Skip to content

英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

  • Contact
  • Privacy Policy
  • 自己紹介 / About me

タグ: 監督:アンディ・サーキス

『 ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ 』 -バトルシーンがイマイチ-

Posted on 2021年12月18日2024年7月27日 by cool-jupiter

ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ 45点
2021年12月12日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:トム・ハーディ ミシェル・ウィリアムズ ウッディ・ハレルソン 
監督:アンディ・サーキス

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211218133049j:plain

『 ヴェノム 』の続編。普通の地球生物ではヴェノムには勝てないので、ヴェノム自身からライバルを生み出した。アメコミでは『 スーパーマン 』以来のお約束である。

 

あらすじ

かつての売れっ子ジャーナリストのエディ(トム・ハーディ)は、地球外生命体ヴェノムに寄生されながらも、奇妙な共同生活を送っていた。しかし、かつての恋人のアン(ミシェル・ウィリアムズ)とは復縁できず、ジャーナリストとしての信用も取り戻せずにいた。そんな時、シリアルキラーのクレタス(ウッディ・ハレルソン)が「洗いざらいを話して、伝記を書かせてやる」とエディに話を持ち掛けてきて・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211218133107j:plain

ポジティブ・サイド

エディとヴェノムの掛け合いは本当に面白い。『 寄生獣 』のミギーも阿部サダヲの意外に可愛げのある声のおかげで非常にユーモラスなキャラになっていたが、こちらのヴェノムはもはやギャグの領域。最も面白いのは、エディとヴェノムだけが分かるやりとり。特に、元カノのアンとの再会のシーンでのヴェノムの囁きには筆舌に尽くしがたい面白さおかしさと一掬のパトスがある。何が面白いかというと、ヴェノムの声もトム・ハーディが演じているところ。つまりは一人二役なわけで、元カノあるいは意中の相手を前にアプローチをかけられない男の内面の声を我々は聞かされるわけである。これが可笑しくない、さらに哀しくないわけがない。

 

なんやかんやでヴェノムとカーネイジが対決することになるが、単純な力と力のぶつかりあいではカーネイジに分がある。しかし、クレタスとカーネイジのコンビは、エディとヴェノムのようなバディになりきれていない。また、別の男とくっついてしまったアンも紆余曲折を経てエディとヴェノムに加勢してくれる。一方のカーネイジは、共生しているとは言い難く、そこにヴェノムたちの勝機がある。この対比は面白かった。

 

ポストクレジットでは「そう来たか」と思わせるシーンあり。ヴェノムというヴィランが、ついに本来のヴィランとしての立ち位置に戻ることを強く予感させる。ヴェノムに必要のは、ダークヒーローとしての活躍ではなく、ヒーローを(比ゆ的な意味で)食ってしまうヴィランとしての活躍。それがいよいよ拝めそうである。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211218133124j:plain

ネガティブ・サイド

自分でもうまく説明できないが、ヴェノムとエディがなんやかんやと掛け合いをしている時の方が、バトルアクション全開の時よりも面白い。これは何故なのだろうか。CG技術は過去10年だけでも相当に進歩したが、観る側がその凄さに気付けないのか、あるいは観る側はもはや高精細かつハイスピードのCGを求めていないのか。別に本作に限った話ではなく、スーパーヒーロー映画全般のバトルというのは、どんどん面白く感じられなくなている。まるで金太郎飴のように、どこをとっても同じに見えてしまう。ヴェノムというシンビオートであってもそれが同じであるというのは残念である。

 

本作の敵役であるカーネイジも、正直なところ『 スーパーマンⅣ / 最強の敵 』のニュークリアマンの焼き直しだろうし、『 ゴジラvsスペースゴジラ 』や『 ゴジラvsビオランテ 』ともそっくりで、困ったら主役の亜種というのは、洋の東西を問わずネタ切れ間近の時の常とう手段であろう。いずれにせよカーネイジはアメコミの典型的なヴィランで、これも食傷気味である。というか、何故カーネイジ = Carnage = 大虐殺を名乗っているのだろう。稀代のシリアルキラーに寄生したからには、その殺戮シーンを見せつけてもらわなければならない。そうでないと名前負けするし、ヴェノムとのコントラストも際立ってこない。

 

カーネイジの宿主たるクレタスや、その恋人であるフランシスもまさにテンプレ的キャラクター。シリアルキラーが特定の人物だけに秘密を打ち明けようとするのは『 羊たちの沈黙 』そっくりだし、フランシスの使うシュリークという絶叫系の技も『 X-MEN 』か何かで見たことがある。そもそもこれらのキャラクターの導入があまりにも唐突すぎて、物語に上手くフィットしているとは言い難い。もっと言えば、本作はヴェノムというキャラクターをより深く掘り下げるというよりも、次なるステージへのつなぎのように見えてしまう。

 

全体的に薄っぺらい印象がぬぐえず、本作単独での魅力、あるいは前作とのつながりといシリーズ物としての魅力に乏しいと評価せざるを得ない。

 

総評

ヴェノムをヴィランと思ってはいけない。愛すべきマスコットのような存在として見ることができるなら楽しめるはず。エンターテイメント要素はてんこ盛りであるが、人間ドラマのパートが皮相的である。ヴェノムとカーネイジの激突に必然性が薄いのもマイナスポイント。逆に、キャラが丁々発止に掛け合い、ドカンと派手にぶつかり合うアクションを純粋に楽しみたいという向きになら、十分にお勧めできる作品である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Another one bites the dust

「地獄へ道連れ」・・・というのはQueenの同名曲の邦訳。字義に忠実に訳せば、「もう一人が地面に倒れて土ぼこりを噛んだ」となる。つまり、また一人くたばった、の意。bite the dust はまあまあ使う表現で、その対象は人間だけではなく動物や事業も含む。He started a restaurant, but it bit the dust in a year. = 彼はレストランを始めたが、そこは一年で潰れた、のように使う。

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村   

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アクション, アメリカ, ウッディ・ハレルソン, トム・ハーディ, ミシェル・ウィリアムズ, 監督:アンディ・サーキス, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ 』 -バトルシーンがイマイチ-

『ブレス しあわせの呼吸』 -現代日本でこそ観られるべき作品-

Posted on 2018年9月26日2019年8月22日 by cool-jupiter

ブレス しあわせの呼吸 70点

2018年9月23日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:アンドリュー・ガーフィールド クレア・フォイ トム・ホランダー
監督:アンディ・サーキス

f:id:Jovian-Cinephile1002:20180926222645j:plain

書評家の佐藤圭は「小説とは嘘っぱちの中に面白さを見出すもの、文学とは嘘っぱちの中に真実を見出すもの」と喝破した。その定義法を拝借するならば、映画というものには二種類あると言えるかもしれない。すなわち、物語の中に面白さを見出すべきものと、物語の中に真実を見出せるものとである。では、本作は前者なのか後者なのか。答えは両方である。

英国人のロビン・カベンディッシュ(アンドリュー・ガーフィールド)は茶葉の買い付け仲買人。運命の人ダイアナ(クレア・フォイ)とめでたく結婚し、子を儲けるも、幸せは長くは続かなかった。出張先のケニアはナイロビで、ポリオに罹患してしまったことにより、首より下に麻痺を負ってしまう。人工呼吸器なしでは生命維持も不可能で、医師からは余命数カ月を宣告されてしまう。病院を出たいというロビンに、ダイアナは自宅での看護を決心する。

この映画の時代背景に、まず驚かされる。ロビンのポリオ発症が1958年なのである。そして友人らの助けを借りて人工呼吸器搭載可能な車イスの発明が1962年。50年以上前に紡がれた物語が今という時代に影響を及ぼしているということに思いを致さずにはいられないし、同時にこの国でバリアフリー、ノーマライゼーション、セルフケアという概念が本当の意味で浸透し、結実し始めたのが2000年以降であるという事実には慨嘆させられてしまう。もちろん、社会のインフラがそう簡単に作りかえられるものではないが、それでもベビーカーもしくは車イスを押したことのある人ならば、我々の暮らす社会がどれほどバリアに満ちているのかを実感したことがあるはずだ。そして、そうしたバリアを是正すべく、公共の駅などにはエレベーターがどんどんと設置され、新しく建設されたショッピングモールなどは徹底的に段差をなくし、映画館は車イス使用者専用のスペースを設けている。しかし、本当のバリアは人の心の中にあるのだ。満員電車にベビーカー連れで乗り込むのは有りや無しやという議論が定期的に沸騰するが、こんな議論はそもそも論外なのだ。ベビーカーに寛容になれない社会が、車イスに寛容になれるわけがない。我々が障がい者を見るとき、我々は同時に自分が障がいを負った時の姿を投影せねばならない。人に優しくなれないのに、自分には優しくしてほしいなどというのは成熟した社会の一員とは言えまい(成熟した、は社会を修飾していると捉えても、社会の一員を修飾していると捉えてもらってもよい)。我々がいかに車イスを見るにせよ、この映画が終盤近くに見せるドイツの病院は、我々に恐ろしいまでのショックを与える。それによって、確かにわずか数十年とはいえ、我々は見方や考え方を改めてきているようだ。

本作は実話を基にしているとはいえ、おそらくかなりドラマタイズされた部分もある。死にたいと願うロビンが、生を謳歌するようになったのには、妻ダイアナの愛があったのは間違いない。素晴らしいと思えるのは、その愛を育むロマンチック、ドラマチックなエピソードを本作はほとんど映さない。撮影はして、編集でカットしてしまったのかもしれないが、その判断は正解である。劇的な愛ではなく、ありふれた愛、日常的な愛、普通の愛であるからこそ、献身的にも映る看護ができたのだろう。もちろん、この夫婦にダークな側面が無かったとは言い切れない。例えば、ロビンに間接的に多くを負っていたであろうスティーブン・ホーキング博士を描いた『博士と彼女のセオリー』は、間接的に不倫をにおわせ、最後は儚くも美しい別離に至る関係を描いていたし、一歩間違えれば江戸川乱歩の小説『芋虫』のような展開を迎えていたかもしれないのだ。邦画で似たような関係を描いた秀作では『8年越しの花嫁 奇跡の実話』が挙げられるかもしれない。劇場で観たが、Jovianの実家の隣町の話なので、DVDをレンタルしてもう一度観るかもしれない。そうそう、現実にあった乙武氏の不倫問題なども忘れるべきではないだろう。とにかく、男女の愛は様々な異なる形を取るものだが、ロビンとダイアナの愛はその普通さゆえに異彩を放っている。

Back to the topic. 本作は、観る者に感動やショックだけではなく新たな視座を与えてくれもする。劇中でロビンが「専門家はすぐに無理だと言う」と言うが、蓋し名言であろう。これは専門知識やスキルの蔑視というわけでは決してない。そうではなく、何か新しいことをするときには、自分を信じろということだ。本作には、現代の視点で見れば、数々のトンデモ医者が登場する。しかし、そうした医者たちも当時の自分たちの価値観に照らし合わせて、患者のために良かれと思ってあれやこれやを行っていたのだ。大切なのは、それが本当に他者の利益になっているかどうかを確かめることだ。患者を病気やけがという属性で語ることの愚は『君の膵臓をたべたい』で触れた。患者を人間として見ることが肝心要なのだ。

近くの映画館で本作を上映しているという方は、ぜひ観よう。単なるヒューマンドラマ以上のものが本作には盛り込まれているし、我々はそのメッセージを受け取らねばならない社会に生きているのだから。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 

 

Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アンドリュー・ガーフィールド, イギリス, ヒューマンドラマ, 監督:アンディ・サーキス, 配給会社:KADOKAWALeave a Comment on 『ブレス しあわせの呼吸』 -現代日本でこそ観られるべき作品-

最近の投稿

  • 『 スーパーマン(2025) 』 -リブート失敗-
  • 『 フロントライン 』 -見せ方に一考の余地あり-
  • 『 時限病棟 』 -ピエロの恐怖再び-
  • 『 28年後… 』 -ツッコミどころ満載-
  • 『 ラブ・イン・ザ・ビッグシティ 』 -自分らしさを弱点と思う勿れ-

最近のコメント

  • 『 i 』 -この世界にアイは存在するのか- に 岡潔数学体験館見守りタイ(ヒフミヨ巡礼道) より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に cool-jupiter より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に 匿名 より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に cool-jupiter より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に イワイリツコ より

アーカイブ

  • 2025年7月
  • 2025年6月
  • 2025年5月
  • 2025年4月
  • 2025年3月
  • 2025年2月
  • 2025年1月
  • 2024年12月
  • 2024年11月
  • 2024年10月
  • 2024年9月
  • 2024年8月
  • 2024年7月
  • 2024年6月
  • 2024年5月
  • 2024年4月
  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月

カテゴリー

  • テレビ
  • 国内
  • 国内
  • 映画
  • 書籍
  • 未分類
  • 海外
  • 英語

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
Powered by Headline WordPress Theme