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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: イ・ジョンジェ

『 ハント 』 -北のスパイを突き止めろ-

Posted on 2023年10月5日 by cool-jupiter

ハント 75点
2023年10月1日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:イ・ジョンジェ チョン・ウソン
監督:イ・ジョンジェ

 

簡易レビュー。

あらすじ

1980年代。安全企画部の海外班長パク・ピョンホ(イ・ジョンジェ)と国内班長キム・ジョンド(チョン・ウソン)は、機密情報が北朝鮮に漏洩していることを知る。そして組織内にスパイがいると告げられる。パクとキムは互いのチームを探り始めるが・・・

ポジティブ・サイド

1983年という、韓国民主化前夜の時代。その3年前に「光州事件」という、韓国版の天安門事件とも言うべき事態が引き起こされており、アメリカ系韓国人が韓国大統領の訪米に対して抗議のデモを起こすところから物語が始まる。

 

そこで勃発する要人暗殺未遂事件。パクとキムの二人は反目しあいながらも事件を解決。しかし謎のスパイ「トンニム」によって次々に機密情報が漏洩。一息つく暇もなく、二人はトンニムの追跡に乗り出すが成果なし。このあたりの展開の疾走感がたまらない。元々浅からぬ因縁のある二人だが、その過去の語られ方がめちゃくちゃ。まるで昭和の任侠映画のよう。というか時代背景的に昭和か。

 

二人のスペシャリストの対決は、それこそハリウッドでは撮り尽くされた印象があるが、そこに北朝鮮というファクターを混ぜるだけでサスペンスとミステリのレベルが一段上がる。トンニムとは誰か?パクとキムの捜査と虚々実々の駆け引きにぐいぐいと引き込まれる。本作が上手いのは、トンニム探しをゴールとするのではなく、そこから先に更なるクライマックスを持ってくるところ。冷酷非情な諜報員と情に厚い面を併せ持つ二人の男の極限の対決の結末には茫然自失。

 

韓国のみならずアメリカ、日本やタイをも破壊しつくす気か?と思わせる作品。と思いきや、撮影はすべて韓国内で完結したとのこと。国策で映画を作っている国は違いますなあ・・・

 

ネガティブ・サイド

全編を通じてまさにストーリーが疾走するが、説明不足の感も否めない。特に韓国近現代史の知識がある程度ないと、キム班長の苦悩の回想シーンの意味を理解できないだろう。当時の韓国の置かれていた政治的状況をもう少し上手く物語の展開の中で自然に説明できなかっただろうか(Jovian妻はここでつまずいていた)。

 

最終盤の怒涛の展開の中で、韓国の政府組織はどれだけ北朝鮮スパイに跳梁跋扈を許しているのか?というシーンがある。ここだけは、ちょっと北朝鮮の脅威を過大に描き過ぎだと感じた。

 

総評

こりゃまた血生臭い韓国映画。血の臭いだけではなく、男臭さもムンムンと漂ってくる。『 ビースト 』や『 ただ悪より救いたまえ 』といった、男二匹の対決をテーマにした作品が好きだという向きはチケット購入をためらってはならない。そうそう、中盤に思わぬ大スターが出演して、ケレンミたっぷりの演技を見せてくれる。これは嬉しい不意打ちである。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

インミン

劇中で突如登場する大物俳優がこの言葉を何度も口にする。意味は「人民」である。「人民のため」などと為政者が口にする時は、だいたい嘘をついている時だと思っていい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ほつれる 』
『 まなみ100% 』
『 オクス駅お化け 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, イ・ジョンジェ, チョン・ウソン, 監督:イ・ジョンジェ, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 ハント 』 -北のスパイを突き止めろ-

『 ただ悪より救いたまえ 』 -容赦ない韓流アクション-

Posted on 2022年1月4日2022年1月4日 by cool-jupiter

ただ悪より救いたまえ 75点
2022年1月2日 心斎橋シネマートにて鑑賞
出演:ファン・ジョンミン イ・ジョンジェ パク・ジョンミン
監督:ホン・ウォンチャン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20220104151525j:plain

f:id:Jovian-Cinephile1002:20220104151525j:plain

新年の韓国映画鑑賞第一弾。心斎橋の人出は多いが、信頼できる客層のシネマートへ。『 ソワレ 』、『 成れの果て 』という重い映画の鑑賞が続いたので、派手なアクションを観たいと思ったのだが、スカッとするどころか(良い意味で)身も心もボロボロになるような映画だった。

 

あらすじ

暗殺者のインナム(ファン・ジョンミン)は最後の仕事として日本のヤクザ、コレエダを殺害する。しかし、義絶状態にあったコレエダの弟にして狂気の殺人鬼レイ(イ・ジョンジェ)がインナムへの復讐を誓う。インナムはかつての恋人に娘がおり、その娘がタイで誘拐されたことを知り、救出のためタイへ渡る。そしてレイもインナムを追ってタイへ・・・

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ポジティブ・サイド

これは(『 アジョシ 』+『 チェイサー 』+『 哀しき獣 』)を3で割って、そこにホン・ウォンチャン監督のテイストを加えた、韓流ノワールの秀作である。まさに「そこまでやる必要があるのか」である。

アジョシは元々、チェ・ミンシクやソン・ガンホといった本物の中年オジサンを使う予定だったらしいが、イケメン青年ウォンビン(当時)を起用することで思いがけずスタイリッシュな作品に仕上がった。一方で本作はファン・ジョンミンという、中年のオッサンでありながら、ガンホやミンシクといった濃いめのオッサン色ではなく渋みを前面に押し出したアジョシを起用することで、悲哀がより色濃く表現されるようになった。

本作の特徴は国際的なスケールの大きさ。日本、韓国、タイ、そして最終的には中米パナマにまで至り、聞こえてくる言語も日本語、韓国語、中国語、タイ語、英語である。明らかにアジア市場、そして世界市場を視野に入れた作品作りである。主演の二人も片言ながら、日本語、英語を操り、インナムのバディとなるもう一人のジョンミン、ユイはタイ語も流暢に話す。『 PMC ザ・バンカー 』のハ・ジョンウとまでは言わないが、邦画の世界ももっと役者に外国語を喋らせてもいいのではないか。近年だと『 ゲノムハザード ある天才科学者の5日間 』の西島秀俊の韓国語ぐらいしか思いつかない。

閑話休題。本作は優れた過去の韓国映画だけではなく、ハリウッド映画なども下敷きにしている。レイがバンコクで銃器を調達する方法は、まんま『 ターミネーター 』のシュワちゃんだし、最終盤の対決の決着シーンは、まんま『 レオン 』だったりする。ただ、そうした一見するとパクリにしか思えないシーンの数々が韓国色に染め上げられた結果、優れたオマージュとして機能している。

インナムとレイの対決を決して正義と悪にぶつかり合いのように描かないところが良い。インナムへの連絡係(『 パラサイト 半地下の家族 』のリスペクトおじさん!)を牛や豚のように解体していくレイが「俺のおやじは屠殺業者だった」と語るシーンでは、『 血と骨 』のビートたけしが思い起こされたし、日本でもタイでも、殺すと決めた相手は容赦なく殺す姿勢が徹底している。一方のインナムもハサミで拷問相手の指を切り落とすという血も涙もない所業で相手の口を割らせる。ハサミが放つ鈍い光に使い込まれ具合が見て取れ、インナムの暗殺家業の凄惨さが垣間見える。二人が対峙していく過程で、タイという国の裏のビジネス、そこで韓国人が韓国人を搾取するという構図、その中にちゃっかり存在する中国人、ついでに人気の日本人など、これでもかと大都市の闇、人間の闇が暴かれていく。その濃い闇を背景に、暗殺者 vs 殺し屋というどっちもどっちの対決の構図の中に「見知らぬ娘を救うため」という大義と、「兄貴の敵を討つ」という大義がぶつかり合う。単なるドンパチと見せかけて、韓国人の家族観が非常に強く投影された対決になっていく。

廃工場、ホテル、市街地で繰り広げられるインナムとレイの激闘はまさに息を呑むもの。リハーサルとかできたのだろうか。どこまでが実写でどこからがCGだか分からない。戦いの中で人間性を取り戻していくインナムと、どんどんと獣になっていくレイというコントラストが絶妙だ。まさに血みどろの対決に、観ている側は完全に消耗しきってしまう。心地よい疲れでは決してない。しかし、凄いものを観たという感覚を味わえることは間違いない。

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ネガティブ・サイド

主人公インナムには特殊工作員あがりというバックグラウンドがあるので強いことは分かるが、レイの強さの背景がよく分からない。在日韓国人ということは日本育ちなわけで、ヤクザ稼業だけであそこまで刃物や銃火器の扱いに習熟できるものだろうか。豊原功補と義絶していたとはいえ、あれほど強烈な弟が全く知られていなかったというのは無理があるのでは。まあ、銃器については『 アウトレイジ 』でもどこからかマシンガンが調達されたりしているので、あまり突っ込むのは野暮かもしれない。『 哀しき獣 』のキム・ユンソクのように元々強かったと思うようにすべきか。

インナムがバンコクでもずっと黒のスーツを着用しているのは、一種のトレードマークだから仕方ないか。だが、あれでは目立ちすぎて、あっという間に警察に通報されて御用となりそう。プロらしく、密かにバンコクの街に溶け込むという描写が欲しかった。

バトルシーンで頻繁に使われるスローモーションがやや気になった。あまり多用すると、せっかくのアクションが安っぽく見えてしまう。

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総評

ひたすらに疲れる映画体験だった。劇場を出たところでスタッフが「ただいま売店にて”ただ渇きより救いたまえ”を販売中でーす」と案内をしていて、その商魂のたくましさに思わず笑ってしまった。これがなければ家路の間、ずっと重苦しさに支配されていたかもしれない。逆に言うと、それぐらい重い作品。派手なアクションでスカッとした気分になりたいと臨んだが、そんな爽快系の作品では決してない。どちらかというと『 ビースト 』のような悪のオッサン二人の極限の演技対決である。鑑賞の際は自身のメンタルをよくよく事前チェックされたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You had it coming.

『 リアム16歳、はじめての学校 』でも紹介した表現。今作では「自分でまいた種だ」というセリフがあったが、それを英訳すると ”You had it coming.” となる。 積極的に使いたい表現ではないが、英会話中級者以上なら知っておきたい。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, イ・ジョンジェ, パク・ジョンミン, ファン・ジョンミン, 監督:ホン・ウォンチャン, 配給会社:ツイン, 韓国Leave a Comment on 『 ただ悪より救いたまえ 』 -容赦ない韓流アクション-

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