フロム・ホーム 』 -是非、劇場で3D鑑賞を-

Posted on 2019年6月30日2020年4月11日 by cool-jupiter

スパイダーマン ファー・フロム・ホーム 80点
2019年6月29日 梅田ブルク7にて鑑賞
出演:トム・ホランド ゼンデイヤ ジェイク・ジレンホール J・K・シモンズ
監督:ジョン・ワッツ

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親愛なる隣人が帰ってくる。トビー・マグワイア以上にピーター・パーカーを体現しているかもしれないトム・ホランドへの期待は世界的に高い。そしてSonyに敬意を表してか、全世界最速で日本で公開される。そして梅田ブルク7はこれに合わせてDOLBY CINEMA 3Dを導入。ならばさっそく体験せんとチケット購入。2,300円の価値に見合う体験ができた。

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あらすじ

ピーター(トム・ホランド)はアイアンマンとの別離に苦悩しながらも、高校生らしい生活に戻っていた。学校の科学体験ヨーロッパ旅行でMJ(ゼンデイヤ)との距離を縮めようとするピーターの前にしかし、謎の水の怪物とそれを撃退しようとする謎のヒーローが現れ・・・

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ポジティブ・サイド

3Dで鑑賞したが、この判断は正解だったと言えると思う。4DXやMX4Dでも良かったのかもしれない。スパイダーマンのアクションの肝はウェブを使った三次元機動にある。そんな立体的アクション観客に追体験してもらうためには、二次元的なスクリーンではなく3Dや4Dの力こそが必要なのかもしれない。もう一つ、我々はメガネ、アイウェア、ビューワー、呼び名は何であれ、何かを通じて何かを見ることに慣れきっている。それゆえに自分の目で見るという行為に知らず知らずのうちに絶大な信頼を置いている。この「見る」という行為の危うさと確かさを本作は同時に追求する。もの凄い離れ業である。詳しくは本作を堪能して欲しいとしか言えない。

 

スパイダーマンのアクションも順調に進化している。トニー・スタークはストーリーが進むにつれてアイアンマンであることと良くも悪くも不可分になっていったが、ピーター・パーカーはスパイダーマンになっても、ピーター本来のちょっとnerdyな部分も失わない。とあるシーンで理系の秀才の一面を存分に発揮した戦術を披露してくれる。前作では「スーツがないと自分は何者にもなれない」と言っていた子どもが、スーツの力を最大限発揮する為に自らの頭脳を駆使するようになった。こうして少年は少しずつ大人に近づいていくのである。そして、そのシーンでハッピーが流す音楽は完全に映画『 アイアンマン 』およびヒーローとしてのアイアンマン、人間としてのトニー・スタークへのトリビュート。本作鑑賞前には『 アベンジャーズ インフィニティ・ウォー 』、『 スパイダーマン ホームカミング 』、できれば『 シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ 』、『 キャプテン・マーベル 』や『 ドクター・ストレンジ 』、更に余裕があれば『 アイアンマン 』も鑑賞しておきたいものである。それだけの価値はきっとある。ピーターが生き生きとスパイダースーツをカスタマイズする様に、我々は“彼”を見出すのである。

 

それにしても、スパイダーマンというのはやはりかなり特殊なヒーローなのだろうなと感じる。気になるあのコのプロムのエスコート役の座をどうやってゲットしようかと思案したり、修学旅行の飛行機であのコの隣の座席をどうやってゲットしようかと悩んだり、自分ではない誰かと盛り上がるあのコを目の当たりにすると、何故これほど胸が千々に乱れるのかが分からない、そんな甘酸っぱい青春の一ページが蘇ってくるようだ・・・と感じられる人は相当に幸せな青春時代を遅れた勝ち組である。リア充爆発しろ

 

Back on track. 非常に現代的~近未来的なテクノロジーがふんだんに使われており、そのことがプロットのリアリティを増している。なおかつ、現代的なのはテクノロジーだけではない。我々は何を信じるのか、どうしてそれを信じるのか、という命題に対して一定の答えを本作は呈示するからだ。情報が溢れかえり、画質や音質、果ては立体映像や嗅覚や触覚まで刺激してくる劇場施設、さらにはVR技術の著しい発達など、現実と仮想の境目はどんどんと曖昧になってきている。それは、ファクトとフェイクの境目がいよいよ混沌になりつつある現代への痛烈な風刺であるように思えてならない。そのことを示唆するポストクレジットシーンは、否応なく次作への期待と不安を高めてくれる。おかえり、J・K・シモンズ!

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ネガティブ・サイド

劇中で用いられる仕掛けとガジェットはそれなりに納得のいくものであるが、それでも全世界75億の人類すべてを納得させられる代物ではありえない。そう考えられる根拠は主に二つある。

 

1つには、アベンジャーズは、なかんずくトニー・スターク/アイアンマンは、戦いによって守った命もあれば、危険に晒した、あるいは奪ってしまった命もある。そのことは『 シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ 』でスカーレット・ウィッチがまさに苛むことになった事柄である。単純にアベンジャーズの後釜にヒーローが座ったからといって、万事が丸く収まることなどありえない。むしろ、新たなシビル・ウォーの呼び水になるだけだ。誰かにとっての正義が、万人にとっての正義にならないこと、それこそがシビル・ウォーの原因だった。強大な力は適切に管理されねばならないというトニーの思想は自身が兵器製造会社社長であるという背景から来ている。一方で、国際連合なる組織にアベンジャーズの出動可否を判断させるというのは、国際連盟が世界大戦の勃発を防止できなかったことをリアルタイムで見てきたスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカにとってはとうてい承服しかねることである。正義の味方の喪失を、新たな正義の味方で補うことの危険性を、MCU世界は理解するはずだ。

 

もう1つには、他のアベンジャーが出張ってきた時にどうするのかということである。大人と子どもの中間であるピーターは騙しおおせても、大人の事情で出張ってこれなかったドクター・ストレンジやキャプテン・マーベル、またはハンク・ピム博士やブルース・バナーでも良い。彼らの目を欺けるだろうか。おそらく不可能だろう。それに、世の中には何でもかんでも陰謀論に仕立て上げてしまう人種も絶対に存在するのである。例えば『 X-ファイル 』のローン・ガンメンのような奴らは、全米だけでも千、もしかすると万の単位で存在しているのだ。ピーター・パーカーはそれなりにnerdyかつgeekyであるが、本気になったオタク連中というのは、ネッドの一億倍は有能であろう。他のスーパーヒーローに関してはこんなことは想像できないが、スパイダーマンは別だ。『 スパイダーマン2 』で列車を見事に止めたスパイダーマンを、ニューヨーク市民たちは見事に団結し、守り、送った。スパイダーマンの世界の市民は無力ではないはずだ。

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総評

色々と考えさせられてしまう面が多く、そのうちのいくつかは重要な示唆を含んでおり、そのうちのいくつかはスパイダーマン世界とどこか調和しない。そのように感じられる。しかし、エンターテインメント要素については優れたアイデアがてんこ盛りで、非常にシネマティックな体験ができることは請け合いである。できれば2Dではなく、3Dや4DXなどで鑑賞をしてほしい。映画館の回し者ならずとも、そのようにお勧めしたくなる快作である。

 

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『ノクターナル・アニマルズ』 -虚実皮膜の間に観る者を誘う-

Posted on 2018年10月6日2019年8月22日 by cool-jupiter

ノクターナル・アニマルズ 65点

2018年10月3日 レンタルDVD鑑賞
出演:エイミー・アダムス ジェイク・ジレンホール マイケル・シャノン アーロン・テイラー=ジョンソン アイラ・フィッシャー アーミー・ハマー 
監督:トム・フォード

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大阪ステーションシネマで上映中にずっと気になってはいたのだが、タイミングが合わず見逃してしまった。今回、満を持してTSUTAYAで借りてきたが、観終わって「うーむ」と唸ってしまった。即座に思ったのは、男から女への復讐劇ということだが、それ以上の意味もありそうだということ。もしかして、全て妄想の可能性も・・・?

画商として成功し、豪邸に住むスーザン(エイミー・アダムス)。夫のハットン(アーミー・ハマー)との仲が微妙になりつつあり、また記憶の欠落もちらほらと起こしつつある。不眠症のせいなのか。そんな中、元夫のエドワード(ジェイク・ジレンホール)から、『夜の獣たち』(Nocturnal Animals=ノクターナル・アニマルズ)という小説の草稿が送られてくる。眠れぬ夜にその小説を読むことで、スーザンは虚実皮膜の間に落としこまれて行く・・・

夜の獣というのは、明らかに不眠症のスーザンを指すと思われるが、なぜ原題はそれが複数形なのか。あの頃のスーザン、今のスーザン、画商としてのスーザン、一人の女性としてのスーザンなど、スーザンその人の多面性のことなのか。

また小説に現れる不審者レイ(アーロン・テイラー=ジョンソン)が象徴するものは何か。なぜトニー=(≠?)エドワードに絡んでくるのか。彼の妻と娘を凌辱したのは何故なのか。トニーの余りの不甲斐なさと、対称的に西部の保安官の理想像を体現したかのようなボビー(マイケル・シャノン)の強さと弱さが同居したキャラクターは、エドワードの心のどの部分の象徴なのか。

奇妙なシンクロを見せるのはキャラクター達だけではない。小説場面と現実世界が絵画やオブジェを通じてシームレスにつながるシーンが複数あり、そうした場面が訪れるたびに観る者は混乱させられる。それは心地よい混乱であり、なおかつ不安を掻き立てる。なぜなら次のシークエンスが待ち遠しくなると同時に、見てはいけないエンディングに近づきつつあるとの予感がどんどん強くなってくるからだ。

ひとつ不思議なのは、なぜスーザンは『夜の獣たち』を読みながら、トニーをエドワードの顔で想起するのか。ふと思うのは、彼女はアートディーラーであり、彼女自身が美術芸術を創作することは無いということ。コロンビア大学の大学院で美術を専攻しながらも、創作の道ではなくビジネスの世界に進んだ彼女は、表面的には成功を収めているのかもしれない。しかし、心の奥底にある衝動を作品という形に昇華させることができない。それはストレスであり、自己実現の妨げである。対称的にエドワードは『夜の獣たち』を書き上げた。おそらくは彼の心象世界の描写であるこの作品は、スーザンが決して実現できなかった、内的衝動の外在化・具体化である。物語の内容もそうであるが、それ以上に作品として完成させ、送りつけるだけでエドワードの目的は果たされているのではないか。読んだ小説が、凶暴なまでのリアリティで迫ってくるのは、まるで鈴木光司の小説『リング』のようだ。また、小説を読むスーザンを、別の角度から観察する我々観客の感覚は、江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』の郷田三郎を観察する読者の気持ちとオーバーラップする。そして、まるで『複製された男』の如く、観る者を混乱させ、それでいてその映像美で魅了する。評価が難しいが、見て損をしたとは決して思わない、大人の映画に触れたなという思いでいっぱいである。2日前から、断片的に、非連続的にではあるが、本作をリピート再生するばかりだ。何なのだ、この作品は・・・

個人的にはギレンホールという発音に気持ち悪さを感じるので、ジレンホールと表記している。今後も本ブログでは、できるだけ英語の発音に近い表記を心がけていこうと思う。

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