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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ハン・ソッキュ

『 シュリ 』 -南北の融和は見果てぬ夢か-

Posted on 2024年10月19日 by cool-jupiter

シュリ 75点
2024年10月14日 シネマート心斎橋にて鑑賞
出演:ハン・ソッキュ キム・ユンジン ソン・ガンホ チェ・ミンシク
監督:カン・ジェギュ

 

シネマート心斎橋に別れを告げるためにチケット購入。といっても、もう1~2回は行きたい。

あらすじ

韓国情報部のユ・ジュンウォン(ハン・ソッキュ)は、相棒イ・ジョンギル(ソン・ガンホ)とともに、国防関連の要人の連続暗殺事件を追っていた。北朝鮮の女性工作員が捜査線上に浮上する一方で、韓国が極秘に開発した液体爆弾を用いたテロが計画されていて・・・

ポジティブ・サイド

1990年代後半というと太陽政策の前、つまり南北がまだまだ普通ににらみ合っていた時代で、38度線がうんたらかんたらというニュースは中学生、高校生の頃のニュースでJovianもよく耳にしていた。そんな時代の映画だけに古さもあるが、逆に新鮮さもあった。

 

スーパースターと言っても過言ではないチェ・ミンシクやソン・ガンホの若かりし頃の熱演が見られるし、主演のハン・ソッキュは近年でも『 悪の偶像 』でカリスマ的な悪徳政治家

で強烈な印象を残したし、お相手のキム・ユンジンも『 告白、あるいは完璧な弁護 』で弁護士役として非常に印象的な演技を見せたのが記憶に新しい。

 

作劇上の演出も光っていた。特に女性工作員の正体を映し出すシーンは暗闇の中、無音かつ無言、そして効果音もBGMも無しで淡々と進んでいくワンカット。このシーンは震えた。また、スタジアムで彼女が銃を構えるポーズは『 悪女 AKUJO 』や『 聖女 MAD SISTER 』に確実に受け継がれていると感じた。

 

全編にわたって銃撃アクションに、スパイは誰なのかというサスペンス、そして常に敵に先回りされるのは何故なのかという謎解きミステリもあり、さらにそこに悲恋の要素も盛り込んだ全部乗せ状態。それだけたくさん詰め込みながら、緩む瞬間がないという驚き。ヒューマンドラマの名手、カン・ジェギュ監督の最高傑作という評価は揺らぐことはないだろう。

 

ネガティブ・サイド

サッカーのスタジアムに仕込まれた液体爆弾の起爆方法はユニークだが、あまりにも偶然の要素に頼りすぎでは?たとえば天気。他にも、保安・警護上の理由で首脳たちが座る位置などが直前まで明らかにならないということは?あまり突っ込むのも野暮だが、こうした疑問は公開当時からあったはず。

 

あとは爆発までのカウントダウンか。それこそ外気温や湿度、風速など、液体の温度に影響を与える要素は数多くあるわけで、爆発までのカウントダウンが正確にできるわけがない。この部分は鼻白みながら観ていた。

 

総評

突っ込みどころは多々あれど、緊迫感や緊張感、猜疑心などが途切れることがなく、2時間をノンストップで突っ走る。国のために、愛する人のために、という想いは共通だが、それによって敵味方に分かれてしまうという不条理は今の時代でも残念ながら真理のまま。地政学的に見れば38度線はベルリンの壁よりも強固な分断の象徴だが、だからこそ、それを乗り越えようとする人間のドラマがこの上なく熱くなるのだろう。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

イルボン

日本のこと。韓国の映画やドラマでは割と日本が出てくる。近いから当たり前と言えば当たり前だが、日本と韓国は文化的・経済的には38度線のような線は不要だと個人的には思っている。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ぼくのお日さま 』
『 若き見知らぬ者たち 』
『 破墓 パミョ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1990年代, B Rank, アクション, キム・ユンジン, サスペンス, ソン・ガンホ, チェ・ミンシク, ハン・ソッキュ, 監督:カン・ジェギュ, 配給会社:ギャガ, 韓国Leave a Comment on 『 シュリ 』 -南北の融和は見果てぬ夢か-

『 悪の偶像 』 -信じさせる者は救われるのか-

Posted on 2020年7月5日2021年1月21日 by cool-jupiter

悪の偶像 70点
2020年7月4日 心斎橋シネマートにて鑑賞
出演:ハン・ソッキュ ソル・ギョング チョン・ウヒ
監督:イ・スジン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200705171545j:plain
 

『 哭声 コクソン 』に続いて、またも人間の信念や信仰、信条を揺るがすような作品である。ただし、こちらはホラーではなくポリティカル・サスペンス。しかし、韓国映画お得意のグロ描写は健在。どこまで行くのか、韓国映画界よ。

 

あらすじ

市議会議員にして時期知事の有力候補のミョンヒ(ハン・ソッキュ)の息子ヨハンが飲酒ひき逃げ事件を起こし、あろうことか死体を自宅に持ち帰ってきた。死体遺棄を隠し、ひき逃げだけでミョンヒはヨハンを自首させる。しかし、目撃者である被害者の新妻リョナ(チョン・ウヒ)の存在が判明。真相が判明することを防ぐためにミョンヒはリョナを追う。一方、被害者の父親であるジュンシク(ソル・ギョング)も、リョナが妊娠していることを知り、なんとかして彼女を見つけ出そうと奮闘するが・・・

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ポジティブ・サイド

『 母なる証明 』は問答無用の大傑作だった。韓国における母と息子の絆の強さとその闇の深さには圧倒されるものがあった。本作は、半分は『 父なる証明 』であると言ってよいだろう。議員ミョンヒのボンクラ息子、小市民ジュンシクの知的障がいを持っていた息子。特に後者の父子関係は強烈だ。冒頭のナレーションで、父が息子の射精を手伝ってやったと語られるのだ。『 母なる証明 』でも息子の立ち小便をキム・ヘジャ演じる母がじーっと凝視するという異様なシーンがあったことが思い出される。親と子の距離が異様に近いのだ。『 37セカンズ 』でも母と子のやたらと近い入浴シーンがあったが、それでも障がいを持つ子と親の距離感というものに驚かされるし、そうしたものを描き切る韓国映画の凄みよ。

 

そして“父”というワードに神を見出すことは、韓国がキリスト教国であるという背景を考えれば、それほど難しいことではない。劇中およびエンドクレジットで流れる“Agnus Dei”は神の子羊、すなわちイエス・キリストの象徴である。イエスは原罪を背負って死に、人類を救済したとされる。本作で死んだのは誰か。そしてイエスの母マリアは処女懐胎したと言われている。本作で懐胎したのは誰か。そして、それは誰の子なのか。父のイメージに挑戦し、それを壊そうとする本作は、韓国という国全体の家父長的な社会制度を糾弾していると見るのは、それほど穿った見方ではないだろう。

 

現代は誰もがイメージに生きている時代と言える。大昔から人間はイメージを相手に押し付けてきた生き物であったが、現代はその性向がさらに強化された時代であると言える。ソーシャル・ディスタンスならぬサイコロジカル・ディスタンスとでも言おうか。心理的に自分に近い人間を応援し、心理的に自分から遠い人間を排撃しようとする。それが本作におけるテーマの一つである。イメージを駆使して他者との心的距離を縮めようとする政治家ミョンヒの、恐るべき策略が炸裂する中盤以降、物語は一気に暴力と破壊と殺人の色合いを濃くしていく。

 

自らも誘拐・監禁・暴行に手を染めるハン・ソッキュ、買春や偽装結婚など愛する家族のためなら犯罪もなんのそののソル・ギョング。彼ら名優の演技対決も見ものであるが、一番はチョン・ウヒの狂気だろう。弱い立場にありながらも彼女自身は決して弱くはない。追われ、監禁され、虐待されても、感覚を研ぎ澄ませてチャンスをうかがっている。まさに獣である。日本で渡り合えるのは安藤サクラぐらいか。顔が怖いから怖いのではない。『 パラサイト 半地下の家族 』でも強調されたある感覚を何気なく語るシーンの秘めた迫力が恐ろしいのである。繰り返しになるが、まさに獣である。弱肉強食である。

 

そして最終盤の事件。人間がいかにイメージに弱いかを物語る大事件が起きる。いや、起こされる。例えるのが非常に難しいが、敢えて言えば芸能人のスキャンダルに近いか。別に自分に被害が生じたわけでもないのに、我々はそれまでに好感を抱いていた人物を蛇蝎のごとく忌み嫌うようになることがある。まさに心理的なdistancingである。父と父との対決は、ここに来て一気に国家・国民を揺るがすレベルに到達する。そしてエンディング。原作ではどうなっているのだろうか。字幕が途中から一切表示されなくなる。当然韓国語なので、韓国語が分かる人間にしか分からない。だが、それで良いのだろう。そこに映し出されないイメージ(具体的には身体のあるパーツ)を我々は想像し、そこで語られるメッセージを我々は想像する。そしてエンディングの讃美歌、Agnus Dei。生贄としてささげられているのは誰なのか。ここでミョンヒの肩書が原発対策委員長だったことを思い出して背筋が凍る人もいるだろう。

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ネガティブ・サイド

本作のキーパーソンの一人であるリョナは『 哀しき獣 』でフォーカスされた朝鮮族の女性である。つまりは外国人である。もちろん強制送還や不法滞在というキーワードでそれは十分に理解できるが、世界をマーケットにしたい映画であるなら、もう少しキャラクターの背景を深掘りする描写が必要ではなかったか。事実、Jovian妻はストーリー展開に時々ついていけなかったようである。

 

ミョンヒの息子はどうなったのだ?事件の発端のこの男の罪状や体調が途中から皆目わからなくなってしまった。

 

ジュンシクがリョナのために用意した証明書。これが思わぬところで思わぬ人物に大ダメージを与えるが、狙っていたことなのだろうか。それとも本人が語るように「書類上のこと」に過ぎなかったのだろうか。序盤に思わぬ嫌疑を受けるジュンシクであるが、中盤にしっかりとビジュアル・ストーリーテリングを通じてredeemされる。そうした描写が欲しかった。このスッキリしない感じは少々気持ちが悪い。

 

総評

父なる証明の物語。つまり父の狂気の愛情の物語としては傑作である。また、サスペンスとしてもクライムドラマとしても、韓国映画来意容赦の無いテイストで描かれており、このジャンルでも及第点以上である。だが、本作をより面白くしているのは日本の政治状況ではないだろうか。奇しくも今日(2020年7月5日)は東京都知事選。横文字の濫用とメディア露出を駆使する、つまりはイメージ戦略第一の現職は勝てるのか。勝つとしたら、他候補にどれだけの差をつけるのか。または差がつかないのか。今秋にも衆議院解散の噂がささやかれるが、「やってる感」の演出、つまりはイメージ戦略だけの政権与党はどうなのか。結果はどう出るのか。そうしたことを頭の片隅で意識しながら鑑賞すれば、自分が迷える子羊なのか、迷わされる子羊なのかが明確になるかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

idol

idol = 偶像である。つまりは憧憬の対象である。日本語で言うアイドルは往々にしてpop starと訳される。この語で感慨深く思い出されるのは2008年12月6日のボクシング、マニー・パッキャオvsオスカー・デラホーヤ戦。勝者のパッキャオが敗れたデラホーヤに“You’re still my idol.”と伝えると、デラホーヤが“No, now you are my idol.”と応えた。その様子はこの動画の40:50で視聴可能だ。

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2010年代, B Rank, サスペンス, ソル・ギョング, チョン・ウヒ, ハン・ソッキュ, 監督:イ・スジン, 配給会社:アルバトロス・フィルム, 韓国Leave a Comment on 『 悪の偶像 』 -信じさせる者は救われるのか-

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