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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』 -続編にも期待大-

Posted on 2025年4月13日 by cool-jupiter

ベテラン 凶悪犯罪捜査班 75点
2024年4月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ファン・ジョンミン チョン・ヘイン
監督:リュ・スンワン

 

『 ベテラン 』の続編。前作のキャラや要素を引き継ぎつつ、ドチョルの「私」の部分が掘り下げられた秀作だった。

あらすじ

罪を犯しながら法で裁かれない悪人たちが次々に殺害された。ヘチと呼ばれる実行者に世論は沸騰。そんな中、かつてドチョル(ファン・ジョンミン)らが逮捕したチョン・ソグが殺人の刑期を終えて出所。世論はヘチによるチョン・ソグへの私刑を支持。ドチョルたちは新人警官パク・ソヌ(チョン・ヘイン)を交えてチョン・ソグの警護に当たるが・・・

ポジティブ・サイド

コメディ全開のオープニングのアクションから一転、韓国社会の世論を大いに喚起させる凶悪連続殺人犯の出現で、そうしたムードは一変。そしてまさかのチョン・ソグの再登場に観ている側の怒りのボルテージも上がっていく。そしてヘチの標的であるチョン・ソグの警護にあたるドチョルの怒りのボルテージも当然ながら上がっていく。キャラと観客の感情をシンクロさせる手法はシンプルだが効果は抜群。

 

ヘチの正体は一番最初の目のシーンだけでほとんど明示されているわけで、ある意味、それに気付かないドチョルたちチームのメンバーに「おい、早く気付け」と観ているこちらがやきもきしてしまう。これもサスペンスを盛り上げる手法としてシンプルながら効果は抜群だ。

 

YouTuberが派手に騒いで収益を狙うというのは日本も韓国も同じ。迷惑系配信者のジョニー・ソマリへの攻撃などを見ると、韓国のYouTuberは日本のYouTuberよりも狂暴で、民度としてはいかがなものか。まあ、日本の方はそういう輩が選挙に出てきたりするので迷惑度としては五分五分か。ただ、YouTubeやソーシャルメディアのおかげで、偏った形とはいえ世論がある程度見える化されたことをそのまま映画に持ち込んだのは非常に現代的。日本も『 白ゆき姫殺人事件 』をバージョンアップさせたような作品作りが求められる。

 

韓国では当たり前のように軍隊上がりがいるので、『 殺人鬼から逃げる夜 』のように一般人が腕っぷしの強さを見せることに違和感がない。本作はそれに加えて前作通りの「痛みが見る側にダイレクトに伝わる」アクションを徹底。事件を解決して「よっしゃー!」ではなく、「疲れた」となるところが面白く、かつリアルだった。

ネガティブ・サイド

ヴィランの魅力というか、悪が悪として躍動する様は前作の方が上だった。日本でもねずみ小僧のような義賊がもてはやされた時代があったが、今作のヘチは民衆に還元するのではなく、単なる自己満足に見えなかった。

 

チョン・ソグはどうやって誘い出された?仮にクローン携帯だとして、たとえばソグの母親の携帯はどうやってクローンしたというのだろうか。

 

総評

チームとしての活躍や一体感もさらにアップ。加えて、こちらの見たかったドチョルの「私」の部分、すなわち夫および父親としての部分が、物語に大きく関わっている。事件を解決した時にドチョルがチームに対して見せる顔、そして家族に対して見せる顔が、非常に対照的で印象的だった。続編は「ドチョル、最後の事件」的に5~6年後かと思ったが、割と早くに実現しそう。こちらも制作と公開が待ちきれない。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

パリパリ

早く早く、の意。日本語と同じで二回繰り返すことが多い。韓国の映画やドラマを観ていると、かなりの頻度で使われていることが分かる。大阪と同じで、いらち(せっかち)が多いのだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 悪い夏 』
『 アマチュア 』
『 片思い世界 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, チョン・ヘイン, ファン・ジョンミン, 監督:リュ・スンワン, 配給会社:KADOKAWA, 配給会社:KADOKAWA Kプラス, 韓国Leave a Comment on 『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』 -続編にも期待大-

『 ベテラン 』 -再上映に感謝-

Posted on 2025年4月8日2025年4月8日 by cool-jupiter

ベテラン 75点
2025年4月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ファン・ジョンミン ユ・アイン
監督:リュ・スンワン

 

『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』上映前に前作を劇場で再公開。ありがたい。こういうリバイバル上映はもっと行われてほしい。

あらすじ

広域捜査隊員のドチョル(ファン・ジョンミン)は、とあるパーティーで大企業幹部のテオ(ユ・アイン)と出会い、犯罪の臭いを嗅ぎつける。そのテオの関連会社勤務で、ドチョルとも旧知のトラック運転手が自殺した。事件の背後にテオの存在を確信するドチョルは捜査を始めるが・・・

ポジティブ・サイド

冒頭の警察らしからぬドチョルのおとり捜査に、直後のキレッキレのアクション、そして締めのユーモアと、冒頭から楽しませてくれる。

 

そんなドチョルが今作のヴィランのテオとパーティーで顔を合わせるシーンは、コメディ要素の強かった本作を一気にサスペンス風味に塗り替えた。骨の髄まで甘やかされた、腐った小悪党に見えたが、演じたユ・アイン自身が麻薬私用で起訴されているではないか。まあ、悪人が悪を演じるのもエンタメの一つの形かもしれない。

 

それにしても、あの手この手で捜査する警察側を、シンジン物産は先回りして潰してくる。メディアや警察の上層部まで押さえているから始末に負えない。財閥が圧倒的な強さを誇示する韓国らしい。労働者を労働者ではなく人権のない奴隷であるかのように扱う姿勢に、観る側は怒りを燃やし、被害者に共感し、主人公を応援したくなる。

 

本作ではドチョルの妻と、被害者の妻、二人の妻の見せ場が見どころになっている。これによってさらに主人公と被害者への共感が深まっていく。一歩で悪役のテオは、その悪魔的な所業をさらに加速させていく。しかし、チーム長や庁長は頼りにならない・・・と見せかけて、クライマックス前にお互いの絆と信頼の強さをコメディ全開で披露しあう展開には笑った。

 

最後は力で強行突破。逃げるテオと追うドチョル。拳と拳の勝負・・・に、ちょっとした変化球あり。それにしても、派手に殴り合うだけではなく、観る側に「痛い!」と思わせる絵作りの上手さよ。リーアム・ニーソンやジェイソン・ステイサムの映画のアクションとは質が全く異なっている。邦画もこうした格闘アクションは上手く咀嚼して取り入れてほしい。

 

出演陣もかなり豪華。この人が出ていればだいたい面白いこと確定のユ・ヘジンに、勝手に韓国の北村有起哉認定しているオ・ダルス、悪人から善人まで何でもござれのチョン・マンシク、その他、映画やドラマで見かける面々。それらをすべて包み込む、大らかで優しく、しかし悪は決して許さない一本気の刑事を演じたファン・ジョンミンはやっぱりかっこよかった。

 

ネガティブ・サイド

直接的に見せているわけではないが、動物虐待のシーンがあるのがしんどい。

 

『 犯罪都市 』より本作の方が先とはいえ、取り調べ中の暴力というのはいかがなものか。

 

最終盤にびっくりする人物が登場するが、「あっさり引き下がるんかーい」とズッコケてしまった。ファンサービスとしては嬉しいが、このシーンはカットで良かったのでは?

 

総評

いかにも韓国らしい、金持ち=悪をぶっとばすという勧善懲悪劇。ファン・ジョンミン演じるドチョルの刑事としての腕っぷし、義侠心、仲間意識、さらに夫として、父親としての心構えまで堪能できる。ベテランが何を指すのかはよくわからないが、『 終末の探偵 』的な面白さ、つまり主人公に魅力があり、シリーズ化してほしいと感じた。今週末の続編公開が待ち遠しい。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ヒョン

兄の意。血のつながりがなくても使える表現。男→男で使われる。劇中ではドチョルがチーム長をヒョンニムと敬称付きで呼んでいたが、字幕は「先輩」となっていた。日本語で「兄貴」と呼んでしまうとヤクザっぽいからか。ちなみに女→男では「オッパ」となる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ケナは韓国が嫌いで 』
『 悪い夏 』
『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アクション, ファン・ジョンミン, ユ・アイン, 監督:リュ・スンワン, 配給会社:KADOKAWA, 配給会社:KADOKAWA Kプラス, 韓国Leave a Comment on 『 ベテラン 』 -再上映に感謝-

『 プロジェクト・サイレンス 』 -パニック映画の佳作-

Posted on 2025年3月16日 by cool-jupiter

プロジェクト・サイレンス 65点
2025年3月15日 T・ジョイ梅田にて鑑賞
出演:イ・ソンギュン チュ・ジフン
監督:キム・テゴン

 

『 PMC ザ・バンカー 』、『 パラサイト 半地下の家族 』、『 最後まで行く 』などで、爽やかながらもダークサイドを秘めた演技を見せてきたイ・ソンギュンの遺作ということでチケット購入。

あらすじ

国家安保室の行政官ジョンウォン(イ・ソンギュン)は、娘を空港に送る途中、濃霧による多重衝突事故に巻き込まれる。橋が孤立する中、政府が秘密裏に進める対テロ兵器である軍用犬も事故によって放たれてしまい・・・

 

ポジティブ・サイド

序盤はハイペースで進む。主要なキャラクターたちの背景を簡潔に描き、しかもそれが後半から終盤にかけて効いてくる。この脚本家=監督はなかなかの手練れ。多重衝突事故やヘリの墜落、橋の部分的な崩落などもCGながら見応えは抜群。予告編で散々観ていても、本番となるとハラハラドキドキさせられた。

 

序盤であっさりと襲い来るモンスターの正体は犬であるとばらしてしまうのも潔い。犬といっても軍用犬なので強い。一般の成人男性がそこらの野良犬が本気で襲い掛かってきたのを撃退しようとしても、勝率は20%もないだろう。軍人さんが次々にやられていくのもお約束とはいえ納得しよう。

 

橋の上でいつの間にやら結成されるチームが多士済済。政府高官の父と反抗期の娘、踏み倒されたガソリン代を徴収しに来た不良店員とその愛犬、ゴルファーの妹とちょっと間抜けなその姉、認知症の妻を甲斐甲斐しく世話する夫、そしてプロジェクト・サイレンスの研究者の一員である博士。彼ら彼女らの、時にはエゴ丸出しの言動がいつの間にやらファミリードラマやヒューマンドラマとして成立してくるから不思議で面白かった。

 

『 工作 黒金星と呼ばれた男 』では小憎らしさ満開の北朝鮮軍人、『 暗数殺人 』で人を食ったような殺人犯を演じたチュ・ジフンがコミック・リリーフを演じていたのには笑った。完全なる役立たずかと思いきや、とある大技で犬を一時的に撃退したり、最終盤にはとあるアイテムで大活躍したりと、ユーモアある役も演じられる役者であることを証明した。

 

主役のイ・ソンギュンは医師や社長の役も似合うが、今回は次期大統領候補を陰から支える国家公務員役を好演。明晰な頭脳で誰を助け、誰を助けないのか、またどんな情報をどのような形で公開・共有するのかを瞬時に判断する狡猾な男を好演。娘に対しても冷淡に見える態度を取っていたが、それは早くに妻をなくしてしまって以後、娘との距離の取り方を学ぶことができなかった可哀そうなファミリーマンに見えてくるから不思議。よくこんな短い時間にあれもこれもとヒューマンドラマ的な要素を詰め込めるなと感心する。

 

犬との戦い、政府の救助、生存者の脱出劇が交錯して、サスペンスに満ちた90分が続く。韓国映画のパニックものの佳作。特に予定のない週末なら、映画館で本作を鑑賞しよう。

 

ネガティブ・サイド

対テロリストのために研究・開発してきたと言うが、攻撃のトリガーが声だというのはどうなのか。そもそも事前にテロリストの声など入手できるのか。できたとして、その声をいつ、どこで、どうやって聞かせるのか。音は当然、音速でこちらに迫ってくるが、たとえば1km先の目標テロリストが大声をあげたとして、犬が犬がそれをキャッチするのに3秒かかり、なおかつ現場に急行するのに平均時速60kmで走っても1分。役に立つのか?

 

老夫婦の扱い方があんまりではないか。韓国もアメリカのようなプラグマティックな社会になりつつあるのだろうか。

 

総評

頭を空っぽにして楽しめる作品。ホラー要素もないので、怖いのはちょっと・・・という向きも大丈夫。自己中心的な人間の集まりが、いつの間にか熱い連帯を構成するのは韓国映画のお約束で、本作もその例に漏れない。続編の予感も漂わせているが、本作一作だけで完結しているし、そうあるべき。配信やレンタルを待つのも手だが、韓国映画のファンならば劇場鑑賞をお勧めしたい。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ソンゴ

選挙の意。センキョとソンゴ。確かに音は近い。残念ながら今の韓国は漢字をまともに習った世代がどんどん高齢化しているので、若い世代は筆談で中国人や日本人と意思疎通できないと言われている。いくら右傾化が進んでも、漢字を捨てるなどという残念な決断をしないことを祈る。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ロングレッグズ 』
『 ゆきてかへらぬ 』
『 ミッキー17 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, イ・ソンギュン, スリラー, チュ・ジフン, パニック, 監督:キム・テゴン, 配給会社:ショウゲート, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオ, 韓国Leave a Comment on 『 プロジェクト・サイレンス 』 -パニック映画の佳作-

『 名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN 』 -答えは風の中にある-

Posted on 2025年3月16日2025年3月16日 by cool-jupiter

名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN 70点
2025年3月14日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ティモシー・シャラメ エドワード・ノートン エル・ファニング モニカ・バルバロ
監督:ジェームズ・マンゴールド

妻が見たいというのでチケット購入。ボブ・ディランに関する知識はあまりなかったが、それでも興味深く鑑賞できた。

あらすじ

ウディ・ガスリーに傾倒する青年のボブ(ティモシー・シャラメ)は、彼が入院している病院を尋ねる。そこでガスリーとその親友、ピート・シーガー(エドワード・ノートン)に一曲を披露したボブはその才能を見込まれ、ピートの自宅に誘われて・・・

ポジティブ・サイド

ティモシー・シャラメ、意外に歌が上手い。かつ、しゃべり方も田舎から出てきた朴訥な青年が無理して背伸びして喋っています感ありあり。おそらく実際のボブ・ディランがそうだったのだろう。他にもエドワード・ノートンやモニカ・バルバロなど、以外と言っては失礼かもしれないが、歌唱力の高さに驚かされた。

今でこそ才能が誰かに発見される、あるいは才能自身が自らを発信するのは難しくないが、1960年代は話が別。カフェやバーでのライブや、教会のイベントなどでコツコツと地道に活動していくしかない。そうした時代を見つめるのも興味深かった。

ディランが成功を掴んでいく中、シルヴィと付き合いながらもジョーンと二股関係になっていくのは見ていて気持ちのいいものではなかったが、これは史実なのだろう。また、割と高尚なメッセージを直截的な歌詞に乗せて歌い上げるディランだが、同じミュージシャンのジョーンを抱いた直後にも曲作りに精を出す様は、仕事人としてはリスペクトするが、男としてはまったくもってダメダメ。

ところが、もう一人のボブとの偶然の出会いの際に漏らしたディランの本音によって、そうしたハチャメチャなディランの像が一変して見えてくる。ディランの出現と活躍によってフォークが完全に復権を果たそうとすることに多大な期待をかけるピート・シーガーや、JFK暗殺やキューバ危機の中にあっても自らの信念に忠実に勉学と行動に邁進するシルヴィ。そうした人々の期待に応えようとしない、いや敢えて応えない男の美学を見たような気がした。鬱屈とした時代はもう終わったんだと歌って喝采を浴びた男が、前時代の音楽に回帰せよと言われても、それは素直に従えないだろう。太宰治や坂口安吾がフォークを歌えば、日本のボブ・ディランと呼ばれたように思う(この二人の方がディランよりも前だが)。

余談だが、フォークソング=社会批判という構図は現代にも受け継がれていると感じた。第一次トランプ政権の際にバズったサイモンとガーファンクルのThe Sounds of Silence のパロディ、 Confounds the Science や、『 僕らの世界が交わるまで 』のジギーが理知的で政治活動にも熱心な女子とのうまく行かない距離の取り方を、政治的メッセージと共にフォークソングに乗せるというシーンもあった。フォークもジャズと同じで、死にそうで死なない音楽ジャンルなのだろう。

ネガティブ・サイド

1960年代の街並みをCGで作って合成するのはいいが、もう少し丁寧な仕事が求められる。道に立っている女性の髪が風にそよいでいるのに、その真横を歩くシルヴィの髪がまったく動いていないというシーンにはギョッとさせられた。

ディランの作詞作曲のシーンは興味深かったが、その背景にもう少し踏み込んでほしかった。現実世界のどういった事象に心を動かされ、それをどう言葉やメロディにしていくのか。たとえば食事シーンで何かひらめく、街中の看板やポスター、フライヤーなどに一瞬目を奪われる、のようなシーンが欲しかった(本人にそういった逸話がないのかもしれないが)。

シルヴィやピート・シーガー、ジョーン・バエズとは異なり、ジョニー・キャッシュとディランのつながりの描写が弱いと感じた。当時としては手紙は重要なコミュニケーション・ツールだったはずで、その手紙の文言をもっと観る側に刺さる形で呈示する方法はなかったか。

総評

コロナ前にノーベル文学賞を受賞したことが話題になったボブ・ディラン。授賞式を欠席したというのも、彼をよく知るファンからすれば当然なのかもしれない。Jovianは中学生ぐらいだったか、B’zのBlowin’を聴いている時に、親父に「ボブ・ディランの真似か?」みたいに言われて、ビルボード年鑑のようなものを読んで、ボブ・ディランの名前を知ったんだったっけ。ハマることはなかったけれど。時代の変わり目を象徴するような歌い手だったことは如実に伝わってきた。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

turn down ~

いくつかの意味があるが、劇中では「~の音量を下げる」という意味で使われていた。ただし、実際は結構何にでも使える表現。たとえば照明を弱めるなら、turn down the lightと言えるし、コンロの火を弱めるならturn down the fireもしくはturn down the flameとも言える。逆の表現はもちろんturn up ~である。

次に劇場鑑賞したい映画

『 プロジェクト・サイレンス 』
『 ロングレッグズ 』
『 ゆきてかへらぬ 』

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, エドワード・ノートン, エル・ファニング, ティモシー・シャラメ, モニカ・バルバロ, 伝記, 監督:ジェームズ・マンゴールド, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN 』 -答えは風の中にある-

『 大きな玉ねぎの下で 』 -特定の世代に刺さる秀作-

Posted on 2025年2月22日 by cool-jupiter

大きな玉ねぎの下で 70点
2025年2月16日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:桜田ひより 神尾楓珠
監督:草野翔吾

 

タイトルでピンと来たのでチケット購入。業務繁忙期につき簡易レビュー。

あらすじ

昼はケーキ屋兼カフェ、夜はバーという店で、昼のアルバイトの美優(桜田ひより)と夜のアルバイトの丈流(神尾楓珠)は備品の発注や客の遺失物についてノートに綴るようになる。いつしか二人は互いの業務連絡を超えた内容もやり取りし始め、顔も名前も知らないままに惹かれ合うが・・・

ポジティブ・サイド

同じ桜田ひより主演作の『 交換ウソ日記 』よりもはるかに面白い。丈流との出会いのイベントにも伏線があったり、ノートの連絡相手が誰だか分かってしまうシーンの簡潔さと分かりやすさも良かった。

 

丈流もいつの時代の若者にも見られる一種のニヒリストでリアリティがあった。本人は「全て」という部分を強く否定したが、実態は「全ては偶然だから意味ない」論者。それが偶然の出会いから、少しずつ変わっていく過程も興味深く観ることができた。

 

ちなみに決定論と非決定論は西洋哲学でかつて盛んに論じられたが、このどちらにも意味はない。考え方のヒントになるのは、むしろ仏教の縁起思想だ。と思っていたところ、唐突に回想シーン。そう、本作はまさに仏教的な縁や、一種の輪廻転生思想をも包括した作品になっているのだ。

 

昭和から平成への移り変わりの時代も映し出され、色々なシーンやガジェットにノスタルジーを覚えた。またサンプラザ中野も一瞬だけ登場したりと、爆風スランプへのリスペクトも見せた。今どきの若者向けの作品に見えるが、実際は1970年代生まれに刺さる作品。同世代の男女よ、チケットを買おう。

 

ネガティブ・サイド

看護学校もしくは大学の看護学部に通いながらアルバイトするというのは可能ではあるが現実的ではない。というか実習期間中にもバイトをするなど狂気の沙汰。どんなに優秀でも担当患者の疾病について調べたり、SOAP記録をつけて翌日の看護計画を立てたりするだけで睡眠時間の半分は飛ぶ。美優は実家暮らしで、姉や母も看護師なのか?そうした描写はなかったが・・・

 

総評

こんなに面白いのに興行収入面が現時点でそれほど振るわないというのは残念。いわゆる氷河期世代ならタイトルだけで興味を惹かれるし、内容もガッツリ歌にインスパイアされたもので共感しやすい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

correspond

様々な意味を持つが、文通するという意味は死につつある。ただ業界や業種によってはコレポンという言葉で定着しており、相手と自分の間でなんらかのやり取りをするという意味はそこにもしっかり残っている。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 メイクアガール 』
『 幻魔大戦 』
『 マルホランド・ドライブ 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, B Rank, ラブロマンス, 日本, 桜田ひより, 監督:草野翔吾, 神尾楓珠, 配給会社:東映Leave a Comment on 『 大きな玉ねぎの下で 』 -特定の世代に刺さる秀作-

『 ちひろさん 』 -人の輪の中で孤独に生きる強さ-

Posted on 2025年2月9日 by cool-jupiter

ちひろさん 75点
2025年2月8日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:有村架純
監督:今泉力哉

 

劇場公開時に観られなかった作品。これも近所のTSUTAYAで借りてきた。

あらすじ

元風俗嬢のちひろ(有村架純)は港町のお弁当屋さんで働いていた。自らの前職について特に隠すこともないちひろ目当てに、弁当屋には大勢の客がやって来ていた。そんなちひろは、客だけではなく寄る辺を持たない小学生や高校生、ホームレスとも親しく交流していき・・・

 

ポジティブ・サイド

野良猫と無邪気にじゃれ合ったり、弁当屋の常連客と談笑したりと、とても無邪気なちひろさん。しかし風俗嬢としての過去も特に隠しておらず、良い意味でも悪い意味でも周囲の耳目を集めている。そんなちひろを有村架純が好演。様々なドラマを生み出していく。

 

駄々っ子の小学生や、ストーカー気質の女子高生などと奇妙な形で縁を深めつつ、思いつめた男性客や元店長との再会など、ちひろの過去も深掘りされていく。ちひろは誰に対してもオープンでフラットな人当たりを見せるが、ところどころで闇を秘めた目つきも見せる。特に母親に関する電話と、海辺の砂を掘るシーンでは心底ゾッとさせられた。この一瞬を切り取ったカメラマンの手腕よ。また名言も明示もされないが、おそらくちひろは前科者。推測できる裏のストーリーとしては『 オアシス 』のようなものだろうか。

 

表のストーリーは『 町田くんの世界 』や山本弘の小説『 詩羽のいる街 』が近い。ちひろさんを中心につながっていく人の輪。その中心にちひろさんがいる。本作がユニークなのは、ちひろさんがつなげた輪に・・・おっと、これ以上は重大なネタバレか。ただ、セックスワーカーは性サービスの提供以上にカウンセラー的な役割を担っているという面が出されていたのには首肯させられた。

 

ふと調べてみたが、日本のセックスワーカーは推計で30万人。日本の人口を1億2千万人と丸めれば、女性は6000万人。20歳から29歳の人口は約700万人。セックスワーカーの人口ボリュームにもう少し幅を持たせれば母数は約1000万人か。雑な計算だが、100人中3人は風俗産業の従事者となる。ちひろさんは身近な存在とは言わないまでも、珍しい存在ではない。人と人とが触れ合う時に大切なのは肩書きではなく人間性。頭ではわかっていても実践するのは本当に難しい。

 

ネガティブ・サイド

エンディングに少し納得がいかない。ちひろのその後を描くんはよいが、もっともっとその後、極端に言えば40代、50代になったちひろを映し出してほしかった。ちひろが本当の意味で救われるのは、孤独と共に生きられるようになることではなく、孤独と共に生きられるようになる誰かを見つける、あるいは自らの孤独をさらに受け継いでくれる誰かを見つけることであるかのように思う。

 

総評

限定された空間、限定された時間、限定された登場人物で織りなす人間ドラマが沁みる。我々はしばしば肩書で人間を判断するが、そうしたものは虚飾とは言わないまでも虚構=フィクション、作り物である。そういった一種の社会的なしがらみの外に出て生きることの難しさや尊さが本作には溢れている。『 前科者 』に次ぐ有村架純の代表作と評して良い秀作。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Don’t be afraid, night is on our side.

とても印象に残った「ちひろさん」の台詞の私訳。be on one’s side = 誰々の味方である、の意。大学時代の社会学の授業で「夜とは最も身近な異界」と言った教授がいたが、至言であると思う。夜の街、夜の世界、夜の仕事など、

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 怪獣ヤロウ! 』
『 メイクアガール 』
『 Welcome Back 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 日本, 有村架純, 監督:今泉力哉, 配給会社:アスミック・エースLeave a Comment on 『 ちひろさん 』 -人の輪の中で孤独に生きる強さ-

『 雪の花 ―ともに在りて― 』 -ワクチン接種のはじまりを描く-

Posted on 2025年2月5日 by cool-jupiter

雪の花 ―ともに在りて― 70点
2025年2月1日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:松坂桃李 芳根京子 役所広司
監督:小泉堯史

 

『 散り椿 』など、時代劇を世に問い続ける小泉監督の最新作。どう考えてもコロナ禍とそのワクチン接種にインスパイアされて出来た作品である。

あらすじ

江戸時代末期、越前の町医者、笠原良策(松坂桃李)はある村に診療に訪れる。しかし、患者たちは痘瘡を患っていた。患者を隔離するしか為す術がない良策は、漢方でなく蘭方に治療法を見出す。そして蘭方医の日野鼎哉(役所広司)に教えを乞うため京の都に向かうが・・・

ポジティブ・サイド

冒頭から、病を患う村人に対して何もできないという無力感。疱瘡の患者は山あげして、後は運よく生き残る者が出るのを待つのみという絶望感。中世ヨーロッパで何度も流行したペストや、100年前のスペイン風邪もこのようなものだったのだろうか。ある意味で当然だが、最初期のコロナ禍を思い起こさせる。

 

松坂桃李が笠原良策を好演。名を求めず、利を求めず、ただただ人を救いたい、自分に救うことができる人を何としても増やしたいという医者の鑑のような人物をきっちりと描き出した。蘭方への唐突な宗旨替えも、無力感の強さが使命感の強さに転化したものということで説明がついた。

 

種痘の原理は理解できても、それを実施するために越えなければならない政治的な関門がいくつもあるのもコロナ禍との共通点だった。特に種苗を海外から輸入するというのは、そのまんまワクチンの輸入に重なっていた。

 

また工場で生産できるワクチンとは異なり、当時は子どもから子どもへ抗原を受け継いでいく必要があり、かつその期間も限定されていたため、吹雪の峠越えをも敢行したようだ。これは映画化に際しての脚色だろうと思っていたシーンが、調べてみると日記に基づく史実だということに度肝を抜かれた。

 

なんとか種苗を入手して解説した種痘所も、流言飛語によって閑古鳥が鳴く始末。しかし、先輩医師の援助や藩への歎願、さらに良いのか悪いのか権力者への根回しなどもあり、ついに藩を挙げての種痘の体制が整う。いつの時代も真偽不明の風説が流布される。そしてその発信元が往々にして既得権益側であるというのも本邦の伝統なのか。そうした旧弊は打破されるべきであるし、実際に過去にも打破されてきたのだという力強いメッセージを受け取ったように思う。

 

少し前に仕事の一環として、このようなレクチャー動画を作ったことがある。センメルヴェイスとナイチンゲール、さらにパスツールについてリサーチしている中でジェンナーも調べた。しかし笠原良策については勉強が及ばなかった。我が目の不明を恥じるとともに、蒙を啓いてくれた小泉監督、原作者の吉村昭氏に感謝したい。

 

ネガティブ・サイド

時々、左から右へワイプで画面が切り替わるのが目障りと言うか、不自然に感じた。

 

四季折々の印象的なショットの数々とは対照的に、良作が旅するシーンでは画角がかなり小さく、旅をしているという感覚があまり共有されなかった。特に最後のシーンは全画面に広がるほどの〇〇を見せるべきではなかったか。それこそが流れの先というものだろう。

 

良策の大立ち回りが非現実的。悪党2~3人を懲らしめる程度なら日ごろの鍛錬の賜物だと納得はできるが、それ以上の大人数となると医者ではなく相当な腕利きの武士になってしまう。

 

芳根京子の男之介っぷりも映画の絵作り以外の意味がなかった。

 

総評

知識を更新することの大切さはいつの時代でも同じ。現代人でもRNAワクチンが何たるかを理解できない、というか免疫機構の概要を理解できない者が多くいるが、100年以上前の人間ならなおさらだろう。そんな中でEBM=Evidence Based Medicineに宗旨替えし、利を求めず名を求めずを貫いた医師がいたことには素直に感動させられた。ぜひ多くの人に観てもらいたいと思える秀作。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

vaccinate

ワクチン接種させる、の意味。自身が注射する側でなければ、be vaccinated または get vaccinated という形で使う。政府や自治体が主語なら、The government vaccinated 20 million people last year. のように能動態でも使える。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 アット・ザ・ベンチ 』
『 怪獣ヤロウ! 』
『 Welcome Back 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, B Rank, 伝記, 役所広司, 日本, 松坂桃李, 歴史, 監督:小泉堯史, 芳根京子, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 雪の花 ―ともに在りて― 』 -ワクチン接種のはじまりを描く-

『 アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 』 -知られざるトランプの師を描く-

Posted on 2025年1月27日 by cool-jupiter

アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 70点
2025年1月25日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:セバスチャン・スタン ジェレミー・ストロング
監督:アリ・アッバシ

 

『 ボーダー 二つの世界 』、『 聖地には蜘蛛が巣を張る 』のアリ・アッバシ監督が、若き日のドナルド・トランプとその師を描くということでチケット購入。

あらすじ

若きビジネスマンのドナルド・トランプ(セバスチャン・スタン)は、父の営む不動産会社が人種差別の疑いで政府に訴えられていたことから、敏腕弁護士ロイ・コーン(ジェレミー・ストロング)に助成を乞う。コーンはトランプに勝利のための3つのルールを教え込んで・・・

ポジティブ・サイド

若き日のドナルド・トランプを描くというだけで興味をそそられる。実際に非常に興味深く観ることができた。

 

まず1980年代のアメリカの経済が、高金利や輸出不振などでボロボロだったことが活写されていたのが新鮮だった。当時の日本がバブル景気を謳歌していたのは、子どもだったJovianも何となく覚えているし、同時代の『 ゴジラvsキングギドラ 』のプロットなどに当時の世界情勢も反映されている。

 

そんな中で若きトランプが父の影から出て、トランプ・タワーの建設に邁進していく様は、ひとつのビルドゥングスロマンのようにも映ったし、悪徳弁護士ロイ・コーンの薫陶を受けて、勤勉なビジネスマンから強欲非道なビジネスマンに変貌していく様は恐ろしくもあった。

 

やはり最も印象に残ったのは、ロイ・コーンの

 

  1. Attack, attack, attack.
  2. Admit nothing and deny everything.
  3. Claim victory and never admit defeat.

 

という勝利への3つのルール。どこかの島国の偏った言論人やネトウヨと呼ばれる人種の行動原理とそっくりではないか。

 

ストーリーはロイ・コーンの助言を基にビジネスを拡大させていくトランプから、中盤以降、トランプの結婚、トランプとロイ・コーンの離反、トランプと兄との確執などが丹念に、しかしテンポよく描かれていく。終盤では、かつての師匠であったロイ・コーンとの再会を果たすトランプだが、彼はもはや強欲非道ではなく、冷酷非情な人間になってしまっていた。

 

本作はトランプを一種の作られた偶像のように描くが、彼を作ったロイ・コーンとのコントラストが面白い。たとえば頭髪と内臓脂肪に対して、師匠のロイ・コーンは禿げ頭を気にせず、運動にもしっかり励むのだが、弟子のトランプはまったく異なるアプローチを選択する。現実のトランプ大統領がスエズ運河やグリーンランド、カナダの領有を主張する理由がなんとなく見えてくる。

 

ロイ・コーンのことは不勉強でよく知らないが、セバスチャン・スタンがどんどんと現実のトランプそっくりになっていくのには笑わされるのと同時に唸らされた。『 バイス 』でチェイニーを演じたクリスチャン・ベールと肩を並べる熱演だった。

 

ネガティブ・サイド

冒頭がニクソンだったのは、前々回の選挙不正疑惑を直接的に批判する意図だろうか。そんな誘導は不要な出来栄えだったと思うのだが。

 

レーガン政権のキャッチフレーズ、Let’s Make America Great Again. の Again の部分が分かりにくかった。序盤の人種差別疑惑から徹底して、自身のそばに有色人種を置かないというトランプの姿をもっと明示的にしていれば、より過激なメッセージになっただろうに。 

 

作中での時間の経過がいまひとつはっきりしなかった。最終盤にトランプの子ども達の姿でも映し出してくれれば、そのあたりも把握しやすくなったと思われる。

 

総評

実に見応えのある伝記映画だった。藍は青より出でて藍より青しと言うが、アメリカを顧客だとうそぶくロイ・コーンの弟子のトランプが、アメリカを従業員だと捉えるかのように成長していく過程がスリリングだった。もちろん、かなりの脚色がされているのだろうが、事実は往々にして小説よりも奇なり。トランプ流の政治や外交が早くも波紋を呼んでいるが、そうしたニュースの背景を知る一つのきっかけとして本作は十分に機能するのではないだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

apprentice

原題の The Apprentice とは「弟子」「徒弟」「見習い」の意。『 スター・ウォーズ 』のファンなら、ジェダイやシスにおけるマスターとアプレンティスの関係をよくよくご存じのはず。IELTSやTOEFL、英検準1級以上を受験するなら知っておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 アット・ザ・ベンチ 』
『 怪獣ヤロウ! 』
『 Welcome Back 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, ジェレミー・ストロング, セバスチャン・スタン, 伝記, 監督:アリ・アッバシ, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 アプレンティス ドナルド・トランプの創り方 』 -知られざるトランプの師を描く-

『 #彼女が死んだ 』 -社会の闇の一端を覗く-

Posted on 2025年1月19日 by cool-jupiter

#彼女が死んだ 70点
2025年1月18日 kino cinéma 心斎橋にて鑑賞
出演:ピョン・ヨハン シン・ヘソン イエル
監督:キム・セフィ

 

予告編が面白そうだったのでチケット購入。

あらすじ

不動産業を営むク・ジョンテ(ピョン・ヨハン)は顧客から預かった鍵で家に入り込み、最も不要そうなものを失敬するという趣味の持ち主。彼はある時、インフルエンサーとして振る舞うハン・ソラ(シン・ヘソン)に興味を抱く。そのハン・ソラが引っ越しするということで、ジョンテは部屋の鍵を託される。留守を見計らって侵入したジョンテが見たのは、腹部から大量出血してピクリとも動かないソラだった・・・

 

ポジティブ・サイド

不動産屋に対しての信頼がゼロになりそうな冒頭ながら、他人のスマホやSNSを覗き込む主人公ジョンテに対して、徐々にシンクロしてしまうという現代人は多いのではないだろうか。そのような巧みな掴みから、ハン・ソラの死亡シーンの遭遇、そして消えた死体と刻々送られてくる謎めいた脅迫状と、中盤まで怒涛のスピードで展開される疾走感は、まさしく韓国映画。

 

中盤以降、ハン・ソラの見えざる顔が見えてくるあたりから、社会の闇が浮かび上がってくる。そんな中でも、極めて異質な個人として浮かびあってくるのは・・・おっと、ここから先は言ってはいけない。

 

中盤から登場するオ刑事の存在感が素晴らしい。本邦だと『 ドクター・デスの遺産 BLACK FILE 』で北川景子が長髪をくくりもせずに捜査現場に出向いていたが、無能揃いで知られる韓国警察も、女性刑事となるとリアリティが格段に増す。いかつい顔、長身、肩幅広い、気が強い、結構な武闘派という刑事で、彼女の登場シーンは一か所を除いて全てが絵になっていた。

 

それにしても韓国映画は、女優の発狂シーンを描くのが本当にうまい。人間の感情を視覚的に表現することにかけては韓国の俳優陣は世界でもトップレベルではないだろうか。そしてエンタメ作品ながらも、最後に苦味を残すのも『 目撃者 』同様に、韓国映画のお約束。主演の二人は『 エンドレス 繰り返される悪夢 』でも共演していた。確かに、二人ともうっすらと記憶にあった。

 

ネガティブ・サイド

お客さんから預かっている鍵の保管方法が緩すぎではないだろうか。ダイヤル式の金庫に入れておいてもいいと思うのだが。

 

詳しくは書けない(何故なら詳しく描写されていない)が、現代社会において取り扱いに厳重な注意を要する二つの対象が abuse されていたというのが本作の一つの肝。しかし、その部分の描写が必要最低限を下回っているように見えた。『 トガニ 幼き瞳の告発 』とまでは言わないが、1~2分で良いので、とある対象への虐待シーンは入れてほしかった。

 

とある殺人シーンがあまりにも非合理的。滑車が使われていたわけでもあるまいに、あそこまで物理的な力が作用するか?

 

総評

陰鬱かつ凄惨なサスペンスである。以下、ビミョーにネタバレっぽく言うなら、ビル・S・バリンジャーの小説『 歯と爪 』と、デビッド・フィンチャー監督の映画『 ゴーン・ガール 』、アニーシュ・チャガンティ監督の『 search サーチ 』に韓国テイストを加えたような感じと言えば伝わるだろうか。つまり、古典的・典型的な要素を盛り込みながらも、現代風にアップデートされた作品ということ。観て損はしない一作。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Love what you do

スティーブ・ジョブズのスピーチの一節として知られる。当時はこれをどう訳すのかで英語界隈で結構な議論が巻き起こった。loveは愛せ、大好きになれ、惚れ込め、などで良いのだろうが、what you do を果たして仕事と訳してよいのかどうか。文脈的には仕事で問題ない。ただし、 What do you do? = お仕事は何ですか?と暗記するのは間違い。中学の同級生と10年ぶりに再会して、「久しぶり、今は何してるの?」というのが、What do you do?の意味。答えは「大学院に通ってる」かもしれないし、「サラリーマンやってる」かもしれないし、「バイトしながら投資の勉強してる」かもしれない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 アット・ザ・ベンチ 』
『 港に灯がともる 』
『 怪獣ヤロウ! 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, B Rank, イエル, サスペンス, シン・ヘソン, ピョン・ヨハン, 監督:キム・セフィ, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 #彼女が死んだ 』 -社会の闇の一端を覗く-

『 I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ 』 -ナードのビルドゥングスロマン-

Posted on 2024年12月31日2024年12月31日 by cool-jupiter

I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ 70点
2024年12月31日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:アイザイア・レティネン
監督:チャンドラー・レヴァック

 

2024年の締めくくりにテアトル梅田へ。大晦日の夕方でも結構な客の入りだった。

あらすじ

トロント郊外で母親と暮らすローレンス(アイザイア・レティネン)は無類のシネフィルで、NYUで映画を学ぶための学費のため、地元のレンタルビデオ店でアルバイトを始めた。そのために唯一の親友マットとの時間が減り、また高校の卒業式に上映する記録映画の製作にも遅れが出て・・・

 

ポジティブ・サイド

これはおそらく『 ルックバック 』同様に、監督の自伝的な作品なのだろう。コミュニケーションが下手というか、あまりにも直球過ぎるところがナード気質満開で、顔、表情、体型、仕草などとも併せてオタクの典型とも言うべきキャラを生み出した。それが映画オタクで、自分でも学校のプロジェクトで映画を撮っているという導入はパーフェクト。

 

この年齢の若者が時々陥る肥大化した自我の罠に、ローレンスも見事にはまっているのはオッサン視点から面白くもあり、物悲しくもある。今すぐにでも思考を改めないと、そのまま大人になってしまうと矯正が難しいから。ここでバイト先のレンタルビデオ店のマネージャーと母親が中盤以降に大活躍。凡庸ではあるが、元SMAPメンバーのやらかしが報じられる今だからこそ刺さるエピソードも盛り込まれている。

 

ローレンスが家を離れてから見せる成長には、我あらず涙が。『 ライオン・キング

ムファサ 』でタカが犯した失敗を繰り返さなかった。これもやはり母とアラナのおかげか。実家や故郷を離れれば殻を破れるわけではない。自分というものを抑えることで破れる殻もある。10代の時に本作を観てみたかったなとしみじみ思う。

 

ネガティブ・サイド

ローレンスとマットの creative differences をほんの少しで良いので見せてほしかった。「女だけは自分が一番大事にしてきたものの隣にあっさり座る」と喝破したのは柴田ヨクサルだったか。マットにとってのローレン・Pがまさにそれで、そこには説得力があった。しかし、彼女の編集の腕が一切示されなかったので、マットが思い出動画の作成に取り組む姿勢がどう変わったのか分からず、ローレンスと疎遠になってしまう契機がやや不明瞭だった(まあ、決定的なのは jerk off ninety-eight times だろうが)。

 

総評

舞台が2003年ということで、まさにJovianの20代前半、TSUTAYAが日本を席巻していた頃で、デジカメも普及しつつある、まさに映画と普通の人間の距離が近くなっていった時代だった。一方でスマホやSNSなどはなく、人と人とが直接的につながっていた時代でもあった。AIによって文章や画像、音楽や映像ですら手軽に生み出せる時代になったが、そんな時に古き良き時代を思い起こさせてくれる一本だった。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

school night

翌日に学校がある夜、登校日の前夜の意味。映画などでしばしば親が夜更かしする子に 

It’s a school night!
明日は学校でしょ!

と言っている。学校に行った当日の夜ではない点に注意が必要である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 #彼女が死んだ 』
『 アット・ザ・ベンチ 』
『 港に灯がともる 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アイザイア・レティネン, カナダ, ビルドゥングスロマン, 監督:チャンドラー・レヴァック, 配給会社:イーニッド・フィルムLeave a Comment on 『 I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ 』 -ナードのビルドゥングスロマン-

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