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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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タグ: 監督:クエンティン・タランティーノ

『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 』 -パラレル・ワールド・ハリウッド・ストーリー-

Posted on 2019年9月6日2020年4月11日 by cool-jupiter

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 65点
2019年9月1日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:レオナルド・ディカプリオ ブラッド・ピット マーゴット・ロビー
監督:クエンティン・タランティーノ

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映画のタイトルとは何か。それは映画のプロットの究極の要約であり、映画のキャッチコピーでもある。つまり、これは昔話なのだ。昔話については『 サッドヒルを掘り返せ 』で少し触れた。端的に言えば、昔話とは心の原風景の物語である。そう、これはタランティーノの心の原風景にあるハリウッドの物語なのだ。

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あらすじ

リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)は俳優。そのスタントマンのクリス・ブース(ブラッド・ピット)はショーファーにしてシャペロン、公私にわたって兄弟以上妻未満のパートナーだった。だが、プロデューサーからはイタリアで映画に出演しろと言われ、リックは自分が落ち目であることを悟る。しかし、自宅の隣に『 ローズマリーの赤ちゃん 』の監督として絶大な人気を誇っていたロマン・ポランスキーとその妻にして女優のシャロン・テート(マーゴット・ロビー)が引っ越してきたことで、リックの役者魂は再び燃え上がり・・・

 

ポジティブ・サイド

レオナルド・ディカプリオは一作ごとに役者としての階段を駆け上がっていくようだ。どの作品を観ても、それがディカプリオの最高傑作のような気がしてくる。というのは、Jovianがディカプリの代表作の『 タイタニック 』を今もって未鑑賞だからなのだろうか。劇場公開時、Jovianは大学一年生だったが、当時のdream girlから「一緒に観に行こう」と言われて、それを言葉通りに受け取ってしまった。いつの間にか劇場公開は終わってしまっていた。少年老い易く、恋実り難し。

 

Back on track. ディカプリオ演じるリック・ダルトンも、文字通り生涯最高の演技を劇中で披露する。『 ジャンゴ 繋がれざる者 』の解剖生理学の講義およびメイドの脅迫シーンに匹敵するように感じた。タランティーノとディカプリオにはgreat chemistryが存在するのは間違いない。彼が呟く“Rick Fucking Dalton”という一言は、『 ボヘミアン・ラプソディ 』でラミ・マレックがリハーサルの最後にクイーンのメンバーにエイズであることを告げた後に、自分はパフォーマーであり、“Freddie Fucking Mercury”だと宣言した一言と全く同じ意味とニュアンスだ。本作はリック・ダルトンではなく、レオナルド・ディカプリオその人の練習やリハーサル・シーンも垣間見え、レオ様ファンにとって貴重な資料的作品にも仕上がっている。

 

ブラッド・ピットはディカプリオの影法師的存在だが、最良の友人でもある。そして中盤に大きな見せ場が待っている。デヴィッド・フィンチャー監督の『 セブン 』と『 ファイト・クラブ 』を彷彿とさせるシークエンスは、サスペンスとテンションの山場である。そして最終盤にはタランティーノをタランティーノたらしめる最大の要素の一つ、すなわち“暴力”が爆発する。言葉そのままの意味で笑ってしまうほどにユーモラスで、しかし、BGM無しで鑑賞すれば、低級スナッフフィルムかと見紛うチープな凄惨さである。おまけの部分は『 ゴーストバスターズ 』的なギャグシーンである。

 

タランティーノが『 続・夕陽のガンマン 』を激賞していることはよく知られているが、本作は彼のマカロニ・ウェスタンへの愛着とオマージュに満ちている。タランティーノにとっての心の原風景は1960年代終盤のハリウッドとマカロニ・ウェスタンなのだろう。『 アンダー・ザ・シルバーレイク 』はハリウッドのアンダーグラウンドな面に光を当てた。『 ラ・ラ・ランド 』はロサンゼルスという土地へのラブレターだった。タランティーノは、ダークにしてチアフルなパラレル・ワールドのハリウッド世界がここに完成した。これでタランティーノも思い残すことが一つ減ったのだろう。『 マーウェン 』と同じく、芸術は人間よりも長く生きる。人間は変わるが、芸術は変わることなく存在し続ける。

 

ネガティブ・サイド

タランティーノはブルース・リーを一体何だと思っているのか。『 キル・ビル 』で見せたブルース・リーへのリスペクトは見せかけに過ぎなかったのか。それとも、タランティーノが評価するブルース・リーは俳優としてのブルース・リーであり、ブルース・リーその人の哲学や格闘能力ではなかったのか。ブルース・リーがハリウッドに及ぼした、そして現代にも残した影響の大きさを考えれば、本作におけるブルース・リーの扱いには賛否両論が出るだろう。というか、否が圧倒的に多いのではないだろうか。

 

“The Haunting of Sharon Tate”(邦題『 ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊 』)のニュースをたまたま読んでいたからよかったものの、Jovianの嫁さんはプロット全体を通じて何を言わんとしているのか、さっぱり分からなかったようである。確かに親切な作りであるとは言えない。ナタリー・ウッドをネタにするにしても、皆が皆、『 ウエストサイド物語 』などを観ているわけでもないはずだ。もう少し、この仮想のハリウッドについて説明的な要素が欲しかった。

 

総評

『 パルプ・フィクション 』のクオリティを期待してはならない。シャロン・テートやナタリー・ウッドについての知識がほんの少しでもあれば話は別だが、予備知識なしで観てしまうと、「各シーンは笑えたし、泣けたし、震えたけど、全体としては何だったんだ?」となってしまうだろう。劇場に向かうのであれば、これはクエンティン・タランティーノがハリウッドに関する記憶や思い出を自分なりに美化したパラレル・ワールド物語なのだと承知しておこう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I’m sorry about that.

 

ディカプリオがこう言って涙を流すシーンがある。ポイントはaboutという前置詞である。be sorry about ~で、~について謝る、ごめん、すまない、などの意味になる。対して、be sorry for ~で、~を気の毒に思う、という感じの意味になる。前置詞に関しては覚えてしまうのが早道だが、文字だけではなく、状況とセットで覚えた方が断然良い。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, アメリカ, ブラック・コメディ, ブラッド・ピット, マーゴット・ロビー, レオナルド・ディカプリオ, 監督:クエンティン・タランティーノ, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンターテインメントLeave a Comment on 『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 』 -パラレル・ワールド・ハリウッド・ストーリー-

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