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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: マーク・ストロング

『 シャザム! 』 -新時代の異色スーパーヒーロー誕生-

Posted on 2019年5月1日2019年5月2日 by cool-jupiter

シャザム! 70点
2019年4月30日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ザカリー・リーバイ アッシャー・エンジェル マーク・ストロング ジャック・ディラン・グレイザー
監督:デビッド・F・サンドバーグ

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MCU(Marvel Cinematic Universe)が『 アベンジャーズ / エンドゲーム 』をもって一旦は完結したが、一方でDCUE(DC Extended Universe)はやっとジャスティス・リーグが結成されて、ようやくスタンドアローンの『 アクアマン 』がリリースされたところ。そこへもってきて、異色のヒーロー、シャザムがやってきた。暗くもあり、明るくもあるヒーロー。DCの風向きも変わってきたか。

 

あらすじ

母親とはぐれ、里親のもとを転々としてきたビリー・バットソン(アッシャー・エンジェル)は、ある時、魔術師に召喚され、彼の力を受け継ぎ、シャザム(ザカリー・リーバイ)となる。同じ里親のもとに暮らすフレディ(ジャック・ディラン・グレイザー)と共に能力を無為にテストするだけの日々を送っていた。しかし、彼の身には、かつて魔術師シャザムに拒まれ、悪魔の力を追求するDr.シヴァナ(マーク・ストロング)が迫っており・・・

 

ポジティブ・サイド

ヒーローは往々にして暗い背景を有している。バットマン然り、アイアンマン然り、スパイダーマン然り、アクアマン然り、キャプテン・アメリカ然り、スーパーマン然り。シャザムとなるビリーも母親との別離を経験している。しかし、そのことが彼をして正義の使者や代弁者、執行者たらしめていない。名前こそバットソン(Batson)であるが、彼はブルース・ウェイン/バットマンとは、そこが決定的に違う。いや、そもそもアメコミ世界のスーパーヒーローは、歴史的にアメリカという国の国力(=軍事力と言っても良い)を健全な意味でも不健全な意味でも擬人化してパロディにしたものであった。だが、現実のアメリカがイラク戦争のように正義の無い戦いに身を投じたところから(実際には朝鮮戦争やベトナム戦争にも正義などは存在しなかったと考えられるが)、アメコミの実写映画化にも変化が生まれてきた。それが『 シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ 』のようなヒーロー同士の戦いであったり、『 デッドプール 』のような無責任ヒーローの爆誕にも見て取れる。

 

それでは本作の呈示するヒーロー像とは何か。それは友愛ではないだろうか。友情、絆、家族愛・・・ 言葉にすれば陳腐であるが、そうしたものが本作のユニークさであろう。もちろん、アベンジャーズやジャスティス・リーグにそうした要素がないわけではない。しかし、映画『 アベンジャーズ 』でも描かれていたように、最強ヒーローチームは、絆ではなく協力した方がより機能的であるという実用的な理由からチームとなり、『 ジャスティス・リーグ 』も個々の力を一つにまとめた方が得策だというブルース・ウェインの判断によって結成されたものだった。そこが本作と先行するヒーロー達との違いであろう。このシャザムというヒーローに一番近い、もしくは似ているのはトム・ホランドverのスパイダーマンであるように思う。

 

真面目に考察してしまったが、本作はエンタメ要素もてんこ盛りである。トム・ハンクスのファンなら、『 ビッグ 』の親友ビリーを思い出すだろうし、ビリー/シャザムの親友フレディとスーパーパワー実験をする時のBGMがQueenのフレディ・マーキュリー歌唱の“Don’t Stop Me Now”なのである。そして、舞台はフィラデルフィアで、フィラデルフィアといえばロッキー。ロッキー・ステップスを舞台にしたシークエンスもあり、それ以外の「おいおい」というシーンもある。また、悪役Dr.シヴァナが使う悪魔の力からは、どうしたって『 ゴーストバスターズ 』を想起させられる。同じDCEUの先輩キャラを茶化す楽しい場面もあるので、劇場が明るくなるまで席を立ってはいけない。

 

ヴィランのマーク・ストロングも良い仕事をしたが、一番に称えたいのはシャザムを演じたザカリー・リーバイである。幼稚な大人ではなく、子どものままでかくなってしまったキャラを良く体現できていた。そんな彼が、太っちょな里親パパや、白人女子高生、脚に障がいを持つ同世代、黒人の妹たちと育む友愛の物語を、是非とも多くの人に堪能して欲しいと思う。

 

ネガティブ・サイド

シャザムというキャラおよび原作の知識があれば異なる感想を抱くのかもしれないが、街の人々のシャザムに対するリアクションがあまりにも普通であることに当初は強烈な違和感を覚えた。物語がある程度進んだところで、これは本格的にDCEUの一部、つまりスーパーヒーローが実在する世界であると分かったことでその違和感は消え去ったが、『 デッドプール 』のように、ある世界の一部であることを一発で観る側に理解させるような仕掛け、もしくは仕組みがあれば良かったのかもしれない。劇中でもスーパーマンやバットマン絡みのガジェットが登場するが、それをもっと早めに露骨に出して、なおかつ「波動拳」などの完全別世界のワードは禁句にしてしまうぐらいで良かったのではないか。

あとはコンビニ強盗を退治するシーンだが、シャザムはよいとしても、銃口がフレディに向けられていたらどうなっていたのだろうか。銃弾をものともしない防御力を示したいのなら、もっと別の描写方法があったはずである。

 

総評

『 アクアマン 』もホラーの名手ジェームズ・ワンが手掛け、本作も『 ライト/オフ 』や『 アナべル 死霊人形の誕生 』を監督したデビッド・F・サンドバーグが手掛けている。一部にジャンプ・スケア的な手法も使われているが、暗くないヒーロー、明るいヒーロー像は、今後はホラー映画の作り手たちが新境地を切り開いていくのかもしれない。コメディ的な要素もありながら、本作はかなり真面目なヒーロー像を模索する試みでもあり、DCEUの切り札的存在にもなりうるポテンシャルを秘めている。続編の製作にも期待が持てそうである。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アクション, アメリカ, ザカリー・リーバイ, マーク・ストロング, 監督:デビッド・F・サンドバーグ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 シャザム! 』 -新時代の異色スーパーヒーロー誕生-

『 リピーテッド 』 -フランスの映画・小説の技法を盛り込んだ作品-

Posted on 2018年12月4日2019年11月23日 by cool-jupiter

リピーテッド 50点
2018年11月28日 レンタルDVD鑑賞
出演:ニコール・キッドマン コリン・ファース マーク・ストロング
監督:ローワン・ジョフィ

 

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少ない登場人物でサスペンスを生み出すのがフランス流だが、本作はイギリス・フランス・スウェーデンの合作とのこと。納得の仕上がりである。カトリーヌ・アルレーが現代によみがえったら、きっとこんな小説を書くのだろう。

あらすじ

クリスティーン(ニコール・キッドマン)が目を覚ますと、ベッドには見知らぬ男が。彼(コリン・ファース)はベンと名乗り、自分は夫であると言う。クリスティーンは事故により、一日しか記憶を保持できないのだ。一方、ナッシュ医師(マーク・ストロング)からの電話でビデオカメラの録画を観るように促された彼女は、過去の自分からの語りかけに次第に混乱させられていく。信じるべきはベンなのか、それともナッシュなのか・・・

 

ポジティブ・サイド

まずキャスティングだけで本作は一定の成功を収めている。早い話が、ベンとナッシュ、どちらが怪しいのだ、というのがクリスティーンの疑惑であり、観る者の関心である。英国の誇るコリン・ファースが果たして悪役なのか、それとも強面でありながら、結構良い人ばかりを演じるマーク・ストロングが悪役なのか。物語が始まって、すぐに我々は引き込まれる。

 

物語は二転三転し、ある日はナッシュを疑ったかと思えば、次の日にはベンを疑う。クリスティーンが一日の終わりに撮り溜めていくビデオはどんどんと積み重なっていく。それがある閾値に達しつつある時、クリスティーンの記憶の鍵も外れ始める。この演出は陳腐ながら見事である。記憶喪失ものは往々にして、完璧なタイミングで完璧な記憶を取り戻すからだ。ご都合主義の極みである。本作は安易なご都合主義は取らないし、人間の記憶の確かさと曖昧さの両方を、非常に説得力ある方法で描き出す。その点で凡百の記憶喪失ものとは一線を画している。

 

ネガティブ・サイド

いくつか不可解というか、設定が生かされない点もあった。クリスティーンは毎朝20代に戻るわけだが、そのことを強く示唆するようなシーンが必要だった。それが無いために、終盤で真実の一端が明かされるシーンの迫力が減じてしまっていた。また、二人の男性以外に出てくる重要人物のもたらす情報が、クリスティーンの記憶を刺激しないというのは、やや腑に落ちなかった。

 

記憶喪失とタイムトラベルもしくはタイム・パラドクスは、序盤の面白さを生み出すことにおいては数あるジャンルの中でもトップクラスであろう。それは間違いない。問題は着地なのだ。サスペンスフルな展開でせっかくここまで引っ張ったのだから、最後までそのトーンを維持して欲しかった。ファイトシーンなどは無用であった。

 

総評

名作かと言われれば否だが、駄作と言うほどでもない。雨の日のレンタルにちょうど良いだろうか。ニコール・キッドマン、コリン・ファース、マーク・ストロングのファンなら、押さえておいて損は無いだろう。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, イギリス, コリン・ファース, サスペンス, スウェーデン, スリラー, ニコール・キッドマン, フランス, マーク・ストロング, ミステリ, 監督:ローワン・ジョフィ, 配給会社:クロックワークスLeave a Comment on 『 リピーテッド 』 -フランスの映画・小説の技法を盛り込んだ作品-

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