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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ヘレン・ハント

『 ツイスター 』 -1996年以来の再鑑賞-

Posted on 2024年8月11日 by cool-jupiter

ツイスター 70点
2024年8月11日 Amazon Primeにて鑑賞
出演:ヘレン・ハント ビル・パクストン フィリップ・シーモア・ホフマン
監督:ヤン・デ・ボン

 

これは多分、高1の夏休みに父親と一緒に(旧)岡山メルパで観たような記憶がある。が、話の中身はほとんど忘れていたので『 ツイスターズ 』の前に復習鑑賞。

あらすじ

竜巻チェイサーのジョー(ヘレン・ハント)は、元夫のビル(ビル・パクストン)に離婚届けに直ちにサインしてくれと頼まれる。だがジョーに竜巻観測機のドロシーを見せられたジョーは、一日だけ彼女の竜巻観測に付き添うことになり・・・

 

ポジティブ・サイド

かつて大谷の所属チーム・LAエンゼルスの主砲、マイク・トラウトの趣味が気象観測、特に竜巻観測であることを知っている野球ファンは多いことと思う。本作はそうした竜巻チェイサーの物語。単なる好事家ではなく、竜巻を現地で直に観測し、いち早く注意報や警報を出すという使命感で動く人々のストーリーでもある。

 

竜巻の内側から観測するセンサーの名前がドロシーという点にニヤリ。言わずと知れた『 オズの魔法使 』へのオマージュ。それを飛ばしてデータを受け取るというアイデアは、パソコンや携帯電話が爆発的に普及し始める時代の前夜の脚本としては非常に先見の明があったと言える。

 

とにかく行く先々で竜巻が発生し、ジョーとビルとその仲間たちが狂喜乱舞して突っ込んでいく。あるいは必死に地下に逃げ込む。その繰り返し。常識人のメリッサの ”You are all crazy, and she is the craziest of all!” という悲痛な叫びは決して届かない。『 エイリアン 』のキャッチコピー、”In space, no one hears you scream” ならぬ “In tornadoes, no one hears you scream” である。

 

車にトラックに牛までが飛ばされるが、そうしたCGも迫力満点。本物らしくないという批判はまっとうだが、竜巻を間近で観たことがある人がどれほどいるのか。これこそ作家の想像力がものを言うところ。現代(2020年代)でも『 デス・ストーム 』のように竜巻ものは製作されているが、そうした作品のCGと比べてもまったく見劣りはしていない(『 デス・ストーム 』が人間ドラマに寄せすぎなのもあるが)。

 

劇中での『 シャイニング 』の使い方も絶妙だ。同作で最も有名なシーンであるジャック・ニコルソンが斧で扉を破壊するシーンは、まさに迫りくる竜巻そのもの。こんな怪物に立ち向かっても仕方ない。しかし観測はできる。人に可能な範囲で最善を尽くそうとするジョーとビルの奮闘っぷりには素直に頭が下がる。1990年代は『 アルマゲドン 』や『 ボルケーノ 』のように、天変地異に立ち向かうヒーロー映画が多かったが、本作もそうした系譜に連なる映画。一般人でもヒーローになれるという幻想を与えてくれる、良くも悪くも9.11以前の映画だった。

 

ネガティブ・サイド

ベトナム戦争やら湾岸戦争を経て、PTSDに対する社会的な理解も浸透していたはずの1990年代とは思えない言動をビルがジョーに対して繰り返す様には正直辟易した。フェミニズムがハリウッドに浸透していない時代とはいえ、トラウマに対して「忘れろ!」は禁句だろう。

 

ドロシーを飛ばす手順がめちゃくちゃ。JovianもICT系の部署に異動になり、外部の業者との連携や情報共有が生じるようになったが、エンジニアという人種は作ることばかり考えて、運用することを考えない。そうした日々のちょっとしたフラストレーションが本作を観て増幅してしまった。ドロシーを本当に飛ばしたいなら凧、あるいは風船を使え。

 

最後の最後のシーンも、うーむ。普通にデブリが飛んできて負傷の一つや二つは負わないと不自然だが・・・

 

総評

色々と突っ込みどころはありつつも、テンポの良いストーリーとシンプルな人間関係で魅せる。日本でも竜巻が発生するようになってしまったが、その注意報や警報は誰かが出してくれている、誰かの発明品によって支えられているということを頭の片隅に置いておこう。なにかと叩かれる本邦の気象庁であるが、本当はもっとリスペクトされるべき団体であると思う。本作を観てそう感じた次第である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

bite one’s head off

(人に)食ってかかる、の意。夫婦喧嘩は犬も食わぬと言うが、それは往々にして一方が他方に、あるいは互いが互いに食ってかかるからに違いない。あまり自分から使う表現ではないが、これを使えるということは英語ネイティブの親友もしくは配偶者がいるということだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ツイスターズ 』
『 先生の白い嘘 』
『 新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! 』

 

ツイスター [Blu-ray]

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  • ヘレン・ハント
Amazon

 

現在、【英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー】に徐々に引っ越し中です。こちらのサイトの更新をストップすることは当面はありません。

I am now slowly phasing over to https://jovianreviews.com. This site will continue to be updated on a regular basis for the time being.

Posted in 映画, 海外Tagged 1990年代, B Rank, アメリカ, ディザスター, ビル・パクストン, フィリップ・シーモア・ホフマン, ヘレン・ハント, 監督:ヤン・デ・ボン, 配給会社:UIPLeave a Comment on 『 ツイスター 』 -1996年以来の再鑑賞-

『 ナイト・ウォッチャー 』 -ドンデン返しが少し弱い-

Posted on 2023年1月3日 by cool-jupiter

ナイト・ウォッチャー 60点
2023年1月1日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:タイ・シェリダン アナ・デ・アルマス ジョン・レグイザモ ヘレン・ハント
監督:マイケル・クリストファー

新年一発目は近所のTSUTAYAの準新作コーナーから、『 ザ・メニュー 』のジョン・レグイザモ出演作の本作を pick out 。

 

あらすじ

アスペルガー症候群持ちのバート(タイ・シェリダン)は、ホテル受付の夜間シフトで働いている。彼は秘密裡に客室を盗撮し、人間同士のやりとりから普通のコミュニケーションを学んでいた。ある夜、ホテルで殺人事件が発生。バートのカメラに犯人とその犯行が映っていたが、彼はそれを警察に知らせることができず、逆に第一発見者として警察にマークされてしまう。系列の別ホテルに異動となったバートは、懲りずに盗撮を行うが、そこに謎めいた美女のアンドレア(アナ・デ・アルマス)が客として訪れ・・・

 

ポジティブ・サイド

タイ・シェリダンがアスペルガー役を好演。合わない視線、過剰な答え、あるいは質問に対する返答拒否ともいえる応答、相手の気持ちや会話の流れをぶった切る発話など、まさに言葉の正しい意味でのコミュ障である。客室を盗撮・盗聴して、そこでのやりとりから普通の人のコミュニケーションを研究するというのだから、まさに他人の気持ちが理解できていない。この主人公に感情移入するのはなかなか難しいが、母親やホテルの経営者が良き理解者になってくれているので、観ている側は一定の距離でバートを見守ることができる。

 

序盤の終わり、アナ・デ・アルマス演じるアンドレアの登場からシチュエーションが一気に動く。コミュ障であるバートがいかにしてこの美女と距離を縮めていくのか。このプロセスが、アスペルガーだけではなく、広くコミュ障全般、いや、ある程度青臭い男性全般に当てはまるような描き方をされているので、観ている側(特に男性)はここで一気にバートを応援したくなる。この流れの絶妙さは、是非とも鑑賞の上で確認を!

 

殺人事件の第一発見者であるバートを第一容疑者として追う刑事が、厳しさと優しさを併せ持っていて、彼の存在もバートの難しいパーソナリティをオーディエンスが理解することを助けている。観ている我々はバートが犯人ではないことを知っていて、しかしバートはそのことを刑事には伝えられず、なおかつ刑事はバートを追わざるを得ないという、観ている側がキャラに感じるジレンマと、キャラがキャラに対して感じるジレンマが複雑に入り組んだプロットは本当にもどかしい。それが観る側をストーリーに引き付ける。最後に「え?」と思わせる展開も待っており、低予算映画としては満足のいくクオリティのサスペンスに仕上がっている。

 

ネガティブ・サイド

バートがどういうきっかけで盗撮・盗聴からコミュニケーションを勉強しようと思い立ったのかが分からない。『 ベイビー・ドライバー 』のベイビーがテレビをザッピングしながら色々なセリフを吸収していくのと同じようなシーンが少し挿入されていれば、バートなりのアスペルガーのコーピングがどういうものなのか理解しやすくなったのだが。

 

アンドレアが語るアスペルガーの弟の話は必要だっただろうか。アスペルガーが転帰して死に至ることは普通はない。こうした一種の障がいを描く映画は、必ずしもその障がいをユニークかつポジティブなものとして描く必要はないが、だからと言って誤った情報、あるいは誤解を与えかねないような描写は慎むべきではないだろうか。

 

最後のドンデン返しがちょっと弱いと感じる。というよりも、やはりアンドレアの弟の話を抜きにクライマックスを構成すべきだったと思う。相手がアスペルガーであろうと普通人であろうと、態度を変えないのがアンドレアの長所であるべきではなかったか。

 

総評

90分と非常にコンパクトな作品で、サスペンス風味でありながら、最後にミステリの様相も帯びる作品。ドンデン返しに少々不可解さも残るが、バートという青年の一種のビルドゥングスロマンだと思えば、納得いくクオリティだと言える。アナ・デ・アルマスのヌードも拝めるので、スケベ映画ファンはそれを目当てに視聴するのもありだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

die from ~

~が原因で死ぬ、の意。

die of 直接的な死因

die from 間接的な死因

と覚えよう。普通は die of cancer =ガンで死亡する、のように of を使うが、劇中では die from love =愛で死ぬ、のように使われていた。

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜、鳥たちが啼く 』
『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アナ・デ・アルマス, アメリカ, サスペンス, ジョン・レグイザモ, タイ・シェリダン, ヘレン・ハント, 監督:マイケル・クリストファー, 配給会社:カルチュア・パブリッシャーズLeave a Comment on 『 ナイト・ウォッチャー 』 -ドンデン返しが少し弱い-

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