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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: エレン・バースティン

『 エクソシスト 』 -信じる者は救われる-

Posted on 2024年1月8日 by cool-jupiter

エクソシスト 85点
2024年1月7日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:エレン・バースティン リンダ・ブレア ジェイソン・ミラー マックス・フォン・シドー
監督:ウィリアム・フリードキン

 

『 怪物の木こり 』の口直しが必要と思い、劇場からの帰り道にTSUTAYAで本作と『 Sダイアリー 』をレンタル。3回目の鑑賞。1回目は多分、小学生ぐらいで、ほとんど覚えていない。2回目は大学4年の頃に仲間数人で観た。なので2001年だったか。

あらすじ

女優クリス・マックニール(エレン・バースティン)の娘リーガン(リンダ・ブレア)は突然、暴力的かつ攻撃的な言動を呈し始める。精神科医に検査・診察させても原因がはっきりしない。途方に暮れるクリスに、医師は悪魔祓いの秘儀を提案して・・・

 

ポジティブ・サイド

『 レイダース 失われたアーク《聖櫃》 』的な発掘現場で見つかる、不思議な像。イラクの古代の遺物を邪教として描くのは時代が時代だからしゃーない。

 

場面変わってアメリカでは、ベトナム戦争末期。『 シカゴ7裁判 』や『 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 』に近い時代。政治や科学に対する不信が広がっていた時期と言える。そこに信仰という宗教的な営為の是非を問おうとしたのは非常にタイムリーであったはずだし、科学がきわめて高度に発達した現代においても、一定のテーマとして在り続けている。そこらへんが本作が古典たる所以だろう。

 

ディレクターズ・カットを観たが、時代や社会をていねいに描いているという印象を受けた。キャラの台詞やナレーションなどは一切使わず、映像でていねいに見せるという手法に好感を抱く。

 

その後のホラー映画の多くが本作にインスパイアされたと言われているが、ホラー以外も本作に触発されたはず。『 ロッキー 』のトレーニング・シーンのモンタージュの一部はカラス神父のジョギングへのオマージュに見えるし、馬車に乗る老婆は『 スター・ウォーズ 』シリーズのパルパティーン皇帝のモデルになったのではないかとも感じる。ラテン語を話す悪魔という設定は『 エミリー・ローズ 』が借用した。クリス邸の前の階段は『 ジョーカー 』でホアキン・フェニックスが踊り狂った階段、こちら側とあちら側を隔てる境界のように見えた。

 

悪魔に憑りつかれたリーガンを丹念に科学・医学の面からアプローチしていくことで、これが単なる疾患ではなく超常現象なのだということが明らかになっていく。一方でクリスの友人でもあるバークが死亡してしまうこと、医学を超えた警察沙汰にもなる。このあたりのバランスの取り方も上手い。ホラーとサスペンスの間を巧みに行ったり来たりすることで、観る側も信仰と理性の間を行ったり来たりすることになる。バークの死の真相についても、カラス神父の壮絶な最後のシーンから、別の可能性が浮かび上がってくる。このあたりの何が真実なのか惑わせる作風、理性的に考えるのか、それとも超常現象を認めるのかというのが本作の一貫したテーゼになっている。

 

本作をホラーの金字塔たらしめる数々の印象的なシーン、たとえばリーガンが緑色の吐しゃ物を吐くシーンや首をぐるりと180度回転させるシーン、さらに空中浮遊するシーンや、劇場公開時にはカットされてしまったスパイダー・ウォークのシーンなどは今見ても十分に怖い。むしろ過剰な効果音やCGが一切使われていないことで不気味さが増しているとすら言える。

 

冒頭のメリン神父の再登場によって、ついにカラス神父も悪魔祓いに参加。二人でリーガンに対峙するも、精神疾患によって息子を認知できなくなった母親の幻影を見せられたカラスが退場、一人残ったメリン神父は死亡。カラス神父の母の旧姓を答えられなかったリーガンが、その母の幻影を見せてくるという精神攻撃、さらに元々持病で服薬が欠かせなかったメリン神父の死因な何かなど、観る側の理性をとことん揺さぶる展開には恐れ入った。

 

最後にカラス神父の同僚のダイアー神父が、例の階段を下りることなく振り返るシーンで物語は締めくくられる。ダイアーは信じたのだろうか?見上げるメリン神父、見下ろすダイアー神父という対比から考えれば信じなかったのだろう。しかし、カラス神父の最後の懺悔を聞いたのもダイアー神父だった。彼が振り返った先にいるのが我々鑑賞者だとすると、ベタな表現ではあるが、解釈は観る側に委ねられたのかもしれない。

 

ネガティブ・サイド 

ほとんど非の打ち所がない作品だが、リーガンが十字架で局所を思いっきり刺すシーンの後、医者を呼ばなかったのだろうか。精神科ではなく小児科あるいは外科をも巻き込むシーンがあっても良かったのにと思う。

 

総評

人間ドラマとしてもホラーとしても素晴らしい。続編の『 エクソシスト 信じる者 』がホラーよりも人間ドラマを重視したのは、オリジナルへのオマージュと、ホラーとしては勝てないという二つの理由からだったのか。また20年後に鑑賞してみたい。その頃には悪魔は宇宙開発ではなくゲノム編集などを呪っているのだろう。本作はそういう見方ができる、つまり時の経過にも充分に絶えうる作品で、だからこそ古典と呼んで差し支えないと思う。

 

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Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I beg your pardon?

劇中で2~3回使われたかな。意味は「もう一度おっしゃっていただけますか?」という、丁寧なもの。しかし、相手に復唱をお願いする意味以外に、文脈によっては「今何て言ったコノヤロー」的なニュアンスにもなるので注意。使うならフォーマルな場に限定しよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 雑魚どもよ、大志を抱け! 』
『 ゴーストワールド 』
『 ブルーバック あの海を見ていた 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1970年代, A Rank, アメリカ, エレン・バースティン, ジェイソン・ミラー, ヒューマンドラマ, ホラー, マックス・フォン・シドー, リンダ・ブレア, 監督:ウィリアム・フリードキン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 エクソシスト 』 -信じる者は救われる-

『 エクソシスト 信じる者 』 -ホラーというよりは人間ドラマ-

Posted on 2023年12月12日 by cool-jupiter

エクソシスト 信じる者 60点
2023年12月9日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:レスリー・オドム・Jr. リディア・ジュエット アン・ダウド エレン・バースティン
監督:デビッド・ゴードン・グリーン

 

傑作『 エクソシスト 』の続編ということでチケット購入。

あらすじ

娘のアンジェラ(リディア・ジュエット)が友達と二人で宿題をすると言ったが帰ってこない。調べたところ、二人は森に入っていた。父ビクター(レスリー・オドム・Jr)は懸命に娘を探すが見当たらない。二人は3日後にとある牧場の納屋で見つかるも、その間の記憶がない。それどころか、不可解な現象がビクターの身の回りで起こり始めて・・・

ポジティブ・サイド

母と娘の絆の戦いが、本作では父と娘の絆の戦いになっている。その父ビクターを演じるレスリー・オドム・Jr.が印象的。どこかで観たと思ったら『 ハリエット 』でウィリアム・スティルを演じていたのか。優しさと厳しさを同居させた、まさにアメリカ的な positive male figure で、男性というジェンダーの特徴をうまい具合に体現しているなと感じた。また、そのことが悪魔憑きの(間接的な)原因になっているのは上手いと感じた。

 

娘のアンジェラも純粋無垢な少女が悪魔に憑りつかれて変貌していく様は結構怖い。失禁から始まって、痙攣に至るまでがリアル。アンジェラが徐々に体のコントロールを失っていくという経過を巧みに描いている。

 

究極的には白人の母娘とカトリックの神父のストーリーだった前作とは違い、今作は各地のエクソシストの混合チームを結成。その過程で、意地悪に思えた隣人が加入してくる経緯がユニーク。また、前作の母親クリス・マクニールが同役で再登場。彼女のもとに車でビクターが向かうシーンで流れる Tubular Bells が個人的には本作のピークだった。

 

悪魔祓いの儀式前に「え?」という展開で唖然とさせられる。そして満を持して登場した神父が『 エクソシスト 』で最も有名なシーンを再現。このシーンが最もホラーらしかった。

 

ネガティブ・サイド

ジャンプ・スケアが多過ぎ。特に序盤。こけおどしの演出でびっくりさせるのではなく、観る側の恐怖心を刺激するような演出をしてほしい。夏恒例の糞ホラーではなく『 エクソシスト 』の続編なのに。

 

学校の授業で心霊云々のビデオを鑑賞するものだろうか。普通に子供たちが自宅のPCでそれっぽいYouTubeを観るのではダメだったのだろうか。PCにグリッチが走る場面が序盤にもあったことだし。

 

憑依された子供たちの演技は見事だったものの、結末は拍子抜けかな。というか前作を意識しすぎているよう思う。「どうせ上回るものが作れないなら、前作と似たような作りにしてしまえ」的な姿勢が監督から感じられた。それは創作活動の姿勢としては評価するのは難しい。

 

娘リーガンと母クリスの再会はちょっと蛇足だったかな。

 

総評

『 エクソシスト 』の続編。前作を観ていなくても鑑賞は可能。直接的なつながりは少しだけしかないが、色々とオマージュがあるので、できれば予習を推奨する。本作は一義的にはホラーではなくヒューマンドラマ。チケット購入に際しては、このことを承知しておきたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

seance 

『 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 』や『 ズーム/見えない参加者 』などでもおなじみの「交霊会」の意。TOEFL iBT110やIELTS8.5を目指すような人でも知っている意味はない。ただ、オカルトやホラーが好き、かつ英語にも興味がある(この語はもともとはフランス語だが)という向きなら、教養の一環として知っておいていいかもしれない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 市子 』
『 PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ 』
『 怪物の木こり 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, アン・ダウド, エレン・バースティン, ヒューマンドラマ, ホラー, リディア・ジュエット, レスリー・オドム・Jr., 監督:デビッド・ゴードン・グリーン, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 エクソシスト 信じる者 』 -ホラーというよりは人間ドラマ-

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