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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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タグ: タリア・シャイア

『 ロッキー4 炎の友情 』 -政治的なメッセージ以上のメッセージを持つ作品-

Posted on 2019年1月1日2019年12月7日 by cool-jupiter

ロッキー4 炎の友情 65点
2018年12月25日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:シルベスター・スタローン タリア・シャイア カール・ウェザース ドルフ・ラングレン
監督:シルベスター・スタローン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190101024713j:plain

12月25日はクリスマスである。クリスマスと言えば、『 ホーム・アローン 』や『 ナイトメア・ビフォア・クリスマス 』ではなく『 ロッキー4 炎の友情 』なのである。どこかに昔、WOWOWで録画したロッキーシリーズのDVDがあるはずだが、探すよりも借りてきた方が早いと思い、近所のTSUTAYAに行ってきた次第。

 

あらすじ

かつて死闘を繰り広げたロッキー(シルベスター・スタローン)とアポロ(カール・ウェザース)は友情を育み、悠々自適の生活を送っていた。そんな中、ソビエト連邦からイヴァン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)がアメリカにやって来て、ロッキーと戦いたいとの意向を表す。アポロはロッキーではなく自分こそがドラゴと闘うとリングへ復帰、エキシビションに臨むもドラゴの強さの前に沈み、リング禍となってしまった。ロッキーはアポロとの友情に応えるべく、妻エイドリアン(タリア・シャイア)の制止を振り切り、ドラゴの待つソビエトに向かう・・・

 

ポジティブ・サイド

あらためて見返して、ドルフ・ラングレンがスタローンよりもボクシングの型が整っていることに感心する。もちろんアマチュアのバックグラウンドがあるというキャラ設定によるものだが、普通にボクシングをやっていてもアメリカで8回戦ぐらいまではいけたのでは?と思わせる。昔も今も、ロシア人のボクサーは得体の知れない雰囲気を纏っている。日本と縁の深いボクサーで言えば、勇利アルバチャコフや、長谷川穂積も対戦を避けたサーシャ・バクティンなどが当てはまる。例外は池原信遂に貫禄勝ちしたウラジミール・シドレンコぐらいか。そうした不気味なソビエト人を、その図体と表情と無骨な喋りで演じ切ったラングレンに喝采。

 

ロッキーのトレーニングシーンも良い。もはや定番、クリシェと化しているトレーニング・シーンのモンタージュであるが、最新科学理論に基づき、機器を用いての効率的トレーニングを積むドラゴと、あくまで原始的なトレーニングに打ち込むロッキーのコントラストが、 ”Heart’s on Fire” に実にマッチする。ここでのロッキーのトレーニング風景は、Jovianが勝手にヘビー級プロボクサー史上最強(≠最高)と認定しているビタリ・クリチコのトレーニングとそっくりである。腹筋、雪中のランニング、丸太運び、薪割りと、笑ってしまうほどのシンクロ率である。ウクライナ人のビタリとアメリカ人のロッキーの不思議なトレーニング風景の一致は、現実(リアル)と映画(フィクション)の境目を曖昧にし、2018年という時代に見返してみた時、映画に更なる説得力(リアリティ)を持たせることに成功している。もちろん、“Burning Heart”はこれまでも、今も、これからも多くのプロボクサーに愛される名曲である(亀田興毅除く)。

 

本作の持つテーマには実に危ういものがある。友情は命に勝るのか。そして、アスリートは代理戦争を闘うべきなのか。前者に関しては分からない。しかし、後者に関しては今ならYesと言える気がする。イディ・アミンはある意味で正しかったと思う。紛争であれ戦争であれ、何らかの形で大規模な軍事力の衝突を引き起こすのなら、それらの国の首脳が殴り合えばよい。Jovianは大学時代にデンマーク人の友人から、「サッカーってのは疑似戦争なんだ!」と熱弁を振るわれたことがある。それはボクシングにも当てはまることで、近年の例で言えば、やはりフィリピンの英雄マニー・パッキャオ。彼がメキシコ人(フィリピン人からするとメキシカンはスペイン人のようなものらしい)やアメリカ人をぶっ倒すたびに国中がお祭り騒ぎになっていた。それはフィリピンがスペイン、日本、アメリカの実質的な植民地、属国になっていたという歴史と大いに関係がある。アメリカのアクション映画や戦争映画は9.11を境に大きく変わったと言われる。アンジェリーナ・ジョリーの『 トゥームレイダー 』が無邪気なアクション映画としては最後の作品であると考えられている。本作はもちろん、無邪気な映画。しかし、そんな無邪気な映画であるからこそ、あちこちに火種の燻る現代の世界を考えるに際して、ヒントになるものがあるように思えてならない。

 

ネガティブ・サイド

フィラデルフィアのロッキー・ステップが映されないとは何事か。監督スタローンに喝!

 

あのポーリーに贈った家政婦的なロボットはいったい何を象徴しているのだろうか。どう考えても、当時のアメリカの楽天主義丸出しの未来予想図にしか思えない。最新科学をトレーニングにしっかりと反映させるソビエトに対して、ロッキーは原始的なトレーニングに拘る。しかしそれはロッキーがロッキーだからであって、アメリカは決して科学技術においてソビエトに後れをとっているわけではありませんよというポーズなのだろうか。

 

そして日本版の副題をつけた配給会社に喝!なんでもかんでも『 炎の~ 』にするのが当時のトレンドだったのは分かる。音楽シーンでもマイケル・ジャクソンの『 今夜はビート・イット 』のように、何でもかんでも『 今夜は~ 』という日本語をつけてしまう時代だったのは確かだ。映画の『 ランボー 』シリーズにしてもそうで、何でもかんでも『 怒りの~ 』にすればよいというものではない。スティーブン・セガールの映画がやたらと『 沈黙の~ 』になってしまったように、日本の映画配給会社は一度前例ができてしまうとそれを変えたがらない。まるで官僚のようだ。映画本編とは関係のないところで陰鬱な気分にさせられてしまった。

 

総評

シリーズの中でもモスクワで闘うという異色の展開を見せる作品である。ロッキー映画の方程式は維持しているものの、舞台のほとんどがフィラデルフィアでないことに釈然としないファンも多かろう。しかし、『 クリード 炎の宿敵 』の日本公開が間近に迫る今、復習の意味で鑑賞する意義は充分に認められる。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1980年代, C Rank, アメリカ, カール・ウェザース, シルベスター・スタローン, スポーツ, タリア・シャイア, ドルフ・ラングレン, ヒューマンドラマ, 監督:シルベスター・スタローン, 配給会社:UIPLeave a Comment on 『 ロッキー4 炎の友情 』 -政治的なメッセージ以上のメッセージを持つ作品-

『 ロッキー 』 -ボクシング・ドラマの金字塔-

Posted on 2018年12月30日2019年12月7日 by cool-jupiter

ロッキー 90点
2018年12月24日 レンタルBlu Rayにて鑑賞
出演:シルベスター・スタローン タリア・シャイア カール・ウェザース バージェス・メレディス バート・ヤング
監督:ジョン・G・アビルドセン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20181230021916j:plain

言わずと知れたボクシング・ドラマの金字塔。単なるスポ根物語ではなく、様々な登場人物の鬱屈が爆発しながらも、それが逆に見事なケミストリーを織りなしていくという稀有な作品。まさに脚本の勝利であり、スタローンその人の配役の勝利であり、Bill Contiの音楽の勝利である。ボクシング業界はこの映画にどれだけ感謝しても、感謝しすぎるということはない。

 

あらすじ

夜は場末のバーの古ぼけたリングで闘うロッキー(シルベスター・スタローン)は、昼はイタリア系マフィアの親分の下で借金の取り立て人をしながら日銭を稼いでいた。そんなロッキーはペットショップの店員のエイドリアン(タリア・シャイア)に美しさを見出していた。ボクシングはもう終わりだと思っていた矢先、ひょんなことから世界ヘビー級王者のアポロ・クリード(カール・ウェザース)とタイトルマッチを闘うことに。この試合で最後まで闘い抜くことができれば、何者かになることができる。そう信じるロッキーは、周囲の人間との衝突と和解を通じ、懸命にトレーニングに打ち込んでいく・・・

 

ポジティブ・サイド

スタローンは実はかなりボクシングセンスがあるのではなかろうか。パンチの型だけではなく、リングに立った時のシルエットがボクサーのそれに重なる。サウスポーのFinishing Blowと言えば、往々にして右フック。日本のボクサーで言えば長谷川穂積がカウンターの右フックの名手であった。その長谷川の右フックとは全然違うが、ロッキーの右フックの軌道は、大振りでありながらも背骨を軸にしたきれいな回転を保っており、本物のボクサー並みのトレーニングを積んできたことを容易に想像させる。そしてロッキー映画の方程式とも言うべき、音楽に乗せてのトレーニング・シーンのモンタージュ。特に不滅の名曲“Gonna Fly Now”に合わせてのそれは圧巻である。あのフィラデルフィアのロッキー・ステップスをいつか自分の両の脚で駆け上がってみたい。そう感じる映画ファンおよびボクシングファンはこれまでに数百万のオーダーで存在してきたに違いない。アメリカには何度か行ったが、いつかフィラデルフィアに行きたい。そしてあの階段を駆け上がって、ガッツポーズを決めたい。

 

しかし、ロッキー映画でJovianが最も好きなのは、トレーニングでも試合のシーンでもない。それはエイドリアンとロッキーの不器用ながらもまっすぐな恋。タリア・シャイアは、地味で内気で奥手な性格を眼鏡の向こう側に秘めていながら、麻生久美子的な健康的とも官能的とも言えない、何とも名状しがたい魅力を放っている。特にスケートリンクの上での他愛のない会話が好きだ。なぜボクシングなんかするのか?というエイドリアンの問いに「俺は歌ったり踊ったりできないからだ」と、自分を飾ることなく答えるロッキー。男の魅力は強さや富、ルックスから生まれるのは間違いないが、それ以上に飾らない実直さが大切なのだろうと観る者に強く思わせる隠れた名シーンだ。そして、初めてのキス。Jovianが好きな映画のキスシーンは『 スター・ウォーズ エピソード5 帝国の逆襲 』のミレニアム・ファルコン内でのハン・ソロとレイアのキスと、本作のロッキーとエイドリアンのキスである。

 

何年かに一回は必ず観てしまう映画だ。仕事に疲れた時。何か新しいことを始める時。この映画にインスパイアされた人間は、数限りなくいるはずだ。映画ファンは本作のような名作を語り継いでいかなければならない。

 

ネガティブ・サイド

字幕でNobodyを「クズ」と訳すのはどうだろうか。これは文字通りの意味で、「昔の俺は何者でもなかった」ぐらいの訳でよかったのではなかろうか。

 

ボクシングシーンをもう少しリアルにできなかったのだろうか。サウスポーがオーソドックスのジャブをあんなにポンポンもらうのは、当時ですら珍しかったはずだ。後は完全なない物ねだりだが、派手にパンチをもらうシーンで血と汗をもっと飛び散らせるべきだった。実際にリングサイドでボクシングを見たことがある人なら、どれほどのパンチの音が響いて、どれほど汗が弾き飛ばされるのかを身を以って体験したことがあるはず。低予算ではそこまでのリアルの追求は難しかったか。

 

総評

ボクシングを題材にした映画は数限りなく作られてきた。『 レイジング・ブル 』はボクシングの世界の闇をテーマにしていたが、『 ロッキー 』の世界ではミッキーやポーリーといった人生の落後者までもが輝く。自分も来年は頑張ろうかなという気分になれた。ありがとう、ロッキー。

 

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