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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 監督:三浦大輔

『 そして僕は途方に暮れる 』 -逃げて、逃げて、逃げた先には-

Posted on 2023年1月29日 by cool-jupiter

そして僕は途方に暮れる 70点
2023年1月28日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:藤ヶ谷太輔 前田敦子 中尾明慶
監督:三浦大輔

『 娼年 』の三浦大輔監督が、とにかく目の前の現実から逃げる男の話を作ったと知り、面白そうだと思いチケットを購入。

 

あらすじ

フリーターの菅原裕一(藤ヶ谷太輔)は、鈴木里美(前田敦子)と同棲していた。しかし、里美に浮気を問い詰められた裕一は、発作的に家を出てしまう。そして親友の今井伸二(中尾明慶)の自宅に転がり込むが・・・

ポジティブ・サイド

元々舞台劇だったようだが、その臨場感は映画でも健在。主演と監督が舞台と同じだからだろう。冒頭から主人公が絵にかいたようなクソ野郎で、まったく共感できない。いや、クソ野郎ではなくダメ野郎か。日本のモラハラ夫の大部分ははこのようにして生まれているのだろうし、いわゆるニートの一部もこのようにして生まれていると推測される。このダメ男がなにかあるたびに次から次へと逃げていく。そして行きついた先に、自分を超えるダメ野郎と出会い、どう変わっていいのか分からないが、とにかく変わろうと決心する。ここは少し共感できた。特に藤ヶ谷太輔が見せる泣きの演技は『 志乃ちゃんは自分の名前が言えない 』の南沙良の泣きの演技に匹敵する。

 

『 そばかす 』に続き、ここでも前田敦子が絶妙な演技を披露している。Jovianはすっかり前田ファンである。この前田演じる里美も良妻賢母(今はこの言葉を使ってもいいのだろうか・・・)的なキャラと見せかけて、非常に人間味のある失敗をして、観る側を戦慄させる。いや、里美だけではなく、裕一の周囲の人間すべてがそうで、まさに共感と反感をジェットコースター的に感じられる一作に仕上がっている。

 

いくつか第四の壁を破るかのようなセリフがあるが、裕一が最後の最後に何度もこちら=観客席を振り返るのは、そういうこと。あとは世間様が何とか尻拭いしてくれるという甘い期待を抱いているのだ。実際、(Jovianの見た限りでは)劇場に訪れていた人の多くは、中年女性のおひとり様あるいは中年女性の二人組だった。嗅覚の鋭い観客たちである。

 

ネガティブ・サイド

 

映画としての絵のつなぎ方に問題多々あり。夜中のにわか雨のシーンから姉の家に転がり込むところで、小さなハンドタオルで濡れネズミの裕一の全身が拭けるはずがないし、ソファにも座るべきではないだろう。その後、姉の家を飛び出したシーンでも水たまり一つなし。さすがに不自然。

 

裕一のヒゲも変だった。鼻下だけに少し生やしているが、そんなデザインができるような生活をしていないだろう。

 

野村周平がゴジラ映画を撮っていた(?)っぽいが、映画の中に新作映画のCMは入れなくてよい。

 

総評

個人的には共感6割、反感4割の作品。自分でも学校や仕事から逃亡したことがあり、裕一のダメ野郎っぷりにイライラさせられながらも、自分を重ね合わせて見る瞬間も多かった。備わらんことを一人に求むる無かれ。人生とは詰まるところ、他人同士の尻拭いなのかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Like father, like son.

「この父親にして、この息子あり」の意。母娘の場合は、Like mother, like daughter. となる。是枝裕和監督の『 そして父になる 』の英語タイトルも Like Father, Like Son だった。英検準1級以上を目指すなら知っておきたい表現。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ヒトラーのための虐殺会議 』
『 エンドロールの続き 』
『 イニシェリン島の精霊 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 中尾明慶, 前田敦子, 日本, 監督:三浦大輔, 藤ヶ谷太輔, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 そして僕は途方に暮れる 』 -逃げて、逃げて、逃げた先には-

『 娼年 』 -性愛を通じての承認-

Posted on 2018年5月26日2020年2月13日 by cool-jupiter

娼年 65点
2018年4月30日 大阪ステーションシティシネマにて観賞
主演:松坂桃李
監督:三浦大輔

賛否両論入り乱れる本作だが、自分としては好意的に評価したい。この作品が焦点を当てているのは様々なセックスではなく、様々な満たされない人、様々な日蔭者、様々な虐げられている者たちではないか、と感じたからである。これはまさに『 シェイプ・オブ・ウォーター 』が是々非々の意見にぴったりと別れてしまったように、観る側が何を見るのか(何を見たがっているのか)によって、作品そのものの見え方も大きく変わってしまう好個の一例と言える。作品の多面性や奥深さの証明になるからだ。

松坂演じるリョウはバーでバイトしながら、大学にもあまり顔を出さず、特に決まった交際相手も持たず、お気楽に暮らしていた。そこへ中学の同級生が御堂静(真飛聖)を伴ってバーへやって来る。そしてひょんなことから御堂にスカウトされたリョウは娼婦ならぬ娼年としての生き方を模索するようになる・・・

ここで「なんだ、松坂桃李が次から次に客を抱いていくだけの話か」と思うなかれ。彼が出会う女性は皆、心の隙間とも言うべきものを抱えており、セックスはそれを埋めるための一つの手段にすぎない。最も分かりやすいのは最初の顧客、大谷麻衣演じるヒロミだろう。課題は、年上の女性に欲情できるかではなく、年齢と魅力は決して反比例するわけではない、ということを再確認させてやることなのだ。某レビューで「出来の悪いAVを見せられているようだ」というものがあったが、それはあまりにも皮相な見方であると思う。

松坂桃李の大学生役というのは少々無理があるのではないかと思ったが、不思議のもので桜井ユキと並ぶことで、かなり違和感が緩和された。『 今日、恋をはじめます 』で武井咲と並んだ時には、どう頑張っても高校生に見えなかったが、このあたり、まさにキャスティングの妙であると言える。

もしもあなたが自分の心に空虚さを感じるのであれば、性別・年齢を問わず、本作が何某かの正の影響を与えてくれるだろう。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, C Rank, ロマンス, 松坂桃李, 監督:三浦大輔, 配給会社:ファントム・フィルムLeave a Comment on 『 娼年 』 -性愛を通じての承認-

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