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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: メリル・ストリープ

『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』 -ミュージカル映画の王道-

Posted on 2018年9月3日2020年2月14日 by cool-jupiter

マンマ・ミーア! ヒア・ウィ―・ゴー 70点

2018年9月2日 MOVIXあまがさきにて観賞
出演:リリー・ジェームズ アマンダ・セイフライド ピアース・ブロスナン コリン・ファース ステラン・スカルスガルド ドミニク・クーパー ジュリー・ウォルターズ クリスティーン・バランスキー メリル・ストリープ シェール
監督:オル・パーカー

 

f:id:Jovian-Cinephile1002:20180903012214j:plain

14:00の回を観賞したが、座席の埋まり具合は開演2分前の時点でおよそ9割。公開から1週間でもこの勢いを保っていられるのは、リピート・ビューイングをするお客さんが多いからだろうか。映画のキャラクターが現実と同じように年をとっていくのは、シリーズものではそれほど珍しくはない。『ミッション・インポッシブル』シリーズは言うに及ばず、『トレインスポッティング』や『ジュラシック・パーク』シリーズと『ジュラシック・ワールド』シリーズなど、オリジナル・キャストが年齢を重ねて再登場してくれることで、観る者が一気にその世界に帰っていくことができる。近年で最も衝撃的な形でそうした体験をさせてくれたのは、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』のトレイラーでハン・ソロ(ハリソン・フォード)が、”Chewie, we’re home.” と静かに、しかし力強く呟いたあの瞬間である。断言できる。

本作は冒頭から、サム(ピアース・ブロスナン)が呟くように歌ってくれる。前作でのあまりの音痴っぷりがトラウマになったのか、それとも編集で歌唱シーンがカットされてしまったのか、彼の歌声が聞けなかったのは、ホッとするような残念なような。ドナ(メリル・ストリープ)が亡くなったことで、ホテルを回想し、リ・オープニングすることを決めたソフィ(アマンダ・セイフライド)は、スカイ(ドミニク・クーパー)からニューヨークで一緒に暮らさないかという誘いに心が揺れる。島で母のホテルを継ぐのか、広い世界に飛び出していくのか。逡巡するソフィと島に迫り来る嵐と人々。過去と現在が、ABBAの音楽に乗って鮮やかに交錯し、若き日のドナ(リリー・ジェームス)の日記の...(dot dot dot)の部分を、我々は追体験する・・・

使用されているABBAの楽曲がややマイナーになっている点を除けば、非常に忠実に前作『マンマ・ミーア!』の世界観を継承している。こうした過去と現在をつなぐ映像作品の良し悪しは、身も蓋もない言い方をしてしまえば、キャスト同士がどれだけ似ているが第一義である。例えば『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』や『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』がどうしようもない駄作で、世界観を一気にぶち壊しかねない設定(ミディ=クロリアンなど)を盛り込んだにもかかわらず、スター・ウォーズ的であり得たのは、ヘイデン・クリステンセンやユアン・マクレガーが、マーク・ハミルやアレック・ギネスと親子関係あるいは同一人物であると納得できるルックスを持っていたからだ。そこでリリー・ジェームズである。確かに前作では、若かりしドナの顔が少しぼやけた写真がいくつかあった。そして、それらはあまりにもメリル・ストリープにしか見えない写真だった。しかし、どういうわけか、メリル・ストリープとリリー・ジェームズの写真を介さずに並べるなら、同一人物であるとは言えないまでも、納得できるレベルで充分に似ている。もちろん、メイクアップ・アーティストやヘアドレッサー、照明や撮影監督の技量もあるが、このキャスティングだけで半ば本作の成功は約束されていた。ターニャとロージーの若い頃を演じた2人などは、それこそスタッフの力もあるが、びっくりするほど仕上がっていた。そしてシェール演じるドナの母親、ソフィーの祖母。確かにメリル・ストリープの母を演じて良いのは、このような妖怪(褒め言葉と捉えて頂きたい)しかいないのかもしれない。

唯一の懸念はジェームズの歌声。『シンデレラ』では“夢はひそかに/A Dream Is a Wish Your Heart Makes”を歌いあげたが、『ベイビー・ドライバー』では、やや調子っぱずれに Carla Thomasの“B-A-B-Y”とBeckの“Debra”を歌っていた(そういう指示があったのかもしれないが)。だが、それは杞憂だった。オープニングの“When I Kissed The Teacher”で、傑出したとまでは言えないものの、前作のセイフライドに全く見劣りしないパフォーマーであることを証明した。また、メリル・ストリープのあの「アッハハハーハハー」という笑いを完コピしていたのはポイント高し。その他でも、ストリープのほんのちょっとした仕草や立ち振る舞いも取り入れており、パーカー監督との息もばっちり合っていたようだ。後は物語の流れに身を任せれば良い。劇場では『コーヒーが冷めないうちに』のポスターがでかでかと4回泣けますと謳っていたが、Jovianは本作観賞中に4回涙した。そのうちの二つは、コリン・ファースとステラン・スケルスガルドの抱擁シーンと”Dancing Queen”。後の二つは劇場でご自身で確認頂きたい。

そうそう、劇場が明るくなるまで席を立ってはいけない。また、ハリーが東京で大きな商談をするシーンがあるが、そこに描出される日本および日本人像に腹を立ててはいけない。『ロスト・イン・トランスレーション』から『ラスト・サムライ』まで、日本人というのは誤解されてナンボなのである。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アマンダ・セイフライド, アメリカ, ミュージカル, メリル・ストリープ, リリー・ジェームズ, 監督:オル・パーカー, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』 -ミュージカル映画の王道-

『マンマ・ミーア!』 -世代を超える、世代をつなぐミュージカル映画-

Posted on 2018年8月30日2020年2月13日 by cool-jupiter

マンマ・ミーア 70点

2018年8月27日 WOWOW録画観賞
出演:メリル・ストリープ アマンダ・セイフライド ピアース・ブロスナン コリン・ファース ステラン・スカルスガルド ドミニク・クーパー ジュリー・ウォルターズ クリスティーン・バランスキー 
監督:フィリダ・ロイド

ABBAを知らない世代もいつの間にか増えてきた。当然と言えば当然である。今現在、20代の人間は、実は全員が平成生まれなのである。この事実に思い当った時、戦いた人は多いだろう。『シン・ゴジラ』がヒットするまでは、「ゴジラって何ですか?」という中学生や高校生もいたのである。ABBAを知らない中高生など、何をか況やである。それでもABBAの楽曲の数々は不滅である。その理由がここにある。

ギリシャの小島でソフィ(アマンダ・セイフライド)は結婚式を間近に控えていた。母ドナ(メリル・ストリープ)と二人でホテルを切り盛りしてきたが、ある時、偶然に母の日記を発見してしまった。そこには、21年前の一夏に、母が三人の男、サム(ピアース・ブロスナン)、ハリー(コリン・ファース)、ビル(ステラン・スカルスガルド)と情熱的な関係を持ったこと、すなわち自分の父親候補がこの世に三人いるということが書かれていた。ソフィは三人に結婚式への招待状を秘密裏に送る。結婚式での最大のサプライズを考えていたのだ。かくして往年のABBAのヒットソングに乗って、スラップスティックなドラマが描かれる。

アマンダ・セイフライドは高齢女優と相性が良いのだろうか。『あなたの旅立ち綴ります』でもシャーリー・マクレーンと絶妙のケミストリーを生みだしていた。今作ではメリル・ストリープ。キャリアの転換点になったことは疑いの余地は無い。

映画の一番の特徴はと言えば、暗いところで大画面、大音量で観る、というものだろう。もちろん、部屋を暗くしてテレビで観ても良いわけだが、良い映画というのは見た瞬間に分かることがある。光の使い方、取り込み方が絶妙なものは確かに存在する。古いものでは『2001年宇宙の旅』、近年では『ブレードランナー2049』など。今作はエーゲ海とその空だけを背景に、特に凝った構図が見られたわけではない。しかし逆に、これはモーション・ピクチャーとしての美しさを追求するものではありませんよ、という本作の宣誓とも受け取れる。もちろん、ドローン全盛ではなかった時にどうやって撮ったんだ?(ヘリボーンで撮影したのだろうけれど)と思わせるショットもいくつか存在していたが。

今作の最大の魅力はABBAの魅力的な楽曲が視覚化されたことだと断言してもよいだろう。”Money, Money, Money”や”Mamma Mia”、”SOS”などは忠実に歌われ、物語の各シーンに溶け込んでいるが、一方で”The Winner Takes It All”のように、新しく再解釈された歌もあった。何よりも永遠の名曲、”Dancing Queen”がビジュアライズされただけでも洋楽ファンは納得、そして感涙であろう。おそらくだが、ある一定の世代(1970年代に高校生以上だった世代)がABBAとThe Carpentersから受けたショックというか洗礼というか感動というかインスピレーションは、一言では言い表せないものがある。

今作のdemographicは明らかにABBAを現役で知っている世代であろう。だからこそ主人公はメリル・ストリープであり、お相手はコリン・ファースやステラン・スカルスガルドなのだ。しかし、ABBAが本格的な活動を休止してから幾星霜。今の若い世代にも、ABBAの音楽を再発見してもらっても良い頃だ。また、ABBAをリアルタイムで観賞した世代の子ども世代が、今のエンターテイメント界の意思決定者になりつつあるタイミングでもあろう。そういった意味で、正式な続編がリリースされるというのは喜ばしいと同時に誇らしくもある。優れた文化や芸術は、次世代に繋がねばならないからである。

ちなみに、Jovian個人が選ぶオールタイム・ベストのミュージカルは『オズの魔法使』と『ジーザス・クライスト・スーパースター』で、次点は『ウエスト・サイド物語』である。『グレイテスト・ショーマン』でも、まだ少し足りない。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, B Rank, アマンダ・セイフライド, アメリカ, コリン・ファース, ミュージカル, メリル・ストリープ, 監督:フィリダ・ロイド, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『マンマ・ミーア!』 -世代を超える、世代をつなぐミュージカル映画-

『プラダを着た悪魔』 -何かを手に入れるだけがサクセス・ストーリーではない-

Posted on 2018年8月8日2019年4月26日 by cool-jupiter

プラダを着た悪魔 80点

2018年8月1日 DVD鑑賞
出演:メリル・ストリープ アン・ハサウェイ エミリー・ブラント スタンリー・トゥッチ
監督:デビッド・フランケル

f:id:Jovian-Cinephile1002:20180808001903j:plain

恥ずかしながら10年ぐらいDVDを寝かせたままにしておいたのだが、遂に鑑賞した。非常によくできた話で、『ブリジット・ジョーンズの日記』と並んで世界中の女子の支持を得るのもむべなるかなと思う。

ライター志望のアンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)は、全世界のお洒落女子垂涎のポジション、すなわちファンション誌『ランウェイ』編集部に就職を果たす。しかし、そこには鬼編集長のミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)がおり、アンドレアは押し寄せる仕事量と小言と嫌味と無理難題に振り回されていく。同僚のエミリー(エミリー・ブラント)やナイジェル(スタンリー・トゥッチ)らと共に働く中で得るものは大きかった。しかし、私生活では失われるものもあり、アンドレアの人生は大きな岐路を迎えることとなる・・・

 あらすじだけ見ればありふれた話に思えるし、実際にありふれている。しかし、10年以上前の映画ということを考えれば、そうした見方を変えざるを得なくなる。フェミニズム理論というものがある。『センセイ君主』に見られた間テクスト性の提唱者の一人でもあるジュリア・クリステヴァも、そうした理論の構築に大きく寄与している。主に文学の分野での運動だったが、これは何かと言うと、神話やおとぎ話を現代の視点から読み解き、さらにはフェミニズムの観点から読み替えようという試みである。脱構築という言葉は、文系学生である/だったという人であれば聞いたことはあるだろう。すでに完成された、静的とされるものを一度壊して再構築する試みである。おそらく一番分かり易いテキストはエマ・ドナヒューの『Kissing the Witch: Old Tales in New Skins』だろう。英語に自信のある人は読んでみよう。ちなみにドナヒューは、『ワンダー 君は太陽』でも喝采を浴びた天才子役ジェイコブ・トレンブレイの『ルーム』の原作者/脚本家でもある。

Back on track. これまでのエンターテインメント作品(小説や映画)はしばしば、女性を受け身の立場で描いてきた。男の主人公が奮闘し、最後には愛を告白し、ヒロインを抱擁し、キスして終わる。そんな映画を我々は前世紀に数限りなく観てきたし、また観させられもしてきたのである。おそらく映画史においてフェミニズム理論を最初に反映させたメジャーな作品は『エイリアン』シリーズ(リプリー)と『スター・ウォーズ』シリーズ(レイア姫)であろう。そうして蒔かれた種が、ある意味で一気に芽吹いたのが2000年代以降と言えるのかもしれない。分かり易い例を挙げれば『スノーホワイト/氷の王国』や『高慢と偏見とゾンビ』か。最も露骨なのは『ゴーストバスターズ』(2016年版)であろう。『ハンガー・ゲーム』シリーズや『バイオハザード』シリーズも当てはめていいかもしれない。男に助けられる女、麗らかに存在をアピールする女ではなく、自分の居場所を戦って勝ち取る者である。単に主人公が女性であるというだけではダメである。そうした意味では、実は『ブリジット・ジョーンズの日記』は古いタイプの物語だったのである!

本作のアンドレアはファッションセンス、人も羨む仕事、友情や恋人、背徳的な関係など、ある意味では全てを手に入れるキャリアー・ウーマンに成長する。ブルゾンちえみの提唱するキャリアウーマンとはかなり趣の異なる強かな女性である。しかし、最後には手に入れたものをあっさりと捨ててしまうという“自由”を手に入れる。女性の成功の陰にはよき理解者の男がいたという批判を一部で浴びたのが『ドリーム』であるが、それは時代がもっともっと昔のことであるから、批判しても詮無いことである。本作はメリル・ストリープという大御所とアン・ハサウェイという(当時の)Rising Starのケミストリーによって、映画史の一つの大きなマイルストーンになった。今までなんだかんだで本作を観てこなかった我が目の不明を恥じ入るばかりである。

Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, A Rank, アメリカ, アン:ハサウェイ, エミリー・ブラント, ヒューマンドラマ, メリル・ストリープ, 監督:デビッド・フランケル, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『プラダを着た悪魔』 -何かを手に入れるだけがサクセス・ストーリーではない-

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