
羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 80点
2025年11月15日 Tジョイ梅田にて鑑賞
出演:花澤香菜 宮野真守 悠木碧
監督:MTJJ
前回は吹き替え版だったので、今回は字幕版を鑑賞。

あらすじ
シャオヘイ(花澤香菜)は師匠のムゲン(宮野真守)と共に修行の日々を送っていた。しかし、ある時、会館の一つが襲撃を受けた。その容疑者とされてしまったムゲンは、ナタの屋敷に軟禁状態となる。シャオヘイは姉弟子ルーイエ(悠木碧)と共に真相究明に乗り出すが・・・
ポジティブ・サイド
詳細は『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』参照のこと。
劇場は9割ぐらい埋まっていたが、おそらく半分は在日中国人ではなかったか。Jovianの隣とその隣も間違いなく中国人だった。何が面白かったかというと、そのリアクション。こちらはわずか1週間のインターバルで二度目の鑑賞なので記憶が非常にフレッシュ。しかし、彼女たちはおそらくこれが初の鑑賞。ということで、中国人の素のリアクションが間近で体験できて面白かった。
ナタの屋敷にムゲンが感心しているところで、ナタが自室の戸をパッと開けたシーンでは劇場のあちこちから失笑が漏れていた。ナタのゲームシーンもかなり笑いが聞こえたな。またナタがついにバトルに立ち上がるシーンでは、隣の隣の女子は体は座りながらも上半身はシャドーボクシングをしていた。また最終盤の某キャラの勘違い台詞でも劇場のあちこちから笑い声が聞こえた。とにかくナタは中国人にかなり愛されているようである。
字幕で鑑賞したが、中国人声優の声の演技に違和感は全くなし(まあ、当たり前だが)。日本語吹き替えは、オリジナルの声を相当に意識して作られたものだろう。シャオヘイ、ムゲン、ルーイエ、その他のキャラの声は極めて自然だった。月末にもし4DXかMX4Dで鑑賞するなら字幕版を選びたいと思った。
『 ウインド・リバー 』で触れられていた「死を受け入れろ。そうすれば死者は思い出の中で笑ってくれる」という真理を、本作は豊かな映像で示す。ルーイエというキャラクターを早い段階ではなく最後に描き切ることで、師姐たるルーイエが、師匠の視点から小黒を観ることができるようになったという彼女の変化と成長を実感させるという手法には唸らされた。ルーイエというキャラクターに悲劇的なドラマの背景を与えつつも、女性性を一切持たせないところが中国アニメと日本アニメの違いか。
ネガティブ・サイド
詳細は『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』参照のこと。
某国で300年前に妖精が滅ぼされたというのは、かなり真に迫っている。1720年前後のアメリカはネイティブ部族が戦争で敗北し、ビーバーに代表されるネイティブの生物が狩り尽くされた時代。それと同時期に妖精が姿を消したというのは説得力があるが、これはちょっと身贔屓が過ぎないか。中国でも『 再会長江 』で描かれたように、少数民族は苦境に置かれていて、その原因の多くは中央政府たる共産党の政策によるものではないか。
と、まあ、政治的にフェアな描写がされているかというと怪しいが、それは米国にもそっくりそのまま当てはまる批判ではある。
総評
中国人の反応は楽しめた。今度はアメリカ人、もしくはカナダ人の友人と観てみたいが、英語吹替えや英語字幕は not available のようである。Tジョイ梅田の映画宣伝ポスターや予告編の多くが美少女を売りにしたアニメになっていて、ガラパゴス化はある意味で正しいが、正しいからといって世界的に売れるとも限らないと思わされた。”The most personal is the most creative.”というスコセッシ翁の言葉を少し変えさせてもらえば、”The most indigenous is the most universal.”となるだろうか。ジブリ映画はかつてそうだった。中国アニメが今後その跡を継いでいくかどうか注視したい。
Jovian先生のワンポイント中国語レッスン
姐
『 シスター 夏のわかれ道 』で紹介した姉=姐=ジエ。今作では師姐=シージエとして多用されている。日本語にすると姉弟子か。ちなみに師匠は師父=シーフーとなっている。日本もそうだが、韓国や中国は相手を肩書で呼ぶ、あるいは肩書を尊称として名前に付けて呼ぶことが非常に多い。シージエ、シーフー以外に大人=ダーレンも多用されている。字幕版を鑑賞する人は、これらにも耳を傾けてみよう。
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