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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 発行元:講談社

『 大栗先生の超弦理論入門 』 -読みやすいが入門書ではない-

Posted on 2026年2月27日 by cool-jupiter

大栗先生の超弦理論入門 75点
2026年2月20日~2月25日にかけて読了
著者:大栗博司
発行元:講談社

 

生成AIパスポート試験対策の本を買いにジュンク堂へ。そのついでに本書も買ってしまった。JovianはSFが好きで、昔はNEWTONを定期購読していたし、今でもたまにこういう本を読むのだ。

あらすじ

古代ギリシャ(本書ではギリシア表記)のエウクレイデス(本書ではユークリッド表記)やデモクリトスから、現代のウィッテンやマルダセナに至るまでの極小の点、空間に関する理論の変遷を追う。

 

ポジティブ・サイド

物理学、就中、物質の構成についての人類の考察の歴史的な発展が理論物理学の碩学の手によって活写されている。しかし理系にしか理解できないわけではない。各章の初めに詩人や文学者の素朴な疑問や感想、哲学者の省察などが置かれ、しかもそれが導入として非常に効果的に働いている。天文好きだった宮沢賢治の言葉もあり、賢治ファンならにやりとさせられるかもしれない。

 

本書には超簡単、超有名なものから超絶難解なものまで数式がそれなりに登場するが、難しい数式のせいでページを繰る手が止まるということはない。逆に巻末付録のオイラーの公式の解説には笑ってしまい、そして唸らされるだろう。

 

本書の読みやすさにはイラストや似顔絵の豊富さも貢献している。それらすべてが著者の手書きによるものだというから驚き。これにより紙面がぐっと柔らかくなっている。また有名な光の干渉縞を文庫本二冊で目視する方法というのは本書で初めて知った。実際にこの方法を試してみて干渉縞を見て感激した。こういうトリビアはありがたい。

 

本書の読みやすさのもう一つの特徴として、編年体形式と列伝体形式が巧みにミックスされていることが挙げられる。特にエドワード・ウィッテンはアイザック・ニュートン、アルバート・アインシュタイン級の天才なのではないだろうか。またフアン・マルダセナはスティーブン・ホーキング級だと思われる。

 

ちなみにコスミック・フロントやコズミック・フロントNEXTによく出ていた超天才の誉れ高い村山斉が後輩だとのこと。正直なところ、素粒子物理学やら超弦理論の真髄は浅いレベルでしか理解できないが、データと数字、そして想像力と直観の世界で戦うのが数理・理論物理学者という生き物だということはよくわかった。

 

著者自身が特定の章の読み飛ばしを推奨しているので、しんどいと思ったらそこは飛ばそう。SFファンなら、たまにはこういう本を読むのもいいだろう。

 

ネガティブ・サイド

入門とタイトルに入っているが、これを入門書に選んで「確かに入門書だった」と言える人は理系の学部生レベルの素養がある人だろう。天才が入門書を書いてみたものの、実際は中級者向けぐらいか。これは著者の責任というよりも編集者の方か。UCLAバークレーのPhysics 101は日本の普通の大学だと200番台、場合によっては300番台になるのだろうな。

 

もし子のレビューによって本書に興味がわいたという奇特な向きには

『 面白すぎて時間を忘れる宇宙の話 』ISBN:978-4837930914

『 決定版 量子論のすべてがわかる本 』ISBN:978-4054067493

あたりを先に読めばよいだろう。特に『 量子論のすべてがわかる本 』ではぼやかされた「くりこみ理論」が本書では図解と共に鮮やかに解説され、文字通り理解の次元が上がる。

 

総評

裏表紙にある「類のない平易な説明」というのは、ちょっとミスリーディングかな。分かりやすいこと、あるいはなんとなくわかった気にさせてくれることと、その説明が平易であることは必ずしもイコールではない。ただ、ある程度の予備知識や、あるいはSFというジャンルへの興味や好奇心があれば、読み進めることは決して苦痛ではない。たまに大人の読書をしたいという向きは、本屋で見かけたら数ページ立ち読みの上、購入の決定をされたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

-on 

接尾辞、つまり語幹の後にくっついて別の意味を与える形態素である。本書にもフェルミンやボゾンやらが出てくるが、このオンとは微小粒子のこと。プロトンは陽子、エレクトロンは電子、フォトンは光子である。最近、グラビトン発見に近づいたというニュースが国内であった。科学的な発見に心躍らせるようになれれば、心が若さを取り戻したと言えるのではないだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ブゴニア 』
『 映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城 』
『 射鵰英雄伝 』

 

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『 404Not Found 』 -我々は人生の主人公たりえるのか-

Posted on 2024年9月25日2024年9月25日 by cool-jupiter

404Not Found 50点
2024年9月21日~23日にかけて読了
著者:法条遥
発行元:講談社

最近、断捨離で本やCD、DVDなどを古本屋に売っている。その古本屋で目についた本書と『 ハローサヨコ、きみの技術に敬服するよ 』を購入。

 

あらすじ

池上裕也はビルの屋上から飛び降りて自殺した。しかし、次の瞬間、裕也は自室のベッドで目覚める。そして、自分が記憶はそのままに前日に戻っていることを知る。その後も、裕也の周囲では不可解な事象が相次ぎ・・・

 

ポジティブ・サイド

中二病全開の男子高校生の脳内が前ページにわたって展開される。これを面白いと思えるかどうかが本作の評価を分けるポイントのひとつ目となるだろう。

 

二つ目のポイントは、読者がどれだけタイトルでピンとくるか。404 Not Found を見たことがない、あるいはそれが何であるのかさっぱり分からないという人は、残念ながら対象外(そういう人はどうやってこのブログに到達したのだろうか・・・)。「ああ、このタイトルは、つまりアレだな」と思える人が対象だ。

 

三つ目のポイントは、著者の法条遥の『 リライト 』を読んだことがあるかどうかだ。というか、Jovianは『 リライト 』、『 リビジョン 』、『 リアクト 』、『 リライブ 』を古本屋に売り払って、本作を購入したのだ。つまり、この作者のある種の癖のようなものを許容できるかどうかも重要なポイントとなる。その癖とは、野﨑まどが常に人間以上の存在を描こうとしたり、あるいは辻村深月が心に傷を隠し持つ10代を描き続けるようなものである。『 リライト 』シリーズ読了者なら、本作の構造にはすぐに気が付き、そのうえでどのような捻りを加えてくるのかを楽しめるはず。『 リライト 』未読者は、先にそちらを読むのもありかもしれない(ただしJovian個人の感想では『 リライト 』は面白い、『 リビジョン 』はまあまあ、『 リアクト 』と『 リライブ 』は何じゃそりゃ、である)。

 

300ページ弱なので、電車の中で読めば、通勤時間次第だが、3日から5日で読めると思われる。たまにはスマホではなく、書籍をお供に電車に乗ろう。

 

ネガティブ・サイド

ネタが古い。というか、カバー裏にも「2008年に書かれたプロトタイプを、全面的に改稿云々」とある。なので、おそらくアイデアそのものは2000年代中盤に練られ、さらに原案自体は2000年前後に得られたものと推測される。第一刷は2013年2月なので、10年以上前の作品。そのため時間の経過と共に作品の持つテーマも陳腐化してしまう。ミステリやSFには時間の経過と共に風化しないテーマや大トリックが存在するので、ここは敢えて辛めに評価させてもらう。

 

中二病全開なのは結構だが、明らかに誤った知識、あるいは皮相的な知識がある。たとえば量子力学の不確定性原理は、量子の運動と位置の両方を正確に確定させることはできないという意味だが、裕也はそれを間違えて解釈している。もちろん、裕也の間違いであって作者自身の誤りではない可能性もある。哲学論について裕也が自分の誤りを教師に突っ込まれるシーンがあるからだ。ただ、この教師、物理専攻なのである。なので哲学に突っ込むよりも、物理学的に突っ込んでほしかった。

 

あと裕也、ページを追うごとにどんどんアホになっていく。55ページでは事象を時系列にメモにまとめてくれたのに、以後はすべて一人語り。彼の世界の不可解さを理解できない、あるいは馴染みがない読者向けに、もう1~2回は裕也の体験の時系列もしくは図示があってもよかったのではないか。

 

総評

ジャンルを特定するのが難しい。というのも、ピンポイントにジャンル分けしてしまうと、それだけで白けてしまう人が多数いるからだ。あるいは、それによって購読意欲が増す層もいるにはいるがマイノリティだろう。敢えて言えばサウンドノベルが近いか。テーマが古い本ではあるが、描かれているキャラクターの内面は普遍的なものなので、ラノベ感覚で読むのが正解かもしれない。ハードSFが好きだという層には決してお勧めはできない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

clairvoyance

千里眼あるいは予知の意。英検1級を目指すのでもない限り、特に知っておく必要はない。ただ、こうした能力の持ち主がしばしば登場するのが映画や小説の世界。なので英語好きのシネフィルやビブリオフィルは、こうした語彙も知っておくとよいかもしれない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 愛に乱暴 』
『 ヒットマン 』
『 シュリ 』

404Not Found (講談社ノベルス ホC- 1)

404Not Found (講談社ノベルス ホC- 1)

  • 作者:法条 遥
  • 講談社
Amazon

 

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Posted in 国内, 書籍Tagged 2010年代, D Rank, SF, 発行元:講談社, 著者:法条遥Leave a Comment on 『 404Not Found 』 -我々は人生の主人公たりえるのか-

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