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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: C Rank

『 ランニング・マン 』 -実現しそうなディストピア-

Posted on 2026年2月10日2026年2月10日 by cool-jupiter

ランニング・マン 65点
2026年2月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:グレン・パウエル
監督:エドガー・ライト

シュワルツェネッガーの『 バトルランナー  』を、1989年前後の大みそかに家族や親せきと一緒にテレビで観た記憶がある。リメイクがどんな具合か確かめるためチケット購入。

 

あらすじ

スラムに暮らすベン・リチャーズ(グレン・パウエル)は病気の娘の治療代、さらには家族でスラムから脱出するためのカネを得るため、デス・ゲームであるランニング・マンへの出場を決意する。トライアウトを見事に通過したベンは、30日間をハンターたちから逃げ切ることができるのか・・・

 

ポジティブ・サイド

貧富の格差がさらに広がったディストピアで、下級市民は放射線被ばくのリスクのある仕事に従事するしかない、というのは日本でもアメリカでもありそうな話。スラムと都市部の間に物理的な壁が存在するのもリアル。ハリウッドなどの高級住宅地とその他の地域の間にはゲートが存在するからだ。

 

持たざる者が持てる者に反抗する一つの形としてランニング・マンは、一歩間違えば『 サークル 』のような、全国的な監視ネットワークの構築に資するもののようで恐ろしい。一方で『 ワン・バトル・アフター・アナザー 』や『 ハリエット 』のように、逃亡を助けてくれる個人が存在するのもアメリカ的と言えばアメリカ的だった。

 

ランニング・マンが定期的に送らねばならない映像が、ネットワークによって好きなように加工されてしまうというのは象徴的。たしか『 バトルランナー 』でもそうだったか。我々がメディア(それがテレビでもラジオでも新聞でもネットでも何でもいい)、つまり中間媒体を通じて情報を得る時、その情報が操作や加工をされていないという保証はないと言っているかのようだ。

 

殺人が娯楽になるとは思いたくないが、『 ザ・ハント 』や『 バクラウ 地図から消された村 』のような世界は着実に近づきつつあると感じる。コメディックに展開し、最後に救いすら感じさせるが、それすらも大衆の消費の対象に過ぎないのかもしれないと思うと、ほんの少しぞっとする。

 

ネガティブ・サイド

お守りの靴下が決定的なアイテムになるかと思ったが、そうはならなかった。また、ベンが他人の苦境を決して見捨てられない男であるという性質もあまり活かされなかった。

 

「スラムには逃げ込むな」というアドバイスがややご都合主義か。自分が主人公ならスラム街の住人同士で結束を固め、誰かがランニング・マンになった時にそのスラムコミュニティ全体で匿ってやり、10億ドルの恩恵に与ろうと画策するが。

 

中盤までは面白いが、終盤に向かって主人公の逃走が極まっていくと、逃走から反撃に転じてしまう点が腑に落ちなかった。『 バトルランナー 』は相打ちというか自爆的な攻撃だったが、本作は『 マトリックス レザレクションズ 』的な終わり方が個人的には合わなかった。

 

総評

悪い作品ではないが、エドガー・ライトに求められる水準に達しているかと言えばそうではない。ディストピアでありながら、どこか『 ショーン・オブ・ザ・デッド 』的な雰囲気になっているのがノイズに感じられた。ただ、細かいことは考えず、2時間ちょっとポップコーンをほおばりながら楽しみたいという向きには好適かもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

That’s the spirit.

これは決まり文句で「その意気やよし」、「そうこなくっちゃ」、「いい心がけだ」のような意味。若い従業員が「今月1000件テレアポします!」や「Zoomアポを20件獲得します!」のように言ったら、That’s the spirit! と声をかけてあげよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』
『 禍々女 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アクション, アメリカ, グレン・パウエル, サスペンス, 監督:エドガー・ライト, 配給会社:東和ピクチャーズLeave a Comment on 『 ランニング・マン 』 -実現しそうなディストピア-

『 利休にたずねよ 』 -想像の利休伝記-

Posted on 2026年2月7日2026年2月7日 by cool-jupiter

利休にたずねよ 65点
2026年2月4日 DVDにて鑑賞
出演:市川海老蔵
監督:田中光敏

 

公開当時、TOHOシネマズかブルク7で観たんだったか。近所で中古DVD市があったので購入。

あらすじ

茶人の千宗易(市川海老蔵)は独自の美を追求する茶道でもって織田信長、羽柴秀吉といった天下人に認められ、名を成していく。しかし、宗易が世に認められていくほどに、秀吉から疎まれるようになり・・・

 

ポジティブ・サイド

海老蔵は着物の着こなしがよく、所作も美しい。袱紗捌きも見事の一語に尽きる。『 国宝 』の喜久雄もかくやである。当たり前か。青年期から老境までを演じきったのは見事。利休というと茶の湯御政道のプロモーター兼アドバイザーであると考えられているが、その前半生を大胆に解釈した点は評価に値する。

 

壮年期の利休が口にする美徳、美学、哲学が若き日の利休の体験から来ているというのは面白かったし、説得力もあった。三つ子の魂百までと言うが、若い頃の強烈な体験には程度の差こそあれ、誰もが影響を受けている。利休の場合、その対象が異国人だったというのも大胆だが、荒唐無稽とまでは言えない。利休の茶の湯の精神に一期一会があるが、本当に一度きりしか出会えない相手とは誰か。なぜ一度しか出会えないのか。本作をそこを突き詰めたと言える。

 

筆談シーンは非常に美しい。言葉は通じないが、漢字でなら通じる。逆に今だと通じないというところが惜しい。利休の死にたいけれど死ねない、死んではならないという想いにフォーカスすることで、利休が切腹を命じられた理由は何であったのかというミステリーをすべて包括する物語になったことは歴史ものとして評価したい。

 

ネガティブ・サイド

邦画の悪いところが時代劇でも出てしまった。なにもかも台詞で説明するのは本当に必要か?秀吉と宗易の付き人同士の会話、瓦職人が茶壷を手に取った時の感想。中谷美紀演じる利休の妻の心の声も微妙にノイズ。こういったものは感嘆の声と表情、所作で表現するものではないか。

 

躙り口など、利休の茶室の特徴の起源は説明されたが、黄金の茶室とは結局何だったのか。

 

総評

まあまあ面白い作品。公開当時はえらい叩かれた記憶があるが、茶の湯の起源を某国に求めたわけではないことは明白。利休の美意識の原体験とはどんなものだったのかを大胆に想像した作品。時代劇ではなくロマンスとして鑑賞すればよい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

tea ceremony

茶道の意。日本人なら誰でもたしなむものと誤解した留学生が20数年前にはたくさんいた。ceremonyはラテン語のcaerimonia由来で、ポルトガル語はラテン語に非常に近い。同時代にはカステラや天ぷらが日本に伝わった。日本古来の伝統の多くは外国由来なのだ。茶の起源も中国。異なるものを排斥するのではなく、それらを上手く取り込むことだ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』
『 禍々女 』

 

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, C Rank, ラブロマンス, 伝記, 市川海老蔵, 日本, 歴史, 監督:田中光敏, 配給会社:東映Leave a Comment on 『 利休にたずねよ 』 -想像の利休伝記-

『とれ! 』 -平均以上の青春ホラーコメディ-

Posted on 2026年1月18日2026年1月18日 by cool-jupiter

どれ! 60点
2026年1月17日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:中島瑠菜 まいきち
監督:コウイチ

 

『 蔵のある街 』の中島瑠菜主演ということでチケット購入。

あらすじ

母親と二人暮らしの美咲(中島瑠菜)は高校卒業後の進路として心ならずも就職を希望していた。ある日、親友の皐月(まいきち)に触発されて撮影した動画に心霊現象と思しきものを捉えていたことからバズってしまう。これが収益になると思った二人は、さらなる心霊動画を撮ろうと画策して・・・

ポジティブ・サイド

主な登場人物は美咲、皐月、美咲の母、霊能者、これだけ。舞台も学校、家庭、廃墟だけ。非常にコンパクトで、人間関係も理解しやすい。

また物語もシンプル。将来に悩む女子高生が、その悩みは金で解決できると思い、動画収益で一攫千金狙いというもの。バカバカしいがリアルでもある。中島瑠菜とまいきちはそろって童顔なので女子高生っぽさがあった。

 

廃墟のシーンはそれなりに怖さの演出があった。貼り紙はけっこう古典的なネタだが、凝りすぎておらず女子高生が考え付きそうにも思える。神と悪霊、両方が憑くのは珍しい。しかも、悪霊はサラリーマンで、いかにもサラリーマンという無念と呪いに満ちている。それが滑稽というか哀れというか。悪霊に同情して、神様に怒ってしまうというのもユニークだ。

 

最後はちゃんと美咲の成長物語になっていて、ホラーっぽいオチもついた。

 

ネガティブ・サイド

ネタバレぎりぎりのラインで言えば、神様の元ネタは『 千と千尋の神隠し 』のカオナシかな。神様が憑くというアイデアは間違いなく希少性が高いのだから、そのアイデアはもっと独自に発展させてほしかった。

 

看護師の母がいて、看護師の知り合い多数のJovianからすると、奥菜恵演じる美咲の母はかなりエキセントリックに感じられた。普通の会社勤務の女性と比べると、女性看護師の未婚・独身率の低さ、かつ離婚率の高さには驚くべきものがある。さっさと結婚して、気に入らなければすぐに離婚するのが看護師である。そうした多くの看護師の中で、美咲母は草々なマイノリティだろう。

 

子どもが家の経済状態を心配するのは有難迷惑だが、ちょっとネットで看護師の収入を調べれば、音大や美大には行けなくとも、地元の公立なら十分行かせてくれると思うはずだが・・・

 

総評

ホラー風味の青春映画 feat. 家族 という映画である。インディーズっぽさ全開だが、それなりに趣向を凝らしていて楽しめる。霊能者が有能なのも珍しい。また神様が日本的な八百万の神という感じなのも個人的にはポイントが高い。個人的には中島瑠菜で本格ホラーが見たい。というか、誰か中島瑠菜で『 富江 』の新作を撮ってみてはくれないだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Evil spirit, be gone!

悪霊退散の意。たしか『 パラノーマル・アクティビティ 』で使われていた。直訳すれば「邪悪な霊よ、消え失せろ」となる。除霊系のホラーでそれなりに使われている表現と思われる。ハロウィーンの時期にホラー映画マラソンをする向きは、この表現が聞こえてくるかどうか耳を澄まされたい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
『 MERCY マーシー AI裁判 』
『 長安のライチ 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, コメディ, ホラー, まいきち, 中島瑠菜, 日本, 監督:コウイチ, 配給会社:KADOKAWA, 青春Leave a Comment on 『とれ! 』 -平均以上の青春ホラーコメディ-

『 WEAPONS/ウェポンズ 』 -Where are the children?-

Posted on 2025年12月16日 by cool-jupiter

WEAPONS/ウェポンズ 65点
2025年12月14日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ジュリア・ガーナー ジョシュ・ブローリン ケイリー・クリストファー
監督:ザック・クレッガー

 

子どもが消える、というあらすじ以外なにも知らずに鑑賞。メアリ・クラークの『 子供たちはどこにいる 』的なテイストを期待したが、全然別物だった。

あらすじ

深夜2時17分、17人の子どもたちがベッドを抜け出し、夜の闇の中へ走り去っていった。姿を消したのは、みな同じクラスの子たち。そして一人、アレックス(ケイリー・クリストファー)だけが残された。親たちに疑惑の目を向けられた担任教師ジャスティン(ジュリア・ガーナー)は調査を始めるが、街では奇妙な出来事が起こり始め・・・

ポジティブ・サイド

子どもたちが消えたという事象とその後の余波を、街の様々な人間の視点から見つめていく構成が面白い。最初は教師のジャスティン、次に保護者のアーチャー、続いて警察官のポールと視点が目まぐるしく変わっていく。登場人物ごとに同じものを見ていながら、異なる視点からそれを見ているというのが面白い。

 

一人の視点が別の視点に切り替わる際、常に驚きと恐怖をもたらしてくれるのが新鮮。特にハサミが出てくるシーンはかなりの恐さを感じさせてくれた。また、トレイラーでも特徴的だった子どもたちの走り方だが、あれを大人がやるとかなり怖い。そうそう、その人物絡みで『 ミッドサマー 』以上の人体破壊描写があるので、耐性がない人は鑑賞しない方がよい。

 

途中の人物でギャグもしくはコメディ担当のような人物がいるが、これは必要な措置。普通に考えれば17人もの子ども、それも小学生が一斉に消えたのなら、その行先というか潜伏先は・・・おっと、これ以上は無粋か。ただ観ている側としては「普通に考えれば□□は△△だ」と考えるが、その理由や背景が皆目見当がつかない。そこは終盤に明かされるので、楽しみにしてほしい。

 

ネガティブ・サイド

うーむ、それにしても本作も『 シェルビー・オークス 』同様にかなりの竜頭蛇尾。『 フィールド・オブ・ドリームス 』のレイの奥さんが登場してきたあたりから、ストーリーが一気にきな臭くなる。いや、本当はアーチャーが巨大な幻を空に見た瞬間から「あ、これはアカン」と感じたが、それをもっと確信させられたのが某シーンのテレビで解説されている生き物と、それと同じ発音の属性を持つ人物の登場シーン。そんなんありかと思わせてくれる。No pun intended. 

 

ここから物語は一気に『 ロングレッグス 』的かつ『 ゲットアウト 』的になる。アメリカ人はこういうのが好きなのか?こちとら散々、『 イノセンツ 』的な展開、あるいは小説の『 スラン 』や『 アトムの子ら 』の正反対を行くような展開(それならWEAPONSという不穏なタイトルの説明もつく)を予想していたのに、裏切られた気分である。またはシオドア・スタージョンの『 人間以上 』や映画化もされた『 光る眼 』のように、子どもが子どもだけで何か特別にすごいことをする、あるいは邪悪なことをするという展開にならなかったのは残念で仕方がない。

 

最後の展開はホラーとギャグの紙一重。個人的にはギャグかな。ただ、教育や政治、あるいは戦争に関するメタファーだと言えなくはない。が、それはないか。

 

総評

結局のところ作り手と波長が合うかどうかなのだが、序盤から中盤にかけては文句なしに面白いし、否応なく引き込まれる。記事の副題にさせてもらった Where are the children?=『 子供たちはどこにいる 』も中盤までは超一級のサスペンスかつミステリで、終盤で失速する。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Woe is me.

「自分はなんてかわいそうなのだろう」という非常にアルカイックな表現。『 はじまりのうた 』での終盤で歌われる Lost Stars の歌詞の一部に Woe is me. があり、そこで知った表現。普通に学習していても、まずお目にかからない表現だが、Subzinなどで調べると映画の台詞では結構ヒットする。ただし、古風かつ大げさな表現であることには注意。わざとらしく自虐する時にだけ使うべし。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 ナタ 魔童の大暴れ 』
『 消滅世界 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, ケイリー・クリストファー, ジュリア・ガーナー, ジョシュ・ブローリン, スリラー, ホラー, 監督:ザック・クレッガー, 配給会社:ワーナー・ブラザーズ映画Leave a Comment on 『 WEAPONS/ウェポンズ 』 -Where are the children?-

『 TOKYOタクシー 』 -見え見えの結末とそれなりの感動-

Posted on 2025年12月12日2025年12月12日 by cool-jupiter

TOKYOタクシー 65点
2025年12月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:倍賞千恵子 木村拓哉 蒼井優
監督:山田洋次

 

『 こんにちは、母さん 』は吉永小百合だったのでスルーしたが、こちらは倍賞千恵子なのでチケット購入。

あらすじ

タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は高野すみれ(倍賞千恵子)を神奈川の施設まで送ることになった。すみれの頼みで道中、二人は東京の各地に寄り道をしていく。そんな中で、すみれは徐々に自らの過去を語り始めて・・・

 

ポジティブ・サイド

東京の柴又から出発するロードムービーというのがいい。『 男はつらいよ 』へのリスペクトになっているではないか。長逗留しては去っていき、また戻ってきては長逗留して、という風来坊の寅さんと、柴又から恒久的に去っていくさくら・・・じゃなかったすみれの姿に、それだけでウルっときてしまった。

 

タクシーの客と運転手が、いつしか人生を振り返り、語り合い、忘れえぬ時間を作っていく。陳腐ではあるが、その人生が激動の昭和そのものと重なったとき、多くの不幸が襲ってくる。Jovianが小学生の時に昭和は終わったが、それでも学校教師などの理不尽な暴力は中学生ぐらいまでは普通にあった。ということは、家庭内では言わずもがな。

 

すみれの若い頃を蒼井優が好演。男に頼って生きるのが既定路線だった時代、女性が自分というものを持てなかった時代に、それでも自分の生きざまを守ろう抗った姿には素直に胸を打たれた。反撃シーンでは観ているこちらの息が止まりそうになった。男性諸氏は、このシーンを息を止めて観られたし。

 

倍賞千恵子の矍鑠とした語り口とたたずまいが、木村拓哉のどこか疲れた中年男との対比を際立たせていて、それがゆえに見え見えの結末ではあるものの、そのインパクトがより強くなっている。終活なる言葉があるが、人生を終えようかという老境に差し掛かると、人はどうしても自分の人生を振り返りたくなるものらしい。自分の人生は、誰かに、あるいはこの世界に何かを残せるだろうか。そんなことを考えさせられた。

 

ネガティブ・サイド

すみれの男を見る目の無さが気になった。どう見ても地雷なのに・・・ 観客の方にも好青年然とした姿を見せておき、結婚後に本性を現す、という形にすべきだったのでは。

 

タクシーの中で若き日のすみれと老いたすみれが向き合うシーンは、正直蛇足に思えた。

 

キムタクが父親として、ちょっとだらしなさすぎ。夫としてだらしないのはいい。ただ、父親として、娘の学費その他もろもろに関してあまりに感度が低い。高校の入学金と授業料でたじろいでどうする?3年後には大学も待っているのに・・・ だからこそ結末が光ると言えば光るのだが。

 

総評

最初の10分でほとんど結末まで見えてしまうのだが、それでもそれなりに心動かされてしまう。脚本の力、もっと言えばオリジナルのフランス映画にそれだけの力があるのだろう。戦後80年というが、ちょっと前まで大学生相手に教えていた身からすると、大学生たちは2000年以降生まれということに衝撃を覚えたものだった。そんな若い世代にこそ観てほしい、時代の移り変わりを見事に切り取った作品だ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

liberation

劇中で語られるウーマン・リブとは Women’s Liberation のこと。1960年代のアメリカから全世界に伝わったとされる。解放の度合いが高いものから順に freedom, liberation, emancipation となる。これらの単語をパッと使って口頭英作ができれば、英検準1級以上である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 WEAPONS/ウェポンズ 』
『 シェルビー・オークス 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, ヒューマンドラマ, 倍賞千恵子, 日本, 木村拓哉, 蒼井優, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 TOKYOタクシー 』 -見え見えの結末とそれなりの感動-

『 ネタニヤフ調書 汚職と戦争 』 -他国のスキャンダルと思うことなかれ-

Posted on 2025年12月8日2025年12月8日 by cool-jupiter

ネタニヤフ調書 汚職と戦争 65点
2025年12月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ベンヤミン・ネタニヤフ
監督:アレクシス・ブルーム

 

簡易レビュー。

あらすじ

イスラエルで長期政権を築くベンヤミン・ネタニヤフ。しかし数々の贈収賄疑惑から当局による取り調べを受けていた。彼自身への尋問およびネタニヤフの妻サラやその他多くの関係者の取り調べから見えてきた構図とは・・・

ポジティブ・サイド

日本では国会議員はごくまれにしょっ引かれるが、ほとんど不起訴。それと同じことがイスラエルでも起きているらしい。元大統領がほとんど逮捕・起訴される韓国はたいしたものだと感心させられる。

 

本邦で言えば安倍晋三あたりから明らかに権力者のふるまいが変質したが、彼もある意味で妻に翻弄されていたところがネタニヤフとの共通点。そして贈収賄の疑いが非常に濃かった点も似通っている。困ったときの北朝鮮頼みと、困ったときのハマス叩きというのも共通点だと言えよう。

 

民主主義がポピュリズムと結びつき、さらに仮想的を見つけた時にどのような悲劇が起こりえるのか。まさに我々はそれをリアルタイムで目撃させられていると言える。

 

ネガティブ・サイド

アメリカ議会でのネタニヤフの演説をフルで、とは言わないまでも、もっと長く見せてほしかった。そうすることでアメリカがいかに恣意的に敵と味方を区別しているのかがもっとわかりやすくなったはず。

 

警察の質問の仕方が直球過ぎ。それでは落とせるものも落とせない。それに、もっときわどい質問や、威嚇するような取り調べもあったはずだが、そういった部分をカットしてしまったのは腰が引けていると言わざるを得ない。

 

総評

某極東の島国でも首相が「そんなことより~」と答弁したのが話題になったが、彼女とネタニヤフのやり口は同じ。すなわち国民の内政面への不満を外敵に向けるというもの(そんなことより発言はその文脈で発せられたものではなかったが)。賢明なる映画ファンは、現政権が利益誘導万歳の麻生派によって支えられ、かつ裏金議員万歳の高市による組閣で行政が動いていることと、また自民党のDNAに刻み込まれていると言ってよい献金万歳主義とネタニヤフ政権の共通点の多さに慄然とすることだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

turn ~ upside down

~を(上下逆さまに)ひっくり返すの意。物理的な意味でも比ゆ的な意味でも使う。This news will turn the current administration upside down. = このニュースが明るみに出れば、現政権は上を下への大騒ぎとなるだろう、のように使う。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, イスラエル, ドキュメンタリー, ベンヤミン・ネタニヤフ, 監督:アレクシス・ブルーム, 配給会社:トランスフォーマーLeave a Comment on 『 ネタニヤフ調書 汚職と戦争 』 -他国のスキャンダルと思うことなかれ-

『 ハンサム・ガイズ 』 -ホラーとコメディの融合作-

Posted on 2025年10月17日2025年10月17日 by cool-jupiter

ハンサム・ガイズ 60点
2025年10月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:イ・ソンミン イ・ヒジュン コン・スンヨン
監督:ナム・ドンヒョプ

 

シリアスな作品を連続で鑑賞したので、箸休めに本作のチケットを購入。

あらすじ

強面のジェピル(イ・ソンミン)と筋骨隆々のサング(イ・ヒジュン)は山奥に夢のマイホームを購入。しかし、近くに遊びに来ていた大学生グループのミナ(コン・スンヨン)を湖から助けたことから、大学生たちに殺人鬼だと勘違いされ・・・

ポジティブ・サイド

おっさん二人で家を買うという関係性がいい。「ハンサムな俺たちがモテないのは、モテようとしていないからだ」という発言も笑ってしまう。なるほど、この映画は一見して冴えない二人がモテるようになるストーリーなのだな、と分かりやすく予感させてくれる。

 

対するは、よくあるイケイケの大学生グループ。これが車で黒山羊を轢き殺してしまったことで、悪魔がよみがえってしまう。何を言っているのかわからないかもしれないが、『 破墓 パミョ 』みたいなものだと思えばよろしい。

 

ミナが殺人鬼に捕らえられたと勘違いした一団が、一人、また一人とアホな死に方をしつつ、死ぬことで悪魔の手先として復活する展開には笑った。と、同時にとある大学生の死にざまと復活は極めてまっとうなホラーになっていたりもする。バランスがいい。序盤の家のリフォーム作業や、その際に見つかった以前のオーナー神父の所有物も、終盤にしっかり効いてくる。

 

最後はほのぼの。モテるとは、不特定多数の異性から人気抜群になることではない。得難い異性の友を得ること、それができれば、そいつらはきっとハンサムだ。

 

ネガティブ・サイド

大学生がミナの奪還に乗り出す理由が弱い。もっと『 愚行録 』的な内容だったら、その後の言動との整合性がより強くなったと思うのだが。

 

ジェピルが理不尽にボコボコにされるシーンは、何らかの方法でもっとシリアスさを減じることはできなかったか。かなり胸が痛むシーンだった。男子大学生は、このシーンがあろうとなかろうと、すでに十分に嫌な奴。なので、彼にヘイトを集めるという意味も薄かった。

 

I don’t know English. と言っていた神父が(文字通りに)大きく成長して登場。なので、本当の意味での成長も見てみたかった。ラテン語を読めると思えるシーン(病室の床頭台の上のテクスト)があったのだから、『 エクソシスト 』のカラス神父よろしく、ラテン語を話すぐらいはしてほしかった。

 

総評

最初の30分ぐらい、本気でジェピル=イ・ソンミンだと気付かなった。それぐらいメイクも濃かったし、表情の作り方も違う。本当にカメレオン俳優だと思う。ホラーというにはコメディでありすぎ、コメディというにはホラーでありすぎる。ジャンル・ミックスの成功作品で、韓国宗教に関する知識がなくとも問題なく楽しめるライトな作品。度を越したグロ描写はないが、想像するのもはばかられるような死に方が一つあるので、そこだけは注意のこと。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ヌグセヨ

韓国ドラマや映画でしょっちゅう聞こえてくる。意味は「どちら様ですか」で、ドア越しでも電話でも使える。意味としては Who is it? もしくは Who are you? である。次に韓国のドラマや映画を観る時には、ぜひ耳を澄ましてみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 さよならはスローボールで 』
『 ハウス・オブ・ダイナマイト 』
『 恋に至る病 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, イ・ソンミン, イ・ヒジュン, コメディ, コン・スンヨン, ホラー, 監督:ナム・ドンヒョプ, 配給会社:ライツキューブ, 韓国Leave a Comment on 『 ハンサム・ガイズ 』 -ホラーとコメディの融合作-

『 宝島 』 -エンタメ性がやや不足-

Posted on 2025年9月28日2025年9月28日 by cool-jupiter

宝島 60点
2025年9月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:妻夫木聡 永山瑛太 窪田正孝 広瀬すず
監督:大友啓史

 

3時間超の作品と知って尻込みしていたが、ついにチケット購入。沖縄尚学の甲子園優勝の年に公開されるというのは、ある意味でとても縁起がいい。

あらすじ

1952年の沖縄で、米軍基地に侵入し、物資を奪う戦果アギヤーのオン(永山瑛太)、グスク(妻夫木聡)、レイ(窪田正孝)たちは、ある夜、ついに米軍兵に見つかってしまう。必死で逃げおおせたものの、オンは行方知れずとなる。時は流れ、グスクは刑事に、レイはヤクザに、オンの恋人のやまこ(広瀬すず)は教師になって・・・

ポジティブ・サイド

沖縄が飲み込まされてきた理不尽の数々が活写されている。本土に捨てられ、アメリカに踏みにじられる。それも弱い立場の女性や子どもほど。戦果アギヤーの面々が単なる愚連隊ではなかったのは、こうした人々への思いやりがあったから。グスクが刑事として情報源に孤児たちを使うのは非常にクレバーでシャーロック・ホームズ的。逆に言えば沖縄は産業革命後期のロンドンと同じく、貧富の差が拡大し、政治的に取りこぼされた人々を多く生んでいたのだ。沖縄の人々の大半はそうした構造的な苦境に立たされていたわけで、その責任は日本政府と米軍の両方にあったことを本作は余すことなく見せつける。

 

難しいのは、沖縄経済は米軍からのカネに支えられており、基地の存在および一定数存在する頭のおかしい米兵の存在を必要悪として許容できるかどうかという部分。これについて米兵狩りをする組織と、特飲街を仕切るヤクザの間に緊張が生じているという形で描写されており、非常に巧みだと感じた。一方で米兵の婦女暴行や交通事故、果ては飛行機の墜落や毒ガス漏洩など、治外法権状態の沖縄の人々の心情は察して余りある。これを必要経費だと割り切っていいのか。

 

人権や民主主義が絵空事でしかない中で、沖縄の人々が本土復帰を目指していく。グスク、レイ、やまこはそれぞれ異なる立場でその過程に身を投じていく。詳細は書けないが、一貫しているのは日本政府の主体性の無さ。アメリカを刺激するような動きは注視するが、沖縄の本土復帰を支援することはない。沖縄は「本土に復帰する」が、日本は「沖縄を回復する」というのが政治的には正しい表現。しかし、日本政府は「沖縄が本土に復帰」と表現する。香港の時もそうで、当時Jovianは高校生だったが、新聞の見出しはどれも「香港返還」だった。主語が欧米側=視点が欧米側なのだ。本作を鑑賞して米軍や米兵の横暴に対して憤りを覚えるのは正しい。しかし、それは実は我々の多くが無意識に沖縄に向けている意識と同じところから生じている事態だということには自覚的であるべきだろう。

 

クライマックスのコザ騒動と、その最中の嘉手納基地侵入は非常にサスペンスフルだった。こうした暴動を単なる歴史の一ページと思ってはならない。ある程度の年齢の人であれば2011年夏の英国の暴動を覚えているだろうし、2020年のジョージ・フロイド死亡事件に端を発した全米のデモと暴動は、その後のBlack Lives Matter運動につながったのは記憶にたらしいところだ。暴動を肯定するわけではないが、昔の沖縄は大変だったのだなという誤った感想は決して抱いてはならない。

 

ネガティブ・サイド

まず何よりもエンタメ性が足りない。というか、上映時間の長さによってエンタメ性が希釈されてしまっている。たとえばグスクが大柄な変態米兵を逮捕しようとするシーンで、塚本信也演じる相棒とコメディっぽいやりとりをしたり、その米兵に反撃されたりするシーンがあるが、そういうものは不要。ここだけで30秒はカットできると感じた。色々と間延びしていたシーンを引き締めれば30分はカットできたはず。

 

通訳はそれなりに頑張っていたが、決定的におかしなところも多かった。特に最初にアーヴィンがグスクに接触してきたシーンで、He’ll be properly interrgogated. I’ll see to it.のように発言していたのを「適切に立件されるようにする」と訳していたが、interrogateは取り調べするという意味で、立件するでは決してない。他にも Nothing more,

 nothing less. を「身分をわきまえろ」と訳したりするのも、二人の友情や信頼を破壊しかねない意訳。また、アーヴィンがまだ話していない部分も先に日本語に訳している箇所もあった。

 

宝が何であるのかが明らかになる過程はスリリングだったが、その宝が( ゚Д゚)ハァ?という形で消えていくのは原作通りなのだろうか。また、序盤にこれ見よがしに出てきた洞窟が伏線になるかと思いきや、あんな台風の多い地域であんな残り方はないわ・・・ 終わり方でとんでもなく損をしている作品だと感じた。

 

総評

映画として面白いかと言われればやや微妙。しかし本作には『 福田村事件 』と同じく、日本の映画界も韓国のような本格的な社会派映画を(再び)作れるようになってきた契機の一本として数えられるポテンシャルがある。沖縄の歴史ではなく、現在進行形の日本史および世界史だと思って鑑賞されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

This is no fucking joke!

作中の某シーンでのグスクのセリフ。字幕では「嘘じゃないぞ」みたいな感じだったが、実際は「冗談で言ってるんちゃうぞゴラァ!」みたいな感じ。ただ実際にこれを言えるシチュエーションとこれを言えるような関係性の相手を両方持つことは難しい。ということで日常もしくは仕事ではだいたい同じ意味の “I am dead serious.” =「俺は大真面目だ」を使ってみよう。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ワン・バトル・アフター・アナザー 』
『 ブラックバッグ 』
『 RED ROOMS レッドルームズ 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, サスペンス, 妻夫木聡, 広瀬すず, 歴史, 永山瑛太, 監督:大友啓史, 窪田正孝, 配給会社:ソニー・ピクチャーズ, 配給会社:東映Leave a Comment on 『 宝島 』 -エンタメ性がやや不足-

『 侵蝕 』 -サイコパスをいかに受容するか-

Posted on 2025年9月22日2025年9月22日 by cool-jupiter

侵蝕 65点
2025年9月20日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:クァク・ソニョン キ・ソユ イ・ソル クォン・ユリ
監督:キム・ヨジョン イ・ジョンチャン

 

謎の体調不良が少しマシになったので、久々に映画館へ。前情報一切なしで本作のチケットを購入。

あらすじ

水泳インストラクターのヨンウン(クァク・ソニョン)は、幼い娘のソヒョン(キ・ソユ)が動物や他人を平気で傷つけていく様に戦慄しながらも、必死にわが子を育てていた。しかし、ある時、ソヒョンが同い年の女の子を決定的に傷つける事件が起こり・・・

ポジティブ・サイド

子役が怖すぎ。どう演技指導したのだろうか。台詞も不穏なものばかりで、演じていたキ・ソユのケアがどう行われていたのか心配になるほどだった。子ども特有の無邪気な残酷さなのか、それともその子だけの悪魔的な性質なのかをあいまいにせず、いきなり後者の路線で描いていたのは潔いと感じた。母を演じたクァク・ソニョンの幸の薄さも、娘の異常性をより際立たせていた。

 

娘に精神的に侵蝕されていく母親の話かと思っていたが、物語は一転して思わぬ方向へ。過去の不明な女と、もう一人の過去の不明な女が織りなすサスペンスとスリラーが始まる。特殊清掃業を営む人たちに家族として拾われていく展開が面白い。特殊清掃=孤独死した人の住居の清掃なわけで、畢竟、家族がいない、あるいは家族と疎遠な仏様ばかりとなる。そこに、家族ではないものが家族的な関係になっていくプロットが対照的に展開され、元々いたミン(クォン・ユリ)の居場所がヘヨン(イ・ソル)に侵蝕されていくことになる。家族の絆をかなり変則的に描いた『 パラサイト 半地下の家族 』とは同工異曲のサスペンスは面白かった。

 

観客側には上記のサスペンスに加えてミステリも提示される。舞台は当初の20年後なのだが、ソヒョンはどうなったのか、誰がソヒョンなのかという謎だ。このあたりは第一感に従えば問題ない。問題は、ソヒョンがヨンウンから得た「人間でも動物でも、寝食を共にすれば家族なのだ」という教えがどれほど彼女に浸透していたのかという点で・・・おっと、これ以上は書かない方がよいだろう。

 

エンディングには賛否両論あるだろうが、Jovianは賛である。なにが救いなのか、それとも救いがそもそもあり得るのかは、それこそ人によるだろう。

 

ネガティブ・サイド

ソヒョンの父親のいい加減さに辟易させられた。子どもから真っ先に逃げ出しておいて、都合のいい時だけ父親面。最初から登場させなくてよかったのでは?

 

精神科医と同様に牧師による説法あるいはヨンウンの告解のシーンが欲しかった。それらがあって、かつ的外れか、全然救いにならない内容であれば、ヨンウンが心理的に追い詰められていく様にもっとリアリティが生まれたはず。

 

某施設は大火災に遭ったはずだが、なぜあのような資料が残っていたのだろうか。そこが腑に落ちなかった。

 

総評

本作を鑑賞して、佐世保の女子高生による同級生殺人事件を思い出した人は多いのではないだろうか。ダイバーシティだとかインクルージョンだとか言われて久しいが、他者に危害を加える存在を「どのように」許容するかは難しい問題。家族は最も小さな社会の単位だが、そこへの所属を争うという『 パラサイト 半地下の家族 』とは別の意味でのサスペンスが盛り上がる異色作。日本では絶対に書かれない脚本なので、興味のある向きはぜひ鑑賞を。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ソンセンニム

ソンセン=先生、ニム=様である。韓国は役職や肩書の後にも尊称をつける文化なのである。大学で講師をしていた時、たまに勘違いした学生がプロフェッサーと呼んでくることはあったが、高校の英検対策課外授業だと、明らかにふざけてソンセンニムと言ってくる男子高生がいたりした。女子としゃべるためには英語よりも韓国語の時代か。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 蔵のある街 』
『 ブロークン 復讐者の夜 』
『 宝島 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, イ・ソル, キ・ソユ, クァク・ソニョン, クォン・ユリ, サスペンス, スリラー, 監督:イ・ジョンチャン, 監督:キム・ヨジョン, 配給会社:シンカ, 韓国Leave a Comment on 『 侵蝕 』 -サイコパスをいかに受容するか-

『 あの夏、僕たちが好きだったソナへ 』 -青春を追体験する物語-

Posted on 2025年8月12日 by cool-jupiter

あの夏、僕たちが好きだったソナへ 65点
2025年8月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ダヒョン ジニョン
監督:チョ・ヨンミョン

 

台湾映画『 あの頃、君を追いかけた 』の韓国リメイクとは知らずにチケット購入(というかポイント鑑賞)。

あらすじ

高校生のジヌ(ジニョン)は何事にも本気にならず、男友達とつるむ日々を送っていた。皆が学級委員のソナ(ダヒョン)に恋する中、ジヌはあることでソナに助け舟を出す。そこから二人は互いを意識し始めて・・・

ポジティブ・サイド

男子高校生のアホさとクラスもしくは学校のマドンナとの距離感や関係性がうまく描けている。このあたりは古今東西、普遍的なものがあるのだろう。男子校出身だったJovianの周りには確かにいつも寝ている奴、いつもエロいことばかり考えている奴、いつも食べている奴、やたらとまじめに勉強する奴が確かにいた。

 

高校の頃の友情は大学に入ると大体切れてしまうか細くなってしまうが、その細さは強さでも弱さでもある。それを感じさせるエピソードも多彩で、かつ説得力がある。男は幼稚で、女は常にそんな男の幼稚さの先を行っているというのも古今東西に普遍的な真実なのだろう。そのお手本がジヌの父と母というのも笑えるし、また頷ける。

 

原作がそうなのだろうが、決定的なアイテムの使い方が巧みだと感じた。『 SLAM DUNK 』や『 はじめの一歩 』といった日本の漫画が単なるガジェットとしてではなく物語を構成するパーツになっている。その中でも白眉はシャツ。一瞬だけだが、Jovianの心臓は確かに止まった。初恋は実らないとか初恋は甘酸っぱいと言われるが、まさしくビタースイートな記憶を呼び起こしてくれる物語だった。

 

ネガティブ・サイド

災害シーンの描写が弱かった。というか、軍隊の生活がどういうものなのか、いかに俗世と隔絶されてしまうのかを表すシーンを1つか2つ入れておいてくれればよかった。台湾や韓国と違い、世界の多くの国々には兵役などないのだから。

 

ソンビンら、悪友たちの大学生活あるいは野郎同士の横のつながりも見てみたかった。

 

ホラーシーンの完成度が無駄に高く、直近で観た邦画ホラーより怖かった。そこで、ジヌとジニョンの距離が物理的に縮まるというシーンがあってもよかったのでは?

 

総評

テイストとしては『 狼が羊に恋をするとき 』に近い。青春のもどかしさやじれったさが存分に描き出されており、中年には刺さる内容になっている。本作はむしろ高校生や大学生のデートムービー、というか仲が良いけれど付き合うまでに至っていない相手を誘うのにちょうど良いのではないだろか。30年前にこんな映画や小説があったらなあ、と郷愁を覚えた。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

the apple of one’s eye

愛する人/物、とても大切な人/物の意。元々はthe pupil of the eye=目における瞳=中心的なものを指す表現だったのが、瞳がリンゴに置き換わったらしい。たしか詩編とかに「我を瞳のごとく守りたまえ」みたいなのがあったな。ということは2000年以上前からヘブライ語圏あるいはそこに影響を与えたオリエントですでにリンゴの効能が知られていたのか。This new house is the apple of my eye. =この新居は僕の宝だ、のように使ってみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 桐島です 』
『 エレベーション 絶滅ライン 』
『 亀は意外と速く泳ぐ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, ジニョン, ダヒョン, ラブロマンス, 監督:チョ・ヨンミョン, 配給会社:シンカ, 韓国Leave a Comment on 『 あの夏、僕たちが好きだったソナへ 』 -青春を追体験する物語-

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