利休にたずねよ 65点
2026年2月4日 DVDにて鑑賞
出演:市川海老蔵
監督:田中光敏
公開当時、TOHOシネマズかブルク7で観たんだったか。近所で中古DVD市があったので購入。

あらすじ
茶人の千宗易(市川海老蔵)は独自の美を追求する茶道でもって織田信長、羽柴秀吉といった天下人に認められ、名を成していく。しかし、宗易が世に認められていくほどに、秀吉から疎まれるようになり・・・
ポジティブ・サイド
海老蔵は着物の着こなしがよく、所作も美しい。袱紗捌きも見事の一語に尽きる。『 国宝 』の喜久雄もかくやである。当たり前か。青年期から老境までを演じきったのは見事。利休というと茶の湯御政道のプロモーター兼アドバイザーであると考えられているが、その前半生を大胆に解釈した点は評価に値する。
壮年期の利休が口にする美徳、美学、哲学が若き日の利休の体験から来ているというのは面白かったし、説得力もあった。三つ子の魂百までと言うが、若い頃の強烈な体験には程度の差こそあれ、誰もが影響を受けている。利休の場合、その対象が異国人だったというのも大胆だが、荒唐無稽とまでは言えない。利休の茶の湯の精神に一期一会があるが、本当に一度きりしか出会えない相手とは誰か。なぜ一度しか出会えないのか。本作をそこを突き詰めたと言える。
筆談シーンは非常に美しい。言葉は通じないが、漢字でなら通じる。逆に今だと通じないというところが惜しい。利休の死にたいけれど死ねない、死んではならないという想いにフォーカスすることで、利休が切腹を命じられた理由は何であったのかというミステリーをすべて包括する物語になったことは歴史ものとして評価したい。
ネガティブ・サイド
邦画の悪いところが時代劇でも出てしまった。なにもかも台詞で説明するのは本当に必要か?秀吉と宗易の付き人同士の会話、瓦職人が茶壷を手に取った時の感想。中谷美紀演じる利休の妻の心の声も微妙にノイズ。こういったものは感嘆の声と表情、所作で表現するものではないか。
躙り口など、利休の茶室の特徴の起源は説明されたが、黄金の茶室とは結局何だったのか。
総評
まあまあ面白い作品。公開当時はえらい叩かれた記憶があるが、茶の湯の起源を某国に求めたわけではないことは明白。利休の美意識の原体験とはどんなものだったのかを大胆に想像した作品。時代劇ではなくロマンスとして鑑賞すればよい。
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tea ceremony
茶道の意。日本人なら誰でもたしなむものと誤解した留学生が20数年前にはたくさんいた。ceremonyはラテン語のcaerimonia由来で、ポルトガル語はラテン語に非常に近い。同時代にはカステラや天ぷらが日本に伝わった。日本古来の伝統の多くは外国由来なのだ。茶の起源も中国。異なるものを排斥するのではなく、それらを上手く取り込むことだ。
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