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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 監督:リー・アイザック・チョン

『 ツイスターズ 』  -ドラマも科学も少々弱い-

Posted on 2024年8月15日 by cool-jupiter

ツイスターズ 55点
2024年8月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ グレン・パウエル アンソニー・ラモス
監督:リー・アイザック・チョン

 

『 ツイスター 』の続編。監督は『 ミナリ 』のリー・アイザック・チョン、主演は『 ザリガニの鳴くところ 』のデイジー・エドガー=ジョーンズ。

あらすじ

気象学者のケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)は、かつての仲間ハビ(アンソニー・ラモス)を手助けするために、オクラホマの竜巻街道に赴く。そこで彼女は型破りな竜巻チェイサーのタイラー(グレン・パウエル)と出会い・・・

 

ポジティブ・サイド

異常気象(extreme weather)は、もはや日本でもおなじみ。関西でも滋賀県などでは竜巻注意報が出るようになった。もちろんアメリカのような超ド級の竜巻が発生する可能性は極めて低いと思われるが、それでも気象予報の重要性は増すことはあっても減ることはない。

 

YouTuberにも色々ある。瞬間的なインプレ増加を狙うだけの低俗なチャンネルやクリエイターが跋扈しているのも事実だが、その一方で市民科学(citizen science)の大いなるプラットフォームとして役立っているものもある。本作に登場するタイラーのチームは実は前者と後者の両方である。

 

前作並みに竜巻が発生し、それが前作以上の映像で猛威を振るう。特に大気のキャップを割って、竜巻の芽が地上に伸びてくるシーンは圧巻の一語。それをフェイズド・アレイ・レーダーで捉えようという試みも悪くない。

 

最終盤ではまさかの形で古典的名作がスクリーンによみがえる。泉下のボリス・カーロフも喜んでいることだろう。また、このシーンは絵的にも非常に秀逸で、目の前でこれを本当に目撃したら一生モノのトラウマになってもおかしくないと思わされた。『 リング 』のクライマックスの逆バージョンと言ってもいいかもしれない。

 

『 オズの魔法使 』関連ネタや “I’m not back!” など、前作へのオマージュもある。が、別にこれらを知らなくても作品を楽しむ妨げにはならない。迫力は満点なので劇場鑑賞の価値は十分にある。

 

ネガティブ・サイド

警報発令から竜巻到着まで3分という時間を15分にできるという前作の成果はどこに行った?15分前に警報を出しつつも、藤原効果(The Fujiwara Effect)のせいで進路の予想ができない、それぐらい竜巻が街道で多発している、という設定を設けられなかっただろうか。

 

タイラーがケイトのモーテルの部屋を訪ねるのは構わんが、実家にまで訪ねてくるとなると話は別。こうなると storm chaser ではなく skirt-chaser ではないか。

 

竜巻を消滅させるメカニズムもよく分からない。いや、湿度を全部吸い取れば竜巻は消滅するでしょ?という理屈は分かる。問題は、竜巻に勢力を供給する積乱雲にはなんらアプローチできていないこと。ここらへんを似非科学でもいいので、それっぽく説明する必要があったはずだ。

 

土地ビジネスもよく分からない。安く買い上げられるのはその通りだろうが、竜巻の通り道という印象が定着した土地を誰が高値で買うのだろうか。

 

総評

前作に劣らぬジェットコースター的展開なので飽きることはない。しかし、最後の最後の終わり方に難ありと言わざるを得ない。あわよくばグレン・パウエルとデイジー・エドガー=ジョーンズのダブル主演で続編を作りたいという製作者側の思惑も透けて見える。エンディングに不満はあれど、そこに至るまでの展開は十分に面白いのは間違いないので、お盆休みに手持ち無沙汰であれば最寄りの映画館までどうぞ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

dandelion

タンポポの意。日本でもなじみの植物なので、その英語名を知っておくのもいいだろう。ちなみに lion は動物のライオンのこと。ちなみに dande の部分は『 恐竜超伝説 劇場版 ダーウィンが来た! 』で紹介したと don=「歯」の派生。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! 』
『 風が吹くとき 』
『 #スージー・サーチ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, アンソニー・ラモス, グレン・パウエル, ディザスター, デイジー・エドガー=ジョーンズ, パニック, 監督:リー・アイザック・チョン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ツイスターズ 』  -ドラマも科学も少々弱い-

『 ミナリ 』 -落地生根の物語-

Posted on 2021年3月20日 by cool-jupiter

ミナリ 75点
2021年3月19日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:スティーブン・ユアン ハン・イェリ アラン・キム ノエル・ケイト・チョー ユン・ヨジョン
監督:リー・アイザック・チョン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210320220806j:plain
 

アカデミー賞に複数部門にノミネートされている話題作。『 パラサイト 半地下の家族 』に続いての快挙なるか。

 

あらすじ

ジェイコブ(スティーブン・ユアン)は農業での成功を夢見て、韓国から米アーカンソー州に家族を連れて移住する。しかし、新天地での孤独からジェイコブと妻モニカの関係に亀裂が生じる。そこで、モニカの母スンジャ(ユン・ヨジョン)を米国に呼び寄せることになり・・・

 

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210320220827j:plain

ポジティブ・サイド 

まず映像の美しさに目を奪われる。米アーカンソー州のwildernessに近い自然が、豊かさ予感と厳しさの予感、両方を感じさせる。あまりにもだだっ広い風景の中にぽつねんと佇立するトレイラーハウスが、広大な新天地の中で家族の置かれた孤独を象徴している。

 

移民の悲哀というものは、親世代と子世代の断絶が生じてしまうところにあると思う。英語が流暢で、感性もアメリカナイズされている娘アンや心疾患持ちの息子デビッドと、何かあるたびにケンカをしてしまう父ジェイコブと母モニカの姿に、「家族」というものの紐帯がどこにあるのかが分からなくなってしまう。祖母スンジャが、家族の形をまとめるのかというタイミングで颯爽と登場するが、デビッドは韓国っぽさ全開でお祖母ちゃんらしさがないお祖母ちゃんのことを好きになれない。そうした家族がどのように「家族」になっていくのか。

 

はっきり言って普通の人の普通の人生にもこうした困難や苦難はつきものだというイベントだらけである。しかし、忘れてはならないのはジェイコブたちは異邦人であり、祖国での生きづらさを抱えていたのだ。そのことを吐露する夫婦のシーンが二つあるが、いずれも静かなシーンでありながら、言葉では言い表せない感慨をもたらしてくれる。

 

またデビッドとスンジャが築くことになる奇妙な信頼と愛情には、時代の背景がそれぞれ反映されているように思う。ジェイコブを手伝うポールは朝鮮戦争への出征経験があり、スンジャは当然、その当事者だった。戦争、および80年代終わりまで続いた韓国の軍事政権=非民主的政権下での生活から逃げ出してきた一家およびその周辺の人々の物語として本作を観れば、どんなにバラバラになりそうでも、まるでミナリ(=セリ)のように、ひとつの家族として再生できるという希望を暗示している。最後のショットは、家族の渡米初日の夜の父の台詞を思い起こせば、非常に味わい深いものとして鑑賞できるだろう。

 

ネガティブ・サイド 

花札にもう少しフォーカスしても良かったのにと思う。『 ジョイ・ラック・クラブ 』における麻雀のようなシンボルになる可能性を秘めていたと思う。

 

ジェイコブの父親としての、夫としてのエゴが少々大きすぎた。序盤に性別で仕分けられた雄鶏の雛が廃棄されているのを指して、「俺たち男は有用でないといけない」とデビッドに語るのは、少々身勝手すぎやしないか。食用にも向かず卵も産まない雄鶏に自分を重ねるのは構わないが、それは人間にとっての見方。アメリカ社会では有用でないと選別されてしまうという移民の悲哀は充分に伝わったが、それを家族内にまで持ち込むのはどうかと思う。そのことが祖母スンジャの中盤以降の生活にも反映されてしまったのではないか。だが、であるからこそ、最終ショットの美しさが際立つのか・・・

 

総評 

これは21世紀の韓国版『 ジョイ・ラック・クラブ 』になるかもしれない。静かな展開で、決してジェットコースター的な物語ではない。そうした意味では一般向きではないかもしれない。『 焼肉ドラゴン 』のようなひとつの異邦人家族の人生の物語を、自分の人生の物語として読み替えられるかどうかが鍵になる。このように書くと大袈裟だが、『 喜劇 愛妻物語 』を観て、なんだかんだあっても家族はやっぱり家族だよなあ、と思える人なら、本作の真価を味わえるはずだ。『 フェアウェル 』に続く、お祖母ちゃんの物語の傑作である。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

アラッチ?

「分かった?」の意。姉が弟によく言っている。かなりフランクな表現なので使いどころには注意が必要である。

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, アラン・キム, スティーブン・ユアン, ノエル・ケイト・チョー, ハン・イェリ, ヒューマンドラマ, ユン・ヨジョン, 監督:リー・アイザック・チョン, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 ミナリ 』 -落地生根の物語-

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