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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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タグ: ミュージカル

『マンマ・ミーア!』 -世代を超える、世代をつなぐミュージカル映画-

Posted on 2018年8月30日2020年2月13日 by cool-jupiter

マンマ・ミーア 70点

2018年8月27日 WOWOW録画観賞
出演:メリル・ストリープ アマンダ・セイフライド ピアース・ブロスナン コリン・ファース ステラン・スカルスガルド ドミニク・クーパー ジュリー・ウォルターズ クリスティーン・バランスキー 
監督:フィリダ・ロイド

ABBAを知らない世代もいつの間にか増えてきた。当然と言えば当然である。今現在、20代の人間は、実は全員が平成生まれなのである。この事実に思い当った時、戦いた人は多いだろう。『シン・ゴジラ』がヒットするまでは、「ゴジラって何ですか?」という中学生や高校生もいたのである。ABBAを知らない中高生など、何をか況やである。それでもABBAの楽曲の数々は不滅である。その理由がここにある。

ギリシャの小島でソフィ(アマンダ・セイフライド)は結婚式を間近に控えていた。母ドナ(メリル・ストリープ)と二人でホテルを切り盛りしてきたが、ある時、偶然に母の日記を発見してしまった。そこには、21年前の一夏に、母が三人の男、サム(ピアース・ブロスナン)、ハリー(コリン・ファース)、ビル(ステラン・スカルスガルド)と情熱的な関係を持ったこと、すなわち自分の父親候補がこの世に三人いるということが書かれていた。ソフィは三人に結婚式への招待状を秘密裏に送る。結婚式での最大のサプライズを考えていたのだ。かくして往年のABBAのヒットソングに乗って、スラップスティックなドラマが描かれる。

アマンダ・セイフライドは高齢女優と相性が良いのだろうか。『あなたの旅立ち綴ります』でもシャーリー・マクレーンと絶妙のケミストリーを生みだしていた。今作ではメリル・ストリープ。キャリアの転換点になったことは疑いの余地は無い。

映画の一番の特徴はと言えば、暗いところで大画面、大音量で観る、というものだろう。もちろん、部屋を暗くしてテレビで観ても良いわけだが、良い映画というのは見た瞬間に分かることがある。光の使い方、取り込み方が絶妙なものは確かに存在する。古いものでは『2001年宇宙の旅』、近年では『ブレードランナー2049』など。今作はエーゲ海とその空だけを背景に、特に凝った構図が見られたわけではない。しかし逆に、これはモーション・ピクチャーとしての美しさを追求するものではありませんよ、という本作の宣誓とも受け取れる。もちろん、ドローン全盛ではなかった時にどうやって撮ったんだ?(ヘリボーンで撮影したのだろうけれど)と思わせるショットもいくつか存在していたが。

今作の最大の魅力はABBAの魅力的な楽曲が視覚化されたことだと断言してもよいだろう。”Money, Money, Money”や”Mamma Mia”、”SOS”などは忠実に歌われ、物語の各シーンに溶け込んでいるが、一方で”The Winner Takes It All”のように、新しく再解釈された歌もあった。何よりも永遠の名曲、”Dancing Queen”がビジュアライズされただけでも洋楽ファンは納得、そして感涙であろう。おそらくだが、ある一定の世代(1970年代に高校生以上だった世代)がABBAとThe Carpentersから受けたショックというか洗礼というか感動というかインスピレーションは、一言では言い表せないものがある。

今作のdemographicは明らかにABBAを現役で知っている世代であろう。だからこそ主人公はメリル・ストリープであり、お相手はコリン・ファースやステラン・スカルスガルドなのだ。しかし、ABBAが本格的な活動を休止してから幾星霜。今の若い世代にも、ABBAの音楽を再発見してもらっても良い頃だ。また、ABBAをリアルタイムで観賞した世代の子ども世代が、今のエンターテイメント界の意思決定者になりつつあるタイミングでもあろう。そういった意味で、正式な続編がリリースされるというのは喜ばしいと同時に誇らしくもある。優れた文化や芸術は、次世代に繋がねばならないからである。

ちなみに、Jovian個人が選ぶオールタイム・ベストのミュージカルは『オズの魔法使』と『ジーザス・クライスト・スーパースター』で、次点は『ウエスト・サイド物語』である。『グレイテスト・ショーマン』でも、まだ少し足りない。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, B Rank, アマンダ・セイフライド, アメリカ, コリン・ファース, ミュージカル, メリル・ストリープ, 監督:フィリダ・ロイド, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『マンマ・ミーア!』 -世代を超える、世代をつなぐミュージカル映画-

『ラ・ラ・ランド』 -LAの街に夢を見る者たちの苦悩と幸福の物語-

Posted on 2018年8月4日2019年11月28日 by cool-jupiter

ラ・ラ・ランド 55点

2018年8月1日 WOWO録画観賞
出演:ライアン・ゴズリング エマ・ワトソン J・K・シモンズ ローズマリー・デウィット ソノヤ・ミズノ 
監督:デイミアン・チャゼル

『セッション』のJ・K・シモンズ演じるフレッチャーに違う形で再会してみたいと思い、本作を見返す。タイトルの『ラ・ラ・ランド』は、原題でも“La La Land”、LA=Los Angelesでもあり、現実から遠く離れたファンタジーの世界であり、そうした世界に住まう恍惚感を表わすTriple Entendreなのである。

ジャズ・ピアニストとして自分の店を持ちたいと願うセブ(ライアン・ゴズリング)と女優として大成したいと望むミア(エマ・ワトソン)は、最悪の形で出会いながらも、互いの夢へのリスペクトから惹かれ合うようになる。しかし、夢を追いかけるミアと、ミアとの将来のために、ジャズの店ではなく売れ筋バンドでの演奏を選択するセブは、すれ違い始める・・・

主題は至ってシンプルである。しかし、我々に投げかけられる問いは重く深い。男と女、お互いの夢を追求することがお互いの関係を疎遠にしてしまう時、自分なら何を選択するのか。相手の夢を叶えるサポートをしたいと心から願うのか。そのためには自分の夢をあきらめることも厭わないのか。しかし、自分が夢をあきらめることを、自分のパートナーが認めてくれない時、自分はどうすればよいのか。何もミュージシャンや俳優志望でなくとも、普通に誰にでも起こりうる事象である。Jovian個人としては、ミアが最後に夢見たラ・ラ・ランドのあまりの都合の良さに正直なところ、辟易してしまったが、逆にそうした一瞬のまどろみの中に見出した、ありうべきだった幸福な生活のビジョンこそが、観客へのメッセージだとの見方も成り立つ。夢よりも現実の幸せを選べ、と。いや、セブが最後に見せた一瞬の表情の陰りこそがメッセージなのかもしれない。自分こそが彼女の夢の後押しをしてしまったのだ、と。いずれにせよ、歌と踊りに彩られた華やかさの裏には、ほろ苦い悔恨の念がある。様々な意味を持つラ・ラ・ランドという言葉だが、本作が最も提示したかった意味はファンタジー世界のことだったのかもしれない。

J・K・シモンズは、『セッション』のノリと同じく、口うるさいレストランの支配人で、ジャズを何よりも愛するセブに、クリスマス・ソングを演奏しろとプライドを傷つける要求をする。セブのちょっとした反骨心に火がついてしまった時には、あっさりとクビを言い渡す。ほんのちょっとしたやり取りに、フレッチャーの姿がちらついてしまうのは、それだけの怪演、本人からすれば会心の演技だったからだろうか。

それにしても本作はゴズリングに尽きる。「ジャズは死につつある!」と、まるで「哲学は死につつある!」などと叫ぶ真面目過ぎる学徒の如く熱弁を振るう様に、究極的なギークの姿を見出せるが、それを微塵も感じさせず、逆に女性を惹きつけてしまうのだから大したもの。『博士と彼女のセオリー』でも、花火を見ながらホーキングが物理学を語って、女性を口説くシーンがあったが、ギークであっても、いや、ギークだからこそ惹きつけられる女性もいるのか。共通点は、どちらの映画でもヒロインは結局主人公の元を去ってしまうということ。

色々と示唆に富む映画で、観るたびに発見がありそう。『グレイテスト・ショーマン』とは違って、囁くような、呟くような歌が多いのもポイント高し。TOHOシネマズ梅田のDOLBY ATMOSでいつか再上映やってくれないかな。2800円でもチケット買うよ。

Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2010年代, D Rank, J・K・シモンズ, アメリカ, エマ・ワトソン, ミュージカル, ライアン・ゴズリング, 監督:デイミアン・チャゼル, 配給会社:ギャガ, 配給会社:ポニーキャニオンLeave a Comment on 『ラ・ラ・ランド』 -LAの街に夢を見る者たちの苦悩と幸福の物語-

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