Skip to content

英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

  • Contact
  • Privacy Policy
  • 自己紹介 / About me

タグ: 監督:ウォルフガング・ペーターゼン

『 ネバーエンディング・ストーリー 』 -王道ファンタジー-

Posted on 2022年4月22日 by cool-jupiter

ネバーエンディング・ストーリー 75点
2022年4月19日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:バレット・オリヴァー ノア・ハサウェイ タミー・ストロナッハ
監督:ウォルフガング・ペーターゼン

ふと思い立ってTSUTAYAで本作をレンタル。古い(といっても1980年代だが)時代の映画には、CGには出せない質感があるなと、あらためて実感。だからこそ自分はこの年齢になっても『 ゴジラ 』が好きなのだろうと再確認した。

 

あらすじ

母の死から逃避するために、以前にも増して本の世界に逃避するバスチアン(バレット・オリヴァー)は、いじめっ子から逃げる際に駆け込んだ本屋で不思議な本と出会う。学校の屋根裏でバスチアンは密かにその本を読みふけるが、やがて物語の中のファンタージェンとバスチアンの世界が重なり始め・・・

 

以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

Jovianは別に幼くして母を亡くしてはいないが、それでも小学生にして江戸川乱歩の世界に惑溺していた。なので初めて鑑賞した時はバスチアンと自分を自然に重ね合わせられたし、今回あらためて観返してみて、やはり少年の気持ちに戻れた。アドベンチャーは、やはり良いものである。

 

ファンタージェンの手作り感が素晴らしい。何でもかんでもCGで表現できてしまい、しかもそれが実写と見紛うばかりのクオリティーに達しつつある現代だが、逆にこうした昔の映画のキャラクター造形、衣装、小道具&大道具、背景などの持つ本物の質感には劣る。ロック・バイターは『 太陽の王子 ホルスの大冒険 』のモーグの実写化のようだし、ナイト・ホブのゴブリンっぷりは、数多くの映画や絵本、ゲームに登場したゴブリンの中でもトップクラスだろう。レース用のカタツムリやコウモリ、巨大なカメのモーラに、ラッキードラゴンのファルコンなど、ファンタジーの王道的なキャラクターばかりである。

 

アトレーユの行く冒険の旅でも、いくつかの野外シーンの背景は絵だろう。『 オズの魔法使 』の時代から使われてきた手法だ。象牙の塔は精巧なミニチュアで、これにもCGには出せない味わいがある。「虚無」の描写も、絶望感が漂ってくる。ドライアイスに色をつけて、カメラを上下逆にして撮影したのだろうか。これらを様々な特撮技術で料理しているのだから、当時の人々の創意工夫には脱帽するしかない。

 

第4の壁をキャラクターが破るというのをJovianは本作で初めて経験したが、よくよく観れば、最初に壁を破ったのはバスチアンの方だった。これはなかなか洒落た構成である。アトレーユの冒険に心躍らせる少年が、実は・・・という一種のトリックは、傑作ゲーム『 Ever17 -the out of infinity- 』をインスパイアしたのではないだろうか。また虚無=The Nothingnessという世界を破壊する現象は『 ファイナルファンタジーV 』に取り入れられたと勝手に信じている。実際にそっくりだし。

 

BGMも素晴らしく、特に象牙の塔のテーマ曲は荘厳さと崇高さを感じさせる名曲。またLimahlの ”The Never Ending Story” も非常に印象的だ。映画や小説は知らなくても、なぜかこの歌は知っている人は結構多いだろう。『 炎のランナー 』や『 スティング 』と同じで、映画そのものよりもサントラの方が長生きしている作品の一つ。けれど、映画そのものの出来栄えも非常に高いと評価できる。大人が観ても楽しめるし、子どもにも積極的に見せたいと思える作品でもある。Jovianも甥っ子たちにDVDを買ってやろうと思う。

 

ネガティブ・サイド

アトレーユの冒険部分の描写がもっと必要だと感じた。アルタクスと共に草原や砂漠を疾走するシーンは勇壮だが、アトレーユが素手で戦う、あるいは危険を予測して見事に回避する、といった展開を2~3分で良いので加えてほしかった。

 

ティーニー・ウィーニーやナイト・ホブたちにもう少し見せ場が欲しかった。彼らが持ち寄った情報をアトレーユに渡す、あるいは南のお告げ所の前後で再会するなどしても良かったのではないか。

 

エンディングが少々拍子抜けである。いじめっ子たちにリベンジを果たして終わり・・・ではなく、多くの子どもたちがバスチアン同様に『 ロビンソン・クルーソー 』や『 指輪物語 』、『 ターザン 』を読むようになったことを明示する、あるいは示唆するようなエンディングこそが A Never Ending Story ではないだろうか。

 

総評

メルヘンでありファンタジーでありアドベンチャーでもある良作。ビブリオフィルが主人公というところも希少価値を高めている。活字の良い点は、読者が想像できるところであり、活字の悪い点は、読者が想像しなければならないところである。テクノロジーの発達で文字よりも映像優位の時代になった。映画の世界でも、これを逆手にとって、本を読むという映画を作ってほしいと思う。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

keep one’s feet on the ground

直訳すれば「両足を地面につけたままにする」ということだが、意訳すれば「空想に耽らず現実的に考える」ということ。バスチアンが ”I have to keep my feet on the ground!” と叫ぶシーンがあるが、このセリフはその後の展開の伏線になっているところが面白い。

 

 にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村 

Posted in 映画, 海外Tagged 1980年代, B Rank, アドベンチャー, タミー・ストロナッハ, ノア・ハサウェイ, バレット・オリヴァー, ファンタジー, 監督:ウォルフガング・ペーターゼン, 西ドイツ, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 ネバーエンディング・ストーリー 』 -王道ファンタジー-

『 アウトブレイク 』 -アメリカの本音が詰まったウィルス・パニック映画-

Posted on 2020年5月31日 by cool-jupiter

アウトブレイク 70点
2020年5月27日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ダスティン・ホフマン ケビン・スペイシー モーガン・フリーマン
監督:ウォルフガング・ペーターゼン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200531174506j:plain
 

これは確か高校3年生ぐらいの時にWOWOWだかレンタルVHSだかで家族そろって観た記憶がある。エボラ出血熱のニュースがその2~3年前にあり、人食いバクテリアなる言葉が人口に膾炙するようになった時代だったように思う。本作もまたCOVID-19禍によって再評価が進む作品の一つだろう。

 

あらすじ

サム(ダスティン・ホフマン)はアフリカで未知のウィルスが猛威を振るうの目の当たりにして、アメリカ本土も警戒の要ありと認めた。だが軍の上層部や政府は動かない。そうしている間にも、シーダー・クリークという田舎町で突如謎の感染症によって人々が死に始める。サムはこの苦境に立ち向かえるのか・・・

 

ポジティブ・サイド

単純に未知の病原体が現れて人類を恐怖と混乱のただ中に放り込む・・・というだけのストーリーではない。そこには職業人と家庭人の両立をできなかった男の悲哀があり、軍という自制が必要な組織体の自制の無さという問題があり、なおかつ自然と人間の適切な距離の問題がある。さらに過剰とも思えるほどのヘリコプター・アクションもあり、よくこれだけのストーリーを2時間に凝縮したなと、脚本家と監督、そして編集の手腕に感心させられる。

 

25年前の映画だが、現代にも通じる点としてウィルスが変異する点が挙げられる。COVID-19もアジア株とヨーロッパ株の2種に大別できるとされているが、実際は何十にも何百にも枝分かれしているとされる。小説および映画化もされた『 パラサイト・イブ 』では「ミトコンドリアは人間の10倍の頻度で変異する、つまり人間の10倍のスピードで進化する」とされていた。微生物を人間がどうこうしようというのが、そもそもおこがましいことなのかもしれない。ましてや兵器にしてやろうなどと。そうしたことも本作から学べるのだ。

 

ダスティン・ホフマンの名探偵も斯くやの快刀乱麻を断つがごとしの推理や論理展開の速さは必見。そして「自分を抜きにしてアメリカの防疫を語るな!」というプライドとプロフェッショナリズム。日本にこれほど熱く有能な科学者や官僚はいるのだろうかと思われてしまう。モーガン・フリーマンやドナルド・サザーランドのいかにもアメリカ軍人らしい冷徹さも、そのコントラストが際立っている。その裏には少数を切り捨てることで絶対的多数を守ろうと決断する者たちの姿が見えるからだ。シーダー・クリークを爆撃し、ウィルスおよび感染者を文字通りに一掃しようと立案する大統領補佐官らしき男の官僚連中への「この顔を刻み付けろ!一生思い出す顔だ!」という怒声は、果たしてダイヤモンド・プリンセス号を見捨てた(としか思えない)日本政府の中でも聞かれたのだろうか。フィクションと現実を比較しても詮無いことだが、現実がフィクションに侵食されている今こそ、現実を鋭く批判検証せずに、いつするというのか。

 

アクションも熱い。現代ならおそらく95%はCGで描いてしまうであろうヘリコプターのチェイスと曲芸飛行を、おそらく9割は実物、1割は模型(ハンマーヘッドターンはさすがに模型だろう)だと思われるが、それでもこのヘリコプターアクションのシークエンスは90年代の作品では『 ターミネーター2 』のそれに次ぐクオリティであると感じた。相当な腕っこきパイロットを連れてきたのだろうな。

 

ネガティブ・サイド

ヘリコプターの燃費が良すぎる。通常巡航速度以上の飛行をずっと続けて、なおかつ戦闘機動も織り交ぜ、なおかつ巡航速度を超大幅に下回る飛行を行いつつも、給油なしで飛び続けるあのヘリコは一体全体何であるのか。またAWACSがついていながら軍用ヘリをロストするというのも頂けない。カーナビがついているのに迷子になった、あるいは暗視スコープをつけているのに暗闇でこけてしまった、そういうレベルの盛大なミスである。さすがにちょっとご都合主義が過ぎやしないか。

 

ケビン・スペイシーの感染シークエンスが不可解だ。あの一瞬でウィルスを吸い込んでしまうだろうか。あれでは、防護服周辺に来た人間全員に感染してもおかしくないではないか。その後のラボの人間が誰も発病していないところを見ると、防護服に穴が開いた瞬間に感染というのも大げさすぎる演出だと感じた。

 

土壇場での血清培養も、シーダー・クリークのような地方の片田舎でどのように行ったのだろうか。厳密な温度管理や滅菌処理など、かなり大掛かりな施設が必要となるはずだが、「いいぞ、もっとドンドン作れ!」とはこれいかに。

 

総評

色々と不可解な面もあるが、ヒューマンドラマの要素とSFの要素、そして家族愛や友情の要素に、『 ランペイジ 巨獣大乱闘 』が前面に出しきれなかった人間vs自然のような視点までも包含した、ジャンル横断的な傑作である。願わくば、『 Search サーチ 』のような様式、すなわち全編これ顕微鏡下の映像だけで送る最近・ウィルスのパニック・スリラーも観てみたい。映画関係者よ、作るなら今だ!

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I’m on it.

itは大抵の場合、何らかの仕事やミッションを指す。「自分がそれを担当します」、「今取り組んでいるところです」のような意味で、日常会話というよりは、どちらかというと職場でよく使われる表現。実際にJovianの職場でも、

 

X: “We need to make a guideline for this.”「ガイドラインが必要だな」

Y: “I’m on it.”「私が作成します」

 

のようなやりとりはまあまあの頻度で聞こえてくる。

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  

Posted in 映画, 海外Tagged 1990年代, B Rank, アメリカ, ケビン・スペイシー, スリラー, ダスティン・ホフマン, モーガン・フリーマン, 監督:ウォルフガング・ペーターゼン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 アウトブレイク 』 -アメリカの本音が詰まったウィルス・パニック映画-

最近の投稿

  • 『 28日後… 』 -復習再鑑賞-
  • 『 異端者の家 』 -異色の宗教問答スリラー-
  • 『 うぉっしゅ 』 -認知症との向き合い方-
  • 『 RRR 』 -劇場再鑑賞-
  • 『 RRR:ビハインド&ビヨンド 』 -すべてはビジョンを持てるかどうか-

最近のコメント

  • 『 i 』 -この世界にアイは存在するのか- に 岡潔数学体験館見守りタイ(ヒフミヨ巡礼道) より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に cool-jupiter より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に 匿名 より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に cool-jupiter より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に イワイリツコ より

アーカイブ

  • 2025年5月
  • 2025年4月
  • 2025年3月
  • 2025年2月
  • 2025年1月
  • 2024年12月
  • 2024年11月
  • 2024年10月
  • 2024年9月
  • 2024年8月
  • 2024年7月
  • 2024年6月
  • 2024年5月
  • 2024年4月
  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月

カテゴリー

  • テレビ
  • 国内
  • 国内
  • 映画
  • 書籍
  • 未分類
  • 海外
  • 英語

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
Powered by Headline WordPress Theme