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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: パク・ソダム

『 パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女 』 -カーアクションは少なめ-

Posted on 2023年1月26日 by cool-jupiter

パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女 70点
2023年1月22日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:パク・ソダム チョン・ヒョンジュン
監督:パク・デミン

 

仕事が繁忙期なので簡易レビュー。

 

あらすじ

クルマを運転させれば右に出る者がいないウナ(パク・ソダム)は、裏の世界の運び屋として生きている。ある日、プロ野球賭博のブローカーとその息子を運ぶという依頼が入る。しかし、アクシデントにより依頼人の幼い息子と300億ウォンの貸金庫の鍵だけを運ぶことになる・・・

ポジティブ・サイド

冒頭の数分間は『 ドライヴ 』、『 ベイビー・ドライバー 』、『 トランスポーター 』への韓国映画界なりのオマージュか。街中の路地の爆走や、静かに闇に紛れる様。クルマを駆る天才ドライバーというのは実に絵になる。パク・ソダムの無表情でのクールな演技は本作にマッチしていた。

 

子役のチョン・ヒョンジュンは『 パラサイト 半地下の家族 』ではあまり印象に残らなかったが、本作では守られるべき小さな子どもから、ヒロインを守らんとする男の子に成長する。よくこんな脚本を書いて、子どもに演じさせて、さらにそれを面白い筋立てに仕上げるものだと関心させられた。

 

韓国の警察は無能というのが定番だったが、今作の悪徳警察は特に悪辣。さっさと誰かこいつをぶっ殺せ、と心の底から思わせてくれた。

 

パク・ソダムはこれから役者としてのピークが来るだろう。続編も期待して良さそうだ。

 

ネガティブ・サイド

カーアクションが決定的に少ない。もちろん終盤の肉弾戦の迫力は否定しないが、本作の最大のアピールは華麗なるドライビング・テクニックであるべきだ。

 

国家情報院のおばちゃんに見せ場がなかった。悪徳刑事を吊し上げるのはこの人だと思ったが。

 

インドの青年にも、もう一つぐらい見せ場が欲しかった。

 

総評

『 非常宣言 』と同じく、日本ではとても作れそうにないダークな娯楽作品。ぜひ続編を作ってほしい。運び屋という裏稼業に興味のある人は、Jovianの先輩の書いた小説『 運び屋 』も読んでみよう。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

サジャン

社長の意。社 = シャ ⇒ サ、長 = チョウ ⇒ チャン。昔、うちの親父も韓国旅行していた時に「社長、社長、社長にはこれが似合う」とか言われて、高いカバンを露天商に買わされていたな。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 そして僕は途方に暮れる 』
『 ヒトラーのための虐殺会議 』
『 エンドロールの続き 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, チョン・ヒョンジュン, パク・ソダム, 監督:パク・デミン, 配給会社:カルチュア・パブリッシャーズ, 韓国Leave a Comment on 『 パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女 』 -カーアクションは少なめ-

『 パラサイト 半地下の家族 』 -韓国社会の分断を象徴的に描く-

Posted on 2019年12月31日2020年9月26日 by cool-jupiter

パラサイト 半地下の家族 75点
2019年12月30日 東宝シネマズ梅田にて鑑賞
出演:ソン・ガンホ チェ・ウシク パク・ソダム
監督:ポン・ジュノ

f:id:Jovian-Cinephile1002:20191231224241j:plain

 

半地下とは面白い構造である。『 怪しい彼女 』でも、バンド名に半地下=パン・ジハとつけられていた。韓国・ソウルは坂の街なので、半地下を持つ家、もしくは半地下に存在する家があることは珍しいことではない。しかし、本作の言う半地下の家族には、それ以上の意味がある。

 

あらすじ

半地下の家に暮らすキム一家は、家族そろって失業者。しかし長男ギウが友人の伝手で富裕家族の娘の家庭教師職を得たところから、妹ギジョンも家庭教師として、そして父も母もその一家から仕事を得るようになる。富裕家族に寄生するキム一家は、しかし、悲劇に巻き込まれて行く・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20191231224300j:plain

 

ポジティブ・サイド

2019年の日本を読み解くキーワードの一つに、間違いなく「上級国民」が挙げられるだろう。その対義語はもちろん、「下級国民」である。かつての日本は一億総中流などと言われていたが、そんな時代は過ぎ去って久しい。上級国民=富裕層、特権階級だとすれば、下級国民=貧民層、社会的セーフティネットからの落伍者となろうか。トマ・ピケティの『 21世紀の資本 』を読むまでもなく、バブル崩壊以後の日本では、富める者がますます富み、中流とされた層がどんどん下層化していった。そして、『 国家が破産する日 』でも描かれていたように、韓国社会の経済的な分断は日本の20年先を行っている。つまり、日本においても本作で描かれているような上流階級と下層貧民の分断の進行、そして下層民が上層民に“寄生”して生きていくような社会の到来はほぼ確実であろう。そしてそれはジョーダン・ピールが『 アス 』で描き出そうとしたテーマ、すなわち「我々の敵は我々自身」というものと共通する。ありうべき自分と実際の自分の隔たりが大きくなる。それが、韓国でも日本でも、そしておそらく全ての先進国で進行している事態である。それを本作はコミカルに、さらにサスペンスフルに描いた。

 

キム一家は富裕な家族にうまく取り入り、元いた家政婦も追い出し、経済的な危地も脱する。それは爽快ですらある。やっていることは犯罪すれすれ、というか犯罪だが、そうでもしなければ抜け出せない負のスパイラルというものがある。自分たちが汚泥に塗れたことが、金持ちにとっては僥倖になる。これは決して比喩でも何でもなく、資本主義社会における極まった搾取の構造の一つである。これは韓国版の『 万引き家族 』ならぬ『 寄生家族 』であり、下剋上でもある。

 

ポン・ジュノ監督の要請に従ってネタばれは避けるが、中盤と終盤に素晴らしいドンデン返しが待っている。特に終盤のとあるキャラの豹変の理由を、とある感覚に求めたところは秀逸であると思う。映画は基本的に映像で見せるものであり、時に音声を聴かせるものでもある。見た目や話し方をどれだけ取り繕っても、存在そのものが放つものはごまかしようがない。それは行動や言動の否定ではなく、存在の否定である。耐えがたい屈辱である。『 ジョーカー 』、『 ボーダー 二つの世界 』に続く、虐げられた者にフォーカスした傑作外国映画がここに誕生した。

 

ネガティブ・サイド

富裕一家の長男の“解読作業”はどうなったのだろう。また、あれだけの金持ちがセンサーの不良と疑われるものをあれだけ長く放置するだろうか。そのあたりに上手い説明がなかったのが気になった。

 

序盤のミニョクとギウの友情はニセモノだったのか。ミニョクを裏切るにしても、もう少しギウに葛藤が欲しかった。『 ジョーカー 』のアーサー・フレックは、環境や状況によって道を踏み外さざるを得ないところに追い詰められた。もちろん本人の病気の問題もあったが、それは本人の人間性とは関係がない。ギウの人間性に疑問符がつくような描き方は、本作が目指す「社会構造の欺瞞を撃つ」というテーマを薄めてしまっている。

 

総評

お隣の韓国もなかなかに大変なようである。というか、放っておくと日本もこうなるのは火を見るよりも明らかである。家族という共同体の強固さと社会的な連帯の弱体化は比例するのか反比例するのか。貧富の格差が固定化された身分として定着してしまった時、第二の「フランス革命」が起きることすら予感させる。韓国発のこのサスペンスは、先進国にとって非常に示唆的な作品になっている。2020年、必見だろう。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

スポイラー

映画の冒頭で監督から「ネタばれ厳禁」のお願い、キャストから「劇場マナー守ってね」メッセージがあったのだが、ポン・ジュノ監督は「ネタばれ」を「スポイラー」と言っていた。つまり、英語のspoilerである。韓国語にはネタばれにあたる語がないのかもしれない。そういう時には、外来語をそのまま使うのが賢いのだろう。劇中でも日本語が最低2回出てくる。一つはとあるガジェットの文字、もう一つは日本発の特定のタイプの人間を指すinternational languageである。といってもsamuraiやninjaではない。詳しくは劇場でどうぞ。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, サスペンス, ソン・ガンホ, チェ・ウシク, パク・ソダム, 監督:ポン・ジュノ, 配給会社:ビターズ・エンド, 韓国Leave a Comment on 『 パラサイト 半地下の家族 』 -韓国社会の分断を象徴的に描く-

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