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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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タグ: 監督:グレゴリー・ジェイコブズ

『 マジック・マイク XXL 』 -青春に別れを告げるロードトリップ-

Posted on 2023年3月4日 by cool-jupiter

マジック・マイク XXL 70点}
2023年3月1日 WOWOW録画にて鑑賞
出演:チャニング・テイタム ドナルド・グローヴァー アンバー・ハード
監督:グレゴリー・ジェイコブズ

『 マジック・マイク 』の続編。やはり『 マジック・マイク ラストダンス 』への備えとして再鑑賞。

 

あらすじ

ストリップの世界からは足を洗い、家具職人として慎ましく生活するマイク(チャニング・テイタム)に、かつての仲間から「ダラスが旅立った」と告げられる。通夜に訪れたマイクだが、ダラスはアダムと共に天国ではなく中国に旅立っていた。一同はそれぞれの人生を歩み始めるために、最後にストリップの大会に参加しようと、マートル・ビーチに向けてロードトリップに出るが・・・

 

ポジティブ・サイド

前作のラストで踊ることを拒否したマイクが、今作では自分の職場でBGMに乗せられて不意に踊りだす。家具職人として汗水たらして働きながらも、マイクはやっぱりマジック・マイクだった。ストリッパー、本作の言葉を借りれば男性エンターテイナーとしての残り火が残っていた。夜の世界で1ドル札の雨を降らすのではなく、昼間の世界でこつこつと働く。その姿に我々はホッとすると同時に、ちょっぴりガッカリもさせられる。誰もが大人にならなければならないが、青春と決別するのはなかなかに難しい。本作は、マイクだけではなく、かつての仲間たちすべてが青春に別れを告げる物語である。

 

フローズン・ヨーグルトを売って生計を立てるティトに、芸能プロダクションに履歴書を送りまくるケンなど、前作でそれほどフォーカスされなかった個性豊かなキャラたちの背景が見えてくる。また、ロードトリップの中でマイクと各キャラが個別に話していく中で、彼らの関係についても様々な側面が見えてくる。じっくり話したことはなかったが、実は互いに深くリスペクトしていたことが分かったり、実はわだかまりを抱いていることが判明したりと、陽キャは陽キャで色々あったんだなと感じる。

 

旅の途中で出会う人々も、それぞれにドラマがある。仏頂面のコンビニ店員を「お前のダンスで笑顔にしろ、それができれば新作ダンスだって生み出せる!」というマイクの力強い提案と、それに乗ったリッチーがバックストリートボーイズの ”I Want It That Way.” を背景に披露する渾身のダンスが本作の見どころの一つ。また、一晩泊めてもらうことになる家で、マダム達の様々な悩みに耳を傾け、励ましの言葉を掛けて、自己効力感を与えるシークエンスもハイライトの一つ。ダラスとアダムは金のために中国へ行ってしまったが、マイクをはじめ残された面々は、自分たちが癒しを提供する存在であったことに気付いていく。

 

マートル・ビーチの大会で踊ったからとて、何かが劇的に変わるわけではない。結婚を夢見たり、妻子のいる生活に憧れたり、堅実な職業を得ようとしたり、あるいは華々しい芸能の世界にしがみつこうとしたり、進路は様々だ。そう、進路。つまり、大学生が院に進んだり、あるいは就職したり、ニートになったりと、色々あるが、マイクとその仲間たちは派手なバカ騒ぎをすることで、モラトリアムの終わりを受け入れたのだ。今回のロードトリップは彼らなりの卒業旅行なのだ。

 

ラストのステージ・パフォーマンスは圧倒的。Jovianが自分の結婚式で使ったブルーノ・マーズの “Marry You” をドナルド・グローヴァーが歌うシーンが個人的には最も盛り上がった。マイクが道中で知り合ったストリッパー仲間と最後に見せるパフォーマンスも圧巻。最後に打ち上げた大きな花火は、彼らの旅の終わりを締め括るにふさわしい。歳をとってから思い起こして、ふっと笑うことができる。そうした瞬間を持つことが青春の醍醐味だし、そうした瞬間を共有できる仲間を戦友と呼ぶのだろう。

 

ネガティブ・サイド

トバイアスが事故で out となってしまったために、急遽、マイクの古い伝手でローマにMCを頼むことになる。そこは良いとして、そのローマのMCがそれほどシャープだとは感じられない。レディをクイーンと言い換えるぐらいで、何か特別にMCの才能があるようには感じられなかった。これなら前作のマシュー・マコノヒー演じるダラスの方が遥かにMCとしては上だろう。”All right, all right, all right.” だけでその場の空気を全て自分色に染め上げるマシュー・マコノヒーのオーラを上回るような決め台詞を用意すべきだった。

 

あとは、ほんの少しでいいのでブルックの出番も欲しかった。ケリー・マクギリスは『 トップガン マーヴェリック 』にとても出演できないと自己判断したそうだが、コディ・ホーンはギャラで揉めたりしたのだろうか。

 

総評

青春との盛大な決別、そのほろ苦さが存分に味わえる。一方で、修学旅行的な楽しさもある。ロードムービーとしても青春映画としても、非常に良い仕上がりになっている。女性のみならず、30代以上の男性も、本作を通じて自分の人生を見つめ直すことができる。もちろん単純に男性ストリッパーが大いに羽目を外す映画として観賞しても構わない。むしろ、若い世代はそういう見方をすべきかもしれない。そこから10年後に本作を観ることで、自らの成長や成熟を感じることもあるだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

ride

仮面ライダーのライダーは ride から来ている。意味は「乗る」だが、これは名詞。劇中ではしばしば last ride という形で使われていた。プロレスラーのアンダーテイカーの決め技の一つだが、実際は You’re in for a ride. の ride に「最後の」の last がついたもの。ride には「何か楽しいこと、エキサイティングなこと」という意味もある。 マイクたちの言う our last ride というのは、みんなでやる最後のバカ騒ぎ的な意味なのだ。 

 

次に劇症鑑賞したい映画

『 シャイロックの子供たち 』
『 マジック・マイク ラストダンス 』
『 湯道 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, アンバー・ハード, チャニング・テイタム, ドナルド・グローヴァー, 監督:グレゴリー・ジェイコブズ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画, 青春Leave a Comment on 『 マジック・マイク XXL 』 -青春に別れを告げるロードトリップ-

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