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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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『 3022 』 -もっと見せ方に工夫が必要-

Posted on 2022年5月1日2022年5月1日 by cool-jupiter

3022 40点
2022年4月30日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:オマー・エップス ケイト・ウォルシュ
監督:ジョン・スーツ

観終わって気が付いた。監督は何と『 アンチ・ライフ 』のジョン・スーツではないか。とはいえ、さすがに『 アンチ・ライフ 』のような超絶駄作ではなかった。

 

あらすじ

木星の衛星エウロパへの入植のために、宇宙ステーション「パンゲア」が設立された。各国クルーが10年単位で運用を担当するが、米国人クルーたちは次第に疎遠になり、精神的に病み始めた。医師がミッションの失敗を地球に伝えようとした時、地球との通信が途絶える。そしてパンゲアは謎の衝撃波に襲われ・・・

 

ポジティブ・サイド

シンボリズムに溢れた作品である。今でも小中学校の教科書に載っているのだろうか。パンゲアとは過去の地球に存在した一つの超大陸のこと。つまり宇宙ステーション「パンゲア」は今日様々な大陸に分断されてしまった人類を再び一つにする場所ということ。だが、悲しいかな、人が集まると分断が生じるのが世の常。本作の展開はそのことをよく表していると思う。

 

地球消滅(別にネタバレでも何でもない)の後、宇宙に残された数少ない人類がどう振る舞うのかという思考実験をそのまま映像化(≠映画化)した感じで、そういう意味では雰囲気はよく出ている。命令を出せる者、命令が出せない者、命令がないと動けない者、命令がなくても動いてしまう者など、人間というのは極限状況でも日常でもあまり変わり映えしないのだろう。人間模様にはそれなりに説得力が感じられた。

 

パンゲアの船長のジョンのヒゲの有無によって、映し出されているのがいつの時点なのかを見せるのは面白いと感じた。過去と現在、そして未来を行き来する映像体験はそれなりに楽しめる。

 

ネガティブ・サイド

『 ラスト・サンライズ 』では太陽が消滅し、残された中国人社会の大混乱ぶりが活写された。本作はパンゲアという宇宙ステーションのみで話が進み、出てくるのも結局欧米人のみ。自分たちだけが覇権を握りたい中国と、欧米(今風に言えばNATOか)の枠組みで世界を牛耳りたいアメリカがよくよく対比されている。どっちもダメである。だいたい最終目的地がエウロパというのが、うーむ・・・ 結局ヨーロッパに回帰するのね。『 オブリビオン 』はタイタンを目指していたが。

 

低予算のために絵や音楽で魅せられないのは分かるが、そこを何とかするのが創意工夫というものだろう。結構な勢いで喋りまくるが、予算的に『 ロード・オブ・モンスターズ 』と同程度なのか?さすがにそこまでではないだろう。

 

人間模様はそれなりに迫真性があったが、それを効果的に映し出せていない。カメラワークや効果音などで、場の閉塞感や緊張感を演出することはできたはずだが、それも無し。ここは予算が少ないせいにはできない。同じ低予算映画でも『 CUBE 』にはそれが出来ていた。『 ドント・ルック・アップ 』とまでは言わずとも、『 エンド・オブ・ザ・ワールド 』程度には人間ドラマを深めることができたのではと思う。

 

最も意味不明なのは3022というタイトル。いや、日数のことなのだとは劇中で言及されているが、そこに何か深い意味はないのか?自分が読み取れないだけ?別に2971でも3412でも良い?あれこれ考えながら観るのには向かないか。

 

総評

積極的にお勧めできる作品ではない。梅雨時に面白耐性を意図的に下げたい時には良いのではないだろうか。あるいは『 アド・アストラ 』が面白かったという人なら、本作も堪能できるかもしれないが、万人向きではないことだけは確かである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

night terrors

夜驚症の意。睡眠中に暴れるなど、睡眠障害が極度に悪化した症状を呈する。夜恐症ではなく夜驚症と書かれるので注意。lost in translation か、あるいは「夜そのものを怖がる病気」と勘違いされないようにするための漢字だと考えられる。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, SF, アメリカ, オマー・エップス, ケイト・ウォルシュ, 監督:ジョン・スーツ

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