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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: シンシア・エリヴォ

『 ウィキッド ふたりの魔女 』 -やや冗長だが楽しい-

Posted on 2025年3月9日 by cool-jupiter

ウィキッド ふたりの魔女 65点
2025年3月8日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:シンシア・エリヴォ アリアナ・グランデ
監督:ジョン・M・チュウ

15年ぐらい前に劇団四季のミュージカルで鑑賞した。たしかエルファバ役が韓国人女優だったかな。

あらすじ

緑の肌をもって生まれてきたエルファバ(シンシア・エリヴォ)は、妹ネッサのシズ学園への入学に付き添ったところ、ひょんなことから自身も入学・入寮することに。ルームメイトのガリンダ(アリアナ・グランデ)とは全くうまが合わず・・・

ポジティブ・サイド

Wickedのタイトルが大きく表示されたところでニヤリ。これは『 オズの魔法使 』のタイトルそっくり。オリジナルに敬意を払っていますよ、というアピールはこれだけで成功した。あとはエルファバが自転車に乗るシーンはミス・ガルチへのオマージュで、これにもニヤリ。

オリジナルのミュージカルの楽曲をほぼそのまま使っていることに好感が持てた。特に

 Defying Gravity は舞台と変わらず圧巻の出来。歌手であるシンシア・エリヴォをキャスティングした理由はやはりこれだったかと得心できた。No Good Deed と For Good も楽しみである。

エルファバが象徴的な黒い魔女のコスチュームを身に着けるようになるまでの流れも自然で、反目しあっていたガリンダとの間に友情や共感が芽生える場面も感動的だった。

かつてジェームズ・フランコも『 オズ はじまりの戦い 』で小憎らしい詐欺師を演じていたが、胡散臭い男を演じさせればフランコよりもはるかに上のジェフ・ゴールドブラムには笑わせてもらった。

オズという「夢」の国にも、魔女狩りという他者への究極の不信感や共通の敵を生み出すプロパガンダが蔓延する様を描くことで、現実世界の在りように対する反省を促す作りになっているのも悪くない。残念ながら、現米政権は多様性や平等の排除を着々と進めている。幸いと言うべきかどうかは分からないが、本作はアメリカでは大ヒットだそうな。

ネガティブ・サイド

事前に情報を仕入れなかった自分が悪い面もあるが、Part 1ならPart 1と事前に言っておいてほしい。ミュージカルで二部作なんか、過去にあったか?

ミュージカルを観た時には感じなかったが、なぜ動物が迫害の対象となっている世界で、肌が緑とはいえエルファバまで嘲笑や無視の対象になるのだろうか。エルファバの家では普通に動物の助産師や乳母、召使いがいた。ディラモンド先生の言う

フィエロのキャラクターが少し違う気がする。ガリンダと意気投合するのはいいが、もう少し性格というか考え方が・・・おっと、これ以上は言ってはいけないんだったか。

ミシェル・ヨーがマダム・モリブルを演じたことに違和感はなかったが、歌が壊滅的に下手だった。ここは吹き替えても良かったのでは?

総評

レイトショーで鑑賞したが、かなりの入りだった。日本でも出だしは好調のよう。やたらと長いという点は大きなマイナスだが、エンターテインメントに徹しつつも、現実の社会への批判の意味も込められていて、大人の鑑賞にも子どもの鑑賞にも応えられる仕上がりになっている。大阪の四季劇場に行こうかと思ったが、すでに全日が完売。映画の方もミュージカルに負けずヒットしてほしい。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

blonde

女性の金髪の意。しばしば能天気と同義。男性の場合はblondと最後のeなしで綴る。これは男性婚約者=finace、女性婚約者=financeeと同じくフランス語に起源を持つため。英検準1級以上を目指すなら知っておこう。

次に劇場鑑賞したい映画

『 プロジェクト・サイレンス 』
『 ロングレッグズ 』
『 ゆきてかへらぬ 』

Posted in 未分類Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, アリアナ・グランデ, シンシア・エリヴォ, ファンタジー, ミュージカル, 監督:ジョン・M・チュウ, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 ウィキッド ふたりの魔女 』 -やや冗長だが楽しい-

『 ハリエット 』 -英傑を神格化しすぎたか-

Posted on 2020年6月7日2021年1月21日 by cool-jupiter

ハリエット 65点
2020年6月6日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:シンシア・エリヴォ ジャネール・モネイ
監督:ケイシー・レモンズ

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200607223959j:plain
 

これまでにも『 グリーンブック 』や『 アメリア 永遠の翼 』、『 2019年総括と2020年展望 』など、当ブログでもハリエット・タブマンについては何度か触れてきた。その映画がついに公開である。極端な話、Jovianはコロナ禍の今年はこれと『 ゴジラVSコング 』だけで良いとすら思っていたほどである。Don’t get your hopes up …

 

あらすじ

アラミンタ・ロス(シンシア・エリヴォ)は、メリーランド州で奴隷として過酷な労働に従事させられていた。ある時、さらに過酷な南部へ売り出されることになったミンティはブローダス家から逃げ出し、自由のある北部を目指す。無事に逃げ切ったミンティは、名をハリエットに変え、南部奴隷の解放に尽力するようになり・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200607224019j:plain
 

ポジティブ・サイド

Jovianは英会話講師(現在はトレイナー業務がメインになっている)で、特にTOEFL iBTを担当することが多かった。なのでアメリカ近現代史はそれなりに勉強せざるを得なかったし、その中で最も多く名前が出てくる人物というのはユリシーズ・グラント、ジョージ・ワシントン、ハリエット・タブマン、ジョン・ミューアあたりだろうか。トレイラーでシンシア・エリヴォを見た時、キャスティングの正しさを直感した。そして実際に本編を観て、キャスティングの正しさを確認できた。シンシア・エリヴォは、演技力だけではなく歌唱力と存在感でハリエット・タブマンという立志伝中の英傑をスクリーン上に現出せしめた。特に印象的だったのは「決めつけないで!」と一喝するシーン。女性だとか黒人だとかの前に、人間としての尊厳を問う、非常に鋭い演出だったと感じた。

 

公開のタイミングが良いのか悪いのか分からないが、警察官によるジョージ・フロイド氏の殺害事件、それに対する抗議(暴動は除く。あの大多数はよその土地から来た火事場泥棒であることが判明している)が静かな内戦状態(英語ではThe Civil War = 内戦 ≒ 南北戦争)になっているところを見れば、黒人差別問題の根深さがどこまで遡れるかが分かるだろう。そうした奴隷たちが歌うバラードが一種の暗号として働くところは、史実を知る者としてニヤリとさせられた。同時に、作業の手を止めると容赦なく暴力を振るわれる労働環境にも慄然とさせられた。自分がテキストや問題集、ネット上のpassageで知っていたハリエット・タブマンとその時代が、情報ではなく、現実として迫ってきたからだ。

 

ハリエットの女モーゼとしての活躍は目覚ましい。Jovianの知識では彼女は北部のフィラデルフィアに脱出後に19回南部へ旅立ち、合計で200~300人(一説には800人とも)の脱出を助けたとも言われているが、本作は70人という数字を呈示した。それもリアリスティックな数字だろう。徒歩で、集団で、馬と犬と銃で追ってくる相手から数日~数十日を逃げ切るというのがどれほど大変なことか。そうした逃走劇の難しさも本作は描いている。

 

当然ながら、歌や音楽も素晴らしい。特にTheme Songである“Stand up”は、『 キャッツ 』の主題歌“Beautiful Ghosts”に勝るとも劣らない哀切さと希望への確信をもって歌われているし、サム・クックの“A change is gonna come”とボブ・マーレーの“Redemption Song”のように聞く者にインスピレーションを与えてくれもする。これもまたシンシア・エリヴォの起用が正解たる理由である。

 

それにしても日本の映画レビューサイトや評論家は、ハリエット・タブマンを指して「紙幣に載るのは黒人女性として初」のような御幣のある表現、あるいは自分自身が誤解している、もしくは勉強不足であることを露呈してしまうかのような書き方をするのだろうか。ハリエット・タブマンは黒人女性として初なのではなく、女性として初であり、もっと言えばアメリカ紙幣にこれまで顔が載ったのはすべて大統領である。ゆえにハリエット・タブマンを正確に評するなら、「大統領以外でアメリカ紙幣に載った人物」となる。そして2020年現在、アメリカ史に女性大統領は存在していないし、今年2020年に女性候補者が立つ見込みもない。

 

ネガティブ・サイド

ハリエットが散発的な失神症状に悩まされていたのはよく知られている。だが、意識を喪失している間に神と交信していた、というのは初めて聞いた。おそらくケイシー・レモンズ監督の独自解釈なのだろうが、ハリエットの妙な神格化はやめてほしかった。『 ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男 』にもあったように、沼地の渡れるポイントを知るごく一部の人間、のような描かれ方の方が好ましかった。劇中でも川を渡っていたが、実際にハリエットが追っ手を振り切るのに使った地形は沼が最も多かったとされている(Jovianが文献などで知る限りでは)。その卓越した自然の観察力と洞察力、人間の五感と運動能力をフルに駆使して追走者から毎回見事に逃げおおせる、という描写はできなかったのだろうか。

 

ジョー・アルウィン演じる領主の描写にも不満である。これではまるで『 ジャンゴ 繋がれざる者 』のディカプリオではないか。もちろん、当時の白人地主がああいう格好であったことは承知している。それでも、これではあまりにもstereotypicalであるし、ハリエットの追走者として役不足である。

 

ハリエット・タブマンと言えば「地下鉄道」、「地下鉄道」と言えばハリエット・タブマンのはずだが、肝心かなめのこの人的ネットワークがほとんど描写されなかった。地下鉄道のユニークなところは黒人と白人、両方で構成されているところで、なおかつそのネットワークの全容を知る人間がほとんどいなかった、と考えられているところである。実際に劇中でも、逃走奴隷をかくまったとしてハリエットの父が追われることになるが、組織の全容を知る人間が増えるとそれだけ危険が増す。誰か一人でも捕まって拷問されてしまったら組織として一巻の終わりだからである。そうした人的ネットワークの広大さと緻密さ、その大きさを全て知っている組織人かつ一匹狼のハリエットという人間像が打ち出されなかったのは個人的には少しがっかりであった。

 

総評

普通に面白い作品、標準以上のレベルに仕上がった伝記映画のはずだが、観る側が期待に胸を高鳴らせすぎたようである。ただし、これはハリエット・タブマンをそれなりによく知っている人間の感想である。実際にJovianの嫁さんはかなり感動したらしく、本作を絶賛していた。現実の世界と本作を重ね合わせて見ることで、様々なものが浮かび上がって来るという意味では、単なるエンタメ的な伝記以上の価値があるだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

emancipation

「自由」、「解放」といった意味である。劇中ではfreedomやliberationといった語が使われていたと記憶しているが、emancipationはなかった。だが、アメリカの奴隷解放には、このemancipationが使われている。Freedom, liberation/liberty, emancipationの使い分けが適宜にできるようになれば、英検1級レベルの手前ぐらいだと判断できる。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, ジャネール・モネイ, シンシア・エリヴォ, 伝記, 歴史, 監督:ケイシー・レモンズ, 配給会社:パルコLeave a Comment on 『 ハリエット 』 -英傑を神格化しすぎたか-

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