ナイトメア・アリー 60点
2022年4月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ブラッドリー・クーパー ケイト・ブランシェット トニ・コレット ルーニー・マーラ
監督:ギレルモ・デル・トロ
簡易レビュー。
あらすじ
スタン(ブラッドリー・クーパー)は、偶然出会ったカーニバルで仕事を得る。スタンはそこで様々なショーを学び、また自身も読心術を身に着ける。そして、いつしかモリー(ルーニー・マーラ)と共に恋仲になるが・・・
ポジティブ・サイド
ブラッドリー・クーパーの好演が光る。貴族的な顔立ちをしているが、この役者は堕ちていく役を演じさせると本領を発揮する。
出演陣は非常に豪華。ルーニー・マーラは楚々とした美女役が似合うし。ケイト・ブランシェットも妖しげな美魔女として存在感を発揮した。
見世物小屋の一団というのも時代を感じさせるが、こうした江戸川乱歩的な世界観のビジュアルは個人的には嫌いではない。むしろ好物である。なのでカーニバルの中でスタンが徐々に居場所を確立していく序盤は楽しませてもらった。
詐術で都市の権力者や金持ちに取り入っていく様もなかなか見応えがあった。カネの力で死者と交信あるいは再会しようなど、あさましいことこの上ない。しかし、そうした富裕層から搾り取れるだけ搾り取ろうとするスタンには共感できるし、やりすぎたスタンが破滅していく様も理解できる。
ネガティブ・サイド
あまりにも予想通り過ぎる展開。冒頭で正体不明の死体を家ごと焼失させるシーンから、ハッピーエンドには決してならないことが分かる(原作小説の作者はカトリーヌ・アルレーではないので)。では、どんなバッドエンドを迎えるのかと想像するわけだが、これもすぐにピンとくる。ある意味でトレイラーですべてネタバレしている作品だろう。
スタンが金に執着する背景が不透明だ。もちろん人間だれしもカネへの欲求はあってしかるべきだが、そのあたりの描写が不足している。もう少し父親との関係(の悪さ)を匂わす描写があれば、ウィレム・デフォーやロン・パールマンらのキャラクターとの絡みに深みが出ただろう。
トニ・コレットにもう少し見せ場が欲しかったと思う。
総評
『 シェイプ・オブ・ウォーター 』のモンスターと同じく、恐ろしく思える存在も実はそうではない、というところがギレルモ・デル・トロらしいと言えばらしい。CG全盛の今という時代でも、大道具や小道具、衣装その他も、デル・トロらしい力の入れようである。サスペンスとしては、まあまあ面白い。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
mentalist
読心術の使い手、の意。DaiGoのようなアホではなく、サイモン・ベーカー主演のテレビドラマ『 メンタリスト 』を観る方が、この言葉の意味がより正確に把握できるだろう。