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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 監督:リー・ワネル

『 透明人間 』 -ダーク・ユニバースの復活なるか-

Posted on 2021年5月5日 by cool-jupiter

透明人間 75点
2021年5月3日 レンタルBlu-rayにて鑑賞
出演:エリザベス・モス オリバー・ジャクソン=コーエン オルディス・ホッジ マイケル・ドーマン
監督:リー・ワネル

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TSUTAYAで110円クーポンを使ってレンタル。USJが無観客営業を要請されて気の毒だなと感じていたので、ユニバーサルの映画をピックアウトした次第。

 

あらすじ

光学分野の天才エイドリアン(オリバー・ジャクソン=コーエン)はセシリア(エリザベス・モス)を異常に束縛していた。彼のもとから脱出したエリザベスだったが、その後にエイドリアンが自殺したと知らされる。しかし、その頃から彼女の身の回りで不可解なことが起こり始め・・・

 

ポジティブ・サイド

ジョン・カーペンター版の『 透明人間 』は確かWOWOW放送時に観た。高校生ぐらいだっただろうか。H・G・ウェルズ以来、透明人間の物語は数限りなく作り出されてきたが、透明人間が主人公ではなくヴィランというのは珍しいような気がする。

 

ソシオパスの男が透明人間になって自分を捨てた女に復讐する。見方によってはギャグだが、これがどうしてなかなかのホラー風味のサスペンスに仕上がっている。観る側は不可解な事象はすべて透明人間の仕業だとわかっているのだが、セシリアには最初はそれがわからない。そんな段階でもカメラはしばしば”覗き”のアングルからセシリアを捉え、観る側に透明人間の視点を体験させる。あるいは、なにもない空間に何度もパンし、見えない何かの存在を執拗に意識させてくる。この、キャラクターが気づいていない、またはうすうす感じてはいるが確信にまでは至っていない状態と、観ている側の「早く気付け、やべーぞ!」という感覚のギャップが一級のサスペンスを生み出している。この構成は見事。

 

セシリアがいよいよ透明人間の存在を確信したとき、エイドリアンの弟で財産分与を手がける弁護士のトムが絶妙の演技でそれを否定する。このトムを演じた役者マイケル・ドーマンは、Jovianだけが名作だ傑作だと騒いでいるタイムループもの『 トライアングル 』でもなかなかの存在感を放っていた隠れた名優である(ちなみに『 トライアングル 』をDVDなどで借りる際は、ボックスの表面にネタバレがあるので注意のこと)。

 

本作は、透明人間の存在をダイレクトに前面に押し出すのではなく、透明人間が存在しうると信じてしまう心理、そしてあの男なら透明人間になってまでストーキングしてもおかしくないという狂った人間の心理をメインに描いている。その一方で、狂っているのはエイドリアンなのか、それとも・・・というところにまで踏み込んでいる。単純構造の物語ではなく、多重構造の物語になっていて、オチも二重三重になっている(あるいはそのように解釈できる)。目に見えない相手が怖いのではない。目に見える体を持つ人間の、目に見えない心の中が怖い。そんな、ある意味ではホラーの王道を行く作品である。

 

ネガティブ・サイド

透明人間がいくらなんでも強すぎではないだろうか。警察やガードマン相手に、いくら自分が不可視とはいえ格闘で圧倒するのはどういうことなのか。ボクシングなど、なんらかの格闘技の経験者でもないと、あれだけ簡単に人間をノックアウトすることはできないと思われるが。

 

あのスーツの素材および機能はどうなっているのだろう。耐衝撃性があり、耐水性もあり、おそらく小型の電池で長時間作動する、あるいはスーツそのものに発電機能がありそうだが、まるでアイアンマンやアントマンの世界観で、ダーク・ユニバースのそれとは相容れいないものように感じた。

 

一番の疑問は、あのスーツを着用したままで”行為”ができるのかということ。あるいは薬で眠らせて、自分はいそいそとスーツを脱いで事に及んだというのか。にわかには信じがたいし、じっくり考えてみてもやはり信じがたい。透明人間という大嘘部分を担保するために、その他の部分には極力リアリティが必要だが、そこで少し失敗しているという印象を受けた。

 

総評

鳥山明の漫画『 ドラゴンボール 』の初期にたくさん出てくる透明人間や人造人間(フランケンシュタインの怪物)、男狼などはすべてユニバーサルのキャラクターである。それらを全部集めたダーク・ユニバース構想は見事に頓挫したが、個々のキャラクターの魅力や可能性までが棄損されたわけではない。本作はそのことを見事に示してくれた。ホラーといっても、幽霊やら正体不明の怪奇生物が出てくるわけではないので、そうした分野はちょっと・・・という人にもお勧めしやすい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

video 

ビデオ、動画の意味。しかし、元々はラテン語で”I am seeing ~”の意味。ここから色々な英単語、たとえば、vision, visual, vistaなどが派生していった。勘の良い人ならaudio = I am hearingから、audienceやauditoriumが生まれたのだとピンとくることだろう。 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, エリザベス・モス, オリバー・ジャクソン=コーエン, オルディス・ホッジ, サスペンス, ホラー, マイケル・ドーマン, 監督:リー・ワネル, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 透明人間 』 -ダーク・ユニバースの復活なるか-

『 アップグレード 』 -名作SFへのオマージュ満載-

Posted on 2019年10月18日2020年4月20日 by cool-jupiter

アップグレード 70点
2019年10月15日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ローガン・マーシャル=グリーン
監督:リー・ワネル

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Jovianは小説でも映画でもSFが好きである。本作も、当初はflying under my radar。しかし、大阪ステーションシティシネマのパンフレットで先月ぐらいに本作を知った。アイデア勝負の低予算C級SF映画は嫌いではない。むしろ好物である。しかし、本作はC級ではなかった。間違いなく良作である。

 

あらすじ

自動車修理工のグレイ(ローガン・マーシャル=グリーン)は、自動運転車の事故に遭ったところを、謎の男たちに襲撃され、妻は殺害され、自身も首から下が麻痺状態という深刻なダメージを負う。しかし、顧客である大企業オーナーにして科学者の男性から、STEMというAI搭載チップを頸椎に埋め込まれることで、グレイは身体能力を取り戻した。彼は妻の敵を討つべく、独自の捜査に乗り出すが・・・

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ポジティブ・サイド

なんとまあ、多くのSF映画へのオマージュになっていることか。『 ブレードランナー 』、『 ブレードランナー2049 』的な社会の到来前夜といった趣の世界に、ボロボロの身体のはずが『 エリジウム 』的に復活し、『 ターミネーター 』や『 ロボコップ 』のような身体を動きを見せる。人間ではないものが人間らしそうで人間らしくない動きをする例として、『 エイリアン2 』のビショップも忘れるわけにはいかないだろう。ビショップの披露したナイフの早業へのオマージュに思わずニヤリ。さすがに『 ジョジョの奇妙な冒険 』のスタープラチナがモデルではないだろう。それだけではなく、『 マトリックス 』や『 アリータ バトル・エンジェル 』のような格闘を独特のカメラワークと音響効果で魅力的に演出してしまうのだから、リー・ワネルはどこまでSF好きでどこまでサービス精神旺盛な監督なのだろう。イヤホンからの指示で動くのは現実でも映画でもお馴染みの光景であるが、自分の体内にあるものとコミュニケーションを取るバディ・ムービーはそれほど量産されてきてはいない。メジャーなところでは邦画なら『 寄生獣 』、洋画なら『 ヴェノム 』ぐらいか。そして敵キャラは漫画『 コブラ 』のようなサイコガン・・・ではないが、銃を腕に仕込むという中二病的設定。『 エクス・マキナ 』的な結末が悲劇的とは映らず、むしろ

『 イヴの時間 』的な世界への過渡期が到来するのだ予感させてくれる、この味わいの複雑さよ。とにかく名作SFへのオマージュをちりばめた近未来サイバーパンク要素てんこもりのエンターテインメント作品に仕上がっている。これぞ正に掘り出し物である。インパクトだけならば、昨年の『 search サーチ 』に並ぶかもしれない。

 

ストーリーも一本道に見えて、適度にひねりが効いている。日本なら野﨑まど、神林長平、または小川一水あたりが思いつきそうなプロットである。タイトルの真の意味が明らかになるエンディングのシークエンスにはため息が出るであろう。これらの作家のファンは直ぐに劇場に向かうべし。これら作家のファンではなくてもライトなSFファンは、劇場に向かうべし。ディープでハードコアなSFファンも劇場へGoである。

 

ネガティブ・サイド

STEMのしゃべりであるが、何をどうやってグレイの鼓膜に音波を送っているというのか。神経に直接働きかけて、コミュニケーションをとっている設定では駄目なのか。耳の中の産毛を巧みに操って、あのような人工的な声を出しているのか?到底理解できないし、納得もできない。また、STEMはグレイの知覚したものしか知覚できないというが、だったらどうやって終盤の高速道路でのチェイスを、あのような方法で切り抜けたというのか。STEMという非常に凶暴で頼りになる相棒に、リアリティが足りないのが本作の最大の欠点である。

 

中盤のハッカーの存在も非常に中途半端である。『 ブレードランナー 』におけるセバスチャン的なポジションかと思わせて、fizzle out する。期待外れもいいところである。

 

同じくその中盤、ハッカー関連のシークエンスで、プロット的に破綻しているとまでは言わないが、小さな綻びが見られる。サスペンスを生み出したかったのだろうが、これのせいで最終盤の展開の驚きが減じる。もしくは鑑賞後に考察していると、???となってしまう。

 

総評

弱点や矛盾点も存在するが、とにかく製作者の映画愛が溢れんばかりに満ちた作品である。95分と非常にコンパクトにまとまっているのもポイントが高い。繰り返しになるが、SFファンならば、直ぐにチケット購入に走られたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I don’t give a shit.

 

I don’t give a damn. や I don’t give a fuck. とも言う。「んなもん知るか、ボケ」のような意味およびニュアンスである。汚い言葉であるが、それゆえに多用されている。『 ア・フュー・グッドメン 』でジャック・ニコルソンが“I don’t give a damn what you think you are entitled to!”と絶叫するシーンは特に有名である。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, SF, アクション, アメリカ, ローガン・マーシャル=グリーン, 監督:リー・ワネル, 配給会社:パルコLeave a Comment on 『 アップグレード 』 -名作SFへのオマージュ満載-

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