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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 監督:堀貴秀

『 JUNK WORLD 』 -鬼才は死なず-

Posted on 2025年6月23日 by cool-jupiter

JUNK WORLD 80点
2025年6月21日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:堀貴秀
監督:堀貴秀

 

『 JUNK HEAD 』の続編にして前日譚。良い意味で「ぼくのかんがえたさいきょうのエスエフ」的な仕上がりになっている。

あらすじ

地下世界の開拓のため、人類は人工生命マリガンを創造する。しかし、マリガンはクローンで自己増殖し、人類に反旗を翻した。停戦に合意した両者だが、地下世界に異変が生じる。調査のために人類はトリスを、マリガンはダンテを派遣し、両者が合同チームを組むが・・・

ポジティブ・サイド

マリガンだらけだった前作とは打って変わって、人間とマリガン、ロボット、そして異次元の存在と一気に世界が拡張され、カラフルになった。しかし、物語の根底にあるのは堀貴秀の数々の先行作品へのオマージュ。ここは前作と変わっていない。

 

有機的な頭脳を持つロボットのロビンと、その主人であるトリスの関係が面白い。堀貴秀はミューズを得たようである。まず『 バック・トゥ・ザ・フューチャー 』と『 バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2 』を下敷きにしつつ、『 ターミネーター 』と『 ターミネーター2 』の要素も盛り込んでいる。ロビンの壮大な旅路は、個人的にはうえお久光の小説『 紫色のクオリア 』にインスパイアされたのではないかと感じた。

 

ゴニョゴニョで鑑賞したが、韓国語っぽい発話、フランス語っぽい発話に加えて、日本語のコマーシャル的なキャッチフレーズやらハリウッド映画や俳優の名前がアホぐらい出てきた何度も笑ってしまった。個人的にはビートルジュースと聞こえてきたのは、Beetle Juiceだったのか、Betelgeuse(有名な恒星)だったのか気になる。

 

今回は三馬鹿トリオではなく、トリス、ダンテ、ロビンの凸凹コンビ+1となるだろうか。というよりもロビンの変身と、世界創生、そして時間への旅路とその使者の物語が幕ごとに明らかにされ、意味不明だった物語がひとつまたひとつと意味をなしていく過程が刺激的だった。

 

前作の『 BLAME! 』的な世界観から一転して、ハインラインの『 夏への扉 』(原作小説の方)やアシモフの『 最後の質問 』的な拡張的な世界が現出した。ここからどうやって地下世界に回帰して、そこから地上世界へ帰還するのか。楽しみで仕方がない。第三作が今から待ちきれない。

ネガティブ・サイド

シリーズの一貫したテーマの一つが生殖であるはず。それを茶化すようなシーンがあったのは残念。大使がアワビ(的なもの)を貪り食う、とかならまだ許容できたかも。

総評

期待していた作品とは違っていたが、これはこれで面白いし、鬼才が仕事を辞め経済的な支援を得ても、そのユニークなクリエイティビティが全く衰えていないことに安堵した。トリスはロビンのみならず、堀貴秀氏自身のミューズでもあるのだろう。では、次作でパートンは自身のミューズと出会い、愛を成就=生殖ができるのだろうか。もはや期待しかない。2028年ぐらいには観たい。クラファンはどこでしているのか?数万円ならすぐにでも投資したいところだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

worship

崇拝する、崇敬する、崇めるの意。宗教的な文脈で使われるが、冗談めかして使うこともできる。If you get this job done by Friday, I’ll worship you. のように、親しい同僚などに言ってみるといいだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ラブ・イン・ザ・ビッグシティ 』
『 脱走 』
『 28年後… 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, A Rank, SF, アニメ, 堀貴秀, 日本, 監督:堀貴秀, 配給会社:アニプレックスLeave a Comment on 『 JUNK WORLD 』 -鬼才は死なず-

『 JUNK HEAD 』 -奇才の誕生-

Posted on 2021年6月9日 by cool-jupiter

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210609164149j:plain

JUNK HEAD 85点
2021年6月5日 第七藝術劇場にて鑑賞
出演:堀貴秀
監督:堀貴秀

 

ずっと気になっていて、しかし仕事も休めないのでなかなか観に行けなかった作品。七藝に感謝である(大阪府知事には感謝しない)。2021年の作品と読んでいいのかどうかわからないが、今年最高レベルのインパクトをJovianに与えてくれた。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210609164213j:plain

あらすじ

未知のウィルスにより人口が減少した未来世界。テクノロジーにより人類は超長寿を得たが、生殖能力を失ってしまった。大昔に地下世界を探索させていた人工生命体マリガンに生殖能力がある可能性が確認された。調査のためパートン(堀貴秀)は地下世界に降りていくが、マリガンにより撃墜される。気が付くと、彼の頭部はマリガンによって機械の体に移植されていた・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210609164255j:plain

ポジティブ・サイド

まず2010年に製作開始、2017年に完成した作品ということは、完全にコロナ前ということ。2009年の新型インフルエンザの騒動にインスパイアされたというのは当然あるにしても、今という時代ほど本作の描く世界観がフィットするタイミングもそうそうないだろう。

 

オリジナリティがあるかと言われれば、答えはイエスでありノーである。冒頭の物語は誰にも意味が分からないが、これはジェームズ・P・ホーガンの小説『 星を継ぐもの 』と同じ構成。主人公のパートンはいきなり爆殺されるわけだが、そこから義体とも言うべき体を手に入れるまでの展開はまんま『 ロボコップ 』+『 攻殻機動隊 』+『 アリータ バトル・エンジェル 』である。広大な未知の領域で特定の遺伝子を探し求めて放浪するのは『 BLAME! 』のキリイそっくり。地底世界で出会う様々なマリガンはH.G.ウェルズの『 タイムマシン 』的な世界観を彷彿させるし、そのマリガンの造形も『 エイリアン 』のゼノモーフをモチーフに、ゲームかつ映画の『 サイレントヒル 』のクリーチャーを足したもの・・・などなど、どこかで観た作品のパッチワークで全編覆いつくされている。にもかかわらず、古い革袋に新しい酒である。何が新しい酒かと言えば、ストップモーション・アニメである。

 

ウィリス・オブライエンやレイ・ハリーハウゼンの時代ならともかく、21世紀という時代、高性能なコンピュータを個人が廉価に購入できる時代、パソコンというプラットフォーム上で一個人がYouTuberという映像作家になれてしまう時代に、ストップモーション・アニメである。それも一人で。常軌を逸した量の作業量である。しかし、そうした孤独で単調な作業に没頭できる才能を堀貴秀が持っていた。そのことに胸を打たれる。

 

考えてみれば、一昔前まではCGと言えば粗いものだった。『 ジュラシック・パーク 』を映画館で初めて見たときは圧倒されたものだが、今の目で見れば露骨なまでにCGである。しかし、『 ライオンキング 』や『 ウォーリー 』ぐらいのクオリティになるとCGはCGでも、それがCGであると脳が意識していないと、CGであることが意識しにくい。このペースで行くと2030年には、もはや実写とCGの区別がつかなくなるのではないか。そんな時代だからこそ、たとえば『 ガメラ 大怪獣空中決戦 』のような着ぐるみと特撮が我々の目にはこの上なく新鮮なものに映る。そこへストップモーション・アニメで構築された未知のウィルスが跋扈するサイバーパンクな世界である。単なる懐古主義ではなく、まさに現代のリアルな一側面を切り取るという意味で、CGではない表現手段が必然であったかのように思えてくる。

 

全編を通じてサイバーパンクな雰囲気に覆われているが、それを感じさせないコミカルさも大いに感じさせられる。わかりやすい例として、男性器のシンボルと糞便が挙げられる。また謎の関西弁を操る詐欺師キャラに、肝っ玉母ちゃん的キャラ、おべんちゃらばかり言うキャラなど、マリガンたちの生態は人間と何一つ変わらない。世界が変わっても人間の本質は変わらないし、人間が人工生命体であるマリガンと変わらないということは、人間自体も人工生命体である可能性を示唆しているように感じた。

 

広大な世界とそれを上回る広大な世界観。それを文字通りに質感ある形で視覚化した労作。パートンとマリガンたちをめぐる物語世界を今こそ体験してほしい。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210609164433j:plain

ネガティブ・サイド

全体的にキャラクターの話す音量が小さいと感じた。ただでさえ誰もかれもが低周波音域で話していて聞き取りづらかったので、ここは次作で改善してほしいところ。

 

ラスボス的な変異マリガンも少し小さいと感じた。もう1.5倍くらいの大きさであれば正真正銘の化物になる。また、この変異マリガンが、たとえばデスワームを引きちぎって食べてしまうというような描写があれば、ボスキャラとしてもっと説得力を持ったことだろう。

 

総評

続編が待ち遠しい。その一方で、これだけのクオリティの作品を作ってしまったのだから、もういいだろうという気もする。しかし堀氏は仕事もやめて、作品作りに邁進しているらしい。もう、とことんまで好きにやってくれ。日本はこういう類の奇人変人をもっとサポートしなければならない。そのためにも劇場鑑賞できる人は劇場鑑賞してほしい。そしてパンフレットもぜひ購入されたし。本作は映画受難の2021年において必見である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

God is dead.

近代ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの言葉として有名な「神は死んだ」の英訳。正しくは「神は死んでいる」なのだが、まあ、そこはいいだろう。”God is dead. God remains dead. We have killed him” =「神は死んだ。神は死んだままだ。そして我々が神を殺したのだ」というのは非常に有名な quote なので、丸暗記してしまおう。

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