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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 配給会社:角川ANIMATION

『 メイクアガール 』 -娯楽性なし、哲学性なし-

Posted on 2025年2月27日 by cool-jupiter

メイクアガール 20点
2025年2月23日 Tジョイ梅田にて鑑賞
出演:堀江瞬 種﨑敦美
監督:安田現象

 

人工知能+ロボットものということでチケットを購入するも、こんな disastrous な作品だったとは・・・

あらすじ

天才少年科学者の水溜明(堀江瞬)は、研究者としての壁にあたって悩み苦しんでいた。ある時、彼女ができたことでバイト先でのパフォーマンスが2倍になったと友人に聞かされた明は、自分にもガールフレンドがいれば研究者として殻を破れると確信し、人造人間「0号」を生み出すが・・・

 

ポジティブ・サイド

第一人類がいわゆる普通の人類、第二人類が明のようなサイボーグ・・・という表現が適切でなければ、体の一部を機械化した人類ということになるか。そして第三人類は、いわゆるホムンクルスということなのだろう。この設定だけは気に入った。仕事で毎日のように生成系AIをぶん回している身としては機械に意識や知性が宿るとは思えない。うちの上司も「意識や知能は脳またはDNAにしか宿らない」という趣旨のことを言っていて、Jovianも概ね同意する。そうした意味で第三人類という区分だけは興味深かった。



ネガティブ・サイド

いつまでこうしたオタク作品は『 新世紀エヴァンゲリオン 』に阿り続けるのか。綾波レイ的な0号に惣流アスカ的なクラスメイト。これだけでハーっと大きなため息が出てきた。そして『 GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 』のフチコマのパクリとしか思えないソルトというガジェット。オリジナリティはないのか。影響を受けるのは結構だが、それを乗り越えようという気概が微塵も感じられないではないか。

 

また主人公の明も研究者のパフォーマンスを心得違いしている。情報科学的にAIを研究するにしろ、工学的にロボットを開発・改良するにせよ、求められるのは作業効率ではなく一種のブレイクスルーあるいはパラダイムシフトである。そこを完全にはき違えている主人公には呆れるしかなかった。

 

科学的な部分はSFエンタメなので目をつぶれるが、色々とおかしな構図もちらほら存在していた。たとえばバイト先で笑顔を上手に作れないという0号が、ようやく客のもとに給仕するシーン。客に笑顔を見せることに胸をなでおろすバイト仲間たちだが、そこから見えるのは0号の背中。どうやって表情を見たのだろう。そういった不可解な構図のシーンがいくつもあった。

 

キャラクターもぶれている。猫背でシャキシャキと歩けない明が、突如として謎の身体能力を発揮する展開には白けるしかなかった。

 

本作の最大の欠点は、明と0号の関係性の描写が完全に的外れだったところにある。第一にクラスメイトとバイト先の先輩の恋愛模様の描写あるいは説明が圧倒的に不足していた。たとえば二人でカラオケに行った、ボーリングに行った、ショッピングをした。初めて手を握った、初めてハグをした。そうした関わり方一つひとつでバイトだったり、あるいは勉強だったり部活だったりに身が入った。それを見た明が0号と一緒に疑似デートをする。しかし何かが違う。そうした違和感の積み重ねから、自分が本当に必要としていたのはガールフレンドではなく母親、あるいは母性あふれるガールフレンドだったことに気付いた明は・・・という展開なら、ストーリーにもっと説得力やリアリティが生まれていたはず。

 

作品の質とは直接に関係がないが、客層も非常に悪かった。とにかく予告編の前も予告編の最中もずっとしゃべっているオタク集団がいて、本編開始直前に別の客から「うるさいよ」と声を掛けられるまでしゃべり続けていた。彼が注意しなければJovianが注意していたことだろう(座席はだいぶ離れていたが)。さらに帰りのエレベーターでもネタバレお構いなしにしゃべり続けている。『 レディ・プレーヤー1 』の帰りでもオタク客たちがのべつ幕無しに劇場外でもしゃべり続けていたが、オタクにも最低限の社会性は必要だろうと改めて考えさせられた。

 

総評

一人で脚本やら演出やら監督やらで大変という意味では『 侍タイムスリッパ- 』や『 ごはん 』の安田淳一に通じるものがある。しかし、こちらの安田監督には人間に対する考察が少し足りないという印象を持つ。人造人間とまではいかずとも、浅いレベルでなら人間と違和感なくコミュニケーションが可能なAIが出現しているという時代に本作を送り出すというセンスは悪くない。主人公の明と同様、もう少し健全な世俗の歓楽を経験することが必要かもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You can’t make an omelette without breaking (some) eggs.

劇中でとあるキャラが「犠牲なしには成果は出せない」というようなことを言っていたが、英語にはそれにぴったりの表現がある。それが上の「卵を割らずしてオムレツは作れない」という慣用表現。someはあってもなくてもいい。無しで言う方が多いかな?チーム内に不破が生じたものの、目標としていた売り上げを達成できた、というような時に使ってみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 マルホランド・ドライブ 』
『 バンパイアハンターD 』
『 プロジェクト・サイレンス 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, E Rank, SF, アニメ, 堀江瞬, 日本, 監督:安田現象, 種﨑敦美, 配給会社:角川ANIMATIONLeave a Comment on 『 メイクアガール 』 -娯楽性なし、哲学性なし-

『 映画大好きポンポさん 』 -映画という沼にハマれ-

Posted on 2021年6月22日 by cool-jupiter

映画大好きポンポさん 75点
2021年6月12日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:清水尋也 小原好美
監督:平尾隆之

 

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タイトルだけで鑑賞決定。『 ビューティフルドリーマー 』や『 鬼ガール!! 』と同系列の、映画を作る映画である。好物ジャンルの鑑賞前は Don’t get your hopes up. が鉄則であるが、本作は期待に胸を膨らませた状態で鑑賞しても、十分に面白かった。

 

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あらすじ

ジーン(清水尋也)は映画以外に好きなものが何もない青年。ニャリウッドの地で敏腕映画プロデューサーのポンポさん(小原好美)のもとでアシスタントを務めていた。ある新作映画の15秒のティーザー・トレイラーを作るように言われたジーン。腹をくくって作ったトレイラーはなかなかの出来。そこでポンポさんは自身が執筆した脚本を映画化する、その監督はジーンだと告げてきて・・・

 

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ポジティブ・サイド

『 くれなずめ 』でJovianの後輩が映画のプロデューサーを務めていたが、その仕事がどういったものであるかを分かりやすく見せてくれる作品。映画監督がプロ野球の監督だとすれば、映画プロデューサーはプロ野球チームのゼネラルマネージャーと言えるだろうか。

 

舞台がニャリウッドというハリウッドのパロディであり、ポンポさんという深夜のアニオタ向けアニメのキャラのような少女がプロデューサーである。つまり現実味がない。そこが良い。キャラは立ってなんぼである。奥泉光の言葉を借りれば「本当のことほどつまらないものはない」のである。ジーンというキャラも個性的だ。よくいる凡百のネクラオタクと思うことなかれ。オタクの特徴に批評家であることが挙げられる。またクリエイターであることが多いのもオタクの性である。ストーリーとして面白いのは間違いなくクリエイトする方だろう。漫画『 げんしけん 』もクリエイターである荻上が加わってから面白さのレベルが一段上がった。

 

男なら一度はオーケストラの指揮者、プロ野球の監督、または映画監督をしてみたいと言われる。ジーンが監督として奮闘する姿は、限りなくリアリスティックでありながら、同時にロマンティックでもある。面白いと感じたのは、ジーンがポストプロダクションで泥沼にハマってしまうところ。まるで期限のはるか前に書き上げた卒論を何度も何度もリライトしたかつての自分を思い出した。またジーンというキャラはどことなくハリウッドという生態系に生きづらさを感じた映画人が投影されているように思う。『 スター・ウォーズ 』のジョージ・ルーカスなどが好個の一例だろう。

 

映画撮影現場でのアイデア出しや撮影の雰囲気もよく伝わってくる。またプロデューサーの権力や職掌についても分かりやすく描かれている。なんか妙なアニメだなと敬遠することなかれ。自らをもってシネフィルを任じるなら鑑賞すべし。

 

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ネガティブ・サイド

ミスティアというキャラの使い方が中途半端に思えた。『 累 かさね 』で女優の生活の一端が惜しみなく開陳されたが、もっとそうしたシーンが必要だったように思う。

 

90分はちょっと短すぎではなかろうか。Jovianは個人的に1時間40分から2時間がちょうど良いと思っている。まあ、この辺は個人の好みの問題なので。

 

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総評

映画大好きというタイトルからして映画ファンを挑発しているようだ。そして実際にそうだ。映画を作るというのは自分の美意識を現実化するということで、普段から様々な映画をあーだこーだと批評しているJovianは思いっきりジーンに自己を投影して楽しむことができた。コロナ禍が続いたにもかかわらず今年の前半は結構な豊作という印象。その中でもアニメーション作品としては(『 JUNK HEAD 』は別格としても)としては白眉であると感じた。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

cinephile
映画好き、の意味。片仮名で時々シネフィルと書いてあるのを目にするが、発音に忠実に表記するならばシネファイルとなる。cineの部分は『 アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい 』で説明したの省略。phileは、philosophyやphilanthoropyでお馴染み。「愛する」の意味である。『 まちの本屋 』に集うような人々なら bibliophile =本好きである可能性が非常に高いだろう。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, アニメ, 小原好美, 日本, 清水尋也, 監督:平尾隆之, 配給会社:角川ANIMATION, 青春Leave a Comment on 『 映画大好きポンポさん 』 -映画という沼にハマれ-

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