エベレスト 40点
2024年8月7日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ジェイソン・クラーク ジョシュ・ブローリン
監督:バルタザール・コルマウクル
涼を求めて近所のTSUTAYAからレンタル。
あらすじ
エベレスト登頂を目指してカトマンズに多くの人間が集まった。その中には腕利きガイドのロブ・ホール(ジェイソン・クラーク)や自信にあふれるベック・ウェザーズ(ジョシュ・ブローリン)の姿もあった。彼ら彼女らはそれぞれの決意を胸にエベレストの征服を目指して歩み出すが・・・
ポジティブ・サイド
「なぜエベレストに登る?」「そこにあるからだ」という序盤の登山家たちのやりとりで、「ああ、登山バカの物語だな」と感じられた。ここで聞かれる日本人登山家の難波康子の言葉は大いなる〇〇フラグだったのか、と鑑賞後に感じられた。
エベレストという過酷すぎる環境を映像で描くことには成功していた。山は見上げる、人は見降ろすというカメラアングル多数で、常に山が上位という視点が一貫していた。特にクレバスを梯子でわたるシーンは、絶対に落ちないと分かっていてもヒヤッとするシーンだった。
ロブ・ホールには不本意ながらも共感した。「金を払っているんだぞ!」という顧客の要望に応えようとする思いと、これ以上の登山は不可能だと判断する理性の葛藤は、たいていのサラリーマンなら経験済みだろう。この遭難事故が彼のプロフェッショナリズムを強化したことは間違いない。
ネガティブ・サイド
序盤にガイドやシェルパについてベックが文句を言うシーンが多くあるが、これは事実なのだろうか。登山家よりも、はるかにエベレストのプロであるはずの彼らの言うことを軽視するような輩が主人公一人というのは受け入れがたかった。
『 神々の山嶺 』でも感じられたが、様々な装備や設備が登場するが、それらがどのような役割を果たしてくれるのかを少しで良いので説明してほしかった。トルコの五輪射撃代表銀メダリストの無課金おじさんが話題だが、普通は装備に投資する。何故それらに投資するのかについては、少しで良いので説明が欲しかった。
家族や恋人のやりとりのパートが、あまりにもこれ見よがしというか、くどかった。山のパートにもう少し比重を置くべきではなかったか。
白人男性だらけの中、日本人の難波康子にほとんど焦点が当たらない。2010年代前半のハリウッドは良い意味でも悪い意味でも politically correct ではなかったということがうかがい知れる。
総評
大自然に挑むといえば聞こえはいいが、本作の残す教訓は「専門家の言うことは聞け」、「自然は乗り越える対象ではなく畏怖する対象」ということだろうか。死に瀕する中で顧みてこなかった家族の姿が浮かんでくることを、感動的と捉えられるかどうかは人による。個人的には「うーむ・・・」だった。乗り越えるべきハードルは無数にあるが、『 神々の山嶺 』の製作スタッフで難波康子物語を作ってほしいと、本作を通じて強く感じた。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
Why do you climb?
Because it’s there.
「なぜ山に登るのか?」「そこに山があるからだ」という、よく知られた問答。もともとはジョージ・マロリーの言葉で、おそらく世界中で知られている。こうしたやり取りを実際の会話ですることはないだろうが、知っておくこと自体は損にはならないはず。
次に劇場鑑賞したい映画
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『 先生の白い嘘 』
『 新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! 』