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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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タグ: リリ・ラインハート

『 ガルヴェストン 』 -逃避行ものの佳作-

Posted on 2020年2月29日 by cool-jupiter

ガルヴェストン 60点
2020年2月24日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:エル・ファニング ベン・フォスター リリ・ラインハート
監督:メラニー・ロラン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200219222019j:plain
 

シネ・リーブル梅田で見逃した作品。あの怪作『 複製された男 』にメインキャストとして出演していたメラニー・ロランの監督作ということは後で知った。これは観るしかない。

 

あらすじ

裏社会の男ロイ(ベン・フォスター) は肺を病んでいた。医師の説明もまともに聞かず病院を去ったロイは、組織のボスに命じられるまま仕事先に向かう。だが彼はそこで襲撃を受ける。組織はロイを始末しようとしたのだ。相手を撃ち殺したロイは、その場に居合わせた若い娼婦のロッキー(エル・ファニング)を連れ、逃亡の旅に出るが・・・

 

ポジティブ・サイド

ベン・フォスターがベテランの貫禄を見せれば、エル・ファニングも新鋭以上の存在として重厚な演技を見せる。水着などはただのサービスに過ぎない。酒場での酒の飲み方、たばこの吸い方に咥え方、歩き方に笑い方、すべてに slutty な雰囲気をまとっていた。『 ウォールフラワー 』のエマ・ワトソンも悪くなかったが、彼女はどうしてもハーマイオニーのイメージから脱却できないところがある。エル・ファニングは『 マレフィセント2 』でも、充実の初夜を過ごしたという表情を見せていた。つまりは演技派なのだ。

 

だが、ファニング以上に印象に残ったのは、テキサス州ガルヴェストンの安モーテルを経営するナンシー・コヴィントンを演じたC・K・マクファーランドである。このオバちゃんの放つ存在感よ。『 影踏み 』の安宿のお上もそれなりに裏街道の人間という風情があったが、比較にならない。地下世界の殺し屋や素性不明の娼婦相手に初対面で上下関係を植え付け、それでいて包容力も見せつける。BiographyをIMDbでチェックしたが、映画やテレビドラマのチョイ役として息長く活躍している女優のようである。このオバちゃんの圧倒的なオーラを体感するだけでも本作を観る価値はあるだろう。

 

物語はテキサスの陽光や海のきらめきを活写しつつも、ストーリーはダークな領域に向かっていく。不惑のロイと19歳のロッキーの間に小さな女の子が入ってくることで、物語が陳腐なロマンスに堕してしまうことを防いでいるし、この子の存在がエンディングに驚きと彩りを与えている。どこかアメリカン・ニューシネマを思わせる作りである。エル・ファニングの新境地・・・とまでは言わないが、新しい一面に触れられるだろう。

 

ネガティブ・サイド

アメリカン・ニューシネマを思わせるというのは、アメリカン・ニューシネマではないからそう言えるわけである。ロイという殺し稼業の男の運命が、途中で見えてしまうのが本作の弱点である。これ見よがしにロイにタバコを吸わせるのは逆効果だった。

 

逃避行にあまり緊張感がないのが残念である。『 ベイビー・ドライバー 』のように、明らかに警察に追われているという単純なスリルやサスペンスがないし、ロイの属していた組織やそのボスの怖さもあまり伝わってこない。ロイの犯した殺人がテレビのニュースで報じられるシーンというのは、それまでのロイのプロフェッショナルな姿勢や警戒心がただの杞憂だったように感じられるのである。逃亡劇が面白いのは、『 逃亡者 』のリチャード・キンブルのように逃げる者が肉体的に強者ではなかったり、あるいは漫画『 カムイ伝 』の抜け忍びカムイのように逃げる側が実力者であったりする場合である。ロイは弱くもなく、さりとて強くもなくという感じである。超凄腕であるが、病気のために弱っている・・・という描き方をすれば、また異なる緊張感を生み出せたのではないだろうか。

 

中盤にロッキーが客を取るシーン(明確に描写はされないが)では、どこで手に入れてきたのか、whoreのコスチュームをゲットしてくる。どこで買ってきたのか。なぜ買ってきたのか。いつ買ってきたのか。このあたりの展開や描写にリアリティを著しく欠いていた。

 

終盤の展開と描写が、どことなく『 ベイビー・ドライバー 』と重複する。ガン・アクションやカーアクションは、正直言って拍子抜けするレベルである。このあたりにもう少し力を入れれば、芸術度は上がらなくても娯楽性は上がっただろう。劇場で鑑賞すれば、ポップコーンがもうちょっとは進んだに違いない。

 

総評

傑作ではないが、駄作でもない。COVID-19が本格的に流行し始め、不要不急の集まりや外出は控えよとの政府のお達しも出ている。手持無沙汰の終末に、レンタルや配信で自宅で気軽に鑑賞するのに向いている作品である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Just so you know

「一応言っておくけど」、「念のために言わせてもらうが」のような意味合いである。Jovianが感銘を受けたNancy Covingtonが“I’m friends with lots of cops, just so you know.”とロイに不敵に言い放つシーンは迫力満点である。自分で使えずとも、こうしたすべての単語は知っていても、それらが組み合わさると字面にはない意味になる表現というのは、知っておいて損はない。『 女神の見えざる手 』でも聞かれた。英語好きな人にはこちらの動画(02:38~)を勧めたい。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, アメリカ, エル・ファニング, ヒューマンドラマ, ベン・フォスター, リリ・ラインハート, 監督:メラニー・ロラン, 配給会社:クロックワークスLeave a Comment on 『 ガルヴェストン 』 -逃避行ものの佳作-

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