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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 井川遥

『 水霊 』 -原作を改変しすぎ-

Posted on 2022年11月6日 by cool-jupiter

水霊 50点
2022年11月1日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:井川遥 渡部篤郎
監督:山本清史

ハロウィーンのホラー鑑賞第3弾。原作の著者は田中啓文で、タイトルは同じく『 水霊 』。本作が映画化されているのは、つい先日まで知らなかった。原作は伝記ホラーかつ嫌ミスの要素を兼ね備えた良作だが、映画は別物に仕上がっていた。

 

あらすじ

小規模地震が頻発する東京の武蔵野・多摩エリアで、不可解な自殺事件が相次いで発生する。その原因が水にあることを突きとめた新聞記者・響子(井川遥)は、水道局に勤める元夫・祐一(渡部篤郎)に相談するが、祐一はまったく取り合ってくれず・・・

 

ポジティブ・サイド

原作と全く違うストーリーとキャラクターだが、良い点もいくつか。主人公を男性から女性に変えたのは『 リング 』の真似かな。ホラーは女性が主人公の方が、恐怖のビルドアップに説得力が生まれる。

 

水を原因とする変死、怪死が頻発するが、その描写が結構えぐい。特に水槽の水を吐き出したり、トイレの水を飲んだりするシーンは女子高生役の怪演もあって、非常に見応えがあった。別のキャラの失明シーンもなかなかのグロさだ。

 

人を狂わせる水の出どころを追ってインターネット検索する時に使っているのが Yahoo というところに時代を感じる。同時に、新聞記者の響子が文献ではなくネットを使うところも新鮮。ちょうど日本が情報化していた時期の作品だったという意味でも興味深い。

 

響子に仕込まれた一種の仕掛けもなかなか衝撃的。つのだじろうあたりが描きそうなネタで、これには驚かされた。フェアな伏線も張られているのに、見逃してしまった。

 

ネガティブ・サイド

先行する『 仄暗い水の底から 』の影響を受けたのか、ジメジメとした画作りと水の滴る音、そして暗い人間関係、就中、家族のそれに焦点を当て過ぎている。原作通りに、地方の町興しに天然水を売り出す。しかし、その天然水には・・・という設定を活かせなかったのだろうか。

 

渡部篤郎演じる祐一が自身の発症から、友人の医者に会いに行く場面で「お、ついに原作で度肝を抜かれた、あの場面の再現か?」と興奮したが、それもなし。なんじゃ、そりゃ・・・。

 

黄泉とは黄色い泉という学者の言葉。そして東京を中心とした群発地震。遺跡の出現など、民話ホラーとしての恐ろしさを追求する機会をことごとく逸している。惜しいというか、歯がゆいというか。また原作にいた主人公の元カノにあたるような人物がいれば、水のもたらす人格変容の恐怖も描けるが、それもなし。口渇と多飲だけだと糖尿病に見えてしまう。

 

エンディングも正直しょぼい。もっと日本全土を巻き込むようなバッドエンドを志向しても良かったのでは?どうせ原作をいじるのなら、徹底的にやってもらいたかった。

 

総評

これも映画化失敗作品である。原作小説の怖さは、一般人の想像力をはるかに超えるような最悪の真相が、一般人の想像力で活字からも視覚化できたからである。つまり、(予算と監督の手腕さえあれば)映画化は実は難しくないミッションだったはずなのだ。もちろん、ホラー・ジャパネスクにも数多くの秀作がある。問題は、それを一つのトレンド止まりにしてしまったことか。配信やレンタルで視聴する際は、深夜のテレビ映画だと思って鑑賞するべし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

 

waterborne

 

水を介して、の意味。似たような語に airborne がある。本作では呪いの正体を水を介した感染症に求めている。その真相はいかに?原作観読者はぜひ小説を読んで確かめられたし。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 窓辺のテーブル 彼女たちの選択 』
『 天間荘の三姉妹 』
『 王立宇宙軍 オネアミスの翼 』

 

 

またはアマゾンプライムでもどうぞ。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2000年代, D Rank, ホラー, 井川遥, 日本, 渡部篤郎, 監督:山本清史, 配給会社:トルネード・フィルムLeave a Comment on 『 水霊 』 -原作を改変しすぎ-

『 さかなのこ 』 -Normal is overrated-

Posted on 2022年9月5日 by cool-jupiter

さかなのこ 60点
2022年9月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:のん 磯村勇人 柳楽優弥 井川遥 夏帆
監督:沖田修一

 

『 ダーウィンが来た! 』などに時々出てくるさかなクンの半生を、どういうわけかのんが演じる。

あらすじ

ミー坊(のん)は魚に夢中な女の子。長じてもそれは変わらず、高校では変人扱い。ある時、不良の総長(磯村勇人)に呼び出しを食らったミー坊だったが、何故かそこから学校でカブトガニを育てることにつながり・・・

 

ポジティブ・サイド

とにかく魚好きという気持ちが強く伝わってくる作品。かといって、無邪気に魚を愛でるだけではない。魚を食べまくるし、タコにいたっては基本に忠実に岩に打ち付けて身を柔らかくしたりする。この時点で映画はファンタジーではなく、自伝の様相を帯びてくる。普通はタコをバンバン岩に叩きつける描写など入れないだろう。ここで監督や製作者たちの気合が伝わってきた。

 

のん演じるミー坊が総長たちといつの間にか仲良くなったり、他校の不良とも打ち解けたりの流れがコミカルで楽しい。勉強はできないけれど、魚好きという気持ちは周囲に確実に伝わっていく。周りは大人になっていくし、状況は変化していく。それはとりもなおさず、生き方を変えていくことに他ならない。しかし、ミー坊は変わらない。小学校の同級生がシングルマザーとして転がり込んできても、ミー坊は魚好きであることをやめない。井川遥演じる母親がミー坊の気持ちを常に肯定する、一種の親の鑑になっている。

 

当たり前だが、好きを貫くだけで世の中を渡っていけるほど甘くはない。実際にミー坊の人生にも数々の試練が訪れる。ただ、それを跳ね返すだけの強さがミー坊にあり、またミー坊によって人生を変えられた人間たちの助力もあって、ミー坊はさかなクンになっていく。日本は突き抜けた天才が出てこない国だが、それに対する解答というか、解決策のひとつを本作は示しているかもしれない。

 

さかなクンと言えば、最初は「ご」が「ギョ」になる変なオッサンぐらいに思っていたが、知るにつれてすごい、いや、すギョい人だと認識するようになった。その男性のさかなクンを女性ののんが演じることで、ファンタジー性が生まれている。それによって、本作の持つファンタジックなメッセージ性に逆にリアリティが付与されているように感じた。魚好きが昂じて魚ばかり食べたり、図鑑を読みふけったり、水族館に入り浸ったりというのは、子どもにならよくあること。しかし、それが高校生ぐらいになっても継続するとなると、ちょっとおかしいと感じられるかもしれない。『 女神の見えざる手 』で、フォードがスローンに”Normal is overrated” = 普通がなんだ、と諭すように言うシーンがある。普通でないのなら、それもOK。逆に突き抜けるぐらい different であろうではないか。

ネガティブ・サイド

さかなクン本人が出演する必要はあったのだろうか。いや、別に出演してくれてもよいのだが、変質者もどきである必要性が認められない。また、トレードマークのハコフグの帽子に何らかの神秘性というか、妙な光を放って頭から取れないという描写も不要だった。というか、さかなクンの出演パート全てが不要だった。プロデューサーの職権乱用ではないだろうか。

 

ある時点からミー坊の人生が大きく開けていくことになるが、それが全て旧友たちの伝手によるものというのは少々いただけない。おそらくターゲットをかなり低年齢にも広げている作品だと思われるが、「がんばっていればともだちがたすけてくれる」(全て平仮名)という甘い観念を植えつけたりはしないだろうか。「好き」を貫くことの素晴らしさと難しさ、「普通」と「普通ではない」の境界。そういった社会の矛盾というか、ちょっとおかしなところを子どもたちと大人、両方に考えてもらえる塩梅にはなっていなかった。

総評

さかなクン出演パートをどう見るかで印象がガラリと変わりそう。さかなクンのファンの子どもたちが「たいほ」や「にんいどうこう」なる言葉を知っているとは思えない。本作はそうした子どもを対象にしていないと考えるには、ミー坊が大人になった後のドラマの数々があまりにも大人向けだ。ただ日本における教育、日本における子育てが、どこかせせこましいものになっていることをやんわりと指摘する作品としては悪くない。のんのファンならチケットを買って損をすることはないだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

normal

普通の意。日本語にもなっている語だが、この形容詞の基になっている norm という語となると、知っている人が激減する。norm = 規範、基準という意味である。normal とは規範通りである、基準に従っているという状態を指す。abnormal が異常と解釈されるのも、norm から離れているからなのだ。

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, C Rank, のん, ヒューマンドラマ, 井川遥, 伝記, 夏帆, 日本, 柳楽優弥, 監督:沖田修一, 磯村勇人, 配給会社:東京テアトルLeave a Comment on 『 さかなのこ 』 -Normal is overrated-

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