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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 神尾楓珠

『 カラダ探し 』 -ホラーに徹せよ-

Posted on 2022年10月17日 by cool-jupiter

カラダ探し 40点
2022年10月15日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:橋本環奈 眞栄田郷敦 山本舞香 神尾楓珠 醍醐虎汰朗
監督:羽住英一郎

貯まったMOVIXのポイントを消費しようと、本作をチョイス。カラダを探すというコンセプトはなかなか面白いが、妙な青春映画要素は極力排除して、ホラーに徹すべきだった。

 

あらすじ

明日香(橋本環奈)は学校内で「私のカラダ、探して」という不気味な言葉を耳にする。その夜、「赤い人」から謎のLINEメッセージを受け取った明日香は、午前0時を迎えた瞬間、夜の学校にいた。そこには他にも5人のクラスメイトがいた。困惑する明日香たちの前に、「赤い人」が現れ、明日香たちを惨殺していく。しかし、明日香は死んだ瞬間、前日の午前7時に戻っていた。6人はこのタイムループから抜け出すために、カラダ探しに乗り出すが・・・

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

まあ『 ハッピー・デス・デイ 』から着想を得たのは間違いない。それもありだろう。元々、邦画は原作ありき。オリジナル脚本で『 いつか、いつも……いつまでも。 』のような駄作を生み出してしまうぐらいなら、一定の高評価を得た作品を換骨奪胎してしまうのも一つの手である。

 

赤い人の設定や造形は陳腐であるが、上半身と下半身で真っ二つになったりするなど、惨殺描写はまあまあ頑張っている。橋本環奈の変顔な死に顔もファンにはショッキングだろう。Jovianの隣の隣のうるさい高校生軍団はそのシーンでショックを受けていた。

 

ホラーの化物の定石通りに、赤い人は相当の筋力と運動神経の持ち主。それに知恵と工夫で対抗する展開はなかなか。また、ちょっとご都合主義だが、赤い人の第二形態もかなりの脅威。ちょっと毛色が違うが『 イット・フォローズ 』のように友人たちが力を合わせて化け物に立ち向かう展開というのは、青春ホラー映画というジャンルと相性が良いようだ。

 

エンドクレジットの後にも映像があるので、気になる人は席を立たないように。

ネガティブ・サイド

クリシェが満載である。もういい加減『 エクソシスト 』やら『 リング 』の幻影から自由になってもいいのではないか。ストーリーや設定はある程度パクってもいいが、クリーチャーが背面で這ってくる、井戸から腕が伸びてくるなどのシーンは見飽きた。

 

赤い人の襲撃を逃れつつ、カラダのパーツを探すという謎のミッションはスリリングだが、中盤で大いに中だるみしてしまう。特にロックンローラー作戦。赤い人を校内放送での爆音に反応させつつ、自分たちはトランシーバーで連絡を取り合うというのは great idea だ。学校という自分たちの文字通りのホームを有効活用できている。問題は、そこにホラーやサスペンスが生まれないこと。訳の分からん歌を聞かされて、順調にカラダを集めていっても、面白くもなんともない。

 

たとえば、ある時、ロックンローラー作戦が不発に終わり、全員があっさり殺される。なぜ?実は赤い人もループの中にあり、前の周までの記憶があって・・・という展開なら、それこそ知恵比べのスリルが生まれるし、ループするたびに新たなサスペンスが感じられる。

 

キャラクター設定にも甘さがある。高広が明日香の幼馴染であるなら、なぜ明日香がボッチになっているのを放置するのか。実は明日香がボッチになる原因となった噂の出どころは高広だった。罪悪感からそれを言い出せずにいたが、今度こそ自分が明日香を守ると高広は決意する・・・という展開なら、唐突なキスにも意味が生まれたのだが。

 

柄本佑が持っていた意味ありげなオカルト比較文化論の本も、せっかく「カラダ探し」に関するヒントが詰まっているはずの本なのに、なぜ明日香は読もうとすらしないのか。あるいはロックンローラー作戦を考案したクラスメイトにその本のことを話さないのか。

 

後は穴かな。あんな大穴、100%ふさがれていないとおかしい。

 

総評

劇場は5割ほどの入り、ほとんどは中高生。しかも、あちらこちらでペチャクチャとうるさい。さらにスマホの光もちらちらと劇場のかしこに見えた。やはり未成年の入れないレイトショーにすべきだったか。ストーリーや演出に弱点を残すが、それなりに面白いホラー要素も詰まっている。鑑賞するなら、若者が少ない日時を選択するのが吉だろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

search for ~

 

~を探すの意。よく search ~ と search for ~ は混同されるので例文丸ごとで覚えよう。

The police searched my car.
警察は私のクルマの中をあれこれと調べた。

The police searched for my car.
警察は私のクルマを探した。

村田兆治が空港で暴行に及んだのは、きっとカラダや荷物をあれこれ search されたのが気に食わなかったからだろう。Jovianはロッテファンであるが、村田の行動は擁護不可能だ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ドライビング・バニー 』
『 秘密の森の、その向こう 』
『 グッド・ナース 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ホラー, 山本舞香, 日本, 橋本環奈, 監督:羽住英一郎, 眞栄田郷敦, 神尾楓珠, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画, 醍醐虎汰朗Leave a Comment on 『 カラダ探し 』 -ホラーに徹せよ-

『 彼女が好きなものは 』 -日本社会の包括性を問う-

Posted on 2021年12月4日 by cool-jupiter

彼女が好きなものは 75点
2021年11月27日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:神尾楓珠 山田杏奈
監督:草野翔吾

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211204003321j:plain

Jovian一押しの山田杏奈出演作品。原作小説はタイトルだけは聞いたことがあった。キワモノ作品と思いきや、骨太の社会は作品であった。、

 

あらすじ

高校生の安藤(神尾楓珠)はゲイで、同性の恋人もいるが、親も含めて周囲にはカミングアウトできずにいた。ある日、書店を訪れた安藤は、クラスメイトの三浦(山田杏奈)がBL好きであること知る。三浦は口止めを頼むが、安藤には一つの思惑が生まれて・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211204003353j:plain

ポジティブ・サイド

『 ボヘミアン・ラプソディ 』は国内でも大ヒットし、民族的なマイノリティかつ性的なマイノリティの味わう孤独や疎外感は広く日本人も共有されるようになった。NHKでも定期的に障がい者やLGBTQへの理解を広げるような番組が製作・放送されるようになっており、ゆっくりとではあるが確実に包括的な社会という方向に進んでいるように思える。本作のリリースのタイミングはドンピシャだろう。

 

冒頭から濃厚な濡れ場である。ある意味、『 怒り 』の綾野剛と妻夫木聡の絡み以上のラブシーンである。このおかげで本作がタイトルもしくは原作タイトルが予感させるユーモラスな物語にならないことが一発で伝わった。

 

主演の神尾楓珠はどこかジャニーズ風、あるいは山崎賢人や北村匠海を思わせるビジュアルながら正統派の演技派俳優。濡れ場だけではなく、普通の高校生としての感情も存分に表現した。初めての性体験にウキウキしてしまうところ、母親に対してどこかよそよそしくなってしまうところなど、普通の男子高校生らしい振る舞いの一つ一つが、彼が普通の人間であり、なおかつ普通であることをだれよりも強く渇望している人間であることを雄弁に物語る。これがあることで、終盤の病院のシーンでの偽らざる心境の吐露に、我々の心は激しく揺さぶられる。監督の演出の力もあるのだろうが、これは役者本人の character study が成功したのだと解釈したい。

 

山田杏奈も魅せる。2021年に最もブレイクした若手女優であることは疑いようもない。『 ひらいて 』では同性相手のベッドシーンを演じ、異性相手にも自ら脱いで迫るという演技を披露したが、今作でも初々しいキスからの勢いでのセックスシーンに挑戦。本番やトップレスのシーンはないのでスケベ映画ファンは期待するべからず。しかし、永野芽郁や橋本環奈が絶対にやろうとしない(あるいは彼女らのハンドラーが絶対にさせない)シーンを次々と軽々と演じていく様には敬服する。体育館での長広舌は、近年では『 志乃ちゃんは自分の名前が言えない 』の南沙良の体育館でのシーンに次ぐ名場面になったと感じる。

 

本作についてはプロットには一切触れない方がよい。腐女子であることを隠したい女子高生と、ゲイであることをカミングアウトできない男子高校生の、不器用だが清々しい恋愛ものだと思い込んで鑑賞した方が、物語に入っていきやすく、なおかつ大きなショックを味わえることだろう。渡辺大知演じるキャラはノンケのある意味での無邪気さが、いかに無遠慮であるかということを突きつけてくるし、安藤の親友が、そのまた友達から言われた一言に何も言い返せなくなるシーンも、観る側の心に突き刺さってくる。だが、我々が最も学ぶべきなのは「お前らのチ〇コなんか見ねーよ」という安藤のセリフだろう。ゲイからノンケを見て、異性とは全て恋愛対象、あるいは欲情の対象だと映っているだろうか。もしも自分が同性のゲイに見られて気持ち悪いと感じるならば、自分が異性をどのように見ているのかについて、一度真剣に思いを至らせたほうがよい。

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ネガティブ・サイド

ペーシングにやや難ありと感じる。終盤の衝撃的なシーン以降は、かなり語り口が遅くなったと感じた。特に安藤のTwitterつながりの友人との展開は、もっとテンポよく進められたのではないかと思う。

 

教室でのディスカッションのシーンが空々しかった。役者の卵たちに喋らせているのだろうが、それこそ本物の高校生を連れてきて、『 真剣10代しゃべり場 』みたいな絵を撮り、それを上手く編集した方がリアリティがあっただろう。どこか優等生的な言葉を発する役者よりも、自分の感覚を素直に言語化する10代の方が、本作を本当に観るべき世代に近いはずで、そうした自らと合わせ鏡になるような存在を作品中に見出すことで、現実社会の中に確実に存在するLGBTQとの交流に何か生かせるようになるのではないかと思う。

 

総評

タイトルだけなら『 ヲタクに恋は難しい 』と同様の香ばしさを感じるが、あちらは超絶駄作、こちらは標準をはるかに超える水準であり、比較にならない。Jovianも授業を持たせてもらっている大学のプレゼン英語の授業でSDGsをテーマにした際、多くの学生が「ジェンダー平等」を挙げた。その際に、『 glee/グリー 』や『 ボヘミアン・ラプソディ 』を理解促進の助けに挙げた学生がいたが、彼女は本作も「観るつもりです」と言っていた。ぜひ10代20代の若者たちに観てほしいと心から思える作品である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

choose A over B

BよりもAを選ぶ、の意。作中のあるシーンで、重要キャラが二択を問われるシーンがある。そんな時には choose を使おう。この語は初習者には見慣れないかもしれないが、名詞は choice = チョイスである。これなら日本語にもなっている語で、なじみ深いだろう。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 山田杏奈, 日本, 監督:草野翔吾, 神尾楓珠, 配給会社:アニモプロデュース, 配給会社:バンダイナムコアーツLeave a Comment on 『 彼女が好きなものは 』 -日本社会の包括性を問う-

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