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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ブルース・ウィリス

『 12モンキーズ 』 -ウィルス&タイムトラベルものの名作-

Posted on 2020年8月23日2021年1月12日 by cool-jupiter

12モンキーズ 80点
2020年8月20日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ブルース・ウィリス マデリーン・ストウ ブラッド・ピット クリストファー・プラマー
監督:テリー・ギリアム

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200823005206j:plain
 

アホな政治家は「コロナは高温多湿に弱い」と言っていたが、日本は完全に第二波のただ中のようである。こういう時こそ過去のウィルス系の映画を観返すべきだと思う。手洗いは完全に市民に定着したようだが、我々は今こそ本作中でもブラピによって言及されるセンメルワイス医師の功績を再認識しようではないか。

 

あらすじ

2035年、人類はウィルスにより大多数が死滅。生き残った者も地下深くで生活し、地上には動物たちが闊歩している。

 

ポジティブ・サイド

ブルース・ウィリスが良い感じ。『 オールド・ボーイ 』のチェ・ミンシクが生きたタコを貪り食ったが、ブルース・ウィリスも蜘蛛をむしゃむちゃ。シャワーでは尻の割れ目を披露。そして第一次大戦のフランス軍の塹壕では一瞬だが逸物も披露。シリアスな話のはずが、どこかユーモラスだ。そこにクスリ漬けにされたウィリスと、正気ではあるが現代人の目からは狂人に見えるウィリスという二面性。序盤の時間軸とストーリーの虚実が定まらないこの感じが、いかにもテリー・ギリアムのテイスト。

 

ブラピの狂いっぷりもなかなかの見どころ。科学の進歩をテロで食い止めようとする輩は『 トランセンデンス 』などに見られるようにスマートに狂った輩が多い。そうした意味では本作のブラピのストレートな狂いっぷり(こちらも負けじと尻の割れ目を披露)は、文字通りの意味で世紀末的である。ブラピが最も面白いのは、最後の最後に実行する社会擾乱罪だろうか。なるほど、これはなかなか愉快なテロ行為で、なおかつ2020年代の現在でもリアリティがある。ブラピが最も不気味なのは、精神病棟でテレビの録画について滔々と解説するシーンだろうか。大昔に観た時には何も感じなかったが、20年以上ぶりに観返して、背筋がゾッとした。デイヴィッド・ピープルズとジャネット・ピープルズの二人の脚本家は天才ではあるまいか。ウィリスが目にする数々の動物のビジョンや他のデジャヴにも感心させられたが、このテレビ録画のシーンの気味の悪さと意味の深さには唸らされた。

 

ストーリーは軽妙にして重厚、単純にして複雑である。ウィリスもブラピも、人類を救うべく行動しているという点では同じである。重い使命である。そして、地下生活に順応してしまったウィリスの地上生活への憧憬と音楽などの世俗的な娯楽の享受が、とても大きな意味を持っている。人類のため、ではなく、自分のためにと行動するウィリスが次第次第に正気を失っていく様は痛々しい。12モンキーズという謎の軍団の探求のミステリーとサスペンスでぐいぐいと観る者を引き込んでいく。普通に鑑賞してもあっという間の2時間10分であり、再鑑賞すればさらに引き込まれる2時間10分である。

 

ネガティブ・サイド

ウィリスを途中から甲斐甲斐しく支えることになるキャサリンが、割と安易にロマンチックな関係に陥ってしまうのは何故なのか。この手のプロフェッショナルが、患者やクライアントに恋愛感情を抱くのはご法度であり、自身の気持ちをコントロールする術もある程度は体得しているはずだ。そうした人物が、相手が未来人とはいえ、いや未来人だからこそ、適切な距離を保てないというのは腑に落ちなかった。

 

ウィリスのキャラクターが最後まで混乱しっぱなしというのも気にかかった。並外れた記憶力の良さを買われた割には、肝心なところを思い出せないというのはご都合主義的だと感じた。

 

総評

幾重にも張り巡らされた伏線を見返すのも楽しいし、現今のコロナ禍と重ね合わせて人間考察してみるのもよいだろう。まだ観たことがないという若い映画ファンは、配信やレンタルで要チェックである。『 マトリックス 』や『 マイノリティ・リポート 』のようなテイストの作品を好む向きであれば、ぜひ鑑賞されたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

ventilation

「換気」の意。今やいかに rooms with good ventilation / well-ventilated= 風通しの良い部屋を確保するかが、どこのオフィスや学校でも喫緊の課題になっている。知っておくべき語と言えるだろう。ちなみに緊張状態やストレスから起こるとされる「過呼吸」は hyper ventilation と言う。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1990年代, A Rank, SF, アメリカ, クリストファー・プラマー, ブラッド・ピット, ブルース・ウィリス, マデリーン・ストウ, 監督:テリー・ギリアム, 配給会社:松竹富士Leave a Comment on 『 12モンキーズ 』 -ウィルス&タイムトラベルものの名作-

『 ミスター・ガラス 』 -内向きに爆発したシャマラノヴァース-

Posted on 2019年1月25日2019年12月21日 by cool-jupiter

ミスター・ガラス 55点
2019年1月20日 東宝シネマズ伊丹にて鑑賞
出演:サミュエル・L・ジャクソン ブルース・ウィリス ジェームズ・マカヴォイ アニャ・テイラー=ジョイ
監督:M・ナイト・シャマラン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190125013419j:plain

シネマティック・ユニヴァース=Cinematic Universeが花盛りである。アベンジャーズに代表されるMarvel Cinematic Universeに、ゴジラを中心に展開されていくであろうモンスター世界=Monsterverse、『 ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 』の不発により始まる前に終わってしまったDark Universeなどなど。そこにシャマラン世界、すなわちShyamalan Universe、略してシャマラン・ヴァースもしくはシャマラノヴァースとも呼ばれている。今作は『 アンブレイカブル 』と『 スプリット 』の正統的続編なのである。期待に胸を膨らませずにいられようか。

 

あらすじ

フィラデルフィアには監視者と呼ばれる男がいた。警察が捉えられない悪を裁くのだ。彼の名はデイヴィッド・ダン(ブルース・ウィリス)。触れることで悪を感知する不死身の肉体を持つ男。その頃、ケヴィン・ウェンデル・クラム(ジェームズ・マカヴォイ)は4人の女子高生を誘拐、監禁していた。24の人格を宿す人ならざる人。この二人の出会いを待ち構えていた精神分析医のサラ。彼女の施設には狂人にして天才、極度に脆い身体を持つミスター・ガラスことイライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)も収容されていた。彼女は彼らに、超人など存在しないということを証明しようとして・・・

 

ポジティブ・サイド

ジェームズ・マカヴォイの多重人格者の演技。これだけでチケット代の半分になる。特に9歳児のヘドウィグの演技は前作に引き続き、圧倒的である。少年の心の無邪気さと不安定さを一瞬で表現するところは圧巻。同僚のロンドナーも、「演技力では、ジェームズ・マカヴォイ >>> ベネディクト・カンバーバッチ、トム・ヒドゥルストン、マイケル・ファスベンダー」と認めている。一度演じた役とはいえ、こうも簡単にあれだけの役を再現できるのかと感心させられる。

 

そしてまさかのスペンサー・トリート・クラークの再登場。父親に銃まで向けたあの息子も、今ではすっかり父ダンのサポーター役が板に付いた。というか、子どもの頃と顔が全く変わっていない。ハーレイ・ジョエル・オスメントも面影をかなり残しているが、ジェイソン・トレンブレイも今の顔のまま大人になるのだろうか。

 

閑話休題。ビーストとダンの対決は、日本のキャラクターの対決に例えるとするなら、『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 』の志々雄真実と『 魁!!男塾 』の江田島平八を闘わせるようなものだろうか?もしくは、ウルトラマンとゴジラの対決か?何が適切な例えになるのか分からないが、とにかくこの対決はシャマランファン垂涎のマッチアップなのである。一人自警団を実行していくであろうダンには強力なライバルが必要だった。しかし、普通の人間ではとうていダンには歯が立たない。であるならば、普通ではない人間が必要となる。バットマンがジョーカーを呼び寄せたように。またはスーパーマンにとってのレックス・ルーサーのように。それにしても、今作を観てやっと前作『 スプリット 』における駅と花束の意味が分かった。だからこそ本作のタイトルは『 ミスター・ガラス 』なのだ。誰よりも弱い身体を持つが故に、その頭脳は誰よりも冴える。何という男なのだろうか。演じ切ったサミュエル・L・ジャクソンにも脱帽だ。

 

ネガティブ・サイド

これはネタばれだが、特にメジャーなネタばれでもないので書いてしまう。一体全体、催眠ストロボとは何なのだ?いや、原理はどうでもいい。9歳児のヘドウィグならまだしも、デニスやバリーやパトリシアまでもが、「目をつぶる」という余りにも簡単な回避方法を思いつかないのは何故だ?

 

前作であれほどまでにベティ・バックリー演じるカウンセラーに自らの存在する意味、全ての人格は主人格のケヴィンを守るために存在するのだと、ビーストはケヴィンの究極の守護者なのだと確信していたにも関わらず、謎の研究者のほんの少しの言葉で、なぜあれほどまでにパトリシアたちは動揺するのか。同じことを描くにしても、前回のような本格的な、徹底的なカウンセリングシーンが欲しかった。これではフレッチャー博士も浮かばれない。

 

また本来の主人公であるミスター・ガラス、イライジャの天才性と狂人性の描写がもう一つ弱かった。いや、天才性は最後に爆発したが、『 アンブレイカブル 』で階段から落ちながらも、とある事柄を確認したことで浮かべた不気味極まりない笑顔。あれに優る狂気の表情が見られなかったのはマイナスだろう。イライジャの思考はそれが思い込みであれ、信念であれ、確信であれ、誰よりも強い。その想念の強さと大きさを宿したようなアクションまたは表情がどうしても見てみたかったが。

 

最後に個人的なネガティブを一つ。ケイシーを演じたアニャ・テイラー=ジョイの出番が少ない。Jovianは彼女とヘイリー・スタインフェルド推しなのである。

 

総評

色々と腑に落ちないこともあるが、『 アンブレイカブル 』がデイヴィッド・ダンがスーパーヒーローとして覚醒する物語で、『 スプリット 』はスーパーヴィランの誕生物語だった。狂人ミスター・ガラスはスーパーヒーローなのか、それともスーパー・ヴィランなのか。それは観る者が直接その目で確認すべきなのだろう。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, アニャ・テイラー=ジョイ, アメリカ, サスペンス, サミュエル・L・ジャクソン, ジェームズ・マカヴォイ, ブルース・ウィリス, ミステリ, 監督:M・ナイト・シャマラン, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 ミスター・ガラス 』 -内向きに爆発したシャマラノヴァース-

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