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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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『 ジュディ 虹の彼方に 』 -愛は虚妄ではない-

Posted on 2020年3月7日2020年9月26日 by cool-jupiter

ジュディ 虹のかなたに 75点
2020年3月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:レニー・ゼルウィガー ジェシー・バックリー フィン・ウィットロック
監督:ルパート・グールド

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『 オズの魔法使 』は『 スター・ウォーズ 』と並んで、Jovianにとってオールタイム・ベストの一つである。そこでドロシーを演じたジュディ・ガーランドの晩年を描いた物語とあれば、観ないという選択肢は存在しない。

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あらすじ

ジュディ(レニー・ゼルウィガー)は子どもと共にステージに上がって、日銭を稼ぐ日々。カネが底を尽き、ホテルとの契約も解消となったジュディは元夫の家に駆けこむ。子どもと一緒に暮らすための家、そして親権を手に入れるため、ジュディはロンドンでの公演に臨むが・・・

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ポジティブ・サイド

ジュディ・ガーランドについては、実はそれほど多くは知らない。ただ、一般的な意味での幸せな人生を歩んでこなかった人であるということは、どこかで読んでいた。彼女はバイセクシャルで、『 ボヘミアン・ラプソディ 』のフレディ・マーキュリー、『 ロケットマン 』のエルトン・ジョンのような、マイノリティの悲哀を誰よりも先に体現した、一種の先駆者だったのだ。『 イミテーション・ゲーム 』で描かれた頃の英国が舞台で、いわゆるLGBTが枕を高くして寝られる地域でも時代でもなかった。そうした状況で、彼女が同性愛の男性カップルとささやかな交流を持つシーンに、大女優にして大歌手であるジュディ・ガーランドではなく、一人の“普通”の人間の姿を垣間見るようだった。

 

本作は、過酷な生活環境に置かれたジュディの子役時代と現在を行き来する。そうすることで、現在の彼女の苦しみの根の深さを浮き彫りにする。同時に、彼女が何を求め、何を得られなかったのかをも明らかにする。ジュディが求めていたもの、それは愛である。愛ほど定義に困る概念はないが、本作でジュディの求める愛は「求めること」である。あの虹の彼方に夢の国がある。夢の国にたどり着くことではなく、その旅路そのものに意味があるのだ。ラストの“Over the Rainbow”のもたらす感動は圧倒的である。『 サウンド・オブ・ミュージック 』の“エーデルワイス”、そして『 キャッツ 』の“メモリー”、そして“Beautiful Ghosts”を合わせたかのようである。

 

『 アリー / スター誕生 』の冒頭のタイトルが浮かび上がってくるシーンでレディー・ガガが口ずさんでいたのが“Over the Rainbow”である。『 スタア誕生 』で得られるはずだったオスカーは、しかし、ジュディの手には渡らなかった。それをゼルウィガーが今年、手に入れた。泉下の人となって久しいジュディも、get happy したことと思う。

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ネガティブ・サイド

LGBT、ドラッグ、乱れた生活、壊れていく人間関係。成功する人間が堕ちていく様には一定のルールでも存在しているのだろうか。もちろん、ジュディ・ガーランドは20世紀半ばの人物で、彼女こそが成功と失敗のジェットコースターに乗った第一世代ではあるのだが、ストーリーそのものにも真新しさはなかった。

 

また、ある人物の特定の時期にスポットライトを当てるやり方も『 スティーブ・ジョブズ 』などでお馴染みである。もっと『 オズの魔法使 』制作当時に比重を置いた作りでも良かったのかもしれないと感じる。

 

後はエンディングのクレジットシーンで、ジュディ・ガーランド本人の映像や写真が絶対に映されると期待していたが、それがなかった。何故だ。権利関係なのか。作りはハリウッドのbiopicのクリシェなのに、こうしたところでは王道を外してくる。何故なのだ、ルパート・グールド監督?

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総評

ジュディ・ガーランドの名を知らなくても、“Over the Rainbow”を知らないという人はいないだろう。歌手としても歌の方が、女優としてよりも作品の方が大きいという存在。それがジュディ・ガーランドである。そんな彼女がジュディ・ガーランドとしてではなく、一人の人間としてステージ上で“愛”を求めて歌う。若い世代で本作に感銘を受けたならば、ぜひとも『 オズの魔法使 』や『 スタア誕生 』を観てほしいと思う。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

take ~ seriously

「 ~を真剣に受け取る 」、「 ~を真面目に捉える 」といったような意味である。『 ダークナイト 』でジョーカーが【 昼間のセラピー・セッション 】から立ち去る時に、“Why don’t you give me a call when you wanna take things a little more seriously?”と言い放つときにも使われている。これの反対表現は take ~ lightly である。ちなみに『 グーグル ネット覇者の真実: 追われる立場から追う立場へ 』には“Are you taking me lightly?”というフレーズは一時グーグル社内で流行したというくだりがある。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, イギリス, ジェシー・バックリー, ヒューマンドラマ, フィン・ウィットロック, レニー・ゼルウィガー, 伝記, 歴史, 監督:ルパート・グールド, 配給会社:ギャガ

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