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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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タグ: ルーシー・ボーイントン

『 ボヘミアン・ラプソディ(“胸アツ”応援上映) 』 ーThe joy of movie-going is backー

Posted on 2019年1月5日2019年12月20日 by cool-jupiter

ボヘミアン・ラプソディ 85点
2019年1月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ラミ・マレック ルーシー・ボーイントン グウィリム・リー ベン・ハーディ ジョセフ・マッゼロ トム・ホランダー マイク・マイヤーズ
監督:ブライアン・シンガー

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190105003315j:plain

2018年11月17日に大阪ステーションシネマで鑑賞した『 ボヘミアン・ラプソディ 』の“胸アツ”応援上映を体験。『 シン・ゴジラ 』の時にも大都市圏で実施された発声可能上映とだいたい同じと思えばよろしい。映画自体の感想は変わらない。むしろ、repeat viewingによって各シーンの構図やカメラアングルの意味がよりはっきりと伝わってくる。複数回劇場に足を運ぶ人が多くいるというのもむべなるかな。

 

Jovianは嫁さんと観に行ったが、劇場の入りは1割程度だっただろうか。箱の大きさに対して観客数も少なく、また実際にスクリーンに字幕が表示されるパートは大音量なので、かなり叫んだつもりでも、囁き程度にしか聞こえなかった。これは自分も嫁さんも確認している。それにしても客の入りとは関係なく、こうした試みはどんどん広がるべきであると思う。映画館に行くというのは能動的な営為であっても、映画を鑑賞するというのは極めて受動的な営為だ。しかし、そこに発声や手拍子、足踏みなどが加われば、受動でありながら能動のエンターテインメントが出来上がる。

 

問題があるとすれば、劇中の楽曲はすべてのパートが歌唱され、演奏されるわけでもない。またきれいにフェードアウトしてくわけでもないため、大声で歌っていると、いきなり画面が切り替わって、劇場内に自分の声が響き渡る、ということもありうる。「でもそんなの関係ねぇ」な小島よしおな人は、“胸アツ”応援上映を体験すべきだ。目立つのはちょっと・・・という控え目な人は、途中の “We Will Rock You” のシーン、最後のライブ・エイドのシーンで思いっきり絶叫すればよい。Jovianはそうさせてもらった。特に “We Are The Champions” では涙腺決壊必定である。嫁さんと二人で涙を流し、声に詰まりながら、何とか歌い切った。英語(に限らず、たいていの言語)には Editorial We と呼ばれる語法が存在する。新聞記事などで「~~~であると思われる」という、あの表現である。また書き言葉以外でも、特にメディアの質問やインタビューでも盛んに用いられるということは『 響 -HIBIKI- 』のレビューでも示した通りである。知らず知らずのうちに読者や視聴者を著者や話者の視点に包含するわけだ。フレディの抱える劣等感、葛藤、苦悩・・・ 我々はいつの間にか彼と同化する。心に闇を抱えない者がいようか。そうした懊悩の全てが We are the champions という歌詞と歌唱と共に吹き飛ばされていったように感じられた。なんというカタルシス!

 

観終わった後、隣の座席の母娘の会話が漏れ聞こえてきた。「お母さん、ゲイって何?」娘の方はおそらく小6~中1ぐらいだっただろうか。おそらく本作をきっかけに、このような会話が日本の津々浦々で交わされたに違いない。これは、クイーンというバンドの生み出した音楽の力を称揚するだけの映画では為し得ないことだ。受け手にしっかりと考えるきっかけを与える映画である。さあ、あなたも時間と懐に余裕があれば“胸アツ”応援上映に Go! である。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190105003356j:plain

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, A Rank, アメリカ, ラミ・マレック, ルーシー・ボーイントン, 伝記, 監督:ブライアン・シンガー, 配給会社:20世紀フォックス映画, 音楽Leave a Comment on 『 ボヘミアン・ラプソディ(“胸アツ”応援上映) 』 ーThe joy of movie-going is backー

『 ボヘミアン・ラプソディ 』 -フレディ死すともクイーンは死せず-

Posted on 2018年11月19日2019年11月23日 by cool-jupiter

ボヘミアン・ラプソディ 85点
2018年11月17日 大阪ステーションシネマにて鑑賞
出演:ラミ・マレック ルーシー・ボーイントン グウィリム・リー ベン・ハーディ ジョセフ・マッゼロ トム・ホランダー マイク・マイヤーズ
監督:ブライアン・シンガー

 f:id:Jovian-Cinephile1002:20181119012956j:plain

原題もBohemian Rhapsody である。葛城ユキあるいはCHAGE and ASKAの楽曲‘ボヘミアン’を思い起こす人は多いのだろうか、それとも最早マイノリティなのだろうか。意味は放浪の人、流離う人、旅人、定住しない人などである。ラプソディとは、一曲の中で転調が見られる壮大な音楽を指す言葉である。そう考えれば、ボヘミアン・ラプソディというフレーズ、そして楽曲はQueenというバンドの定義にして本質であると言えるのかもしれない。

 

あらすじ

インド系の青年ファルーク(ラミ・マレック)はヒースロー空港で荷物の仕分けで日銭を稼ぎながら、夜な夜なパブに足を運び、バンドのライブを楽しんでいた。ある日、お気に入りのバンドのメンバーに声をかけたところ、リード・ヴォーカルが抜けたという。ファルークは歌声を披露し、その高音域を買われ、メンバーに加わる。そして伝説の幕が開く・・・

 

ポジティブ・サイド

20世紀FOXの定番ミュージックがエレキサウンド!『 ピッチ・パーフェクト ラストステージ 』でも採用されていた手法で、今後はこのような形で観客を映画世界に招き入れるのが主流になっていくのかもしれない。歓迎したいトレンドである。

 

本作を称えるに際しては、何をおいてもラミ・マレックに最大限の敬意を表さねばならない。はっきり言って、長髪の頃のフレディにはあまり風貌は似ていないのだが、短髪にして髭をたくわえ出したあたりからは、シンクロ率が400%に達していた。架空のキャラクターを演じるのは、ある意味で簡単だ。監督、脚本家、演出家などが思い描くビジョンを忠実に再現する、もしくは役者が自身のテイストをそれにぶつけて醸成させていけば良いからだ。しかし、世界中にファンを持つ伝説的なパフォーマーを演じるというのは、並大抵の技術と精神力で達成できることではない。彼の持つ複雑な生い立ちとその時代や地域におけるセンシティブなパーソナリティ、その苦悩、葛藤、対立、軋轢、堕落、和解、そして真実へと至る道を描き出すその労苦を思えば、マレックにはどれだけの賛辞を送ってもよいだろう。何か一つでもヘマをすれば、数十万から数百万というオーダーの映画ファン、音楽ファンから批判を浴びることになるからだ。史実(と考えられているもの)とは異なるシーンも散見されるようだが、そこは事実と真実の違いと受け入れよう。前者は常に一つだが、後者は見る角度によってその姿を変える。たとえば Wham! の名曲、“Last Christmas”は失恋を歌ったものであるが、ジョージ・マイケルのセクシュアリティを知れば、歌詞の解釈がガラリと変わる。フレディ・マーキュリーについても同様のことが言えるのだ。

 

本作はクイーンがいかに楽曲の製作や録音、編曲にイノベーションをもたらしたのかを描きながら、同時にバンドにありがちな衝突も隠さずに描く。Jovianの知り合いにプロの作曲家・音楽家・サウンドエンジニアの方がいるが、「バンドの解散理由っていうのは音楽性の違いが一番ですよ。ギャラの配分とかで揉めることの方が少ないです」とのことだった。クイーンの面々のこうした側面も描かれるのは、クイーンファンには微妙なところかもしれないが、人間ドラマを大いに盛り上げる要素であり、なおかつクライマックス前の一山のためにも不可欠なことだった。そうした描写に加えて、『 ダラス・バイヤーズクラブ 』のマシュー・マコノヒーよりも乱れた生活を送るフレディが家族のもとに回帰していく様は、夜遊びに興じるファルークが父と母のもとに回帰していく様を思い起こさせた。

 

ラストの21分間は圧倒的である。本作鑑賞後に、是非ともYouTubeで同ステージの映像を検索して観て欲しい。その場にいられなかったことを悔い、しかしその場にいたことを確かに実感させてくれるような作品を産み出した役者やスタッフの全てに感謝したくなることは確実である。本作を送り出してくれた全ての人に感謝を申し上げる。

 

ネガティブ・サイド

 

ほとんどケチをつけるところが無い作品であるが、フレディの過剰歯は本当にちょっと過剰すぎやしないか。

 

またバンドの結成からメジャーデビュー、さらにはアメリカツアーまでのトントン拍子の成功が、ややテンポが速すぎるというか、トントン拍子に進み過ぎたように思う。その時期のバンドのメンバーの関係やマネジメントとの距離感にもう数分だけでも時間を割いていれば、中盤以降の人間関係のドラスティックな変化にもっとドラマが生じたかもしれない。

 

あと、これは作品に対する complaint ではないが、本作のような映画こそ発声可能上映をするべきではないだろうか。‘We Will Rock You’や‘We Are The Champions’を、好事家と言われようとも、スノッブと言われようとも、映画館で熱唱してみたいと思うのはJovianだけであろうか。

 

総評 

レイトショーにも関わらず、かなりの入りであった。上映終了後、客が退いていく中、4~5組みの年配カップルの、特に男性の方が放心状態という態で席から立てずにいたのが印象的だった。『 万引き家族 』のリリー・フランキーではないが、「もう少しこの余韻に浸らせろ」と言わんばかりであった。似たような現象は『 ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男 』でも観察された。奇しくもそちらも同劇場でのことであった。近年でも『 ベイビー・ドライバー 』で‘Brighton Rock’が、『 アトミック・ブロンド 』のトレーラーでも‘Killer Queen’が使用されるなど、その音楽の魅力は全く色褪せない。フレディ・マーキュリー、そしてクイーン。彼は死に、彼らは最早かつてのバンドではない。しかし、その功績と遺産、輝きは巨大にして不滅、音楽ファンからのリスペクトは無限である。小難しいことは良く分からないという人でも、‘We Will Rock You’や‘We Are The Champions’を聞いたことがないということは、ほとんど無いだろう。トレーラーでもポスターでもパンフレットでも、何かを感じることがあれば、チケットを買うべし。

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