万事快調 オール・グリーンズ 75点
2026年1月16日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:南沙良 出口夏希 吉田美月喜
監督:児山隆
南沙良主演ということでチケット購入。

あらすじ
家ではなく路上のラップバトルに居場所を見出す朴秀美(南沙良)。母親との関係に問題を抱えるシネフィルの矢口美流紅(出口夏希)。漫画という夢を追うことためらう岩隈真子(吉田美月喜)。彼女たちは現状から脱出するために、あるビジネスに手を染めて・・・

ポジティブ・サイド
南沙良が単なる女子高生を演じていないことに安堵。本人もハンドラーたちも、少女漫画の映画化作品に主演することは演技のキャリア的に無意味であることをよくわかっている。家庭環境に問題大あり、本人の性格にも問題大ありというキャラを演じきった。小説好きとしては彼女のビブリオフィルな面は好ましいが、結局それは現実からの逃避。そのネガティブさを夜の路上でラップの即興で吐き出すという、健全とは言い難い方法でのバランスの取り方は痛々しい。が、現実的でもある。ちなみにPG12なのは、彼女が童貞や包茎というワードを口にするからではない。
スクールカーストのトップから転落した美流紅のキャラも好ましい。しれっと『 キャリー 』や『 哀れなるものたち 』の軽微なネタバレを挟んでくるのは微笑ましい。「TSUTAYAがなくなったら困る」というのは、最近、近所のTSUTAYAがついに閉店予定というニュースに触れたJovianに刺さった。単に知識豊富なだけではなく、しっかりと映画の台詞も自分のものにしている点がこのキャラの素晴らしいところ。『 ファイト・クラブ 』の台詞をもじって言うシーンには唸らされた。彼女のようなシネフィルが現実に存在すると信じて、Jovian先生のワンポイント英会話レッスンは続けていこうと思う。
岩隈子(ニックネーム)のシニカルな性格が、危ない橋を渡りたくない気持ちと、自分自身が漫画のストーリー的な世界に足を踏み入れようとするあたりから変わってくるのが心地よい。目立たないが、本作は彼女のビルドゥングスロマンの一面も持っている。活動に対してビジネスや効率化という言葉を使うことで理性的な計算の上でそうしているのだと自分を納得させているが、心が頭を上回った瞬間の笑顔は、まさに THE 笑顔 だった。
東海村という日本初の原子力発電所の稼働場所を舞台に、閉塞感あふれる地域と時代の空気を充満させ、それを呵々と打破しようとする女子高生たちの何と愚かで、しかし羨ましいほどに生き生きとしていることか。朴秀美という在日キャラでありながら、そちら方面のストーリーは一切なし。それもまた潔い。彼女たちの無軌道な青春をぜひ劇場で鑑賞し、その行き着く先を想像されたし。
ネガティブ・サイド
第4の壁を超える演出は嫌いではないが、使いどころにもっと一貫性が欲しかった。家庭環境の描写だけに使う、あるいは東海村脱出後のビジョンに対してだけ使う、というように。
南沙良のリズム感が残念ながらもう一つ。『 愛がなんだ 』の岸井ゆきののラップは上手かったのだと再認識した。
火のついた煙草をくわえながら〇〇〇〇をドバドバは無理がありすぎる。
総評
南沙良作品はハズレが少ない。本作は当たり。犯罪ではあるのだが、『 ナイトフラワー 』のようなどっぷり裏社会ではなく、あくまで無軌道な青春ものの範囲に収まっている。なので、ある意味、デートムービーにもなりうる。美流紅の岩隈子に教える「恋愛対象にならない男」の見分け方は、映画だけではなく買い物、食事、料理、化粧、着替えなど数多くの事柄に当てはまる。男子諸君は心して学ぶように。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
make money
金儲けする、金を稼ぐの意。仕事を通じて金を得る場合、earn moneyを使う。秀美たちはmake moneyをしたわけだ。earnは earn respect, earn trust, earn credibilityのように、努力や時間を費やして何かを得る場合に使うのだと覚えておこう。make moneyではなく、earn moneyをしたいものである。
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