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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: アリシア・ヴァイキャンダー

『 グリーン・ナイト 』 -エスクワイアの旅物語-

Posted on 2022年12月19日 by cool-jupiter

グリーン・ナイト 55点
2022年12月17日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:デブ・パテル アリシア・ヴァイキャンダー ジョエル・エドガートン
監督:デビッド・ロウリー

古代や中世のファンタジーは定期的に観たくなる。DQやFFといったゲームで育ったJovian世代なら尚更である。

 

あらすじ

アーサー王の甥であるサー・ガウェイン(デブ・パテル)は、クリスマスの日、円卓の騎士たちが集う王の宴に招かれた。そこに緑の騎士が現れ、自分の首を切り落とす者はいないかという遊び事を持ちかけてきた。ガウェインはその遊び事に乗り、緑の騎士の首を落とす。しかし、騎士はガウェインに「1年後にミドリの礼拝堂へ来い。その時、自分がお前に同じことをする」と言い残し、去っていった・・・

ポジティブ・サイド

中世(といっても古代に近い中世か)の英国の雰囲気が画面全体に溢れている。石造りの建造物はやはりエキゾチックに感じる。ガウェインの旅路の大自然の豊饒さと荒々しさも素晴らしい。

 

ガウェインが行く先々で経験するイベントが非常に王道RPG的。『 アクアマン 』とは違い、これらのイベントが物語の侵攻を助けるのではなく、あくまでもエスクワイア=騎士見習いであるガウェインの成長や内省につながっている。

 

最後にたどり着く緑の礼拝堂で再会する緑の騎士との対話、そこでガウェインの脳裏を駆け巡るビジョンは、まさに騎士としての生き様の成就だったのだろう。そこまでなら普通の中世ファンタジーなのだが、面白いのはガウェインが追い求めた名誉。名誉とは他者からの称賛なしには得られない。しかし、旅路の中で出会う人々は騎士としての名誉を時に傷つけ、時に無理解、無関心を示す。そう、本当の騎士は認められるものではなく、自らそうあろうとする者なのだ。

 

ネガティブ・サイド

ダークファンタジーだからといって、本当に画面を暗くしてどうする。一部、本当に何も見えないシーンがあった。映画ファンが不満たらたらだった『 GODZILLA ゴジラ 』のMUTOとゴジラの夜の決戦シーンよりも暗い。誰が何をやっているのか見えない。何故にこんな画を複数も撮ってしまったのか。

 

肝心のグリーン・ナイトに関する知識をもっと共有してほしかった。緑に関する哲学的な問答が終盤にあるのだが、もっとグリーン・ナイトそのものに関してキャラクターたちに語って欲しかった。『 MEN 同じ顔の男たち 』のグリーン・マンもかなり謎の存在だったが、彼らには何か共通点があるのだろうか。アーサー王の物語なら解説は不要に思うが、英国とグリーン・ナイトやグリーン・マンといった超常的な存在については説明不足に感じた。

 

主演のデブ・パテルは『 ホテル・ムンバイ 』でははまり役だったが、今作では今一つ。この時代のグレート・ブリテン島にインド人はいないはず。デブ・パテルは悪い役者ではないが、このキャスティングが最適だったとは思えない。

 

総評

ある程度アーサー王伝説について知っておく必要がある・・・とまでは言わないが、その知識があることが望ましいのは間違いない。その意味で、間口が広い映画とは言えない。ただ古典的なRPGゲーム程度の知識があれば、ガウェインが行く先で経験するあれやこれやのイベントを楽しむことはできる。GOGのグルートのモデルはグリーン・ナイトなのかな?といったような疑問を楽しみながら鑑賞すればいい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

believe in ~

劇中では “Do you believe in magic?” =「あなたは魔法を信じますか?」という感じに使われていた。

believe ~ = ~を(良いもの、または正しいものだと)信じる
believe in ~ = ~の存在・能力・価値などを信じる

としっかり区別して覚えよう。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ホワイト・ノイズ 』
『 夜、鳥たちが啼く 』
『 ケイコ 目を澄ませて 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アイルランド, アメリカ, アリシア・ヴァイキャンダー, カナダ, ジョエル・エドガートン, デブ・パテル, ファンタジー, 監督:デビッド・ロウリー, 配給会社:トランスフォーマーLeave a Comment on 『 グリーン・ナイト 』 -エスクワイアの旅物語-

『 二ツ星の料理人 』 -レーゾンデートルを見失った男の再生物語-

Posted on 2018年12月27日2019年12月6日 by cool-jupiter

二ツ星の料理人 55点
2018年12月19日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ブラッドリー・クーパー ユマ・サーマン アリシア・ヴァイキャンダー リリー・ジェームズ
監督:ジョン・ウェルズ

f:id:Jovian-Cinephile1002:20181227024144j:plain

今、最も旬を迎えつつあるリリー・ジェームズやアリシア・ヴァイキャンダーが結構なチョイ役で出演している。それだけでも観る価値があるし、細部に注意を払えば、非常に興味深い東西比較文化論ができる作品でもある。今度、”What is the best culinary experience you have ever had in a foreign country?” というお題でエッセイでも書いてみようか。

 

あらすじ

アダム(ブラッドリー・クーパー)は天才的な料理の腕前を持ちながら、酒、ドラッグ、女に溺れ、トラブルと借金のためにパリの二つ星レストランを去るしかなかった。3年後、彼はかつての同僚らと和解し、自らが見出した才能たちと再起のために新しい店をオープンさせ、ミシュランの三つ星を目指すべく奮闘するのだが・・・

 

ポジティブ・サイド

ブラッドリー・クーパーの出演作には基本的に外れが無い。その演技力もさることながら、駄作、凡作、佳作を本能的に嗅ぎわける嗅覚に優れているのだろうか。いつでも自信満々、自らの才覚と実績を隠すことなく誇り、仕事は大胆にして繊細、しかし気に入らないものには言葉の暴力と物理的な暴力を容赦なく行使する。そんな豪放磊落なキャラクターというのは、往々にして傷心と小心の裏返しなわけで、アダムもその例に漏れない。彼が傷つき、恐れたものとは何であるのか。劇中のカウンセラーとのセッションが印象的だが、それすらもある意味では彼の本心を包み隠さず語ったものではない。そう、本作は料理人の成長物語であるだけではなく、傷ついた男の再生物語でもあるのだ。

 

本作の序盤の料理シーンでは、極力、顔と手を同時に映さないようにしている。しかし、シーンが進んでいくごとに、料理シーンでは役者の手と顔を同時に映すようになっていく。これはウェルズ監督の意図した画作りだろうか。役者の成長と上達が、キャラクターの成長と上達にオーバーラップする、非常に良い演出であると感じた。

 

演出面で言えば、アダムが上着のボタンをはずすシーンがあるのだが、それが緊張から解放されたことを見事に象徴している。アダムの成長というか、変化を如実に実感させてくれるのだが、そのことを本人あるいは他の登場人物に説明させるのではなく、演技して見せる。映画の基本にして究極でもある。北野武の『 アウトレイジ 』でも、椎名桔平がカジノでジャケットのボタンをゆっくりと留めるシーンがあったが、こちらは緊張が高まるシーンだった。対照的ではあるが、どちらも語らずに見せる、印象的なシーンだ。

 

観終わってから、本作の原題が Burnt である意味をほんの少し考えて見て欲しい。そしてここで納得のいく定義を自分なりに探してみよう。

 

ネガティブ・サイド

何故この映画に出てくる料理人はどいつもこいつも煙草を吸うのだ?いや、煙草を吸うだけならまだいい。結構な重要キャラが自室兼キッチンで堂々と喫煙するというのは、いったいどういう料簡からだろうか。

 

また、これは大部分は文化の違いに起因するのだろうが、何故西洋の料理というのは、素材に無頓着(に見える)のだろうか。フランス料理に関して言えば、都パリは意味から遠く、新鮮な魚介類がパリに着くころには、保存状態がかなり怪しくなっていた。したがって、濃厚なソースが必要になる。また英国は産業革命発祥の地であるがゆえに、農村や郊外から都市部への人口の流入があまりにも急激だった。それゆえに各地の伝統的な食材や料理法が継承されず、大量生産に適した都市型の味気ない料理が残ったという。いずれにしても、東洋が大切にする素材の良さと、料理そのものの熱が伝わらないのは、個人的には大いに不満である。このあたりは『 クレイジー・リッチ! 』や『 日日是好日 』といった作品が活写した文化としての食が伝わらなかった。もちろん、洋の東西の違いは十二分に承知しているが、ミシュランが大阪のたこ焼き屋にまで星をつけたりするこの時代、全てが白の丸皿に盛りつけられただけで「食べるのをやめられない料理」の魅力は十全には伝えられないだろう。

 

本質的には料理人ではなく、ブロークン・ハートな男の物語である。しかし、食材や調理のシーンにもっともっと凝って欲しかったと思う。リアリティとは、こだわりなのだから。

 

総評

普通に楽しめる作品である。しかし、料理人や料理そのもの、また食す側の人間や、食のレビュワーまでも描いた作品『 シェフ 三ツ星フードトラック始めました 』の方が面白さでは一段上であろう。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, アメリカ, アリシア・ヴァイキャンダー, ヒューマンドラマ, ブラッドリー・クーパー, ユマ・サーマン, リリー・ジェームズ, 監督:ジョン・ウェルズ, 配給会社:KADOKAWALeave a Comment on 『 二ツ星の料理人 』 -レーゾンデートルを見失った男の再生物語-

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