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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 配給会社:吉本興業

『 映画 えんとつ町のプペル 』 -下を向くな、上を見よう-

Posted on 2020年12月28日 by cool-jupiter
『 映画 えんとつ町のプペル 』 -下を向くな、上を見よう-

映画 えんとつ町のプペル 60点
2020年12月26日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:窪田正孝 芦田愛菜
監督:廣田裕介

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キングコング西野がうんたらかんたらと言われているが、Jovianはクラシカルな芸人にしか知らない。テレビで観るのは大御所の漫才か吉本新喜劇ぐらいなのだ。本作はそのビジュアルとキャラクターに惹かれて鑑賞した。何の贔屓目も無しに良作と言えると思う。

 

あらすじ

常に煙に覆われたえんとつ町のゴミ集積場に流星が舞い降りた。その流星はゴミを引き寄せ、ゴミ人間(窪田正孝)に。ゴミ人間はえんとつ町でプペル(芦田愛菜)と運命的な邂逅を果たす。プペルは、かつて父が語っていた、晴れない空の向こうに星があることを信じていて・・・

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ポジティブ・サイド

冒頭からスタジオ4℃の絢爛豪華なアニメーションが映える。Jovianが知る最も古いスタジオ4℃の作品はゲーム『 エースコンバット04 』の紙芝居風CG劇だが、時代を経ることでこれほどに表現の幅が出てくるものなのかと素直に感心する。この映像体験は大画面でこそ体験されるべきだろう。

 

キャラクターの造形もなかなかだ。適度にデフォルメされたアニメ的な人物像、なかんずく主人公のルビッチは、庇護したいという気持ちを観る側に生じさせるだけではなく、その成長を見守りたいという気持ちにもさせてくれる。つぶらな瞳の奥底に意志の強さが垣間見えるのだ。相棒となるゴミ人間のプペルの形や声もいい。思わぬスペクタクルから始まる二人の友情に思わず胸が熱くなってしまった。というか、友達を通り越してお前らはもう戦友だろう?と感じてしまった。ルビッチとプペルの交流のすべてが実に微笑ましく、だからこそ生じる関係の亀裂とその真相が明かされるとき、我々は友情の本当の意味を知る。

 

えんとつ町の秘密も(一点を除けば)なかなかに練られていると思う。子どもなら異端審問所が悪、真実を追求するルビッチやプペルが善、という二項対立的な見方をすることもできるし、10代後半以上なら善悪や正誤以上に信念を貫き通すことの尊さを感じ取ることもできる。大人であれば、陳腐ではあるが、非常にダイレクトに閉塞感の横溢する日本社会批判になっていることに気付くだろう。

 

原作の絵本は未読だが、エンタメ映画としては良いペースで物語を展開できている。100分というのはちょうどよい塩梅に感じた。年末年始にちびっ子を映画に連れていくなら、ドラえもんよりも本作を選ぶべし。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20201228225304j:plain
 

ネガティブ・サイド 

Spectacularな映像という意味ではオリジナリティはまったくない作品である。えんとつ掃除の人夫が勢ぞろいしてアクションするのは『 メリー・ポピンズ 』で既視感ありありだし、トロッコによるスピード・アクションは『 インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 』をどうしたって彷彿させるし、終盤の船のシーンはまんま『 アポカリプト 』と『 ハウルの動く城 』である。えんとつ町そのものもゲーム『 ファイナルファンタジーVII 』の都市ミッドガルに道頓堀と東大阪の要素を付け足したようなもの(これは大阪人なら感じ取れるはず。生粋の南大阪人のJovian嫁が感じたことで手、兵庫人のJovianも同じように感じた)。

 

えんとつ町の貨幣制度は非常に興味深いが、法定通貨の交換可能性を担保(あるいは強制)しているのは一体誰なのか。異端審問所?普通に考えれば、長い年月を経過するほどに物々交換制度に移行していきそうなものだが。世界史上における戦争の99%は経済戦争であるが、貨幣を奪おうとして戦争が起こった例などほとんど存在しない。狙われるのは資源であって貨幣ではない。なかなか練られた世界観だが、ここだけは決定的な違和感を覚えた。

 

ストーリー全体も『 天空の城ラピュタ 』と『 天国から来たチャンピオン 』のごった煮。せっかく映像はcinematicに映えているのだから、もっと映像で物語るべきだ。劇中に2~3度挿入される歌もノイズに感じた。語るのではなく感じ取らせる、映像と音楽と効果音と物語でそれを行う。それが映画である。ストーリーのメッセージ部分をナレーションで伝える最終盤の展開にもやや興ざめ。これでは本当に絵本か紙芝居だ。次回作以降では廣田裕介監督のoriginalityとcreativityに期待をしたい。

 

総評

各所のレビューでは絶賛コメントが溢れているが、おそらくかなりの割合がサクラだろう。良作ではあるが傑作ではない。もちろん、面白さの基準は人それぞれだが、映画という媒体として評価されるべき点(脚本、演出、撮影etc)に触れたものが非常に少ないところが気になる。オリジナリティの無さも癖の無さ、つまり万人に受け入れられやすい作りになっていると見ることもできる。すべては相対的なのだ。今後鑑賞される諸賢は、主人公ルビッチの言うように「見ていないのにどうして分かる?」というニュートラルな姿勢で臨まれたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

look up

上を見る、の意。Look up at ~で、~を見上げる、と言える。Look up to ~は本来は「~を尊敬する、敬愛する」の意味だが、同じように「~を見上げる」の意味で使われることがあるのは『 ボヘミアン・ラプソディ 』の“Open your eyes, look up to the skies and see”の歌詞からも分かる。他にもlook ~ up in a dictionary = ~を辞書で調べる、という用法もある。別にa dictionaryのところはwikipediaでもdatabaseでも何でもよい。

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, アドベンチャー, アニメ, 日本, 監督:廣田裕介, 窪田正孝, 芦田愛菜, 配給会社:吉本興業, 配給会社:東宝Leave a Comment on 『 映画 えんとつ町のプペル 』 -下を向くな、上を見よう-

『 僕の好きな女の子 』 -Boys be romanticists-

Posted on 2020年8月19日2021年1月22日 by cool-jupiter

僕の好きな女の子 70点
2020年8月17日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:渡辺大知 奈緒
監督:玉田真也

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テレビドラマの『 まだ結婚できない男 』と邦画『 ハルカの陶 』を観て、奈緒という女優を今後マークしようと思っていた。その奈緒と、Jovian一押しの俳優、渡辺大知の共演である。というわけで平日の昼間から劇場へ行ってきた。

 

あらすじ

加藤(渡辺大知)は脚本家。美帆(奈緒)は写真家兼アルバイター。二人は大の親友だが、加藤は美帆に恋心を抱いていた。けれど、告白することで、二人の関係が変わってしまうことを恐れている。加藤は美帆との距離を縮められるのか・・・

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ポジティブ・サイド

渡辺大知が『 勝手にふるえてろ 』の二とは真逆のキャラクターを好演。好きだという気持ちを意中の相手にストレートにぶつけられない世の男性10億人から、無限の共感を呼ぶパフォーマンスである。または『 愛がなんだ 』のテルコと同じく、好きだというオーラを全身から発しながらも、相手がそれに気づいてくれない、それでも満足だという少々屈折した一途キャラ。これまた世の男性5億人からの共感を呼ぶであろう。人は誰でもできない理由を思いつくことに関しては天才かつ饒舌なのだが、そのことが加藤とその悪友たちとの他愛もない喋りの中によく表れている。単なる喋りではなく、渡辺の目の演技にも注目である。さりげない演技ではなく分かりやすい演技、しかし、わざとらしい演技ではない。目で正の感情や負の感情を語っていて、美帆と共有する時間を知っているオーディエンスには伝わるが、美帆と共有する時間を知らない悪友たちには、その目の語る事柄が伝わらないという憎い演出である。

 

奈緒演じるヒロインの美帆をどう捉えるかで本作の評価はガラリと変わる。加藤の悪友の言うようにビッチ(という表現は不穏当だと思うが)と見るか、計算ずくで加藤をキープし続ける小悪魔なのか、それとも本当に男女の友情を信じて維持している、ある意味で非常に純粋な女なのか。Jovianは小悪魔であると感じた。理由は二つ。1つには写真。被写体に対する愛情がないと撮れない写真というものがある。それは、例えば『 思い、思われ、ふり、ふられ 』のカズが撮った写真であったり、『 マーウェン 』のマークが撮る人形の写真だったりする。そうしたものは一目見れば分かるし、そうした写真を無意識で撮ったとすれば、撮影者は小悪魔ではなく悪魔であろう。理由のその二は、公園で泣く美帆と、その彼氏である大賀の所作。大賀に責められたから泣いたのではなく、自分の意識していない薄汚れた面に気付いてしまって泣いたのだろう。大賀が慰めるように肩に手をかけていたのは、美帆を思いやる以上に「今は涙をこらえろ。加藤にその涙を見せるな」という意味だと受け取った。このあたりは観る人ごとに解釈が分かれるものと思う。

 

大賀と渡辺の喫茶店での対峙シーンは素晴らしい。『 聖の青春 』の松山ケンイチと東出昌大の食堂での語らいを彷彿とさせた。大賀は登場時間こそ少ないものの、スクリーンに映っている時間は、画面内のすべてを支配したと言っても過言ではない。

 

全編が芝居がかっていて、劇作家である玉田真也監督の真骨頂という感じである。居酒屋のシーンや加藤の自宅のシーンなど、下北沢の芝居小屋で見られそうなトーク劇だった。あれだけ軽妙かつ切れ味鋭いシーンをどうやって撮ったのだろう。すべて台本通りなのだろうか。それとも、大まかな方向性だけを与えて、役者たちのインスピレーションに任せて何パターンか撮影して、その中から良いものを選んできたのだろうか。

 

Jovianは東京都三鷹市の大学生だったので、井の頭公園はまさに庭だった。渡辺大知の卓抜した演技だけではなく、馴染みのある風景がいくつも出てきたことで、作品世界に力強く引き込まれた。井の頭公園で歌うギタリストの歌も素晴らしくロマンチックだった。世の細君および女子にお願いしたいのは、パートナーが沈思黙考していたら、是非そっとしておいてやってほしい。本当に考え事に耽っていることもあるが、過去の美しい思い出を反芻している時もあるから。

 

ネガティブ・サイド

加藤の職業が脚本家というのは、少々無理があると感じた。実際にテレビで放映されているわけで、美帆がそれを観ないという保証はどこにもない。又吉のエッセイが原作ということだが、加藤は駆け出しの小説家ぐらいで良かったのではないか。それなら出版前の原稿を仲間内でわいわいがやがやと論評合戦してもなんの問題もない。ジュースもケーキも手渡せないようなヘタレな加藤が、美帆との時間をそのままテレビドラマのネタにしてしまうというのは、キャラ的に合っていないと思えた。

 

萩原みのり演じる加藤の女友達、または徳永えり演じる美帆のビジネスパートナーに、何か波乱を起こして欲しかった。自分が誰かを好きな気持ちを、その誰かは決して気付いていてくれない。そのことを加藤自身が図らずも実践してしまうというサブプロットがあれば、またはそうした思考実験的なもの(たとえばドラマの脚本の推敲の過程で)を挟む瞬間があれば、よりリアルに、よりドラマチックになったのではと思う。

 

総評

カップルのデートムービーに向くかと言われれば難しい。かといって友達以上恋人未満な関係の相手と観に行くのにも向かない。畢竟、一人で観るか、あるいは夫婦で観るかというところか。Jovianは一人で観た。井の頭公園や渋谷が庭だ、という人には文句なしにお勧めできる。ラストは賛否両論あるだろうが、男という面倒くさい生き物の生態の一面を正確に捉えているという点で、Jovianは高く評価したい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

lover

「恋人」の意。日常会話ではほとんど使わない。日本語でも「カレシ」、「カノジョ」の方が圧倒的に使用頻度が高いのと同じである。劇中で二度歌われる『 友達じゃがまんできない 』の歌詞、「あなたの恋人になりたい」が泣かせる。「あなたの恋人にしてほしい」ではないのである。加藤にはTaylor Swiftの“You Are In Love”と“How You Get The Girl”、そしてRod Stewartの“No Holding Back”と”When I Was Your Man“を贈る。いつかドラマの挿入歌にでも使ってほしい。

 

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